スーパーフライ級の王座統一戦、空位となったフライ級の王座決定戦。
この二つの「対戦合意」というニュースは、日本のボクシングファンにとって非常に興味深いものであり、また歓迎すべきものだと思っています。
ということで今回のブログは、この二つの対戦合意について。
決戦は7月か
日本の誇る4階級制覇王者、井岡一翔(志成)。
31勝(16KO)2敗1分、そのうち世界戦の戦績だけでも22勝2敗1分という井岡は、もう26度目の世界戦となります。
2009年にプロデビューした井岡は、2017年に突如として引退、その翌年2018年に復帰して以降スーパーフライ級で戦い続けています。
ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)を追い求めた井岡でしたが、その思いは未だ叶わず、それでも一つ一つのタイトル戦(しかも謎でそのほとんどが指名防衛戦)をこなしてきました。
一度はジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との統一戦が決まるも流れ、その流れた間にアンカハスを倒して王者になったのがフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)。
キラ星の如く現れたこのマルティネスは、元オリンピアンという肩書きを持つように、ただただ攻撃力特化のボクサーではありません。
プレッシャーファイトを基礎としながら、強弱織り交ぜたコンビネーション、素晴らしいボディムーブ、しっかりとした技術に裏打ちされたどファイターだということができると思います。アルゼンチンのボクサーらしく、そのハートとフィジカルはとてつもなく強く、さらにそこにインファイトの技術が乗っかっています。
マルティネスは2度にわたってアンカハスに完勝、さらに前戦では非常に評価の高いジェイド・ボルネア(フィリピン)を11RTKOで撃破。
今、ノリに乗っているIBF王者との激突は、井岡にとって非常に難しい戦いになるのではないでしょうか。
この決して侮ることはできない「プーマ」マルティネスに対して、生粋の技巧派である井岡は、どのように戦い、どのように勝利をするのか。あまりに真正面から行くとあの勢いに潰されかねないので、井岡としてははぐらかしながら戦わなければいけません。その間に適宜カウンターを決めるという戦い方になるのでしょうが、ある程度の打撃戦は覚悟しておかなければいけないでしょう。
井岡は距離をとって戦うボクサーでなく、どちらかというとインサイドか比較的近めの距離で戦うボクサーです。その距離は非常に危険、それでもなお、その距離のボクシングで井岡の技術はマルティネスを凌駕することを期待したい。
この激アツな王座統一戦は、ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)vsジェシー・ロドリゲス(アメリカ)の一週間後に行われる、とのことです。
https://www.boxingscene.com/kazuto-ioka-fernando-martinez-unification-fight-set-on-paper--182624
つまりは、これは井岡が勝利すれば年末にエストラーダvsバムの勝者とぶつかる、という可能性が大きくなるという日程でもあります。
WBO王者、田中恒成(畑中)が蚊帳の外、となってしまうのは致し方ないのかもしれません。すでにこの階級で実績を残している王者たちがぶつかることを、邪魔することはできません。
さて、WBAの指名挑戦者であるジョン「スクラッピー」ラミレス(アメリカ)は4/20のヘイニーvsガルシアのアンダーカードで暫定王座戦がセットされたとのこと。これはおそらく、井岡vsマルティネスの内諾を受けてのことなのでしょう。
なのでこの試合はほぼ決定、対戦合意とはいえ会場も日本(さすがのABEMAマネー)、あとは何を残すのみなのか。契約書だけかもしれません。
この夏、またまた熱い試合が決まりましたね。
アンソニー・オラスクアガ、王座決定戦へ
さて、エストラーダvsバム、というのは、日本のボクシングファンにとって「バムに井岡の狙っていたエストラーダがとられた」という戦いなのかもしれませんが、それで恩恵を受けるのが我らがトニー、アンソニー・オラスクアガ(アメリカ)であるならば、少しは溜飲が下がるのかもしれません。
まあ、そもそもバムだって日本で人気のあるボクサーだと思いますが。
バムもオラスクアガも、帝拳プロモーションが共同プロモーションをしているボクサーであり、この辺りは帝拳パワーが大いに働いているのかもしれません。
いずれにしろ、アンソニー・オラスクアガというボクサーはネアカで日本のファンにも大いに好かれ、特に寺地拳四朗(BMB)戦での大健闘は本当に記憶に新しいもので、ファンの脳裏に焼き付いているはずです。
拳四朗戦後の復帰戦も日本のリングに上がり、ジーメル・マグラモ(フィリピン)に苦戦しつつも7RTKO勝利。ここで王座決定戦のチャンスを掴んだのは大きいですね。
ジェシー・ロドリゲスがエストラーダ挑戦のために手放したベルトは、長く1位に君臨する加納陸(大成)と帝拳パワーで唐突に2位に上がったオラスクアガの間で争われます。
ボクシングのランキングにおいて政治的な話というのはもう別にどうこういうつもりもありませんが、オラスクアガはこの上位ランキングを持っていてしかるべき選手であり、加納陸は果たしてその実力があるのか、というのが正直なところ。
2016年にミニマム級で世界挑戦、その後日本タイトル挑戦失敗、WBOアジアパシフィックのライトフライ級を制したあとは減量苦を理由にフライ級へ転級、WBOアジアパシフィックを2階級制覇。
それでも、圧倒的なパフォーマンスを見せ続けてきたか、というとそうではなく、世界レベルの相手と戦ってきたわけでもありません。
それでもコンスタントにリングにあがり続けてきたからなのか、そのランキングは落ちず、かなり長い間WBOだけはトップコンテンダーだったと思います。
4/14にこれまたアンダードッグとの試合が組まれていましたが、今回の世界戦の対戦合意を経て試合をキャンセル、世界戦に集中するようです。
まあ正直、オラスクアガを知っていて、加納陸をあまり知らないという関東圏のボクシングファンは、オラスクアガを応援する方が多いのではないか、と推察します。
ボクサーというのは歩んできた道のり、そのキャリア、レジュメというものがファンを惹きつけます。だから私たちは、国内最強を証明した上で世界に挑戦するボクサーを応援するわけで、超がつくほどの絶対王者に恐れずに挑み、そのハートを見せつけ、さらにタイトルチャレンジャーにも勝利したアメリカ人ボクサーを応援せずには折れません。
ということで頑張れトニー、日本は君のホームだ。
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