信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】スーパーウェルター級最後のピース。FOTY候補のIBF王座決定戦、ジャック・クルカイvsバフラム・ムルタザリエフ!

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

完全に見落としていた、IBF世界スーパーウェルター級王座決定戦。

前日に気がつくと、なんとFIGHT SPORTSでストリーミング配信があるとのことでした。

 

 

 

もっと早く言ってほしいし、ちゃんと宣伝してほしいものです。あとアーカイブも残してほしい。

場所はドイツ、とのことなので、おそらく明け方かなと思い一応見てみることに。

U-NEXTからFIGHT SPORTSに入る場所がよくわからなかったですが辿り着き、視聴することができました。

ということで今回のブログは、クルカイvsムルタザリエフによるIBF世界スーパーウェルター級王座決定戦について。

 

 

 

4/6(日本時間4/7)ドイツ

IBF世界スーパーウェルター級王座決定戦

ジャック・クルカイ(ドイツ)33勝(14KO)4敗

vs

バフラム・ムルタザリエフ(ロシア)21勝(15KO)無敗

正直、ジャック・クルカイについてはあまり詳しくないし、ムルタザリエフについてはほぼ知らん人。

クルカイはよく聞く名前ですがあまりドイツから出て来ませんでしたが、WBA世界スーパーウェルター級暫定王座を獲得しているボクサー。過去にアンドラーデと団体内王座統一戦をしたり、マシエ・スレッキやセルゲイ・デレビヤンチェンコなどに敗北しており、ちゃんと世界的強豪といえますね。その中でもKO負けは一度もなく、戦績からもテクニシャンということが想像できますね。

対するムルタザリエフというボクサーは、ロシア出身、現在はアメリカを主戦場としているようですが、対戦相手には恵まれているとは言えず、世界的強豪との対戦は皆無。

なのでこのムルタザリエフが王座決定戦に出場する資格があるのか?というのはなかなか賛否もありそうですが、ムルタザリエフは良い勝ち方を続けてきたからこそ、この位置にいるのでしょう。

 

 

 

まだ見ぬ強豪を見つけるのは非常に楽しみなことです。

ムルタザリエフの圧勝、ニュースター誕生に期待。

ちなみにオッズはムルタザリエフが-400くらい、クルカイが+300くらいでムルタザリエフ優位。

初回、ムルタザリエフはかなりでかい。BoxRecによると身長183cm、クルカイは170cmとのことなので見た目通りですが、階級が違うんじゃないかくらいの差です。しかも手足も長い。

この体格差を活かし、ワイルドに攻め入るムルタザリエフ。クルカイは大きなバックステップ、そこから走り込むように大きく攻め入ります。クルカイは情報によると38歳、この運動量で最後まで行けるのか。

遠い距離では勝負にならないクルカイですが、大きな踏み込みでインサイドに入ることもしばしば。これはムルタザリエフが結構大味なボクシングだということも影響しています。

後半、クルカイが右オーバーハンドから入ったところにムルタザリエフの左フック!これでクルカイは膝をつくダウン!!かと思いきや!なんとレフェリーはスリップの裁定!!これはまさかの!超地元贔屓裁定なのでしょうか!

 

 

 

両手を広げて不可思議そうなアクションのムルタザリエフ。これはもはや、倒すしかありません。。。

2R、ジリジリとプレスをかけるムルタザリエフ、このラウンドは丁寧です。丁寧に長い距離からジャブ、これは良いジャブですが、クルカイも意外と出入りのスピードが速く、また大きく、ぴょんぴょん飛び跳ねてまるで忍者のようなボクシング。とんでもない38歳がいたものです。歳を取れば、必然的に省エネ気味のボクシングになるはずですが。

クルカイはバックステップとボディムーブが非常に良く、長いムルタザリエフのパンチをよく外しているように見えます。

後半、近い距離に入ったクルカイは左フックを振り回し、これをヒット。

3R、左右によく動き、バックステップも巧みなクルカイ、このボクサーは素晴らしいディフェンステクニックを持っています。

ちょこまかと動き回るクルカイに対して、パワーパンチを打ち込めない風のムルタザリエフ、もっとフィジカルゴリ押しでも良さそうなものですが。

クルカイは接近戦での回転力は侮れず、このラウンドは左のボディショットが良い。後半には軽めですが右のオーバーハンドをヒットしています。

4R、クルカイは覚悟を決めたのか、ここから時折前重心に変えてムルタザリエフのジャブを掻い潜ろうかという構え。

 

 

 

オフェンスとディフェンスの切り替えがよく、ムルタザリエフが攻めてくるとサイドに回ってポジションを変えてすぐにオフェンスに移ります。

ムルタザリエフは丁寧にジャブをつくところから始めますが、ややワンパターンなのか、ヒット率はあまり良くありません。このラウンド後半は近い距離でクルカイがよく、ムルタザリエフは長い腕を振り回し、回転力という面においては遅れをとっています。

この距離はクルカイの距離かもしれません。ここまでの採点は振り出しに戻る感じでしょうか。

5R、プレスをかけるのはクルカイ。ムルタザリエフのジャブをよく外して近づくと、左右のフックをヒット!

