いよいよ、なのか早くもなのか、あっという間に11月の最終週末。
この日は待ちに待った注目興行、PBCのPPV興行です。
どちらも超ビッグネームとは言わないまでも、非常に興味深い戦いであるデビッド・ベナビデスvsデメトリアス・アンドラーデ、この試合の脇を固めるのがまたまた興味深い戦いだらけです。
ということで今回のブログは、11/25(日本時間11/26)に行われたPBC興行、メインイベントとセミファイナルの観戦記。
↓プレビュー記事
↓ガルシアvsローチ、マティアスvsエルガシエフの観戦記はこちら
11/25(日本時間11/26)アメリカ・ラスベガス
ジャモール・チャーロ(アメリカ)32勝(22KO)無敗
vs
ホセ・ベナビデスJr(アメリカ)28勝(19KO)2敗
さてさて、まずはセミファイナルから行きましょう。
この試合は元々WBC世界ミドル級王者チャーロが大きく優位、という試合でしたが、この試合のキャッチウェイトである163lbsというウェイトを作れず、チャーロは違約金を払ってこの試合に臨むようです。
ちなみにミドル級のウェイトは160lbsですから、この試合でチャーロが万が一敗北したとしてもタイトルを失うことはありません。そのために契約ウェイトを163lbsにしたと思うのですが、この体たらく。
やはり「がんばれベナビデス」なんですが、計量時に2.4kg差というのはいささか厳しく、当日はもっと差が開いている可能性もありますね。
というところでゴング。
初回、ちょっと体つきに余裕がありそうなベナビデスがプレス。チャーロが鋭いジャブを突いてサークリング。ここはさすがチャーロのジャブが良い。
様子見も早々に、中盤からコンビネーションを出し始めたチャーロ。後半には上下に打ち分けるコンビネーションでベナビデスにダメージを与えます。ベナビデスのプレスはあまり機能しているとはいえず、やはりウェイト差は大きそう。
2R、今度はベナビデスが細かいコンビネーションで攻め入ります。しかし少し見る展開になると、チャーロのジャブで後退させられる状態です。
アクションが多く、非常に良い試合ですね。しつこいですが、体格差はやはり気になります。
3R、序盤、ベナビデスが右アッパーから入るという変則的なコンビネーション。やはりこのベナビデス、弟同様に独特のリズムを持っています。
心なしかベナビデスのヒット率は上がってきているように思え、チャーロのジャブに対する被弾もブロッキングにより少なくなっているように見えます。
ただ、このチャーロのジャブを一発でももらうと体勢を崩してしまう場面は散見され、これはポイントに響きそうな点ですね。
「頑張れベナビデス」なんですが、想像以上にベナビデスは頑張っています。
4R、ベナビデスの意外な頑張りに対して、チャーロが強打とコンビネーションを放っていきます。こうなるとベナビデスは防戦に入るタイミングが増えますが、ここを耐えて勝負をかけるのはアリかもしれません。
5R、チャーロの鋭いジャブ、ストレートを掻い潜ってインサイドに入ろうとするベナビデス。チャーロの強打に対してリターンを返すベナビデス、手数で押して行く場面も作ります。チャーロをロープに押し込んで連打も、ちょっとパワーが不足か。頑張れベナビデス。
6R、チャーロのパワーパンチにいちいちバランスを崩されるベナビデスですが、それでもプレスは止めず。ベナビデスのハートの強さは賞賛されるべきもので、このでかい相手に立ち向かう姿には本当にポイントを与えたい。
チャーロは非常に力強く、また的確に打っていますが、決定的なダメージを与えることはできていません。
7R、ベナビデスは少し手数が減っているか。まだまだ元気なチャーロは力強いコンビネーション、カウンター。終盤打撃戦、バランスを崩されるのはやはりベナビデスです。
8R、ちょっとダメージを溜めている感じのベナビデス、反応はやや遅れ気味。動きが緩慢になっているイメージですが、チャーロもちょっと疲れが見えますね。ベナビデスはもう一踏ん張りです。
9R、ここでベナビデスが一気に行きます。チャーロは余裕を見せたステップですが、こちらもさほど余力は少ないのではないでしょうか。
ベナビデスも限界は近いでしょうが、ここからはベナビデスのハートに期待、というところ。会場の声援に後押しされたベナビデスはチャーロのジャブをもらいつつもプレス、チャーロはその間隙を縫ってアッパーをヒット。
ラストラウンド、序盤に左フックからの良いコンビネーションを見せるベナビデス。チャーロは鋭いジャブからのコンビネーション、やはり残念ながら巧い。最後までベナビデスが果敢に攻め込んだところで規定の10Rを終了。
