今週のウィークデイにはボクシングがありませんが、ウィークエンドはボクシング三昧。
多分、というか絶対、全部は見れないでしょう。
10/7(土)は3150FIGHT(ABEMAでライブ配信)、ダイナミックグローブ(U-NEXTでライブ配信)があり、10/8(日)は中日本・西部新人王対抗戦(Youtubeでライブ配信)、岐阜ボクシングカーニバル(sakanaさんのYoutubeでライブ配信)、さらにDAZNでイギリス、アメリカの興行がライブ配信です。
私が最も注目しているのはDAZN、イギリスのマッチルーム興行とアメリカのGBP興行です。
ということで今回のブログは、10/7(土)に行われる、リー・ウッドvsジョシュ・ウォーリントンをメインに据えた、マッチルーム興行のプレビュー記事。
10/7(日本時間10/8)イギリス・シェフィールド
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
リー・ウッド(イギリス)27勝(16KO)3敗
vs
ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)31勝(8KO)2敗1分
シェフィールド、と聞いて思い出すのは、どう考えても「プリンス」ナジーム・ハメド(イギリス)のことですね。
イギリスはシェフィールド、ブレンダン・イングルのもとでボクシングを始めたハメドは、これまでのボクシング史にないスタイルで世界中を席巻。イングルとは喧嘩別れしてしまいましたが、結局のところナジーム・ハメドという空前絶後のボクサーを作り出したのはイギリスのシェフィールド、そしてイングルがルーツです。
なぜこの興行がシェフィールド?とも思いますが、ウッドの出身地であるノッティンガムとこのシェフィールドはほど近くであり、ウッドはシェフィールドのジムでトレーニングをしているようです。ウッドもプロキャリア初期はイングルのジムに通っていたようですね。
ちなみにこのシェフィールドは、ウッドの出身地ノッティンガムと、ウォーリントンの出身地であるリーズのちょうど中間に位置しており、どちらもアウェー感はない、どころか、二人ともホームめいたところがあり、この二人が雌雄を結するのに相応しい場所です。
王者は苦労人、リー・ウッド
WBA世界フェザー級王者、リー・ウッドは、アマキャリアを経て2011年にプロデビュー。アマチュアボクシングでは国内で有名な選手だったようで、イギリス国内大会では3位入賞の成績を収めているようです。(この時、ジェームズ・ディケンズに敗北)
国内トップアマのプロ転向ながらも、キャリア初期はさほど良いとは言えないマッチメイクで、プロデビュー以来11連勝もそのほとんどが4回戦の試合。10回線も2度ほど戦っていますが、早いラウンドでのノックアウトだったため、それまでの最長ラウンドが6ラウンド、という内容の状態で当時空位だったBBBofCのスーパーバンタム級タイトルを争います。この時の相手はギャビン・マクドネル(イギリス)でした。
このマクドネル戦で初黒星を喫したウッドは復帰後連戦連勝、BBBofCの下位タイトル(ミッドランズエリア)、コモンウェルスタイトル、WBOヨーロッパタイトル(いずれもフェザー級)を獲得して波に乗ります。
しかし2020年2月、このWBOヨーロッパタイトルの初防衛戦でアマ時代に敗北しているジェームズ・ディケンズを迎え、1-2ポイント差の2-0判定で惜敗、2敗目を喫しています。
だからこそ、あまり期待はされていなかったのではないでしょうか。
しかしウッドはこのディケンズ戦からの復帰戦で当時無敗のプロスペクト、リース・マウルド(イギリス)を9RTKO、BBBofCフェザー級タイトルを獲得するとともに、当時のWBA王者、シュ・ツァン(中国)挑戦を勝ち取ったのです。
このツァンは猛烈な手数を持つファイターで、KO率は低いですが嵐のような連打で相手にボクシングをさせない非常に嫌なファイター。ボクサー型、テクニシャンタイプであるウッドとの相性は(ウッドから見て)最悪だと思っていました。
当然オッズもツァンの圧倒的優位、ながらもウッドはここを非常に丁寧に戦い、ツァンに合わせて下がりながらのボクシングを敢行、この日、ツァンも調子が良くなかったのか、それともウッドの距離感がそれをさせたのか、手数は決して多くありませんでした。最終回、ウッドはハートを見せてのTKO勝利を持って世界初戴冠を果たしました。
世界下位ランカーから一気にステップアップしたウッドでしたが、どうしても世間の評価はチーズ王者。ここで真打登場、とばかりに出てきた初防衛戦の相手は、マイケル・コンラン(アイルランド)です。