やや顔面のガードが甘いムルタザリエフ、もしかしてクルカイのボディが奏功しているのかもしれません。

もしかしてこのムルタザリエフ、プレスをかけて強く、かけられるのはあまり慣れていないのかもしれません。攻められた際のディフェンスは甘いか。

 

 

 

このラウンドは終始クルカイがプレスをかけ、自由自在に動きます。かなり余裕が出てきたイメージで、ムルタザリエフにとってはかなりありがたくない展開です。

6R、クルカイがガンガン近づきます。この距離でのムルタザリエフのフックはミスブローが非常に多く、クルカイのダック、ウィーブが良い。

おそらくこの近い距離ではムルタザリエフのパワーは生きない距離なのかもしれません、クルカイは臆することなく突っ込みます。

近い距離でもノーガードでヘッドムーブ、余裕を見せるクルカイ。この反応、何度も言いますが38歳とは思えません。

余裕を持ち、比較的変則になっているクルカイ、これがまたムルタザリエフにとっては苦手なのかも。

7R、クルカイはこのラウンドは休憩のラウンドとしたかったのか、サークリング。そうするとムルタザリエフがプレスをかけ、長い右をヒットします。

この距離はいけないクルカイ、近づいて体を押し付けます。せっかく良い感じで戦っていたクルカイですが、このラウンドはパンチをもらってしまっています。

しかし半分が過ぎた頃、クルカイが右をヒットすると接近戦を仕掛け、ムルタザリエフを押し込んでいきます!回転力に劣るムルタザリエフですが、ここで右をヒットしてクルカイを押し返す!

 

 

 

ともにダメージを負い、痛み分けのラウンドは非常に割れそうですが、終盤にクルカイがラッシュしたことでクルカイに流れるか。

8R、クルカイが大きく距離をとってディフェンシブなスタート。この辺りのメリハリはベテランらしさ、おそらくこのラウンドでもどこかで攻撃を仕掛けるのでしょう。

サウスポーにスイッチするなどして幻惑するクルカイ、ムルタザリエフのパンチを外して左右ボディをヒットするも、そのうち終わりにムルタザリエフの右をもらってしまいます。

ちょっとこの辺りは集中力か、スタミナなのか、若干危うくなっている気がします。

前半から中盤にはなかった、クルカイの顔が跳ね上げられる場面が目立ってきます。

9R、ムルタザリエフのジャブを外して右クロス、または左フックを狙うクルカイ。中盤、ショートの距離からワンツーを決めてムルタザリエフを下がらせ、ラッシュを敢行!

ここまで結構しっかりムルタザリエフの右ストレートをもらっているきらいのあるクルカイですが、なるほどディフェンス能力だけではなくタフネスも有しているようです。

 

 

 

中盤のようなディフェンスアクションこそできないものの、今度はガードを固めて前進、パンチをもらいながらもリターンを返し、でかいムルタザリエフに対してい怯むことはありません。

10R、後半にはいってからはクルカイの反応も限界が見えていますが、遠い距離ではかなり余裕を見せてのノーガード。からの一気にトップギアに上げての攻撃、常に一定のムルタザリエフと比べてこのチェンジオブペースは素晴らしいところ。

しかし年齢から来るものなのか、それともこれまでのダメージなのか、どうしてもムルタザリエフのパンチが当たる距離でのディフェンスは緩慢なところがあり、前半や中盤に比べていくつものパンチを被弾しています。

ムルタザリエフはミスブローが多かったせいでしょうか、かなり疲れもみえますがまだまだパワーは健在、手もよくでています。

11R、そしてこのラウンドになってもよくジャブが出るムルタザリエフ。本当に基本を徹底している証拠なのでしょう。

 

 

 

このジャブをヘッドムーブで外せなくなってきたクルカイ、そうなるとムルタザリエフのジャブの次のパンチが当たりはじめます。

30秒過ぎ、コンビネーションがヒットしたことで一気に攻め入るのはムルタザリエフ!

これまでになかった素晴らしい回転力で一気に攻め入ると、左フックでクルカイは大きく顔面を揺らされます!

止まらないムルタザリエフ、おそロシアによくある上半身に頼ったパンチを繰り出し、そこにクルカイも左右をリターン!ともにディフェンスお構いなしという打ち合い、目に見えてそのスピードは衰えていくも、互いに撃ち続けます!

もはやボクシングではなく、どちらが相手のパンチに耐えられるかという競技になったところで、ムルタザリエフはクルカイの顔面を左フックで大きく揺らし、薙ぎ倒すような右フック!

これで崩れ落ちたジャック・クルカイ、レフェリーはカウントを数えるもそのままストップ!

 

 

 

バフラム・ムルタザリエフ、11RTKO勝利!!見事IBF世界スーパーウェルター級王座を獲得!

これはこれはまた、とんでもないFOTY候補の試合が生まれてしまいました。

まさにシーソーゲーム、どちらに転ぶかわからなかったこの戦いは、老雄ジャック・クルカイの頑張りにより生まれた超好試合。

そしてムルタザリエフ、この戦いは大きく成長する糧となる試合かもしれません。

ジャーメル・チャーロ(アメリカ)がどこかへ去ったあと、

WBA王者:イズライル・マドリモフ(ウズベキスタン)

WBC暫定王者:セルヒー・ボハチュク(ウクライナ)

WBO・WBC王者:セバスチャン・フンドラ(アメリカ)

そしてIBF王者:バフラム・ムルタザリエフ(ロシア)

一気に国際色豊かになったこのスーパーウェルター級には、ティム・チュー(オーストラリア)ももちろんまだいますし、さらにはテレンス・クロフォード(アメリカ)も(多分)きます。

今後も目の離せない階級となりそうですね。

 

 

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