結局、日本版FITE.TVでの配信は無し。
これは非常に残念でしたね。
ただ、アメリカ版FITE.TVではしっかりと配信があったので、私はそちらで視聴。
↓アメリカ版FITEはVPNを使えば見れます。非常に便利です。
ということで今回は、みんな大好きシニカルSNS王者、稀代のアウトボクサーであるサニー・エドワーズに、破格のハードパンチャー、フェリックス・アルバラードが挑むIBF世界フライ級タイトルマッチの観戦記です。
11/11(日本時間11/12)イギリス・シェフィールド
この興行は6回戦のアンダーカードからしっかりと流れています。その中には、無敗ボクサー同士のスーパーウェルター級8回戦があったり、と、なかなか興味を唆られるものもありましたが、今回は時間もないのでセミとメインをディレイ視聴。
ジャック・ベイトソン(イギリス)17勝(4KO)無敗
vs
シャバズ・マスード(イギリス)10勝(3KO)無敗
スーパーバンタム級の無敗世界ランカー対決、WBAインターコンチネンタルタイトルがかかります。
どちらも長身の部類に属するボクサーファイターです。プレビュー記事では「マサウド」と表記していますが、リングコールを聞くと明らかにマスードなので、「マスード」表記にします。
初回、まずはリングの中央、足を置くポジション争いからスタート。鋭く踏み込むのはベイトソンですが、中間距離から閃きのある左ストレートを決めたのはマスード。
後の先を制しようとするマスード、鋭い踏み込みを見せて右ボディストレートを叩き込むのはベイトソン。ともにライバル感丸出しの、非常に緊張感のある良い立ち上がり。これは好試合が期待できそうです。
2R、細かな左手の動きでフェイントをかけつつ、踏み込むタイミングを測るベイトソン。マスードは比較的どっしりと構え、小さなバックステップからのカウンターを多用します。
距離が近くなり交錯する一瞬、コンビネーションが小気味よく出るのはオーソドックススタンスに構えるベイトソン、ただ、中間距離から突然のパンチをヒットできるのはマスードの方です。
3R、中間距離で上手くジャブを当てるのはマスード!中盤には左ストレートもヒット、対してベイトソンの攻撃は芯を捉えません。マスードは身体が柔らかく、ダッキングも良いですね。そして、今日はしっかりとガードをあげています。
4R、先手を取るのはベイトソン、しかしその後のリターンを上手く決めるのがマスード。マスードはこれまでの試合のいくつかを見ると、ガードを低く構え、しっかりと距離をとって、遠い距離で戦うボクサーだと思っていましたが、今日はガッチリとブロッキングも駆使して巧いリターン。ヘッドムーブも堂に入っており、そこからのカウンターも秀逸です。ちょっと接近戦のときに状態が立ちますが、オールラウンダーの部類と言って良さそうです。
対してベイトソンは非常に素早いスピードを持ち、コンビネーションも手数もよく出ますが、ちょっとマスードを攻めあぐねている印象。ただ、カウンターを恐れず自分から攻めれる姿は評価すべきものです。
5R、このラウンドも中間距離でのボクシング、中盤、マスードの左カウンターでベイトソンの動きが一瞬止まったようにみえました。その後もマスードはボディショットをヒット、ジャブとカウンターで本当にうまく戦っています。
6R、ベイトソンがエネルギッシュに攻め立て、マスードをロープに詰めようとする場面もおとずれますが、中盤、やはりマスードの左カウンターがヒット。この試合を通して、印象的にヒットしているこのカウンターは、サウスポーであれば練習すべきプルカウンターですが、これが非常に速い。
7Rもマスードの距離感が絶妙。自分のジャブを当て、ベイトソンの攻撃は小さなバックステップ。軽めながらも良いタイミングでの右フックカウンター。何とかしようとベイトソンはサウスポーにスイッチも、効果があるとは言えません。
8R、ここは接近戦の時間が多い。この距離でも的確性にまさるのはマスードで、後半には右ボディをいくつもヒット、ベイトソンは腰を折れてきたにもみえます。
9R、このラウンドも接近戦スタート。ベイトソンの手数は多いですが、マスードは強固なブロッキングとボディムーブに優れ、被弾を避けます。そして狙いすましたカウンター。単発ではあるものの、マスードのカウンターは多彩ですね。
10R、アグレッシブに攻めるベイトソン、左右のボディから入るパターンは良い感じ。しかし、その後パンチをつなげているところに、矢のように飛んでくるのがマスードのカウンター。これは見栄えの面で非常に良い。
中盤にも右フックカウンターで会場を沸かせたマスード、距離をとったり詰めたりとコントロール、やや待ちの印象ではあるものの、ここまでのラウンドのほとんどを支配しているように見えます。
11R、ベイトソンは後がないことを知ってか、グイグイとプレス。マスードは比較的余裕をもってステップワークで距離をとり、完璧に距離をコントロールしてカウンター。ちょっとベイトソンは厳しい。マスードは完全にベイトソンを見切っているようなので、ここはストップしてしまいたいところです。
ラストラウンド、マスードは明らかに狙っていますが、その虎穴に入らなければ虎子を得られないベイトソンは突進。1分頃、マスードがこの試合何度目かの左カウンターから右フックをフォローするとベイトソンはダウン。
立ち上がったベイトソンに明らかに力を込めてチャージするマスード、ベイトソンは固まってしまい、膝をおって二度目のダウン!
