9月の一番の注目興行は、有明アリーナで行われるLIVE BOXING。
Amazonプライムビデオがボクシング配信に参入してきてくださいまして、はや第5弾を迎えます。
ゲンナディ・ゴロフキンvs村田諒太を皮切りにはじまったこのLIVE BOXING、毎度のように素晴らしいマッチアップを提供してくれています。
村田諒太というスターの引退、井上尚弥はドコモに取られてしまったAmazonですが、次のスター候補は那須川天心(帝拳)。
その知名度から、メインの寺地拳四朗(BMB)、セミの中谷潤人(M.T)を上回る集客力もつであろう那須川天心が、いわばこの興行の「顔」です。
ということで今回のブログは、9/18(祝)に行われるLIVE BOXING、那須川天心vsルイス・グスマンのプレビュー記事。
9/18(祝)Amazon プライムビデオ presents LIVE BOXING
那須川天心(帝拳)1勝無敗
vs
ルイス・グスマン(メキシコ)10勝(6KO)2敗
元々那須川の対戦相手は、9勝(7KO)無敗という戦績を持つ23歳のプロスペクト、ファン・フローレス(メキシコ)というボクサーでした。
しかしこのフローレスがコロナ罹患、代役としてルイス・グスマンというボクサーに変更。
勿論どちらもメジャーなボクサーではありませんが、変更後の対戦相手、ルイス・グスマンというのはメキシコの国内王者のようです。
日本のようにナショナルタイトルが非常に権威を持っているか、というとそうではないと思いますが、タイトルを持っているということはある程度の実力があると言っても良いでしょう。
那須川天心は、デビュー戦で与那覇勇気(真正)を全く寄せ付けず6R判定勝利を挙げ、今戦がボクシングデビュー2戦目。たった2戦目で8回戦、ナショナルチャンピオンを相手にするというのは非常の骨のあるマッチメイク。帝拳ジムらしくない、といえばそうなりますが、これはきっと那須川が望んでいるマッチメイクなのでしょう。
まだ口にするのもおこがましい、という感じではありますが、この階級で最強を目指すということは井上尚弥を目指すということです。井上尚弥vs那須川天心というのは日本のボクシング史において考えうる最高のカードであり、どうかあと5年のうちにたどり着いてもらいたいと切に願うものです。
なので、那須川はこんなところで負けることはできず、2段飛ばし、3段飛ばしで駆け上がっていかなければなりません。
那須川天心のボクシングは、類まれなスピード、そして素晴らしい距離感を持ち、キックボクシング時代から培ったディフェンススキルはすでに一級品。
与那覇戦では結局倒し切ることはできませんでしたが、そのパンチにはキレがあり、あとは徐々に総合力を高めながらステップワークを更に鍛え、カウンターの精度を上げ、スタミナの使い方を知ることでしょう。私のようなものから見ると、非常に「負けづらい」ボクシングをする、ある程度の完成形を見たボクサーと言えます。
だからなのか、今のところ(1戦しか戦っていないので何とも言えませんが)劣勢から大逆転できるようなボクサーには見えず、どちらかというと先行逃げ切り型のように見えます。序盤からペースを掌握し、もらわず、自らのパンチを当て続けて大差の判定勝利。これが那須川天心の戦い方ではないでしょうか。
ともあれ、素晴らしいボクサーであることはすでに疑いようのない状態ですね。
ルイス「キコ」グスマン
ルイス・グスマンという名前で検索してもなかなか映像は出てきませんが、彼のニックネーム、「kiko」を入れると少々映像が出てきます。
ただ、インタビュー映像の合間にハイライトが少々入るような映像しかなく、その中で見た感じは左右のフックを規則正しいタイミングで振るうフッカー、マチズモの体現者だと思われます。以下に書くのは、このグスマンの映像を数十秒ほど見たところから派生しているので、当然それだけではわからない強さも持っている、と思って読んでください。
