まるでボクシング映画やボクシング漫画のような、衝撃的な大逆転ノックアウト劇から一夜。
↓観戦記
今日も今日とてヨーロッパでのボクシングは、非常に興味深い戦いが起こります。
ちなみにこの力石vsマグネシはWBC世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦、と思っていましたが、その実は次期挑戦者決定戦だったようですね。
現在の指名挑戦者はトップコンテンダーのムハマドクジャ・ヤクボフ(タジキスタン)、このヤクボフがWBC王者、オシャーキー・フォスター(アメリカ)と戦った後、力石が指名挑戦者としてトップコンテンダーとなる算段のようですね。
この状況を鑑みると、次戦が世界挑戦とはいかないでしょうし、どんなに順調に行っても1年近く先になりそうです。
ちなみにフォスターは10月に指名戦(エルナンデス戦)を戦い、2月にノバを相手に防衛、その次にヤクボフ、さらに力石なんて話になると指名戦だらけのイバラの防衛ロードとなります。選択防衛戦をほぼ挟めず、統一戦にも進めず。。。なんて話になってしまうので、力石戦はもうちょっと先になりそうなイメージ。
今回のマグネシはWBCの他IBFでも7位にランクしていることから、力石がIBFランキング(現在6位)を上げれば3位の尾川堅一(帝拳)との挑戦者決定戦、という道筋も見えてきそうなもので、これは非常に興味深く、見たいの半分、見たくないの半分みたいな感じ。
さて、そんなスーパーフェザー級に思いを馳せつつ、今回のブログの本題はダルトン・スミスvsホセ・セペダ、マッチルーム興行の観戦記です。
3/23(日本時間3/23)イギリス・シェフィールド
ダルトン・スミス(イギリス)15勝(11KO)無敗
vs
ホセ・セペダ(アメリカ)37勝(28KO)4敗
恥ずかしながら、ダルトン・スミスについてはあまりよく知りません。
イギリスのスーパーライト級プロスペクト、無敗のまま階段を駆け上がってきたボクサー、BBBofC、コモンウェルスのタイトルホルダー。
期待されているのは確かでしょうが、イギリスの(またはヨーロッパの)プロスペクトというのはキャリア初期にこれでもかというほどのアンダードッグと対戦させるので、アメリカ期待のプロスペクトたちよりもタチが悪かったりもする。(戦績だけで判断できない、という意味で)
ちなみに過去の履歴を遡ってみると、スミスの試合も1つ2つ見ているはずではありますが、ちょっと記憶には残っていません。
ホセ・セペダというファンがよく知るボクサーとの対戦は、このスミスの力量を世に知らしめるのに非常に好材料となり得るはずです。
ホセ・セペダは過去にテリー・フラナガン(イギリス)、ホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)、レジス・プログレイス(アメリカ)と世界王座を争い、それが叶わなかったボクサー。
世界王座獲得に失敗してもホセ・ペドラサ(プエルトリコ)やイバン・バランチェク(ベラルーシ)といった元王者を降しており、世界王者クラスの実力を保持しながらもタイミング的に王座に届かなかった、そして今後も届かなそう、といういう印象です。
ここはセペダに復活の狼煙をあげてもらいたい、という試合ではありますが、前戦でリチャード・ヒッチンズ(アメリカ)を相手に踏み台になってしまったセペダ、このまま若手の踏み台となってしまう可能性は大きい気がします。
さて、プレビューを書いていない分、前置きも長くなってしまいましたが、個人的な希望としては「ダルトン・スミスのメッキが剥がれる形でのセペダの勝利」、もしくはスミスが勝利するならば「圧倒して世代交代の鐘の音を告げるスミスの勝利」。
先にセペダが陽気なメキシコミュージックで入場後、ダルトン・スミスの入場は!!Arctic Monkeys の When the Sun Goes Down!!ファーストアルバムの曲だったか、これはめちゃくちゃ良い。やっぱりイギリス人ボクサーの入場曲は非常に興味深い。
