エロール・スペンスJr(アメリカ)を完膚なきまでに叩き壊し、世界ウェルター級4団体を統一、「Undisputed」(議論の余地なき)王者となったテレンス・クロフォード(アメリカ)。
この王座統一戦の勝者には、IBF世界ウェルター級暫定王者だったジャロン・エニス(アメリカ)との対戦が義務付けられていましたが、クロフォードは再戦条項もあるためかエニス戦を了承せず、王座は剥奪。
エニスは晴れてIBF世界ウェルター級王者となったようです。
やっぱり世界タイトルというのはこうでなくちゃいかん!と思う一方で、あまりにも厳格にしてしまうと王座統一は遅々として進まない、そんな状況にもなりそうですね。
とっても厳格なIBFを差し置いて、WBAはレギュラー王者にエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)を置きっぱなし。すでにスタニオニスの王座戴冠から1年半以上が経過しているわけですが、クロフォードvsスタニオニスなんてものは1ミリも話が出ていません。
明確にどっちが良い、とかもないのですが、4団体統一を目論むのであれば、IBFは最後にしないといけませんね。
ということで今回のブログは今後のウェルター級戦線について。
エニスは「最高のファイター」を望む
IBFは厳格すぎるほど厳格でした。
ただ、この措置はすでにスペンスvsクロフォードが行われる前からの約束だったようであり、クロフォードとしても当然わかっていたこと、だったようです。
このことは、フューリーvsウシクにも適用される事実であり、フューリーvsウシクの勝者にはフィリップ・フルコビッチとの指名戦がオーダーされる見通しです。フューリーvsウシクにも、当然のことながら再選条項はついてくると思うので、これらダイレクトリマッチとなるのであれば、初戦が4団体統一戦、2戦目は3団体統一タイトルマッチとして行われることになるのでしょう。
さて、翻ってみて、新IBF世界ウェルター級王者、ジャロン・エニスが次に望む相手の話。
エニスは「最高のファイターと戦いたい」と伝え、BoxingNews24に語っています。
キース・サーマン(アメリカ)
エロール・スペンス(アメリカ)
マリオ・バリオス(アメリカ)
エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)
テレンス・クロフォード(アメリカ)
なるほど、これは世界最高のファイターたちです。
ただ、「次戦」と考えるとクロフォード、スペンスの線は薄く、WBA世界ウェルター級レギュラー王者のエイマンタス・スタニオニスもわざわざエニスと戦うか、というとどうなんでしょうか。どちらかというと、現段階ではスタニオニスのタイトルが狙われて然るべき、というようにも思います。
キース・サーマンはもう1年半以上のレイオフ、そうすると残るはマリオ・バリオスこそが本命なのかもしれません。
但し、サーマンにしてもそうですが、バリオスもIBFのランキングには入っていません。次戦、IBFタイトルの防衛戦ということでマリオ・バリオスの名前が挙がるのならば、IBFも所詮は幻覚とは言えないのかもしれませんね。
さて、そうなるとエニスの挑戦者は、当然のことながらIBFの世界ランカー。
まず筆頭は3位のコーディ・クロウリー(カナダ)であり、ジョバニ・サンティリャン(アメリカ)も面白い。ランキングを見るともう結構な勢いでエニスに敗れているボクサーが名を連ねているわけですが、その中で異彩を放っている唯一のアジア人、佐々木尽(八王子中屋)に1度でもチャンスが訪れることを願います。
エニスの最終到達点は?
26歳のジャロン・エニス。このエニスの最終到達点は、テレンス・クロフォードではないでしょう。
クロフォードは36歳、どんな超人であっても現在のパフォーマンスを維持するのはもう難しい年齢に来ています。来年なのか、再来年なのか、それとも5年後なのかはわかりませんが、いつしか「年齢」がPFPキングを瓦解させるでしょう。
そしてすでにビッグマッチのみを求めるようになっているクロフォードからすると、若く、獰猛なエニスはハイリスク・ローリターンの典型であり、戦うメリットのない相手、と言えそうです。
しかしエニスは、ここからのボクサーです。
その道程でクロフォードと激突し、仮に敗れたとしても、その後に伝説を作っていく可能性は残っています。
ウェルター級でマリオ・バリオスを倒しても大した評価は得られません。彼はスーパーライト級でジャーボンタ・デービス(アメリカ)に倒されているという事実があるからです。
キース・サーマンを倒したなら評価を得られるでしょうが、サーマンがエニス戦に進むか、というとそうは思えません。やはりこの階級はスペンス、クロフォードですが、彼らと戦うには時間が必要なのもまた事実。
そうなると、エニスの敵をスーパーウェルター級に探し求めることは自然の流れのように思います。
ジャーメル・チャーロ(アメリカ)、ティム・チュー(オーストラリア)といったタイトルホルダーだけでなく、セバスチャン・フンドラ(アメリカ)やブライアン・メンドサ(アメリカ)、エリクソン・ルビン(アメリカ)だって十分に興味深い戦いになるでしょう。
そしてもう一つ上、ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)。
エニスには、限りない可能性が広がっています。
ここからエニスは、どのようにライバルを探し、見つけ、そしてどのように戦うのか。
タイトルホルダーとなり、いよいよ世界の中心に殴り込みをかけるジャロン「ブーツ」エニス。
今後もその動向に注目していきましょう。
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