9月、というのは本来ビッグマッチの月です。
理由としては、ボクシング界において大きな勢力を誇るメキシコ、その独立記念日があるからですね。
まるで日本の大晦日興行のように、この記念日(近辺)に大興行をしたがるメキシカン、ですが今回はこの独立記念日から日程が2週間ほどズレており、大興行は9/30(日本時間10/1)のカネロ・アルバレスvsジャーメル・チャーロです。
代わって独立記念日の興行に登場するのは、メキシコ期待のウィリアム・セペダ(メキシコ)。
28勝(24KO)無敗という驚異的な戦績を誇るメキシコ人は、ここのところレネ・アルバラード(ニカラグア)、ジョセフ・ディアス(アメリカ)といった元世界王者を降しており、絶好調をキープしています。
ただ、このセペダのいるライト級の壁の高いこと。
ということで今回のブログは、メキシコ独立記念日興行(なのか??)、ウィリアム・セペダvsメルシト・ゲスタ(フィリピン)のプレビュー。
9/16(日本時間9/17)アメリカ・カリフォルニア
ウィリアム・セペダ(メキシコ)28勝(24KO)無敗
vs
メルシト・ゲスタ(フィリピン)34勝(17KO)3敗3分
さて、このプレビュー記事はどうせPV数には恵まれません。
しかし、この試合は意外と注目ではないか、と思っているのです。
まず、ウィリアム・セペダは次期スター候補であり、とにかく最初から最後まで手数が衰えることのないゴリゴリのプレッシャーファイター。
一発一発のパンチに迫力は感じないまでも、この驚くべきKO率、ジョセフ・ディアスがセペダとの試合で後半明らかに衰えていったのは、やはりこのボクサーのパンチは芯に響くものであり、ダメージをあたえ続けていける重いパンチなのだと思っています。
プロデビューは2015年11月、2016年には7試合もしてますね。。
その後もキャリアを重ねていったセペダは、2021年、当時無敗のプロスペクトだったヘクター・タナハラ(アメリカ)との無敗対決を制し、ステップアップ。これもセペダのエンドレスファイトにより、6R終了後にタナハラが棄権したものですね。
その後も連勝を重ねたセペダは、2022年にはレネ・アルバラード(ニカラグア)、ジョセフ・ディアス(アメリカ)という元世界王者を連覇。特にディアス戦では初の12Rを戦い、そのエンドレスファイトを12Rに渡り続けるというトンデモ戦術で圧倒、本当に多くのことを証明した戦いだったと思います。
↓観戦記
さて、対してメルシト・ゲスタ。
Guerrero No Mercy、「非情な戦士」というニックネームを持つフィリピン人です。
ボクシングファンにとっては、このゲスタがホルヘ・リナレス(ベネズエラ)の世界タイトルに挑戦したことは覚えているでしょう。
2018年1月当時、31勝1敗2分という好戦績を持っていたゲスタでしたが、当時のリナレスはアンソニー・クローラ(イギリス)、ルーク・キャンベル(イギリス)を連覇、このゲスタ戦後にロマチェンコ戦を迎えたことを考えると、(元々の脆さは置いておいて)衰えはまだ感じない頃。当然、リナレスが圧倒的優位でしたから、このメルシト・ゲスタなるボクサーのことはさほど印象に残ってはいません。
ゲスタはこのリナレス戦後、再起には成功しますが、再起2戦目でファン・アントニオ・ロドリゲス(メキシコ)にまさかの9RTKO負け。3敗目を喫した試合の後も、カルロス・モラレス(アメリカ)と負傷判定でドローです。
全く持って奮わないゲスタは、通常、ここでアンダードッグの道を歩んでいくはずでした。
モラレス戦後、2年半というブランクをつくったあとに行われたのは、当時 26勝(22KO)2敗という好戦績を持っていたジョエル・ディアス(アメリカ)。
このディアス戦で初回にダウンを奪っての判定勝利を収め、元世界王者、ジョセフ・ディアスの再起戦の相手にピックアップされます。
2連続ディアスです。
なのでジョセフ・ディアスのことはジョジョと呼びますが、ジョジョはデビン・ヘイニー(アメリカ)、ウィリアム・セペダ(メキシコ)を相手に連敗を喫しており、ここは負けられない戦い。というか、勝てる相手を選んだ、という感じがありました。