ここからマスードはまたもラッシュをかけ、ベイトソンがコーナーに詰まって打ちまくられたところでようやくレフェリーがストップ!
シャバズ・マスード、最終12RTKO勝利!!!!
エキサイティングな試合にはならなそうだった、このベイトソンvsマスード。
打撃戦の展開ではありませんでしたが、中間距離での白熱の攻防は非常に見応えのあるものでしたし、ほとんどのラウンドで少しずつ上回ったマスードが、結果的に倒してしまうという素晴らしい試合でした。
非常に面白い試合で、これはベイトソン、マスード両名を知らなくても十分に楽しめる試合です。Youtubeに上がれば、是非見てもらいたいものです。
スーパーバンタム級という階級から、もしかしたら日本人ボクサーとの絡みも見られるかもしれないシャバズ・マスード、ジャック・ベイトソン。ともに素晴らしいボクサーなので、覚えておいて損はないかもしれません。
IBF世界フライ級タイトルマッチ
サニー・エドワーズ(イギリス)18勝(4KO)無敗
vs
フェリックス・アルバラード(ニカラグア)38勝(33KO)2敗
初回、グイグイと出ていくのはアルバラード。惜しげもなく右オーバーハンドを振るい、プレスをかけます。エドワーズは落ち着いたもので、早々に右へ左へと動きジャブからストレート、フック。右構えとも左構えともいえない状態からのコンビネーションは、意外と力強さがあります。
アルバラードはこのラウンドではまだ捕まえる事はできませんが、この強いプレスはおそらく後半に活きてくるものでしょう。
2R。初回は両者ともにやや固さもあったか、アルバラードが前ラウンドよりも鋭いプレスをかけ、それをうわまわるステップワークでエドワーズがエスケープ。
アルバラードはガードを固めて頭を振って前進、力強い左右のフックを振るいます。この打ち終わりにエドワーズのカウンター、もしくは、アルバラードが止まった瞬間にエドワーズのコンビネーション。
アルバラードが常に攻めて、エドワーズが交わしながらカウンターを狙う、この構図はきっとこの先も変わらない筈です。
ここまで、エドワーズの的確なカウンターが勝っていると思います。
3R、揉み合いの展開が増えます。アルバラードが攻めた時、エドワーズがクリンチに行って起こるものですが、このクリンチの際に手を出したいアルバラード。
4R、早々にアルバラードの右クロスがヒット、直後、エドワーズもフックをリターン。こういう場面が得っっこうあって、アルバラードのパンチも稀にヒットはするものの、エドワーズは必ずリターン。臆する素振りも見せませんが、このエドワーズはもしかして打たれ強さも有しているのかもしれません。
中盤に近い距離でサイドステップを使ってパンチを打ち込んだエドワーズは、アルバラードの猛攻をかわしてラウンドを終えます。
5Rも同様。エドワーズは躱しながらのカウンターが非常に得意で、そのパンチの見切りたるや本当に素晴らしい。すんでのところで躱しています。
規則的にも見える動きですが、その実は不規則で、左から攻めれば右が当たらない位置にかわされ、右から攻めれば左の追撃が当たらない位置までかわされてしまうので、アルバラードは打つ手なし。仮に1発目が届いたとしても、2発目を当てられる道理がなく、しかもそもそも1発目を当てるのは非常に困難。
6R、変わらず強いプレスをかけるアルバラードですが、さすがに疲労も出てきたか。もしくは温存か、追いかけはするものの手数は減っています。アルバラードのセコンドでしょう、「BODY BODY BODY」と非常にリズミカルな、掛け声にも似た指示がとんでいます。
エドワーズも相手にあわせてややトーンダウン、しかし折に触れてカウンターをとっており、このラウンドもエドワーズでしょう。
