7/17(土)、八王子の興行はものすごかったようですね!
私はメインだけ、何とかリアルタイムで見れましたが、その後自宅に帰り、Youtubeを開くとその興行は消え去っていました。。。
なんと、この神興行と言われた興行は、アーカイブが残らないのか。。。とも思っていましたが、現在はメインのみ、Youtube上にアップされています。
完全ノーカットのものも見たかったな。。。おそらくこれから、それぞれの試合もアップされていくものだと思っております。
そして、その大興奮の八王子興行から一夜明け、いよいよスーパーウェルター級の4団体統一戦!
歴史上、このスーパーウェルターの「4団体」の統一がなされることは史上初。
今回のブログでは、WOWOWで放送されたジャーメル・チャーロvsブライアン・カスターノの一戦の観戦記です。※7/19(月)WOWOWエキサイトマッチのレギュラー放送で、この試合が流れる予定です。リアルタイムで見れなかった方はご注意下さい。
↓プレビュー記事
boxingcafe.hatenablog.com7/17(日本時間7/18)
7/17(土)セミファイナル
WBA世界ライト級暫定タイトルマッチ
ロランド・ロメロ(アメリカ)13勝(11KO)無敗
vs
アンソニー・イギット(スウェーデン)24勝(8KO)1敗1分
当初、オースティン・デュレイが相手でした。膝のけがでどうやら欠場したようです。その後、白羽の矢がたったのがアンソニー・イギット。しかしイギットはオーバーウェイト(約5ポンド!=約2.3kg!!)。準備期間が短すぎたこともあるでしょうが、残念です。
そもそもデュレイ欠場のニュースを今日まで知らなかったので、上のプレビュー記事はデュレイのつもりで書いております。ごめんなさい。
さて、このデュレイ欠場は試合の10日前、イギットへのオファーはすぐだったようですね。ただ、10日でウェイトをつくるのは無理があったようで、前述の通りウェイトオーバー。今回の一戦は、イギットが勝利してもタイトル移動はなく、ロメロが勝った場合のみ防衛記録として記録されるという変則タイトルマッチ。
このイギット、唯一の敗戦は2018年10月、WBSSのスーパーライト級戦で行われた、空位のIBF世界スーパーライト級王座決定戦でイバン・バランチェク(ベラルーシ)に喫したもの。今回は2年ぶりの試合となり、ウェイトオーバーしたとはいえロメロに勝利することは今後につながることです。
さて、ゴング。
初回は様子見、サウスポー・イギットは巧く戦っているように見えます。ロメロはプレスをかけ、一発一発を力強く打っていきます。やや単発気味なところは見受けられますが、やはり迫力がありますね。
2Rも同様に、とはいえロメロもやや攻めあぐねているようにも見えます。イギットはポイントを取るまでには至らないと思いますが、なかなか堂々と戦っています。急遽の代役とはいえ、物怖じはしていません。
3R、ロメロはパワフル。イギットがサウスポーで少し距離が遠く感じてしまうのでしょうか。近い距離では互いにパンチを強振しますが、やはりロメロはパワーで上回ります。
しかしイギットのパンチもなかなか危険なタイミングで入ります。
4R、思い切り前足を出して入っていくロメロ、頭は結構危なく見えます。ロメロは捨てパンチがなく、単発気味で単調。
ただ、イギットは手数が少ない。
5R、ロメロは体を前に倒しながらストレートを打つので、よく伸びます。しかし体制を崩しますね。その体制を崩してからでも強いパンチを打てるところは強みですが、やや隙が大きくなるのも事実。
このラウンドはイギットが上手く攻める場面があり、少し期待も出てきました。
ラウンド終盤、クリンチのもみ合い。ここでレフェリーがストップをかけたところでロメロが打ち込んでしまい、減点。
しかしそのパンチが効いてしまい、再開後もダメージが残るイギットにロメロが追撃、ここでイギットはダウン!
終了ゴングと同時のダウンで、何とか立ち上がるイギットですがかなり足にきています。
6R、当然詰めるロメロ。強いパンチを打ち込んでいきますが、イギの足はなかなか動かず、ガードに頼ってしまうのでロメロは打ち放題。しかしやや力みも見えるロメロ。
終盤、足が少し復活してきたイギットは、ロメロの右が入るも打ち返し、このロメロの追撃からしっかりとサバイブ。
7R、ロメロ、左を伸ばして距離を測って照準をつけ、右をライフルのように打ち込みます。何度か顔を跳ね上げられるイギット。
近い距離でロメロの右がヒット!イギットはダウン!