ウッドの地元であるノッティンガムで開催されたこの一戦は、イギリスを拠点とするボクサー同士の大注目の試合。しかもイングランドvsアイルランドというお国柄的に非常に盛り上がる戦いです。
当然、オッズは挑戦者コンランが優位の中、ウッドは王者としてのプライドを見せます。
↓観戦記
確かいくつかの媒体ではファイト・オブ・ザ・イヤーにもなったのではないでしょうか。
素晴らしいシーソーゲームの決着は、またも最終12ラウンド。
ダウン応酬の死闘は、イングランドはノッティンガム出身、リー・ウッドの手が上がりました。
2度目の防衛戦は今年の2月、かつてジョシュ・ウォーリントンを倒したダークホース、マウリシオ・ララ(メキシコ)。ウォーリントンをノックアウトしてからさらに自信をつけたララは最強の挑戦者であり、ツァン戦、コンラン戦につづき、またも不利予想が囁かれるウッド。
かなりハードな防衛ロードのウッドでしたが、この試合も予想に反して完全なウッドペースで試合が進みます。
このままララをボックスしていくか、と思われた7R、ララの渾身の左フックがヒット、リングに横たわったウッドは立ち上がるもダメージを鑑みたウッド陣営は棄権の申し出、ウッドはタイトルを失ってしまいました。
この劇的な大逆転KO負けにもめげず、再起したリー・ウッドはダイレクトリマッチへと進みます。一発被弾すれば試合が終わってしまう、というほどのララの強打を浴びて、それでも諦めることなくタイトル奪還を目指すウッドの心意気は素晴らしい。ダイレクトリマッチの可否は置いといて。
この再戦では、ララが計量失敗(というか計量4日前の段階で規定の体重に達していなかった)により王座が剥奪、ウッドが勝利した場合のみ王者になる、という変則タイトルマッチ。この再戦では、ウッドは完璧なボクシングを披露、本来初戦で掴むはずだった勝利を挙げています。
頭から突っ込んでくるララのバッティングを受けながらも、集中力をしっかりとキープしたリー・ウッドのボクシングは、普段の勤勉さが垣間見れるようです。さらに倒れても負けても這い上がってくるその様は、サムライのハートを感じています。
どの試合も面白い、というエキサイティングさや派手さ、目をひくような才能、パフォーマンスを持たないウッドですが、私はこのボクサーにめちゃくちゃ惹かれています。
なのでこの英国ライバル対決には絶対に負けないでほしい。そして、ここまでウッドの紹介が長くなり過ぎてしまった。。。
挑戦者は戦士、ウォーリントン
対して挑戦者は元IBF世界フェザー級王者、ジョシュ・ウォーリントン。
こちらのボクサーもイングランドであり、熱狂的なファンを抱えています。出身地リーズの名を冠し、ついたニックネームは「リーズ・ウォリアー」。ちなみに会場のシェフィールドは、リーズと同じくヨークシャー州です。
ウォーリントンはウッドよりも若干早い2009年にプロデビュー、この頃のことは知りませんが、この頃から旺盛な手数と尽きないスタミナを武器に勝ち上がってきたのでしょう。
キャリア初期の頃からほとんどが判定決着であり、KO勝利を挙げたのはプロデビューから16戦目のこと。この試合はコモンウェルスフェザー級王座決定戦で、最終回12RのTKO勝利。
ウォーリントンはこの初のKO勝ちの前にBBBofCイングランドのタイトルを獲得しており、この後にもBBBofCイギリスタイトル、EBUヨーロピアンタイトル、WBCインターナショナルを獲得してステップアップ、ウッドと同じく一段ずつ階段を登ってきたタイプのボクサーです。
「ある程度のパンチがなければ世界は取れない」と良く言われますが、KO率25%というウォーリントン。パワーレスなのは仕方ないとして、カウンターのタイミングも持っているとは言い難い。それでも勝ち続けているのは、それを補ってあまりある旺盛な手数と無尽蔵のスタミナ、そして強いハート。
2016年には天笠尚をイングランド、地元リーズで迎えて日本でも知られたウォーリントンは、2017年にキコ・マルティネス(スペイン)を撃退、2018年に当時のIBF世界フェザー級王者、リー・セルビー(イギリス)を破って世界初戴冠。
ここからの防衛ロードはかなり過激で、カール・フランプトン(イギリス)、当時無敗のキッド・ガラハッド(イギリス)と国内のライバルたちからタイトルを守っていきます。
どれも激闘であり、辛勝とは言えるウォーリントンでしたが、この心意気は素晴らしく、当時は大好きな王者の一人でした。
3度目の防衛戦をフランス人挑戦者から世界戦初のKO勝利で防衛すると、当時のWBA王者シュ・ツァン(中国)への挑戦のためにIBF王座を返上。確かこの当時、WBAはスーパー王者とレギュラー王者がおり、他団体王者と統一戦ができるのはスーパー王者のみ、となっていました。なので、ツァンにはIBF王者との統一戦の資格はなく、ウォーリントンがツァンといくら統一戦をやりたい、と騒いでも、規定としては不可能な状況だったわけです。
