ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)、ニカラグアで行われる予定だったWBO世界ライトフライ級タイトルマッチを欠場。
このニュースは興行の行われるほんの2日前のニュースでした。
代わりにセミファイナルのサンティアゴvsビバスがWBO世界ライトフライ級暫定王座決定戦に繰り上がり、これははっきり言って謎。暫定王座決定戦とするならば、代役挑戦者とはいえヘラルド・サパタ(ニカラグア)を混ぜてあげた方が良いのではないかと思います。
ともあれ、WBOから承認されたのはタイトルショットに出場するつもりのなかった二人であり、これもまた日本のボクシングファンには大迷惑なこと。
ゴンサレスはこの試合に問題なく勝利した後、おそらく来年早々には来日して寺地拳四朗(BMB)との3団体王座統一戦を戦ってくれるはずでした。結果的には、その開催はかなり厳しくなった、とも言えます。
ぶっちゃけWBOも統一戦を開催したいと思うので、ここで変に暫定王座を作る必要はなかったように思いますが、実際ゴンサレスの病欠が2度目となり、WBO世界ライトフライ級のタイトル戦は1年近く行われていない、ということも原因としてはあるのでしょう。
まあ、兎にも角にもこのニカラグア興行はESPNで配信されたので、視聴。
10/27(日本時間10/28)ニカラグア・マナグア
WBO世界ライトフライ級暫定王座決定戦
ケビン・ビバス(ニカラグア)7勝(2KO)無敗
vs
レネ・サンティアゴ(プエルトリコ)11勝(8KO)3敗
メイン開始前、レネ・アルバラードとフェリックス・アルバラード、そしてローマン・ゴンサレスといった地元ニカラグアの英雄、そして招待されていたウンベルト「チキータ」ゴンサレスといった元王者たちがリングに上げられて紹介されています。
みんなで肩を組んで記念撮影、この中で最も歓声を集めていたのはRSCのTシャツをしっかりと着用した(モハメド・アリ風のやつ)ローマン・ゴンサレスであり、リング上でもこのチョコラティートとチキータへの敬意を隠さない面々は、二人を中心に記念撮影しています。リスペクトがあって素晴らしい光景。日本でこういうことをやると非常にテンポが悪く、途中でシーンとなることが多いのはなんででしょうか。
さて、メインイベント。
青コーナーのレネ・サンティアゴが先に入場。
地元ニカラグアのケビン・ビバスは、無敗ながらも4回戦を4戦、6回戦を2戦、そして8回戦を1度のみ戦ったボクサーで、その対戦相手のほとんどは負け越しのボクサーと世界タイトル戦を戦うには明らかに実績不足のボクサー。
「ニカラグアの元トップアマ」と紹介されているように聞こえますが、BoxRecにその表記はないのでわかりません。なお、このビバスの入場時に、アレクシス・アルゲリョのKO集が流れているのですが、これは素晴らしい。しかも結構長い。
初回、ビバスがプレス。サンティアゴはサークルしながらのカウンター対応です。サンティアゴはかなりフィジカルがしっかりしており、さほど大きく動くことはなく、比較的前目でビバスのプレスを捌いてカウンター、下がる割にはロープを背負わない戦い。
2R、サンティアゴはジャブのタイミングが良く、ビバスが入ろうというところに当て、そこからコンビネーションに繋げることも。懸命に攻めるビバスですが、結構カウンターから繋げられ、近い距離でも容易にサイドに回られてしまっていますね。
3R、明らかにプレスを強めたビバス。しかしサンティアゴは上手く、距離をコントロールしながら内外横縦、様々なカウンターを繰り出しています。ちなみにレフェリーはトニー・ウィークス、二人に比べてでかい。
4R、相変わらずサンティアゴのカウンターが冴え渡ります。このカウンターが単発で終わらず、その後に2発3発とフォローできることは素晴らしい。ミスブローを繰り出してもバランスが良いので、そのままサイドにも回れています。
一瞬の膠着状態で出すジャブ、ビバスの左に合わせる右クロス、なす術なしのビバス。
5Rに入るとサンティアゴは比較的大きく足を使いつつ、単発カウンター。タイミングの良いジャブを持ち、反応と上体の動きもよく、抱きつくタイミングも上手い。非常にテクニカルなボクサーで、このKO率だから見た目以上にパンチ力はあるのでしょう。
6R、歩いて距離を詰めたビバス、サンティアゴをロープに詰めて連打。しかしこれを易々と脱したサンティアゴ、その後も幾度もジャブをヒットしています。ビバスも時折強いヒットを生みますが、これに対してサンティアゴが顔色を変えず、バランスも崩さないがためにアピールとしては弱いような気がします。
7R、後がないビバスはとにかく強いパンチを振るって前進。ただ、ちょっと芸がありません。近い距離に持ち込めれば勝機があるか、というとそうでもなく、近い距離でもサンティアゴに連続して当てることはできず、その状態の動きにミスブローを繰り返し、接近戦でも打ち返されてしまっています。さて、ビバスの勝機とはどこにあるのか。このビバスの手数にポイントを割り振るジャッジに期待?
