信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】美しさと紙一重の儚さと。ジャック・キャトラルvsホルへ・リナレス。

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ずっと応援してきた選手が衰えていく様を見るのは、いつだって悲しいものです。

ことボクサーに関しては、試合間隔が非常に開く場合があり、徐々に、というよりも一気に落ちてしまうことがある。というよりも、一つの試合で一気にそれが顕現する場合がある、とでも言うのでしょうか。

すでに「落ち目」となっても、まだ自分の才能を諦めきれないのか、自分ではその衰えを認識できないのか、はたまたお金のためなのか、「引退」を宣言するタイミングは非常に難しい。

果たして彼らはどんな理由でリングに上がるのでしょう。

ずっと見てきた、ずっと応援してきたファンにとっては、応援しているボクサーほど「もう辞めてほしい」と思うことがあります。逆に「辞めるには早すぎる」と思うことも多々あるから、ファンとは身勝手なものだとも思いますが。

ともあれ、この試合は非常に憂鬱な思い出見るのかもしれません。

今回のブログは、ジャック・キャトラルvsホルへ・リナレス、敵地イギリスに乗り込むベネズエラのサムライについて。

 

 

 

10/21(土)イギリス・リバプール

ジャック・キャトラル(イギリス)27勝(13KO)1敗

vs

ホルへ・リナレス(ベネズエラ)47勝(29KO)8敗

ジャック・キャトラル、カテラル?カットラル?

正直、上手く、良いボクサーだとは思うのですが、個人的にはあまり魅力を感じないボクサーです。

私は「イギリス」という伝統があり、やや陰気臭く、いつまでも世界の中心であるかのように振る舞っているプライドの高い国民性を非常に愛しており、若い頃は自らを「モッズ」と称していたほどの人間です。MINIクーパーに乗っていた時は、天井にユニオンジャックを掲げていたほどのキチガイですし、好きな映画を問われれば「さらば青春の光」と「トレインスポッティング」、好きな音楽はビートルズとかストーンズ、ザ・フー、プライマルスクリームやらオアシスやらリバティーンズやらと基本的には英国発祥のロックンロール。

まあ、そんなジェントルマンの私はイギリスのボクシングも当然愛しているのですが、このキャトラルというボクサーはどうにも好きになれません。

 

 

 

「技巧派」と呼んで良いのかわからないこのサウスポーは、距離をコントロールすることが得意なのでしょう。

その名を売ったのは2018年10月、オハラ・デービス(イギリス)に勝利した時かもしれません。ただ、その名を世界に轟かせたのは2022年2月、当時はまだ世界スーパーライト級4団体統一王者だったジョシュ・テイラー(イギリス)に挑戦した時です。

前戦でホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)を僅差の判定で破り、見事Undisputed「議論の余地なき」王者に輝いたジョシュ・テイラー。当然オッズはテイラー圧倒的優位だったわけですが、この試合は調子の悪いテイラーとアップセットを狙う気合の入ったキャトラルの戦いとなり、結果は2-1のスプリット判定でテイラーが4団体統一王座を初防衛。

しかしキャトラルがダウンを奪っていることもあり、判定は大いに物議を醸しました。

リマッチの話は幾度も出たとは思いますが、結局のところこの第二戦は実現せず、テイラーはその1年4ヶ月後にテオフィモ・ロペス(アメリカ)にタイトルを奪われ、キャトラルはテイラー戦での初黒星から1年2ヶ月後に再起戦で判定勝利を飾っています。

 

 

 

とにかくこの試合は酷い試合であり、それまでホセ・ラミレス、レジス・プログレイス(アメリカ)、イバン・バランチェク(ベラルーシ)、ライアン・マーティン(アメリカ)といったボクサー(これらのボクサーは当時無敗でした)相手に素晴らしいパフォーマンスを発揮し続けてきたテイラーの評価は一気に地に落ちました。

キャトラルは距離を潰すという作戦勝ちみたいな内容でしたが、全くもってクリーンではなく(それも技術と言われればそうなのですが)、とにかく揉み合いの多い試合で4団体統一戦とは思えないような内容。

その時のイメージそのままなので、もちろん再起戦を見る気力はありませんでした。

そんなキャトラルの相手が、我らがホルへ・リナレスとなったようです。

 

 

 

ニーニョ・デ・オーロ

ホルへ・リナレスの全盛期というのは結局いつだったのか。

2007年にオスカー・ラリオス(メキシコ/超懐かしい)を10R TKOで破り世界初体感、その後の防衛戦で3連続KO勝利を決めた時(グラスジョーが顕現する前)、と言われればそうかもしれないし、ハビエル・プリエト(メキシコ)を4RKOで降し、空位のWBC世界ライト級王座を獲得、その後のアンソニー・クローラ(イギリス)との(当時は普通の王座扱いだったWBCダイアモンド王座)統一戦からルーク・キャンベル(イギリス)、メルシト・ゲスタ(フィリピン)らの強豪を打ちまかし、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)からキャリア唯一となるダウンを奪った時と言われればそうかもしれません。

