日本のボクシングファンが恵まれている、と感じるのは、日本のボクサーたちは「???」と思うようなマッチアップが少ないからです。
海外では意味不明なマッチアップが跋扈し、何やらジェイク・ポールvsマイク・タイソンなんてものもあるらしい。ジェイク・ポールって真面目にボクシングやってると思ってましたが、そうでもないのかもしれませんね。
ともあれ、いくつかのマッチアップは楽しみになるようなもので、いくつかのマッチアップは拝金主義に見えるもの。
ということで今回のブログは、今後のマッチアップ諸々について。
カネロのシンコ・デ・マヨ
正式発表と伝えられたカネロ・アルバレス(メキシコ)vsハイメ・ムンギア(メキシコ)。
当初ジャモール・チャーロ(アメリカ)戦が伝えられていたカネロでしたが、どうやらムンギア戦に落ち着いたようですね。これはなかなか不思議な話で、PBCにGBPのムンギアが登場、と相成ります。
かつてカネロの後継者と言われたムンギアは、前戦でジョン・ライダー(イギリス)を9RTKOで屠り、一気にカネロ戦を射止めたというイメージ。その前はあわや敗北、というセルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)戦であったことから、まだまだカネロ戦は遠かったはずですが。
ともあれ、元スーパーウェルター級王者のムンギアは、ミドル級を結果的にすっ飛ばし、スーパーミドル級の4団体王者に挑戦するというシンデレラストーリー。
当然、デビッド・ベナビデス(アメリカ)ほどの期待感はないまでも、今のカネロの相手としては十分に足りる、と個人的には思っています。
巷では、「久々にカネロがKO勝利を挙げられる相手」と呼ばれているようですが、ムンギアはそんなに簡単なボクサーではないように思います。ここ最近のカネロのパフォーマンスも非常に気になるところなので、もしかしたらは起こり得るのではないでしょうか。
ともあれ、イマイチ安定しない(ボクシングで、というよりも素行、メンタル面で)チャーロ兄よりも、ムンギア戦の方が興味深いことだけは確か。ただ、ここでムンギアが勝利すればカネロの跡を継げるか、というとそんなことはないと思うので、ここはカネロに何とか生き残ってもらい、今後もボクシング界を引っ張ってほしいところです。(具体的には長者番付に乗り続けてもらいたい、という意味。)
PFPキングはどこへゆく
PFPキングといえば、現在はテレンス・クロフォード(アメリカ)。昨年エロール・スペンスJr(アメリカ)とのPFPファイトをあのような形で制したクロフォードがPFPキングである、ということに議論の余地はないはずです。
たった一つ、クロフォードの評価を下げるとするならば、やはりその不活動さにあるわけですが、戦う相手がいないというのもなかなか困った話です。
そんなクロフォードに持ち上がったのが、クリス・ユーバンクJr(イギリス)戦。
今夏とも言われるこの戦いは、ミドル級戦です。
現在、クロフォードはIBF王座を剥奪され、WBC、WBO、そしてWBAスーパーの3団体統一王者。
WBCには暫定王者のマリオ・バリオス(アメリカ)がおり、WBAには正規王者のエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)がいます。
これはある種仕方のないことかもしれませんが、スタニオニスの不活動ぶりも気になるところですね。
そして元々IBFには暫定王者としてジャロン・エニス(アメリカ)がおり、この統一戦が実現しなかったことでクロフォードはIBF王座を剥奪され、現在はエニスがIBFの正規王座についています。
この辺のボクサーたちとやる、という選択肢はなかったのでしょうか。
バリオス、スタニオニス、エニスとやるとなればアメリカ圏での開催でしょうが、ユーバンクとやって稼ごうと思えばイギリスに行かなければいけないのではないでしょうか。
これまでクロフォードってアメリカから出たことあったっけ、と調べると2014年に一度だけイギリスで戦っているようですね。
ウェルター級で戦えば良いものを、そこから2階級も上げてミドル級での戦い。
例えばこの戦いに勝ったとしたら、クロフォードはスーパーミドル級でカネロ戦を再度アピールするのでしょうか。
世界最高の称号を得たボクサーは、迷走します。
ここに勝ってまたウェルター級に戻る、なんていう無茶な戦いをするのであれば、クロフォードの終わりももう近いのかもしれません。
ガジョとバム
軽量級のビッグファイトは、ファン・フランシス「ガジョ」エストラーダ(メキシコ)vsジェシー「バム」ロドリゲス(アメリカ)に落ち着きそうだ、という話。
ファンだけでなく対戦相手からも大人気と呼べるエストラーダは、井岡一翔(志成)がずっと一途に目指してきた王者でしたが、ここ最近の噂の通りロドリゲス戦に舵を切っているようです。
あとはエストラーダの返事待ち、みたいなことが囁かれていますね。
フライ級で対抗王者、サニー・エドワーズ(イギリス)を降し、勢いをつけてのエストラーダ挑戦というのは、バムにとって思い描いた道なのでしょう。
すでにスーパーフライ級で実績を持っているバム・ロドリゲスに対して、エストラーダへの挑戦権うんぬんを語るつもりは毛頭ありませんが、井岡はなかなかに気の毒。
比べてはいけませんが、もし井岡のバックが日本アマプラやLeminoだったならば、と思わざるを得ませんね。
ともあれ、上昇の勢いに乗るバム・ロドリゲスと、明らかな下降線を辿るエストラーダ。
これまで培ってきたレガシーはリングの上で意味を持たず、ここはいよいよ世代交代の時かもしれません。
バム戦を選んだエストラーダを攻めることはできませんが、ここをエストラーダの最終章と位置付けるのであれば、やっぱり同世代の最後の対決をしてくれても良かったのに、と思います。
それとも、この戦いが終わるまで井岡は待ってくれると踏んだのかもしれませんが。
この試合の結果と内容如何により、ファン・フランシス・エストラーダの商品価値は大きく動くはずです。その後に待ち受けるのは、何なのか。
エストラーダにとって正念場の戦いとなりそうです。
新王者、マドリモフの指名戦はバージル・オルティス!!
これまた微妙なマッチアップ。
果たしてバージル・オルティスはまだ「バージル・オルティス」なのか。
前戦、約1年半ぶりにリングに復帰したバージル・オルティスJr(アメリカ)ですが、この復帰戦はひどいものでした。オルティスのパフォーマンス云々の前に、対戦相手のフレデリック・ローソン(ガーナ)はそもそもなぜリングに上がったのか、という状態だったそうです。
オルティスも横紋筋融解症という難病を発症、ウェルター級でのウェイトが作れずに2度の欠場、そしてようやく迎えた復帰戦でした。
結局、バージル・オルティスの状態はよくわかりません。
その状態であのイズライル・マドリモフ(ウズベキスタン)に挑むとなると、危険でしかありません。なぜならこの試合は、打ち合い以外の展開がないはずだからです。
互いに万全であれば、非常に興味深いパンチャー同士の戦い。パンチャーである、というだけでなく、互いに極めてアグレッシブであり、アクションが多い。ともすれば、戦う前からFOTY候補と言われてもおかしくはない戦いです。
オルティスは4月下旬にリングに上がるらしい。オルティス陣営にはぜひここでマドリモフ挑戦をどうするか、を判断してほしいものです。
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