かつて「アズマー・ネルソンの再来」と言われたアイザック・ドグボエ。
イギリスはマンチェスター、デンゼル・ベントレイ(イギリス)vsネイサン・ヒーニー(イギリス)のアンダーカードに登場です。
対戦相手はニック・ボール、このボクサーは非常に小柄(157cm)ながらも18戦して全勝をキープしており、非常に気になるボクサーでもありました。
メインにはさほど興味はないながらも、このドグボエvsボールは非常に気になる戦い。
今回はイギリスではスカイスポーツ、アメリカではESPNで放送されたこの戦いの観戦記。
WBC世界フェザー級ファイナルエリミネーター
ニック・ボール(イギリス)18勝(11KO)無敗
vs
アイザック・ドグボエ(イギリス)24勝(15KO)3敗
ニック・ボールは非常に気になるボクサーながらも、個人的にははっきりとドグボエを応援。前戦でロベイシー・ラミレス(キューバ)に敗れるも、その前にはアダム・ロペス(アメリカ)、クリストファー・ディアス(プエルトリコ)、ジョエト・ゴンサレス(アメリカ)を跳ね返しており、間違いなくフェザー級でも世界レベルのボクサーです。
ナバレッテ戦での情けなくも思える敗戦(再戦)からはしっかりと復活し、フェザーに上げてからはパワーのインパクトは弱くなったもののできる限りうまく戦っているようなイメージもあり、応援したいボクサーです。
身長は163cmと小柄ですが、ボールはより小柄。
ここは何とかドグボエの再復活を期待したいところです。
初回、まず前に出るのはボール。ドグボエは慎重な立ち上がりで、ボールの攻撃をガッチリとブロッキング。ハナから近い距離でのボクシング、ここでニック・ボールは旺盛な手数でドグボエを攻め立てていきます。
ドグボエはブロッキングで相手のパワーは計っているのか、リターンの手数はさほど多くありません。このブロッキングでのスタイルは、非常に回転力のあるボールを相手にするとあまり良い戦法とは言えません。ちょっと外したいところですね。
2R、このラウンドからはドグボエもコンビネーションを出し始めます。鋭いステップイン、得意のアッパーを交えて攻撃を敢行しますが、ボールはとにかく手数が多く、これもまた力強い。これをやはりブロッキングで受けてしまうドグボエですが、ボールというボクサーは体のどこかに当たれば次のパンチが出るようなボクサーなので、やっぱり外したい。
後半に入るとドグボエは距離で外し始め、終盤には左フックをヒット。徐々に温まってきたか。
3R、ドグボエはやはり近い距離で戦いたいのか、ボールの攻撃をブロッキング。ただ、ブロックの上からでも何発も打たれるのは見た目も良くないし、バランスも崩されています。ここ最近のドグボエは結構足を使っていたと思いますが、今日、それは見られません。
ドグボエがブロッキングで受けてくれることでかなり調子に乗ってきたニック・ボール。ドグボエも力強いパンチをリターンしますが、手数は圧倒的にボールです。と思った終盤、ボールが攻め込んできたところにドグボエの右カウンター!これでロープにもたれかかったボール、会場にはカウントが流れるもノーダウンだそうです。スローで見るとパンチは当たっていないか。。。いや、微妙か。
4R、開始少々のところでボールが体ごとドグボエを押し倒すような格好。これはパンチを伴っていたことからなのか、ダウン判定となってしまいます。うーん、これは前ラウンドからちょっと地元贔屓なイメージ。
絶好調なニック・ボールは良い距離をキープして力強いコンビネーションを次々に打ち込んでいきます。決して打たれ強いとは言えないドグボエ、ちょっとダメージが溜まってきた感じがします。これは、大丈夫でしょうか。。。
ボールがこのハイペースボクシングにより、後半に落ちてくれれば可能性はありますが、この流れはドグボエにとって圧倒的に不利です。
5R、ドグボエの戦法が上手くない、ということを差し引いても、このニック・ボールは強い。小柄だからこその強靭なフィジカルを有しているボールは、非常にバランスが良く、特にこの試合はガードの上からでも着弾しているため全く崩れず、次々とパンチを繰り出すことができています。
上下の打ち分けもよく、このスムーズな回転力は彼の豊富な練習量を裏打ちするものです。さらに、ドグボエが打ち込んでも必ずリターンを返し、打たれっぱなしになることもない、素晴らしいファイターですね。