8R、このラウンドもほぼ展開は変わらず。と思っていたら残り1分ほどのところでビバスの右がヒット、これでサンティアゴは後退。ちょっと足が止まったかに見えたサンティアゴですが、その後はしっかりと打ち返し、クリンチし、打撃戦をリング中央で終えています。
9R、ビバスはハートもあって良いボクサーですが、足りないのはやはりキャリアか。サンティアゴはおそらく苦しい試合を乗り越えてきたボクサーだと思われ、力の抜き方を知っています。腰よりも頭を低くするダック、からのクリンチやサイドステップと自分が休みたい時に休み、攻めてはカウンターと多角的なパンチ。
10R、ビバスはなりふり構わず前進、連打。サンティアゴが受けてたってくれる場面もありますが、ここでリバスが大きく優位に立てるか、というとそうではありません。それでも攻めなければ勝てないリバす、プレッシャー、プレッシャーでのコンビネーション。
11R、リバスの攻撃に対して、サンティアゴはボディを連打してリターン。中間距離ではカウンターのサンティアゴは、かなり余裕のボクシングです。ここでふと、ニカラグアの採点は大丈夫か、と不安にもなります。
ラストラウンド、ほぼノーガードのサンティアゴ、ビバスのステップインには横着クリンチ。しかし1分過ぎ、リバスがステップインのタイミングでボディジャブ、これでなんとリバスはダウン。そしてそのまま試合はストップされました。
この試合を通じてこのボディジャブカウンターはよく出していましたし、よくヒットしていましたが、スローで見るとちょうどリバスが右オーバーを出そうとしたところ(体を捻ったところ)にジャブが当たっており、これがおそらく完璧にレバーにヒットしたのでしょう。判定でも完勝でしたでしょうし、特にサンティアゴに倒してしまおうという気概も感じませんでしたが、レネ・サンティアゴ、見事な最終回KO勝利。
統一路線のLF級に暫定王者が誕生!
まる1年、タイトル戦が行われなかった、という事実を考えると、暫定王座の設置はやむなし、と思えます。しかし、統一戦の機運が高まっている今において、その阻害要因を創造するというのはいただけない処置でもあります。
元々ジョナサン・ゴンサレスへの挑戦者はレイマン・ベナビデス(ニカラグア)でしたが、ヘラルド・サパタ(ニカラグア)に変更。このサパタはその時に世界ランク下位(現在14位)にランクインし、ほぼ同時に今回サンティアゴと戦ったケビン・ビバス(15位)もランクインしています。
世界戦のチャンスをもらうとするならば、ベナビデスかサパタが優先的でも良かったような。
レネ・サンティアゴはWBOランク4位という上位ランクに位置付けられており、王座決定戦への出場資格はあると思うのですが、果たして相手が15位で良いのか?
普通に考えれば、正規王者ゴンサレスと暫定王者サンティアゴによる団体内王座統一戦がオーダーされるわけですが、そうなると拳四朗との王座統一戦というのはまた遠のいてしまいます。
WBA・WBC世界ライトフライ級王者、寺地拳四朗(BMB)は、過去、「IBF、WBO王者との統一戦が難航するようならフライ級も視野」と何度も語っています。
拳四朗の次戦は年明けの早い段階、というのが濃厚でしょうが、通常の流れ(WBOが団体内王座統一戦を指令)となるとここでのジョナサン・ゴンサレス戦は難しい。
ゴンサレスとの試合は一度は決まっていたものですから、交渉再開すればすぐにでも決まるものと思っていましたが、ボクシングというものはなかなか上手くいきません。
今後、寺地拳四朗、そしてそれをプロモートする帝拳プロモーションは、どのように進んでいくのでしょうか。一つはWBOと交渉をし、団体内統一戦の期限を伸ばしてもらうか、もう一つの選択肢はIBF王者、シベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)との交渉をスタートさせるか、です。
ここまできたら拳四朗には是非ライトフライ級の4団体統一を成し遂げてほしい、という思いが強いファンも多いでしょうが、かといって減量が限界ならこれ以上待たず上げてほしいとも思います。ここは本田会長の腕次第、是非とも変わらず次戦でのゴンサレス戦を望みます。
4団体最後のベルトは、まだまだ謎多き強豪、ノンシンガの方が盛り上がるでしょうから。
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