7R、勝負をかけてきたアルバラード!指示通りボディから入り、序盤に右オーバーハンドをヒット!その後も力強いパンチで攻め入るアルバラード、中盤、エドワーズはロープ際、ブロッキングからリターンで対抗。
このラウンドのアルバラードは鬼気迫るものを感じます。幾度かのボディブローを着弾させ、後半の左ボディはサニーも苦笑い。これは効果があるかもしれません。
8R、プレスするアルバラード、前半のラウンドと違いボディがよく打てています。前ラウンドに手応えを感じたためでしょう。
エドワーズはよく動き、カウンター。近い距離でも怯まずカウンター、本当に上手いカウンターですが、やはりここはパワーレス、腹を括ったアルバラードを止められるものではありません。
9R、アルバラードはリーチがある分、かなり遠くからでもボディが届きます。顔面には当たらないアルバラードのパンチも、ボディには結構当たってきている印象です。
前半はエドワーズのラウンドですが、7R以降はここまでアルバラードがまくってきている印象。
10Rにはいってもアルバラードの攻撃は非常にパワフルで、ダイナミック。中盤、エドワーズをコーナーに詰めてチャージをする場面がありますが、このパワフルなパンチの全てをブロッキング、スウェーでかわすエドワーズ。
この後エドワーズの細かなパンチの反撃にあうアルバラードですが、退かず、力の限り、渾身のパンチをエドワーズに打ち込んでいきます。
これをガードしているとはいえ、バランスが崩れないサニー・エドワーズは、非常にフィジカルが強く、タフ。このディフェンス能力、カウンタースキルをもって、この戦い方でタフ、というのは結構相手にとって厳しい能力です。
ただ、攻勢で引き続きエドワーズか。
11R、追うアルバラード、躱してカウンターのエドワーズ。初回から変わらない構図です。このラウンドもアルバラードはボディも交えて攻撃していきますが、捕まえられません。エドワーズの巧さが光るラウンド。
ラストラウンド、チャージするアルバラードは、まだ勝負を投げていません。玉砕覚悟で攻めるアルバラードですが、このサニー・エドワーズというボクサーは玉砕すらさせてくれません。
エドワーズは俯瞰でこの競技を見ているかのようなボクシング。残り数秒のところでは右手を挙げて勝利をアピールしたエドワーズ、強打者フェリックス・アルバラードを12ラウンズにわたり躱し続け、試合終了。
判定は、115-113、116-112、115-113でサニー・エドワーズの勝利。
7R以降のフェリックス・アルバラードのチャージは、エドワーズを脅かすものでした。それでも、リングに横たわるエドワーズは想像し難く、唯一の希望としてはボディがよく当たっていたし、それを嫌がる素振りを見せていた、ということ。それでもやはり、数発続けてもらうというようなことはなく、エドワーズ盤石の印象。
やはり全体的に試合を支配していたのはサニー・エドワーズであり、採点的には(イギリスという地であるから)もっと開いていてもおかしくはない内容で、点差以上に開きがあった、という印象です。(ただ、採点結果については妥当だと思います。)
サニー・エドワーズ、巧いですね。ライトフライ級までいける、と言っていたのは本当でしょうか。本当なら、拳四朗との対戦は見てみたい気もします。
フライ級なら、ジェシー・ロドリゲスも来ますし、無名ながらもフライ級最強かもしれないアルテム・ダラキアンもいます。今後、統一戦に進むという選択肢も非常に興味深いものですね。そしてフライ級といえば日本にはユーリ阿久井政悟がいますが、是非その挑戦を受けてもらいたい、とも思いますね。
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