11月、ボクシング界のトップ中のトップであるカネロ・アルバレス、そしてテレンス・クロフォードが揃って登場するという夢のような1か月。
先日行われたカネロvsケイレブ・プラントの4団体統一戦は、期待に違わぬ好試合、そしてカネロはその強さをまたも存分に見せつけました。
そして今週末は、いよいよテレンス・クロフォードの登場です。
カネロvsプラントの一戦は、アメリカではShowtimeのPPVで中継され、79.99$という高額PPVにも関わらず80万件を超え、PPVの視聴料だけで70億円以上の利益を得たようです。
それよりも少し安く設定された今回のテレンス・クロフォードvsショーン・ポーターの一戦は、ESPNのPPVで69.99$。
正直、カネロほどの視聴件数をたたき出すことは難しいと思いますが、相手がポーターということもあって、クロフォードにしては良い数字を出すことが可能かと思われます。
カネロとクロフォード、両方のPPVを買っただけでも約150ドル(約17,000円)。それが日本ではWOWOWエキサイトマッチを通して見ることで、たったの約2,500円というのは本当にどうかしていると思います。(褒めてます)
しかも他の海外の試合も見れるなんてすごすぎますね。
↓WOWOWは12月もとんでもないことになっています。
さて、今回のブログでは目前に迫った、テレンス・クロフォードvsショーン・ポーターのShowtime興行についてです。
11/20(日本時間11/21)アメリカ
WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
テレンス・クロフォード(アメリカ)37勝(28KO)無敗
vs
ショーン・ポーター(アメリカ)31勝(17KO)3敗1分
この1戦は、WBOの指名戦として行われる1戦です。
そうでなければ、友人関係にある二人のボクサーが相対して同じリングに上がる意味はないのかもしれません。
現在のウェルター級のトップ選手は、ことごとくPBCの所属。トップランク所属のクロフォードは、階級最強を証明することができずに、ここまで防衛を重ねてきています。
そういえばトップランクとの契約期限は2021年10月で切れ、ボブ・アラムは契約延長の意向を示していなかったですが、どうなったんでしょうね。
ともあれ、このクロフォードvsポーターはトップランクのプラットホームであるESPNでのPPV。クロフォードがPBCと契約するのであれば、ESPNにクロフォードが登場する最終戦となる場合も考えられますね。
この試合の意義は、とうとうクロフォードがPBCが抱えるウェルター級の強豪ボクサーと拳を交える、ということに尽きる。そしてその相手が、あのショーン・ポーターだということ。
テレンス・クロフォードは、ライト級を制してスーパーライト級へ転級、そこで4団体を統一してUndisputedチャンプとなりました。
その後ウェルター級に上げ、ジェフ・ホーン(オーストラリア)からWBOタイトルを奪うと、ホセ・ベナビデス(アメリカ)、アミール・カーン(イギリス)、エギディウス・カバラウスカス(リトアニア)、ケル・ブルック(イギリス)を撃破。
ウェルター級の戦績は、上記のボクサーたちを相手に5勝(5KO)だから本当に隙がありません(現在8連続KO勝利中)。最後に判定までいったのは2016年のビクトル・ポストル(ウクライナ)戦で、もう5年以上前のことです。
ナチュラルなスイッチで相手を幻惑、じっくりと観察したうえで戦いやすいスタンスを選択し、強打を叩き込む。身体能力も高く、技術力にも秀でており、本当に負けるところが想像つかない絶対王者です。
対してショーン・ポーターは、長くウェルター級のトップ戦線を戦っている元世界ウェルター級王者。これまでのキャリアでIBFとWBCの王座を獲得しています。
なんとなくBoxRecを見返してみると、2008年のプロデビュー戦はなんとスーパーミドル級(1RTKO勝利)。2戦目はミドル級(こちらも1RTKO勝利)で戦っており、その後にスーパーウェルター、ウェルターと落としてきています。とはいえデビューから2年後にはウェルター級に落ち着いています。
初の世界タイトル戦は、2013年12月、デボン・アレクサンダー(アメリカ)とのIBFタイトル戦。(超懐かしい、と思いましたがどうやらまだ現役。)ここでIBF王座を獲得しますが、2度目の防衛戦でケル・ブルック(イギリス)に0-2の判定で敗れ、初黒星。
その後2016年にキース・サーマン(アメリカ)の持つWBAタイトルに挑戦するも、判定負けを喫します。(3者ともに115-113の僅差判定)
2017年にアドリアン・グラナドス(メキシコ)とのWBC世界ウェルター級王座決定戦を勝ち残り世界王者返り咲き、初防衛戦ではダニー・ガルシア(アメリカ)、2度目の防衛戦でヨルデニス・ウガス(キューバ)を退けたあと、2019年9月にIBF王者、エロール・スペンスJr(アメリカ)との統一戦に臨みました。
クロフォードと双璧をなす名王者を大いに苦しめたポーターでしたが、ダウンを奪われてスプリットの判定負け。
翌年8月、セバスチャン・フォルメラ(ドイツ)を相手に再起、今回のクロフォード戦を迎えます。
とにかくほとんど「退く」ということを知らないプレッシャーファイターで、その前進は重厚かつスピーディ。頭を振りながら相手に向かっていくその姿は、特攻精神を思わせるようなおもしろいボクシングです。大好きです。
スペンスを困らせたポーターの突進が、対抗王者クロフォードにいかに通用するのか、又は全く通用しないのか。
クロフォード優位予想とはいえ、ポーターはそのキャリアを含めて侮れない猛者です。接戦をものにする力を持っており、中間距離を抜けて近接戦闘で勝負できれば、可能性はあるかもしれません。
クロフォードにとっては、このポーター戦というのが一つの大きな大きな試金石となりそうな一戦。
もし(そうなってほしくはないですが)、クロフォードがこのポーターですらも完勝、ストップ勝ちできるようなら、リング誌も当然PFPランキングを改めなければならないのではないか、と思います。
そうなったとき、クロフォードが次に戦う相手は、ダニー・ガルシアやヨルデニス・ウガス、ラジャブ・ブタエフ(ロシア)でも当然物足りません。やっぱりエロール・スペンスにご登場願うしかありません。雰囲気的に実現しそうにありませんが、ここはどうか実現してほしい。
ともあれ、個人的にはショーン・ポーターの善戦を、厳しいでしょうが勝利をもぎとってもらいたい位に思っている一戦。そうなれば、またまた大混戦となるこのウェルター級、ホープたちも台頭しやすくなるはずです。
どちらに転んでも正直クロフォードには茨の道ですが、楽しみなウェルター級戦ですね!
