タイソン・フューリーvsフランシス・ガヌーという戦いが、話題の一つとなっていたようです。
アメリカではESPNのPPVだったのですが、日本ではDAZNのPPVだったそうで。興味がなさすぎて、見れるの知らなかった。。。
ともあれ、試合はフューリーがダウンするなど波乱の展開だったらしく、フューリーは辛くもスプリットの判定をものにしたようです。
。。。スプリットてwボクシングファンとしてはなんだか恥ずかしいですね。ガヌーというMMAファイターが強かったみたいですが。
「マイク・タイソン」の名をルーツに持つがためなのか、精神的に不安定な部分のあるフューリーは、まあこういうこともあるんですね。あとはこのリヤド・シーズンのうちに3団体統一王者、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)とぶつかることがほぼ確定的なので、そこだけは外さずにやってほしいところです。
↓フューリーvsウシクは正式発表されている(はず)
ガヌーとの再戦とか再々戦とかはそのあと勝手にやってください。。。
とまあ、そんなエンタメファイトは置いといて、本日は大激戦区、スーパーフェザー級のタイトルマッチonDAZNの観戦記。
10/28(日本時間10/29)メキシコ・カンクン
WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
オシャーキー・フォスター(アメリカ)20勝(11KO)2敗
vs
エドゥアルド・エルナンデス(メキシコ)34勝(31KO)1敗
さて、アメリカ人ボクサーがわざわざメキシコの地まで出向いて防衛戦。これは少し不思議なことでもありますね。テキサス出身のフォスター、そのボクシングから(やはりというか)あんまり人気はないのかも。
エルナンデスはメキシコ出身ですが、メキシコシティの出自。カンクンはリゾート地として有名な場所であり、異なる文化を有していそうなところなので、エルナンデスにとっても完全な「ホーム」とは言えない場所のような気がします。
フォスターよりも、素晴らしいKO率を誇るエルナンデスに勝利してもらった方がエキサイティングな階級になりそうですが、エドゥアルド「ロッキー」エルナンデスはまだ強豪との対戦経験は無しに等しい。さて、どうなる。
初回から思いっきり足を使うフォスター。ロッキーは強いプレス、これは想像通りすぎる展開です。闘志みなぎるロッキーの連続的な手数に、フォスターはジャブ以外の攻撃はほとんど出ず、やや押され気味。ただ、ロッキーのこの初回からのチャージが最後まで続くとは思えません。
2R、フォスターが「動きながらのジャブ」ではなく「腰を入れたジャブ」を使い始めます。こうなるとロッキーもインサイドに入るタイミングを窺わざるを得ません。ただ、このフォスターの左を外してステップインすることもしばしば、これはちょっともしかするかもしれません。
3R、フォスターのジャブは長く、キレがありますが、ロッキーは止まらず。思い切り体に当てる右ボディはクリーンヒットとならずとも非常にインパクトがありますね。
4Rも同様にロッキーはガンガン行きますが、このラウンド序盤はフォスターのカウンターもヒット。それでも止まらないロッキー、丹念にボディを叩き、顔面への右ボラードも使い始めます。フォスターのジャブもよく当たっていますが、ポイント的にはどうなんでしょうか。
5R、ロッキーが攻めてきた時にカウンター、そこからようやくコンビネーションを使い始めたフォスター。フィジカルには差があり、どうしても押されてしまう分見栄えは悪いか。
しつこいしつこいロッキーは、頭を低くして突進、下を向いた状態でフォスターをロープに詰めて左右フックを乱打、相手を見ていない分ヒット率は悪いですが、アピールとしては良いでしょう。
6R、ガードを固めて前進、相手に寄りかかるようにした状態からパンチを繰り出すロッキー、相手がサウスポーやクラウチングスタイルのボクサーなら確実にバッティングが起こっていることでしょう。ただ後傾のフォスターにはそれは起こらず、こう考えると師匠としてはロッキーに分があるのかも知れません。後半、ロッキーは左右フックをまとめてアピール。
7R、とにかくエネルギッシュに、フルスイングで襲いかかるロッキー。後半に入っても思いの外、落ちません。このままいけばヤバいフォスターですが、このラウンドはロッキーが攻めてくるところにカウンターをヒット、リターンで押し返す等、反撃。それでもまだロッキーの手数を持て余している印象です。
8R、ロッキーはちょっと疲れたか、突進力が低下。突進力が低下、というよりも一発で踏み込んで強打を見舞おうとするムーブが強く、言い方によっては横着と言えるものです。ここでフォスターはロッキーが入ってくるタイミングで連打をだすなどして対応、おそらくここからはロッキーは我慢のラウンドとなっていく構造です。
9R、前半のリードを守るためか、今度はロッキーがサークリング、フォスターがプレスという展開に様変わり。180度一気に攻守が変わりますが、ロッキーもフォスターの打ち終わりに力強いリターン。
10R、前ラウンドの戦い方では勝てないと悟ったのか、このラウンドは早々にロッキーがチャージ。ここでは体で押されつつも退かないフォスターは、エネルギッシュな戦いを取り戻したロッキーに対してカウンター。
気持ちが良いくらいアグレッシブなロッキー、声援に後押しされて更にチャージ。後半にはフォスターをロープに詰めますが、明らかに頭からいっている部分はちと危ない。
11R、今度はサウスポースタンスにスイッチしてスタートしたフォスターがプレスをかけてスタート。このラウンド前半、何のパンチが当たったかわかりませんでしたがロッキーが大きく後退!そこから猛然とラッシュをかけるフォスター!