しかし蓋を空けてみればゲスタがしっかりとステップを踏んでのアウトボックスを敢行、スプリットの判定ながらも見事な勝利。ジョジョはなかなか距離を詰めることができず、パンチは当たるものの単発で、倒せるようなヒッティングはついぞ生まれませんでした。
対してゲスタは非情に冷静に戦い、ジョジョに追い足がないと悟るとしっかりとステップを踏んで距離を取り、ジャブとコンビネーション。踏み込みのタイミングは非常に良く、出処のわかりにくいコンビネーションでジョジョⅱからポイントを奪っていきましたね。
さて、このメルシト・ゲスタは一風変わったフィリピン人ボクサーです。
フィリピンはやはり振り回すスタイルが多く、それでもハンドスピードがあってパンチがよく伸びるから当たる、みたいなイメージですが、このゲスタは非常にコンパクトに、そしてなめらかに打ちます。
ゲスタはステップワークが良く、まるでパッキャオのようにリズムを取るサウスポー。力感のないパンチは、自身のストロングポイントを良くわかっており、おそらくパワーはさほどではありませんが流れるようなコンビネーションは非常によどみがなく、スムーズです。
モーションなく繰り出されるコンビネーションは非情に厄介ですし、前に出てくる相手に対して非情に効力を発揮しそうです。それは、ウィリアム・セペダを相手にしても機能するかもしれません。
それでも勿論、セペダ優位に変わりはありません。
セペダのあのエンドレスファイトに、ゲスタのステップワークがどこまで通用するのか。それとも、ここ一番に強いフィリピン人が、2連続のアップセットを起こすのか。
ライブ配信!
この興行は、DAZNで生配信です。
ソコのアナタ、DAZNって最近イマイチ。。。とか思ってないですか?私は思っています。
月額1,000円くらい(だったと思う)なので仕方ないとも思いますが、はっきり言って惰性で入り続けています。
ただ、このDAZNは興行数を考えると非常にコスパが良く、16日、17日の週末でも3つの興行を中継してくれます。
中でもこのセペダvsゲスタはアンダーカードも注目で、セミファイナルは女子の世界タイトル戦、その他のアンダーカードにはフェザー級プロスペクト、ビクター・モラレス(アメリカ)も登場ですね。
DAZNの放映は日本時間9/17(日)AM9:00〜、おそらくメインはお昼頃でしょう。
↓DAZNはこちらから
混迷のライト級
さて、ライト級。
ウィリアム・セペダは現在世界4団体で世界上位にランクする、トップランカーの一人です。
その他にも、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)やフランク・マーティン(アメリカ)、レイモンド・ムラタヤ(アメリカ)、ジャーメイン・オルティス(アメリカ)、イサック・クルス(メキシコ)、アルベルト・バティルガシエフ(ロシア)やらデニス・ベリンチェク(ウクライナ)もいますし、キーショーン・デービス(アメリカ)も上がってきています。そして、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)だってまだいます。
数え上げればキリがありませんが、この階級でタイトルショットが進まないのはすべてデビン・ヘイニーのせいであり、このヘイニーのスーパーライト級挑戦を待っているという状況が現在の状況です。
ヘイニーはレジス・プログレイス(アメリカ)への挑戦を控えていますが、これに勝っても負けてもライト級に戻ってくることは考えられないのだから、さっさと王者を決めに行く作業をした方が良いと思います。
シャクールはマーティンと対戦合意、というニュースが流れましたが、結局マーティンがこの試合を辞退、シャクールの対戦相手は振り出しに戻る状態です。
↓対戦合意時のニュース
折角の人気階級で、非常にレベルの高いボクサーが当然のように揃っている現代。
是非とも流れを止めないようにしてもらいたいですね。
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