信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

井上尚弥の「今や軽量級の本場は日本にある」発言を検証。隆盛を極めるニッポンの軽量級、世界のベルトは◯本!!

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ショーン・ポーターが井上尚弥はアメリカで戦うべきだ、と発言したことが物議を醸し、井上尚弥も反応した、というニュース。

アメリカンファイターでないボクサーが敵地で強さを証明する、これはアメリカのボクシングファンが好む傾向であり、アメリカのボクシングファンはブーイングで迎えても試合後に喝采を送るということは珍しくはありません。

井上尚弥はそのほとんどをホームで過ごしている、ということもまた事実ではあるものの、今、井上側にとってアメリカで戦うというメリットは皆無、というのもまた事実です。

ちなみにポーターが言いたかったことは、「アメリカで戦ってないからスターになれない」なんてことではありません。ポーター自身も「間違った解釈をしないで」と伝えている通りなので、記事の伝え方やら切り抜きやらというのはそら恐ろしい。

 

 

 

 

ちなみに、井上尚弥のレスポンスに対してもポーターはしっかり反応。しかもちゃっかり自分のポッドキャストに出演してくれという要請。これは大変に興味深い。ポーターのポッドキャストは、超好評らしい。

なのでこのことは、ちゃんとしたコミュニケーションができていないというだけのことなので至極どうでも良いことなのですが、何せ井上尚弥という存在を生んだ日本という国は、かつてないほどのボクシングバブルが来ています。

ということで今回のブログは、我が国の軽量級の現在について。

 

 

 


「軽量級」とは

軽量級を英語に直訳するとLight Weightとなるので、非常に紛らわしい。ですが世界的にはライト級以下が軽量級、という認識なのでしょうか?

そう考えると、素直にミニマム級〜ライト級がいわゆる軽量級、スーパーライト級からミドル級が中量級、そしてスーパーミドル級以上が重量級、という認識になりそうですね。

まあ、ライト級を軽量級というのは違和感バリバリで、ライト級以上が中量級、という感覚のほうが近いのかもしれませんが、何せ名前が「ライト」(=軽量)なので、一旦ライト級も軽量級に含めましょう。あくまでも日本ではなく、世界で、という話として。

日本単体で言えば、ライト級は軽量級とは絶対的に言わず、スーパーフェザーとかフェザーあたりも軽量級というには憚られますね。軽中量級とか中重量級とか中途半端な言い方もされたりもしますが、明らかにウェルター級とかだと重量級と言い切るし、この辺りは線引きが難しいものですね。

ともあれ、おそらく世界的に見ればライト級も軽量級なのでしょうから、「軽量級が人気ない」と一部の人が吠えるのは大きな間違いであることはわかります。

 

 

 

フェザー級未満はアメリカでは不遇か

それでもやはり、アメリカで注目されるのはフェザー級以上、というのが通例。

その中で、ライトフライ級上がりの東洋人がリングマガジンの表紙を飾ったり、PFPキングを争ったりというのが偉業中の偉業ということですね。

ボクシングの中心地は、間違いなくアメリカ。それはたとえサウジアラビアでビッグな興行が増えたとしても、イギリスのボクシング界がどんなに流星を迎えたとしても、結局はアメリカがボクシングの中心地、という事実はここ数十年変わっていないのです。それは、ヘビー級の世界王者がアメリカにいなくても、オリンピックの金メダリストを排出されなくても、変わることはありませんでした。

なので多くのボクサーたちは、自国で強さを証明し、アメリカに出て戦うことを強く望みます。

たとえばメキシコ人はアメリカで戦わなければ上にはいけないし、メキシコ国内で連勝していればそのうちアメリカからお声がかかる。

 

 

 

たとえばフィリピン人ボクサーたちもアメリカで一旗上げようともがいており、アンダードッグとしてですら呼ばれれば深くは考えずにアメリカで戦い、そしてのし上がっていくボクサーたちも多い。

アメリカのリングには夢があり、国内で戦うだけでは世界へ挑めないボクサーたちは、たった一回のチャンスをものにするためにアメリカ大陸に渡り、アメリカのホープたちと戦い、負け、そして時に勝利して次に繋げています。

アメリカという場所は、常にそうであってほしい、とも願います。

「軽量級の本場」の意味

昔に比べて、「アメリカ以外のリング」も盛り上がっています。近いところでは、敗北してしまいましたがティム・チューを排出したオーストラリアのボクシング界は過去最高に盛り上がっている(かもしれない)。しかし、今の日本の盛り上がりには勝てないでしょう。

