信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】ミネアポリスの惨劇、デビッド・モレルvsアイドス・イェルボシヌリ!PBC興行!

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日本時間11/6(日)、アラブ首長国連邦はアブダビではDAZN放映のGBP興行が、そしてアメリカ、ミネアポリスではShowtime放映のPBC興行が行われました。

この両方の興行は、日本で見る術があり、時間が重なっていないことで海外ボクシングのファンは非常に助かったのではないでしょうか。

私は基本的には全てを(情報遮断して)ディレイ視聴なわけですが、朝だけは時間があったのでメインのビボルvsスルドだけはリアルタイム視聴。朝からとんでもない試合でしたね。

想像以上のパフォーマンスを見せてくれたドミトリー・ビボル、それにひけを取らないほど楽しみなデビッド・モレルのパフォーマンス。

 

モレルの試合はこれまで1度くらいWOWOWで放送されたように記憶していますが、なかなか日本のファンの目の届かないボクサーだったので、今回の試合がどれほどのファンに届くのかが非常に楽しみです。

ということで今回は、デビッド・モレルvsアイドス・イェルボシヌリをメインに据えた、PBC興行の観戦記です。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 


11/5(日本時間11/6)アメリカ・ミネアポリス

ミドル級10回戦

フィオドル・チェルカシン(ポーランド)20勝(13KO)無敗

vs

ナサニエル・ガリモア(アメリカ)22勝(17KO)5敗1分

さて、全然知らないボクサーであるチェルカシン、そしてガリモア。

このチェルカシンのルーツはウクライナで、どうやらウクライナでボクシングを始めたそうです。現在の国籍のポーランド、というのは、もしかするとこの戦争で亡命したのかもしれません。(調べていませんので、詳しい方がいたら教えて下さい。)

ということで、チェルカシンに期待。

 

初回、まずは静かな立ち上がりから、プレスをかけていくのはチェルカシン。ガリモアは身体能力の高いボクサーで、非常に伸びる鋭いジャブを持っている、良いボクサーに見えます。

チェルカシンはやや固さを感じるボクサーで、ウクライナ生まれというイメージとはちょっと違う。左を伸ばして狙いを定め、硬そうな右を叩きつけていきます。

2R、Showtimeの実況では「チェルカシンはジャブ」と言っているように思いますが、ここまでジャブはガリモアの方が目立ちます。チェルカシンはインサイドでのラッシュが素晴らしい印象です。

しかし、このチェルカシンの速くもキレがあるようにも見えなジャブは、よくみるとものすごく遠くまで伸び、強弱を織り交ぜて距離コントロールの効果が非常に高いようです。

このラウンドはおそらくチェルカシンのサンデーパンチ、右アッパーもボディにヒット。

3R、ガリモアが頭を振ってチェルカシンに接近を試みます。これが本来の形なのでしょう、チェルカシンはサークリングしながらジャブを伸ばし、ガリモアが近づくと左右のフックとアッパーで応戦。

 

4R、前ラウンド後半あたりから、チェルカシンの硬質なパンチに押され始めているように見えるガリモア。下がりながらの戦いを強いられ、チェルカシンの距離から稀に大きく踏み込んで反撃。

ガリモアのジャブは非常にキレがあり、戻しも速く、これはチェルカシンにヒットしますが、それ以外があまりあたらない。中盤、チェルカシンの右カウンターがガリモアにヒット、その後もチェルカシンは右をヒット。

5R、序盤にチェルカシンは幾度かの右クロスをヒット、ガリモアは非常に柔らかく、このダメージをに逃しているようにも見えます。

中盤から後半にもこのパンチで攻め込み、これを刷り込ませて右アッパーに変化させてヒットするのがチェルカシンのパターンかもしれません。

6R、中間距離ではまずいガリモアは、ガードを固めて前進。頭をつけて、乱打戦に持っていこうという展開。ただ、距離が近くなるとクリンチで阻まれ、うまくはいきません。

 

7R、中間距離での打撃戦。互いにヒットを奪い合うと、やや押されるのはガリモア。しかしガリモアも流石のもので、思い切り打つ右オーバーハンド、飛び込みの左フックで距離を詰め、強引に打って出ていきます。

このあたりの瞬発力はさすがです。

8R、ジャブの差し合い、当てているのはチェルカシンだけ。その後、チェルカシンはまたも右クロスを幾度もヒット、ガリモアを下がらせます。

なんとかプレスをかけるガリモアですが、前進するも手が出ず、距離を明確に測ったチェルカシンはその時々で当たるパンチをセレクト、ガリモアに着弾させます。ガリモアは、かなり頑丈です。

9R、ガリモアが攻めながらジャブを出し始めます。これはセコンドからの指示でしょう、このガリモアのジャブは序盤からよく当たっています。

しかしそれでも、チェルカシンの右クロス、右アッパーはよくヒットし、そのパンチの威力や見栄えといった点から、やはりチェルカシン優位は動かず。

 