ウォーリントンがなぜ、そんなにツァンとやりたかったのかはわかりません。互いにKO率が低く、非常にアグレッシブで、手数が多い、そんな共通点があったため、そのカテゴリーで最強決定戦をしようと思っていたのでしょうか。
正直、ツァンが非常に評価の高い王者だったわけではなく、ここが非常に微妙なのですが、一説では大苦戦を強いられたキッド・ガラハッドとの再戦を避けたため、とも言われています。
ちなみにこのガラハッドはウォーリントンが返上した王座をめぐり、ジェームズ・ディケンズとの王座決定戦を制して見事に戴冠、しかし初防衛戦でキコ・マルティネスに王座を明け渡しています。
ウォーリントンの話に戻すと、ウォーリントンは試合間隔が空いてしまうのを嫌ってなのか、当時無名のマウリシオ・ララ(メキシコ)とのノンタイトル戦に臨みます。確かララは当時から世界ランクに入っていたように記憶しています。この辺りのセレクトは謎ですが、ここで大波乱。
初回からフルスイングのララに対し、ウォーリントンはやや後手に回る展開。そして4Rにはダウンを奪われ、細かな手数で盛り返すも、9Rにまたも痛烈なダウンを奪われてのTKO負け。世界タイトルマッチとして開催されてもおかしくない戦いでしたが、オッズは当然ウォーリントン優位の状況で、ララは大金星を上げる結果となりました。
この痛烈な敗戦の汚名を返上するべく、ウォーリントンはダイレクトリマッチに臨むも、2R、アクシデンタルヘッドバットによりテクニカルドロー。
冬の時代を過ごしたウォーリントンは、前述の通りガラハッドに勝って王座についたキコ・マルティネスに挑戦、これを7RTKOで降して王座返り咲き、となりました。
それまで結果を残してきたから当然、と言えるのかもしれませんが、初黒星からドロー、という中で世界挑戦できたというのは王者がキコ・マルティネスだったから、でしょう。
スペインも含めて、ボクシングが盛んとは言えない地域のボクサーたちは「いつでも、どこでも、誰とでも」「戦わなければ」いけません。これを能動的にやるのはボクサーとして、王者として素晴らしいことですが、受動的にやることには違和感を覚えますね。
ともあれ、周囲の力もあって人気者のウォーリントンは王座復帰を果たしましたが、初防衛戦でまたも試練。ウォーリントンのアキレス腱は、やはりフルスイング系のメキシカンです。
近接戦闘のスペシャリスト、と言えるウォーリントンですが、フルスイング系のパンチャーに押されてしまうと分が悪くなる傾向にあります。初防衛戦のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)戦は、非常に微妙なラウンドが多く、五分五分の内容ではありましたが、おそらく見栄えの差で若干ロペスに傾き、0-2の判定でロペスの勝利。この戦いは、ウォーリントンの地元リーズで行われたから、正直ウォーリントン勝利かと思いました。
しかしジャッジは公平で、タイトルを失ってしまったウォーリントン。
この敗戦からの復帰戦でタイトル戦、というのは、ウォーリントンの人気と、歳の近いライバルであるリー・ウッドとの対戦は今、このタイミングしかないというところで決定したものでしょう。
オッズと配信情報
前戦、マウリシオ・ララにしっかりと雪辱を果たしているリー・ウッドと、結局ララから勝利を挙げられず、前戦でルイス・アルベルト・ロペスに惜敗しているジョシュ・ウォーリントン。
こう考えると、オッズがウッド優位に傾くことは容易に想像できます。
オッズチェッカーによると、ウッドが-200程度、ウォーリントンが+200程度とオッズはウッドに傾いています。
ボクシングの幅としても、ウォーリントンは「リーズ・ウォリアー」の名前の通り前に出て旺盛な連打を見舞う戦い方しか持たず、ウッドとしては離れてもボクシングができるし、シュ・ツァン戦やマイケル・コンラン戦のように前に出ての戦いも可能です。
ウォーリントンのしつこさに、ウッドが悲鳴を上げる場面はあまり想像できないことです。
ただ、ウォーリントンとしてもここはラストチャンスに近く、同じイングランド人同士のライバル対決とあって秘するものはあるはずです。
これはハートとハートの勝負であり、おそらく互いが相手を打ち負かそうとアグレッシブに仕掛けるでしょうから、好勝負が期待できます。
このファイト・オブ・ザ・イヤー候補とも言える試合は、DAZNで生配信。
配信は日本時間10/8(日)AMに行われる予定で、おそらくメインは7:00頃でしょう。
これは見逃してはいけない一戦です。
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