このボクサーの試合はいつも結構ドロドロの乱打戦になるのだろう、というスタイル、映像もこの「ドロドロ」がすでに始まっている状態のものしか見つからなかったので、(おそらくすでに疲弊している段階のため)スピードもパワーもさほど感じはしません。
序盤のキコ・グスマンが如何ほどのものなのかはわかりませんが、ラウンドが進んでいくと単調で、左右のフックを振り回し、スピードもパワーもさして感じないボクサーになっていく、というのであれば、那須川天心を捕まえるのは難しいことでしょう。
那須川天心の「良くないところ」は非常に見えづらいのですが、このグスマンの「良くないところ」はありありと見えます。
下半身はあまり踏ん張りが聞いているとはいえず、攻撃は非常に単調。左フックのあとは必ずと言って良いほど右のフック、そこに縦のパンチを挟むこともありませんし、ストレートもほぼ打ちません。身体を大きく倒しながら打つフック気味のパンチ、メキシコでは「ボラード」と呼ばれるパンチですが、これにもさほどスピードを感じないので、果たしてこのパンチが那須川に当たるか、というとそうはならなそう。
更に、この単調さはカウンターパンチャーである那須川天心にとっては格好の餌食でもあり、フックの当たる距離でしか戦えないのもグスマンの不利要因。
と、まあ現在見れる映像を見た限りでいうと、個人的にはグスマンには勝ち目がないように思います。勿論強いボクサーではありますが、那須川天心と比べると、どうしても見劣りしてしまいます。
ちなみにこのグスマン、デビューは2013年とすでに10年のキャリアですが、デビュー戦で2RTKO勝利をしたあと4年超のブランク。デビュー2戦目は2017年12月です。
5戦目、初黒星はTKO負け、9戦目も7R終了TKO負けと2敗はともにストップ負け。
それでもおそらく耐久力はあり、勝った試合はグスマンの手数に飲み込まれたり、対戦相手が諦めてしまったりが多そうです。(あくまでも想像)
稀代のスピードスター、那須川天心を相手にドロ試合に持っていける算段はないでしょうから、那須川としてはしっかりとアウトボックスを意識すれば危険はなさそうで、更に倒すチャンスも巡ってくるかもしれません。いずれにしろ、勝負は後半です。
グスマンの勝利があるとすれば、予想以上にグスマンのプレッシャーがきつく、更にそれを8Rにわたり続けられた場合。もし那須川の足を止めるか、プレスをかけ続けることで疲れさせることができるのであれば、グスマンにも後半にチャンスが巡ってくるのかもしれません。
とはいえ、リング慣れしている那須川は、基本的なスタミナは十分にあり、戦いのさなかで休む事もできると思うので、そんな場面は訪れないと思います。
いずれにしろ、この相手に対して那須川が求められるものはやはりKO勝利。ここで良い勝ち方をすれば、3戦目での地域タイトル挑戦も可能でしょう。
圧勝して3戦目で地域タイトルに挑戦してほしい
ということで、那須川にはグスマンを全く寄せ付けることなく、しかも判定勝利ではなくやっぱり倒して勝利してほしい。とんでもないカウンターで。
左右のフックを規則正しいタイミングで打ってくるグスマン相手には、それも可能ではないかと思います。
そしてやはり気になるのはその先です。
現在のスーパーバンタム級は、日本王者に下町俊貴(グリーンツダ)、OPBF東洋太平洋王者に武居由樹(大橋)、WBOアジアパシフィック王者にテレンス・ジョン・ドへニー(オーストラリア)。
これは誰とやっても本当に素晴らしいマッチメイクになると思います。
デビュー3戦目でこれらの王者たちに勝つようなことがあれば、その1年後か2年後には世界チャンピオンじゃないでしょうか。
挑むことだけでもすごいことですが、那須川のマッチメイクを見る限り、3戦目でこれらの王者に挑む可能性は十分にある、と思います。
年末か、来年の春か。
少々時間が空いても良いので、那須川天心の次戦には大きな期待を寄せてしまいます。
その前に今戦、圧倒的な勝ち方を見せてくれることを願いましょう。
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