判定は、98-92、99-91、100-90、3-0の判定でジャモール・チャーロ。これは残念、ですが終始的確性で上回っていたのはチャーロ。ただ、ホセ・ベナビデスJrはウェイト差を物ともせず勇敢に戦いましたね。
デビッド・ベナビデス(アメリカ)27勝(23KO)無敗
vs
デメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)32勝(19KO)無敗
さて、いよいよメインイベント。まあ長い興行です。
このメインは、ベナビデス弟がアンドラーデのペースに飲み込まれてしまうならば非常につまらない試合になってしまうかもしれません。勝敗は置いておいて、その可能性は50-50です。
「メキシカン・モンスター」デビッド・ベナビデス、完全に目がイッてます。対して飄々としているアンドラーデ。頑張れ、ベナビデス。
ということで注目のメインイベントのゴング。
初回、まず当然のようにプレスをかけるのはベナビデス。アンドラーデはまずゆっくりとしたスタート、ながらも鋭いリターンをかまします。とにかく序盤のアンドラーデは要警戒ですが、ここで易々とポイントを渡すわけにはいきません。
忙しくサイドに動くアンドラーデ、追うベナビデス。想定の範囲内のスタートです。
2R、アンドラーデがベナビデスの攻撃を距離で外し、力強いリターン。クリンチも駆使、速いコンビネーションも出しつつベナビデスに対処しています。ベナビデスはプレスをかけるも、まだアクションが少ない状況です。
3R、プレスのベナビデス、アンドラーデは距離をコントロールして遠い距離、近い距離でリズムを作っていきます。これはやはりという見事なボクシング、ベナビデスはパワーだけでは苦しい展開に陥りそうです。
4R、アンドラーデのローブローアピールにより一旦中断のあと、一気に手数を増やしたアンドラーデ。打ってサイドに動きまた打つ、という一連の流れが素晴らしいですね。
プレスをかけ続けるベナビデス、それに素早く対処しているアンドラーデですが、手数も含めて結構スタミナを使っていそうです。ベナビデスがグイグイくるので、ここはスタミナの使いどきとの判断なのか、かなりのハイペースに思います。
上手く戦っているアンドラーデでしたが、このラウンド終盤、揉み合いの中で押し倒されるような形となって膝をつき、これはダウン判定。パンチは当たっていたのかもしれません。
アンドラーデが立ち上がったところで4R終了のゴング。
スローで見ると右フックが当たっていたようですね。
5R、明らかに足を使うアンドラーデ。攻撃的なステップワークとはいえず、これはエスケープのためのステップワーク。ベナビデスはここを好機としてさらにプレス、歩きながらの攻撃を仕掛けていきます。
中盤、ベナビデスの左フックがヒット、アンドラーデはダメージを被ったか、とにかくエスケープに全振りです!アンドラーデは右をヒットした後左アッパーでアンドラーデを起こす等、流石の攻撃力を示し、アンドラーデを攻め立てます!
アンドラーデも距離を遠くしたり一気に近くしたりと工夫して、ラウンド終了のゴングを聴いています。
6R、とにかくプレスのベナビデス。アンドラーデはジャブを打ってエスケープ、ダメージの回復に努めます。しかし中盤、ベナビデスのアッパーを被弾すると動きが止まり、反撃も力感を感じられません。
それでも後半、アンドラーデはアッパーをヒットして意地を見せています。
ふらふらになりつつもベナビデスの突進を迎えうつアンドラーデですが、容赦無く攻め立てるベナビデスはフック、アッパーをアンドラーデにヒットし、終わりの予感を漂わせるような攻撃。
このラウンドでアンドラーデが棄権、デビッド・ベナビデスが6R終了TKO勝利!!!!
これは素晴らしい勝利、デビッド・ベナビデス!!
マティアスもそうですが、「やることが明確」なボクサーというのは凄みがありますね。
型にハマった時の強さは無類であり、さらにその型にはめるという行為がやりやすい、みたいなところも強さの秘訣なのかもしれません。
アンドラーデを6Rで仕留める、なんてことははっきり言って尋常じゃないパフォーマンスだと思うので、当然のごとくカネロ挑戦の権利といえば誰も疑う余地はないはずです。
あとは、カネロ陣営がOKするかどうかのみ。
カネロはボクシングへの愛を感じるし、非常にストイックな感じもします。唯一、ドーピングの疑惑はいつまでも付きまとうもの。
ベナビデスは過去、体重超過の大罪を犯し、さらにコカインの経験もあり、競技への献身というと疑問は生まれてしまうもの。
これはある種、どちらを応援すべきか迷う戦いでもありますね。
いずれにしろ、2024、カネロvsベナビデスが締結することを願います。
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