アンダーカード!
WOWOWはいつも大体放送開始直後にセミセミを1試合、その後セミ、メインという放映ですが、今回のESPNのPPVは4試合が予定されているようです。
エスキバ・ファルカオ(ブラジル)vsパトリス・ボロニー(カナダ)
ファルカオはロンドン五輪決勝で村田諒太と戦った同大会の銀メダリストで、28戦全勝(20KO)の戦績。非常に大事にキャリアを送ってきている印象がありますね。
ボロニーも16戦全勝(10KO)と無敗をキープ、この試合はIBF世界ミドル級挑戦者決定戦として行われます。
指名戦に厳格なIBFのことなので、この勝者が近いうちにIBF世界ミドル級王者に挑戦することになりますが、現在のIBF王者はあのゲンナディ・ゴロフキン。
年末に行われるGGGvs村田の統一戦で、もし村田が勝利を勝ち取ることができれば、そのうちロンドン五輪決勝の再来、村田vsファルカオもあり得る。
ジャニベック・アリヌハムリ(カザフスタン)vsアッサン・エンダム(フランス)
そんな村田諒太と王座を争ったアッサン・エンダムが急上昇中のプロスペクト、アリムハヌリ(10戦全勝6KO)と対戦です。
アリムハヌリは前戦でロブ・ブラント(アメリカ)を棄権に追い込み、強さを見せています。
エンダムに意地を見せてもらいたいところですが、ブラントにあの勝ち方をしたアリヌハムリ相手ではかなり厳しい、という印象です。
レイモンド・ムラタヤ(アメリカ)vsスティーブン・オルティス(アメリカ)
この試合はWOWOWでは放送されないかもしれませんね。12戦全勝10KOのプロスペクト、ムラタヤと、12戦全勝3KOのオルティスの一戦。
ムラタヤ兄弟(兄はガブリエル・ムラタヤというプロスペクト)はまだもう少し、キャリアを積む時期ですね。KO率の低い、危険の少ない相手を選んだという印象です。
そして、PPVからは外れますが(なので勿論WOWOWでの放送は無しでしょう)、正直こっちは大注目。
アイザック・ドグボエ(ガーナ)22勝(15KO)2敗
vs
クリストファー・ディアス(プエルトリコ)26勝(16KO)3敗
元王者、ドグボエと、伊藤雅雪と戦ったディアス。エマニュエル・ナバレッテに敗れた者同士のサバイバルマッチ。
海外のボクサーで、頑張ってほしいと応援しているボクサー同士の一戦は、これまた非常に複雑ながらも興味深い。
類まれな攻撃センスとパワーを持ちながらも、それを活かしきれていないとも感じるドグボエ。フェザー級ではそのパワーも目減りしてしまっている印象もありますが、巧さを発揮して難敵アダム・ロペス(アメリカ)に辛勝。サバイバルマッチが続きます。
対してディアスはナバレッテ戦からの復帰戦。
前戦ではよく戦いましたが、最終回TKO負けに退きました。ただ、決して衰えないスタミナ、ハートの強さは示すことができたと思います。
ドグボエはスタミナ、(少々強くなった感じはありますが)ハートの面で不安があり、ディアスはそこが充実しています。
これはどちらに転んでもおかしくない勝負、前半はドグボエが持ち前のパワフルなパンチでディアスを追い立て後半に失速、ディアスは後半勝負というのが考えられる試合展開だと思います。
ということで大注目のクロフォードvsポーターの一戦は、日本では11/21(日)11:00〜WOWOWオンデマンドで生配信。
翌日の11/22(月)21:00からタイムリーオンエアとなっています。
WOWOWに入っていない方は入りましょう!カネロの試合もまだオンデマンドで見れますよ。
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