当然の如く大きなブーイングのセペダ。意外にもこのヒスパニックは英国初登場、ここまでの主戦場がメキシコ、アメリカだったことを考えるとここまで大きなブーイングは初めてなのかもしれません。
対してスミスには大きな歓声。シェフィールド出身のスミス、会場全体がスミスの応援というのは致し方ありません。
いよいよゴング。
サウスポーセペダがジリジリとプレス。スミスはハイガードスタイル、やはりオーセンティックなボクサーっぽい。スミスはセペダの強打を大警戒、外してのカウンター狙いのボクシング。
良いステップワークで躱していますが、まずは様子見なのか、ほぼ何もせずに初回を終了。
2R、ほんの少しどっしり構え始めたスミス、リードを多く出し始めます。これはセコンドの指示でしょう、自ら攻め込む場面も作り始めます。
しかしセペダはその間隙を狙って強い踏み込み、スミスはちょっとサウスポーを苦手にしているのでは、と思うような左の浴び方をしています。
時折出す、体ごとぶつけていくようなワンツーは良いスミスですが、それ以外は手数が少なく、セペダの方が見栄えが良く見えます。
3R、スミスが少しセペダに慣れてきたのか、鋭い左フックカウンター(これは当たらなかったが)を繰り出し、まっすぐの長い右ストレートをヒット。
リードの使い方もよく、そこから右ストレートから攻めたり、今度は逆にセペダの手が出にくくなってきています。
どちらもクリーンヒット、というよりも軽い当たりですが、このラウンドはスミスが良いラウンドのように見えます。と思っていたら終盤、セペダのコンビネーションでスミスが横を向いてしまうくらいバランスを崩し、これは見栄えが悪い。
4R、スミスの距離感が良い。右回り、ですがしっかりと距離で外しつつ、中盤にはセペダの左に対して右カウンター!
リードで距離をしっかりと測って右を当てる距離を作っているスミス、セペダとしてはちょっと容易に左を打てない展開になってやしないか。
セペダとしてはまずはスミスの体勢を崩してから左を打ちたいところ。
5R、距離を測るリードをポンポンつくスミス、セペダの打ち終わりに鋭い踏み込み。
セペダはこの攻撃を警戒してかプレスをかけつつもやや後ろ荷重、ちょっと中間距離でスミスが活きる分、くっついてのファイトを検討して良いのではないか。
中盤、セペダのボディジャブに対してスミスが右アッパー。これはセペダの踏み込みが浅い、というかほぼなかったので深く入りませんでしたが、タイミングは合っています。
踏み込みを躊躇しているふうに見えるセペダに対し、スミスはワンツーで攻め込み、下がったセペダが少しバランスを崩したところに右ボディ!
完全に動きが止まったセペダ!一拍置いて、リングにひざまづき、なんとそのままカウントアウトです!!!
ダルトン・スミス、5RKO勝利!!!
なんということでしょうか!会心の勝利、ダルトン・スミス!
スロー映像が流れると、スミスの右は完全に顔面に来ると思ってセペダはガードを上げ、ボディがガラ空き状態。このようにしっかりとガードを上げねば対処できない、ここまで警戒せねばならないほど、おそらくスミスの右は強いのでしょう。この右はダルトン・スミスの大きな武器であり、中間距離でのやり取り、ボクシングの組み立てというものにも強みがありそうです。
反面、ちょっとスロースターターの毛もあるのかもしれません。
スーパーライト級に現れた新星(私としては)ダルトン・スミス、今後注目に値する選手ですね。
対してセペダ、良い場面もありましたが、これで2連敗。前戦でヒッチンズに完敗からのKO負け、というのはグローブを吊るす可能性もあるのではないでしょうか。スミスの入場曲、「When the Sun Goes Down」(陽が沈むとき)はセペダに向けての餞の曲となってしまったのかもしれませんね。
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