再開後はまた力いっぱいパンチを打ち込むロメロ、なんとかサバイブを試みるイギット!しかしついにはロメロの左フックがヒット、イギットはダウン、試合を止めました。
ロランド・ロメロ、7RTKO勝利!
勝利者インタビューで、ジャーボンタ・デービスと戦いたいと語ったロメロ。ハードパンチャー同士、素晴らしい打撃戦になりそうですね。
ただ、現状、デービスのほうがディフェンスがよく、仮にパワーが互角としてもデービスに分がありそうです。(個人的には、デービスの圧勝ではないかと思いますし、期待もしています。)
デービス、というかメイウェザーは、PBCファイターでないと戦わない、みたいなことを言っていたと思いますが、ロメロはそこをクリア。
つまりは実現可能、デービスvsロメロ、楽しみですね!
WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
ジャーメル・チャーロ(アメリカ)34勝(18KO)1敗
vs
ブライアン・カルロス・カスターノ(アルゼンチン)17勝(12KO)1分
いよいよ4団体統一戦。
チャーロはあまり人気がないのか、非常に高い能力を有しているにもかかわらず日本であまり話題にならない気がします。
前回、兄・ジャモールは粘るモンティエルを倒せず、やや評価を落としてしまったような一戦だったと思います。
弟・ジャーメルはここに勝って歴史に名を刻むことができば、いまだ無敗の兄・ジャモールよりも評価を得ることができるかもしれません。
4団体統一王者、としてしっくりくるのはチャーロですが、カスターノは侮れず、チャーロ優位は揺るがないまでもカスターノにも期待できます。
あ、WOWOWではカスターニョ。リングアナの声を聞いても、カスターニョですね。表記はそのままにしておきます。
運命の4団体統一戦、ゴング!!
初回、やはり対格差はありますね。カスターノはあまりぐいぐいとはいきませんが、じりじりと距離を詰めます。チャーロはややさがりながら時にジャブを飛ばします。
チャーロがコーナー、ロープに詰まると連打を繰り出すカスターノ。
互いにビッグパンチを狙いつつ、様子見の第一ラウンドが終了。
2R、ともにスタンスは広く、強いパンチを打ち込む気は満々。互いのパンチが当たるか当たらないかぐらいの緊張感のある距離。
ここでカスターノが連打で攻め入ります!攻め込まれるチャーロ、そこから左フックカウンターをヒット、今度は逆に攻め込みます!
静寂から、一気にヒートアップする、このヒリヒリした感覚。。。おもしろいですね。
3R、離れた距離ではチャーロの速く、鋭いジャブが有効か。カスターノは接近戦を仕掛けたいところだと思いますが、カウンターを警戒してなかなか自分の距離までいけません。
と、ここまでこのラウンド、良い形で攻撃できていなかったカスターノですが、残り時間わずかというところでチャーロの左フックにあわせた左フックをヒット!そして再度、チャーロの左フックにカウンターで左を当て、チャーロは腰を落とします!
ここは何とか生き延びたチャーロですが、かなり危ない。
4R、カスターノは自信を持ったかぐいぐいとプレス。チャーロはロープに詰まるとよくありません。
後半にもカスターノはチャーロをロープに詰めて連打。ややガードがルーズなチャーロの、ガードの間隙を縫って左フックがヒット!