明らかに動きが緩慢になったロッキー、大チャンスのフォスターは細かいパンチを織り交ぜて打っていきますが、やや打ちづかれたところにロッキーのリターン!!これで今度はフォスターが後退、今度はロッキーがチャージ!!
どちらも疲労は困憊、そしてダメージもある中で押し込んでいくのはロッキー!!
これはまだ、どちらに転ぶかわかりません。。。!!
最初にロッキーを後退させたフォスターのパンチは、右フックからの返しの左アッパーだったようです。
ここでドラマが起こるか、ラストラウンド!ポイントを考慮すると行かなければいけないのはフォスター、力強く攻め入ります。
ロッキーはステップワークとブロッキング、更にボディワークを使ってサバイブを試みます。こうなったボクサーを倒すというのはなかなか至難、倒しにきてくれた方がまだチャンスはあります。
しかし中盤、フォスターの左でロッキーは押し倒されるようにダウン。ちょっとダメージが残っているイメージのロッキーに、勢いよく攻め入るフォスター!
ロッキーのリターンは力無く、残り1分のところでフォスターの巻き込むような右!これでロッキーはまたもダウン!
立ち上がったロッキーに詰め寄るフォスター、反撃の気力を感じないロッキーにパンチを打ち込むと、ここでレフェリーがストップ!!!!
オシャーキー・フォスター、劇的なラストラウンドTKO勝利!!!
いやー、とんでもないファイトでしたね。ロッキー・エルナンデスはほんのもう少し生き延びていれば、判定をものにできたのに本当に惜しかった。
フォスターはお見事、でしたが薄氷の勝利というのは事実なので、評価アップにはつながらないかもしれません。
混迷のスーパーフェザー!
WBA王者のエクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)は非常にエキサイティングなファイターで、2022年2月にクリス・コルバート(アメリカ)を破って急浮上。その勢いを駆ってロジャー・グティエレス(ベネズエラ)からタイトルを奪取も、勢い余ってジャーボンタ・デービス(アメリカ)に挑戦してしまって9RTKO負けで初黒星。
そこからすでに9ヶ月のブランクが空いており、この試合で大金を手にし、初黒星を喫したガルシアは、その後のコンディションがよくわかりません。充足してしまう可能性もあるし、一つのKO負けから一気に崩れてしまうボクサーもいるので、次戦は「まだ戦えるのか」を占う、非常に重要な一戦となりそうです。
↓ガルシアの出世試合の観戦記
IBF王者はジョー・コルディナ(イギリス)。「ウェールズの魔法使い」というニックネームはいつの間にかBoxRecから消えていますが、彼のボクシングはなかなか凡庸に見えて奥深く、尾川堅一(帝拳)のお株を奪う右ストレートでノックアウトしたあと、超難敵(絶対勝てないと思っていた)シャフカッツ・ラヒモフからダウンを奪っての「完勝」。ポイント的にはスプリットでしたが、はっきり言ってコルディナの勝利は揺るぎないものでしょう。
↓観戦記
その後の尾川のインタビュー等を見る限り、あのコルディナの右は準備されていたものであり、戦略立案能力の高さ、対戦相手への対応力、悪く言えばずる賢さ、カウンターの見栄え、そう言ったものが相まって対戦相手はその術中にハマってしまうのであれば、「ウェールズの魔法使い」というニックネームはいささかも大言とは思えません。
個人的には非常に応援しているボクサーなので、頑張ってもらいたい。
このコルディナと、フェザー級王座を返上してスーパーフェザー級へ転級するリー・ウッド(イギリス)が対戦する、との話が取り沙汰されていますが、こうなると私はどっちを応援して良いのか非常に悩み、迷う。まるで日本人同士が対戦するかのようです。
まずは11/4(日本時間11/5)、まもなく行われるエドワード・バスケス戦で順当に勝利してほしいですね。
WBO王者は、最も知名度が高く、おそらく階級最強の呼び声が高いエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)。トップボクサーとしては比較的ハイペースで試合をこなすナバレッテは、2023年2月にリアム・ウィルソン(オーストラリア)に勝利してWBO王座を獲得して3階級制覇、そして初防衛戦ではオスカー・バルデス(メキシコ)との同国人対決に快勝。実績的にはもちろん王者の中で飛び抜けています。
ただ一点、ウィルソン戦ではダウンを喫している(&KO負け寸前に陥る)こともあり、またバルデスは結局フェザー上がりのボクサーであること、を考慮すると、本当にスーパーフェザーで良いパフォーマスを発揮できるのか、というと個人的にまだまだ疑わしいところ。
大きな資金石となるのは11月に行われるロブソン・コンセイサン(ブラジル)戦であり、ここに勝利するだけでなく良いパフォーマンスで勝つ、というところが必要だと思います。
↓ナバレッテ大苦戦、ウィルソン戦!
飛び抜けた王者は不在!
ということで、本日の結果を踏まえても飛び抜けた王者は不在と言えるスーパーフェザー級。それぞれにそれぞれの強さを有した個性的な王者ばかりで、誰が誰と、どこで、どのような戦法で戦うのか、というので結果が見えない戦いとなりそうです。
そこに絡んでいくのが元王者、尾川堅一(帝拳)と力石政法(緑)。
この二人の日本人ボクサーが、ここから1〜2年のうちにタイトルショットを迎え、このリストに名を連ねてくれることを願います。
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