ラストラウンド、右オーバーを何とか当てたいガリモア、しかしチェルカシンニは最後まで冷静で、ガリモアの入り際に右クロス、右アッパーをヒット。非常に高い着弾率を誇ったまま、規定の10Rを終了。

判定は、97-93×2、100−90でチェルカシンを指示。

ガリモアも良いボクサーでしたが、チェルカシンは強かった。チェルカシンの最も優れている点は、当て勘かもしれません。アングルをつけて、空いているところを狙うボクシングは、ちょっと固めに見えますが、その分パンチも硬いのでしょう。

チェルカシンはPBC、Showtime、そしてアル・ヘイモンに感謝(しかも英語で)を述べて、勝利者インタビューを終えました。なかなかの献身で、今後もShowtime興行登場はありそうですね。

ミドル級10回戦

ジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)23勝(17KO)3敗1分

vs

ブライアン・メンドサ(アメリカ)20勝(14KO)2敗

本当はヨエルビス・ゴメス(キューバ)を相手にする予定だった元統一王者、ジェイソン・ロサリオは、ブライアン・メンドサとの一戦。打たれ脆さのあるロサリオが、「弾丸」というニックネームを持つブライアン・メンドサというメキシコ系アメリカ人と試合をする、というのは、代役とはいえなかなか危険なマッチアップにも思います。

 

初回、ジャブから早々に強いパンチを振るう両者。ロサリオの動きは流石のものですが、このメンドサも非常にパワーがありそうで、ダックも速く、これは侮れません。

距離が近くなり、揉み合いの展開で中盤にロサリオが左フックをヒット。その後ロサリオがジリジリとプレスをかけ、メンドサは下がりますが時折勢いよく出てくるため、怖さがあります。好試合となりそうです。

2R、共に打ち合う気満々、中間距離から回りながら、また近い距離で互いのパンチを当てる術を探りながら、アグレッシブなボクシングを展開しています。

初回もそうでしたが、レフェリーの「ストップ」の指示を無視して殴り合おうとする姿もあり、エキサイティングというか何というか、危険な香りが漂っています。

 

2分頃、メンドサはロサリオの左フックに合わせて左ボディをヒットするとロサリオはダウン!

立ち上がったロサリオに対してメンドサは余裕を持って、まるで格上のように攻め込んで右ボディ。その後も明らかにボディを狙い、ロサリオはディフェンスに集中してこのラウンドが終了。

ロサリオ。。。やはり、チャーロにあのボディジャブでやられた時からボディの弱さを露呈していましたが、やはりちょっと脆さがあるか。特にボディ。

3R、ここでロサリオは退かず、前進。プレッシャーをかけていきます。メンドサは明らかにボディを狙い、余裕を持った戦いをしています。このメンドサは、あの大胸筋を見る限り、フック系のパンチは得意なのでしょう、その後も下がりながらもスムーズなボディブローを繰り出していきます。

4R、引き続きロサリオはジリジリとプレス。メンドサはちょっと下がりすぎなような気がします。ストレートの距離よりも、ボディがしっかり当たる距離で戦った方がメンドサにとっては良いはずです。

メンドサはカウンターパンチャーなのか、下がりながらカウンターを狙う戦い方、この際に出す左フックは非常にシャープでクイック、パワーもあります。反面、やっぱり下がりすぎ。

 

5R、このラウンドもロサリオがプレス。下がっていたメンドサが突然ジャブから右アッパー!これが完璧にロサリオを捉え、ロサリオはダウン!立ちあがろうとするも立ち上がれず、レフェリーは試合をストップ!!!

ブライアン・メンドサ、5RTKO勝利!!!

まさに「La  Bara」(弾丸)、ブライアン・メンドサ。左右のフック、アッパーはスピードもパワーもあり、思い描いていた「メキシカン」とはちょっと違いますが、その一瞬のパワーは素晴らしいものがありますね。

ジェイソン・ロサリオ、残念でした。

今回のロサリオはさほど出来が悪い、という感じではありませんでしたが、やはりボディの打たれ弱さというものは非常に大きなディスアドバンテージで、そこを徹底的に狙われ、顔面のガードの意識が低くなっていた、ということは事実であると思います。

 

WBA世界スーパーミドル級タイトルマッチ

デビッド・モレル(キューバ)7勝(6KO)無敗

vs

アイドス・イェルボシヌリ(カザフスタン)16勝(11KO)無敗

プロデビューからわずか3戦目で暫定ながらもこの階級の暫定王座を射止めたデビッド・モレル。体重超過なんかもしてはいますが、非常に期待度の高いボクサー。

そしてイェルボシヌリはカザフスタンという中央アジア最強国の出身で、どちらも好戦的、アツいファイトが予想される一戦。非常に楽しみな一戦がゴングです。

初回、まずは向かい合って睨み合いからスタート。先にジャブを繰り出したのはサウスポーのデビッド・モレル。見事なまでの逆三角形の背中から繰り出される速いジャブ、これにイェルボシヌリは対抗してジャブをリターン。まだ様子見ながらも、モレルの前手は素晴らしく、右ボディから右アッパーをイェルボシヌリにヒット。