6R、ボールの力強い右強打は、確実にドグボエに届きます。ほとんどミスブローがありません。しかし序盤のハイペースからか、若干手数が落ちているように見えるボール。相手を見る時間が少しずつ長くなっているようなイメージです。
ここはしっかりと攻めたいドグボエですが、ドグボエが攻めれば必ずリターンが返ってくる、もしくはボールはプレスをかけるのでこれは煩わしい。
7R、前ラウンドはほんの少しの休憩か、ここは攻撃から始めたボール。ドグボエはちょっと戦い方を変えなければ、このまま行くと勝ち目がありません。
確かにドグボエのパンチも当たってはいますが、手数、それによる見栄え、ダウンも含めて基本的にはここまでほとんどがボールのラウンドのはずです。
このラウンドもフィジカルを前面に押し出してグイグイ攻めゆくボール、中盤にはドグボエも反撃してボールを下がらせますが、すぐに立ち直ったボールはドグボエをロープに詰めて非常に冷静なラッシュを見せています。
8R、ドグボエも前半よりもリズムが良くなっていますね。細かなバックステップも使い出し、上体の動きも出てきています。
ボールは前半ほどの勢いはないですし、リターンもやや控えめになっていますが、やはりその回転力は脅威であり、さらにおそらくポイントで上回っている分、余裕を感じさせます。
このラウンドはドグボエに与えても良いラウンドのように思いますが、果たしてここから巻き返せるか。
9R、だいぶ足を使い始めたドグボエ。しかしあまり空転させられず、中途半端な距離に下がってしまっているため、ボールの連打は止みません。もっと大きく足を使って、ボールは必ず出てくるのだからそこに合わせて欲しい。
そんな願いも虚しく、ボールが連打を始めると逆に止まってしまうドグボエ、後半には強い左フックを返しますが遅きに失したイメージ。
10R、ドグボエは後半勝負のつもりだったのか、ここから一気に巻き返そうと鋭いコンビネーション。しかしニック・ボールの無尽蔵なスタミナはそれを許さず、こちらも力強いリターン。
ボールは時折スイッチしていますが、これはあまり意味をなしているとは言えないですね。スイッチしての左ストレートはこれまでも今回も普通に届いていません。
残り1分ほどのところでボールは飛び込みの左フックをヒット、お返しとばかりにドグボエも左フックをヒット。
互いに力強いパンチを打ち込み続けてはいるものの、バランスを崩さないボールと打っても守ってもバランスを崩すドグボエ、ジャッジの判断としては明らかでしょう。
11R、チャンピオンシップランドに入ってもボールの手数は衰えず。小気味よく出てくる左右は止まることを知らず、ドグボエのニックネーム「ロイヤルストーム」を奪うかのものです。
パンチのアングルも多彩で、近い距離で非常に冷静なパンチセレクト。
ラストラウンド、行くしかないドグボエ。素晴らしいコンビネーションを見せますが、やはりボールは強いリターン。このボールの素晴らしいところは、打ち込まれてもその後必ずリターンを返すか、プレスをかけて後続打を封じる、ということがナチュラルにできていることですね。
ドグボエも最後までよく攻めましたが、ラストラウンドもそのまま終了。
大変アクションが多く、エキサイティングな試合ではありましたが、初回からほぼ変わることのない12Rの打ち合いに終始。ドグボエはもう少し工夫が欲しかった。
判定は、118-109、116-112、119-108、3-0の判定でニック・ボール。
ドグボエは非常に残念な敗戦。。。
これはしばらくチャンスが回ってきそうになく、今後、もしかすると若手相手にアンダードッグ的な立ち位置になってしまうかもしれません。。。
対してニック・ボールはその強さをしっかりと見せつけました。
小柄ながらも力強く、タフネス、スタミナともに問題なし、そして強靭なフィジカルとハート。
ただ、今回はドグボエが迎え打ってくれたので良さを見せられた、ともいえ、果たしてレイ・バルガス(メキシコ)やブランドン・フィゲロア(アメリカ)といった長身のボクサー相手だとどう出るか。いや、フィゲロアとは距離が噛み合うか。
そういやバルガスvsフィゲロアって決まったんでしたっけね?一体どうなっているのか、WBC世界フェザー級戦線。
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