チャーロはもっと遠い距離で戦いたいところ。
5R、チャーロのワンツーはガードの上にヒット。カスターノのプレスがやや弱めなのは、来るであろうチャンスに備えているのかもしれません。
やはりチャーロがロープ近くまで下がると、かなりカスターノが元気になりますね。チャーロはワンツーの距離をキープしたい。
6R、半分を過ぎたところで距離が近くなり、エキサイト。ともに危険なパンチを危険なタイミングで放ち、背筋が凍るようなシーンが連発。
7R、プレスをかけるカスターノ、ジャブを突きつつカウンター狙いのチャーロ。互いの持ち味を発揮した4団体統一戦にふさわしい一戦は、折り返し。
カスターノは体が強く、プレスが強い分チャーロもジャブだけでは止められません。そしてジリジリ下がるチャーロは、常にロープを背負いがちであり、ロープやコーナーに詰まってしまえばカスターノの思うツボ。
だんだんと旗色が悪くなってきてしまっているようなチャーロ。これは本当にひょっとしたらひょっとします。
8R、1分ほどのところでカスターノの右がヒット!続いてまた右をヒット、カスターノは連打からのガードポジションへの戻りが非常に速い。そしてこのガードが異常に固く、チャーロのワンツーもこのガードに阻まれています。
9R、まさに「目が離せない」とはこのこと。このラウンドも序盤はチャーロのジャブが有効的に機能し、後半はカスターノが距離を詰めてパンチをヒット。
カスターノの右ストレート、というかオーバーハンドでしょうか、非常に効果的に見えます。
10R、チャーロがコンスタントにジャブをついてスタート。このリズムが3分間続けばラウンドを支配できるのでしょうが、どうしても後半にカスターノに詰められています。
ここで!チャーロのパンチでカスターノが後退!ガードしていたカスターノですが、チャーロの右ビッグパンチでダメージを与えらえました!やや見たチャーロですが、ここで右オーバーハンド等、思い切って攻め込みます!
ダメージの残るカスターノ、ガードをしっかりと上げて左右へステップ、ダメージの回復を図ります。
残り20秒のところでチャーロのワンツー、ガードの上からでもやや効いたかに見えましたが、ここでカスターノはなんと打ち返し、ハートの強さをまざまざと見せつけます。
11R、地元の声援を背に、チャーロが攻勢に出てスタート。ここはもっと攻めていきたいチャーロですが、やはり少し見てしまいます。
回復してきたカスターノ、ガードを固めて前へ。するとチャーロは下がってしまい、やはりロープを背にします。
終盤、チャーロの右を浴びてカスターノはまたも後退!チャーロはチャンスですが!カスターノはまた打ち返し、目まぐるしくかわります。
最終ラウンド、左で突き放すチャーロ!カスターノはボディジャブ、右オーバーを起点に距離を詰めます。
終盤は打撃戦、ここにきてもカスターノの回転力は恐るべきもの。
非常に採点の難しい、ジャッジ泣かせともいえるこの超大接戦は、12Rの激闘を経て、判定決着へともつれ込みました。
採点は、1者が114-113でカスターノ、1者が117-111でチャーロ、もう1者は114-114ドロー。
117-111(チャーロ)は意味不明ですが、ドローか、ややカスターノが上回ったか、と思いましたね。3Rにはカスターノ、10Rにはチャーロと大きなアピールラウンドをつくり、その他のラウンドはプレスをかけるカスターノなのか、それともジャブを突き刺すチャーロなのか、という展開だったので、ドローは有りでしょう。
でも117-111のチャーロはやりすぎです。(2度目)
世間の声は、カスターノを支持する声が多いようですね。
ともあれ、この4団体統一王者が決まると思われた一戦はドロー。
これは即時再戦なのか、それともそれぞれ別の挑戦者を迎えるのか。充実のスーパーウェルター級には、我々おっさんボクシングファンの期待(?)の星、あのコスタヤの息子、ティム・チューがいます。
私は常々、カスターノvsチューのマッチアップが見たい、と言ってきましたが、ここはティムにとっては大きなチャンスが訪れるのではないでしょうか。
チューとの対戦を断った(という認識になっている)マイケル・ゼラファにはもう価値はありません。
ここは、最強の遺伝子を持つ2世ボクサー、ティムに、アメリカに乗り込んで、「ボクシング界のメッシ」ことブライアン・カスターノを倒してきてもらいたいです。
とはいえ、このカスターノも思った以上に素晴らしいボクサーでした。
どこかでチャーロの豪打が爆発するだろう、と思われた一戦で、ここまで見事に戦い、確かに爆発はしたもののその被害を最小限に抑え、前に出る自分の戦い方で火消しをしたカスターノ。そのエネルギッシュなファイトは、多くのボクシングファンを魅了したことでしょう。
統一されてすっきりするか、と思われたスーパーウェルター級戦、チャーロが上の階級に行く前に、チューに世界にたどり着いてほしい。そんな思いでおります。