2R、両者共にほぐれたか、コンビネーションを出し合います。モレルは非常にブロッキングが固い上に上体の動きも素晴らしい。イェルボシヌリも良いコンビネーションを出しますが、やはりモレルの方がボクシングで1枚も2枚も上手、イェルボシヌリはこのラウンド、早くも鼻血を流します。

後半にもモレルはコンパクトな右ショートアッパーをヒット、左ストレートカウンターを追加。今回も盤石そうです。

 

3R、プレスをかけていくイェルボシヌリ、左手を前めにだしてモレルの右を封じ込めようとしています。それでもモレルは上手すぎる。

時に左ストレートから右アッパーを何でもないタイミングで当て、時に攻めさせて左ストレートカウンター。この逸材は、どんなパンチをどんなアングルで出せば当たるのか、というのを熟知しているように見えます。

4R、このラウンドもモレルのコンビネーションが素晴らしい。対してイェルボシヌリのコンビネーションはモレルのウィービングで全てを躱されてしまいます。これは心が折れる展開ではないか。

ほぼ無駄打ちなしのデビッド・モレル、その多くのパンチを着弾させています。

5R、イェルボシヌリはさらにプレスを強め、頭を振って攻め込みます。もう、これしか方法がないかもしれないカミカゼアタックです。

それをしっかりとブロッキングで受け止めたモレル、イェルボシヌリの攻撃をひとしきり凌ぐとコンビネーションで反撃。もう疲れたというわけではないでしょうが、少しモレルは手数が少ないか。

 

6R、今日のモレルは比較的ディフェンシブに戦っています。イェルボシヌリのプレスが強いからなのかもしれません。しかし、イェルボシヌリのヒット率は非常に低く、その攻撃を無効化した後のモレルの攻撃は非常にヒット率が高い。

後半にはフック、アッパーでイェルボシヌリは黒っギーかと思いましたが、反撃。

7R、ぐいぐいとプレスをかけ、モレルを押し込んでは連打を振るうイェルボシヌリ。モレルのディフェンス技術により的中率こそ低いものの、これこそがカザフスタイル。

やや省エネのボクシングならも、着実にダメージを与えているのはモレルの方で、イェルボシヌリはかなり疲弊しているように見えます。

8R、それでも諦めることのないカザフスタンの雄、イェルボシヌリは、このラウンド早々にもチャージ。イェルボシヌリは心身共に非常にタフで、全てにおいてモレルに上回られるも勇敢に前進し、パンチを振るっていきます。

9R、このラウンドもイェルボシヌリは前進。モレルはカウンターで迎え撃ち、そこからコンビネーションにつなげます。

パンチのアングルだけでなく、ステップも非常に素晴らしいモレルは、立ち位置を変えながらコツコツとパンチを当て、終盤にはワンツーをヒット。イェルボシヌリはスリップでグローブをリングにタッチしますが、これはただ滑っただけではないでしょう。

 

10R、このラウンド早々も、ステップでポジションを変えたイェルボシヌリはスリップ、体勢を崩します。かなりの疲労とダメージが溜まってはいるはずですが、それでも前進、パンチを出します。なんというタフネスとスタミナでしょうか。

その後、リング中央でイェルボシヌリのプレスを受け止め、打ち合いを選択したモレル、徐々にイェルボシヌリを下がらせ、イェルボシヌリは渾身の左右のフックを単発で返すのがやっと。

11R、モレルは試合を終わらせようとしているか、このラウンドは攻撃的に出ていきます。

下がることが増えてきたイェルボシヌリですが、モレルの攻撃の途中で返すフックには矜持を感じます。

ラストラウンド、ここでイェルボシヌリは前進。イェルボシヌリがローブローを打ったためにほんの少しの中断、再開後、モレルはフック気味のジャブから左ストレート、この左でイェルボシヌリは後ろに吹っ飛ぶようにダウン!

決めにいくモレル!イェルボシヌリはなりふり構わずサバイブを試みます。後半、クリンチついでにロープを掴んで離さず、減点。

 

その再開後に次々とコンビネーションパンチをヒットするモレル、サイドに逃げたイェルボシヌリを追いかけて右フック、倒れたイェルボシヌリを見てレフェリーがストップ!

試合終了後、倒れそうになったイェルボシヌリをモレルが支えました。

モレルは完璧な勝利。イェルボシヌリは明らかにフィジカルが強い、紛れもないカザフ・スタイルのボクサーでしたが、「相手にならなかった」という表現が正しい。

やはりデビッド・モレルは並ではない、どころか、本物で、スペシャルなボクサーに見えます。

早く「強豪」と世界的に認められたボクサーとの試合が見たいですね。

※ショッキングなニュース。イェルボシヌリは開頭手術だそうですね。どうか無事でありますように。

 

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