 

 

 

天才的なハンドスピードととてつもなく美しいボクシングを持つリナレスは、顎さえ人並みに強ければもっともっと偉大な王者になっていたであろうボクサーです。

「ゴールデンボーイ」というニックネームそのままに、非常に華のあるボクサーでしたし、スピード、パワー、インテリジェンスに優れ、一見完璧なボクサーに見えてのグラスジョー、というのはまた儚さを伴い、魅力に溢れています。

ロマチェンコからダウンを奪いつつも敗北した試合は結局のところリナレスらしかったですが、あそこでキャリアを終えていても良かったのかもしれない、と最近は思います。

ロマチェンコ戦後、再起したリナレスはスーパーライト級で戦います。

スーパーライト級初戦こそ3RKOで勝利を飾りますが、2戦目では何者でもないパブロ・セサール・カノ(メキシコ)にまさかの初回TKO負け。そこからの再起戦は2連勝で当時WBCのみの王者だったデビン・ヘイニーに挑戦します。

 

 

 

このヘイニー戦はヘイニーが遠すぎたのかあまり攻め入ることはできず、前半あっという間にポイントをかっ攫われてしまいましたね。終盤、ヘイニーを効かせ、大逆転KOまであと一歩に迫りますが、奇跡は実現せず。現在のところヘイニーが最も危うかったのはこのリナレス戦であり、ヘイニーはこの試合で自身の顎の弱さを世間に知らしめましたね。

もう十分な実績を残したリナレスでしたが、ロシアのRCCプロモーション(でしたっけ?)の熱烈ラブコールに応える形で再起、ロシアでザウル・アブドゥラエフ(ロシア)戦を行い再起。

この試合は、優勢に試合を進めながらも最終12R残り30秒ほどのところで大逆転TKO負け、はっきりいってこの頃にはスタミナもままならなかったように見えました。

そして昨年12月には同じくロシアで戦い、またも判定負け。そこからのもう何度目かの再起戦です。

現在、驚くべきことにリナレスは3連敗中であり、リナレスの大ファンだったというプロモーターも離れてしまったのでしょう。BoxRecによると、現在のマネージャーはメキシコ人のようです。

リナレスをマネジメントするのはホセ・マヌエル・デ・ラ・クルスというメキシコ人で、他に抱えている選手はフェルナンド・バルガスJr(アメリカ)、アマド・バルガス(アメリカ)、エミリアーノ・バルガス(アメリカ)。つまりはフェルナンド・バルガスの息子たち。

なんとも不思議な組み合わせですね。

 

 

 

リナレスの4連敗なんて見たくもありませんし、本来であればキャトラルのあのごちゃごちゃボクシングにリナレスの美しいボクシングが負けるなんて本来は想像できるものでもありません。

それでもオッズはキャトラルが-1000、リナレスが+600と大差がついている状況です。

これこそがボクシングの切なさの最たるものです。

これはリナレスファンにとって非常に苦しい戦い。それでも、流石にそろそろ終わりを迎えるであろうリナレスの勇姿を、少しでも多くその目に焼き付けておくならば、覚悟を持ってこの試合を見よう、と思うのです。

ホルへ・リナレスというボクサーは、そのボクシングの美しさと共に触れれば壊れてしまうような儚さを併せ持ったボクサー。だからこそ、その美しさは際立つ、そんなボクサーです。

願わくば、この試合をリナレスが勝ち、グローブを吊るしてくれることを祈るのみです。

 

 

 

アンダーカードと配信情報

暗く、辛い記事になってしまいました。もちろんボクシングはやってみないと分かりませんので、最後の最後までリナレスの勝利を期待し、応援していこうと思います。勝っても負けてももう引退してくれるのが一番良いのですが。

気を取り直して。

アンダーカードには、日本のリングにも登場したピーター・マクレール(イギリス)が登場です。しかも相手は17勝(7KO)無敗というコロンビア人、これは要注目ですね。

他にもあのリッキー・ファットン、もとい8トン、もといハットンの息子、キャンベル・ハットンも登場。キャンベル・ハットン、いつの間にか13戦もしていて、13勝5KOとKO率は高くないですが、ちょっと久々に見てみようかと思います。

放送はDAZN、放映日時は日本時間で10/22(日)AM3:00から。おそらくメインは7:00前後かな、と思います。

ここはもちろんofもちろん、がんばれリナレス、でいきましょう!!

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