この盛り上がりは、井上尚弥という稀代のボクサーが現れたこと、という他に、これまで100年に渡り築き上げてきた日本ボクシング界の土壌というものが大きく関係していると思っています。

 

 

 

これほどまでに、地域のコミッションがしっかりしている(最近アレですけど)ところもないし、記録等も含めて他国にはないレガシーが受け継がれてきているのです。

そうして積み上がった100年以上の歴史の上に、今、「軽量級の本場」として日本の立ち位置を明確にしていきましょう。

2024年4月14日現在、軽量級の世界王座は以下の国々によって支配されています。

ミニマム級

WBA:タイ

WBC:フィリピン

IBF:日本

WBO:アメリカ

ライトフライ級

WBA:日本

WBC:日本

IBF:南アフリカ

WBO:プエルトリコ

フライ級

WBA:日本

WBC:メキシコ

IBF:アメリカ

WBO:空位

スーパーフライ級

WBA:日本

WBC:メキシコ

IBF:アルゼンチン

WBO:日本

バンタム級

WBA:日本

WBC:日本

IBF:プエルトリコ

WBO:オーストラリア

スーパーバンタム級

WBA:日本

WBC:日本

IBF:日本

WBO:日本

フェザー級

WBA:アメリカ

WBC:メキシコ

IBF:メキシコ

WBO:メキシコ

スーパーフェザー級

WBA:アメリカ

WBC:アメリカ

IBF:イギリス

WBO:メキシコ

ライト級

WBA:アメリカ

WBC:アメリカ

IBF:空位

WBO:空位

 

 

 

 

ライト級までは9階級あり、各階級4人の王者がいる(暫定のぞく)と考えて、36人。そして現在のところすでに返上して空位となっている王座が3つ(返上予定も団体のランキングに名前が残っているものはそのままカウントしています)と考えると33人の王者がいる、と考えます。

その中で、重複を含みますが日本人の世界王者たちが持っているベルトは12本にも及びます。

これは次点となるアメリカの7本という数を大きく上回る本数であり、たとえここから井上尚弥の4本がなくなったとしても軽量級においてももっとも大きな勢力であることは変わりません。

これがもし、我々の感覚値としての軽量級、たとえばスーパーバンタム級以下を軽量級とするとすると、24本中の12本のベルトが日本にある、ということになります。まさに軽量級の本場は日本、ですね。

 

 

 

日本にビッグマネーを稼ぎに

さて、スーパーフライ級時代の井上尚弥は、挑戦者選びに非常に苦労していました。

しかし今、井上尚弥が「戦いたい」と言った相手との対戦はほぼ間違いなく実現できる状態になっています。

スーパーフライ級時代の無双ぶりと、WBSS以降のバンタム、スーパーバンタムでの無双ぶりの違いはありません。階級を上げるたびにその階級に似合った強さを発揮する井上尚弥、「井上尚弥が負ける姿が想像できない」のはスーパーフライ時代と全く変わりがないはずです。

それではなぜ、バンタム、スーパーバンタムでは井上が戦いたい相手と戦えるのか。

それはひとえに、彼が築き上げた地位であり、わかりやすくいうとカネロ・ムーブであり、もっと端的にいうとオカネノチカラでもあると言えます。

現代で言うとカネロ・アルバレス、少し前でいうとフロイド・メイウェザーやオスカー・デ・ラ・ホーヤ。もっと前なら、シュガー・レイ・レナード、もっともっと前で言うとモハメド・アリです。

その時代を代表するボクサーは、いつも戦いたい相手と戦い、戦いたくない相手は無視してきました。時には「逃げた」と言われることもあったし、相手の状況次第で戦うと言う選択肢もある。相手の力量を見間違って負けることだってありました。

 

 

 

しかし、それはタイマンの戦いであると同時に、興行的な側面を大きく持つボクシングという競技であるから、否定できるものではありません。

個人的にはそれで良いと思っているし、結局戦わざるライバルとなったボクサーたちだって、別に良い。戦わなかったならば、どっちが強かった、と永遠に語ることだってできます。

話がそれましたが、今、スーパーバンタム級のトップコンテンダーが井上尚弥戦を目指すのは、単に井上を最強と認めているから、そして何よりも日本で戦うことによって大金を得られるというのが大きいと思います。

たとえ負けても決して評価を下げず、リングに上がるだけで過去最高の報酬を手に入れられる。

生活の糧としてボクシングをしているボクサーたちが目指さない理由は一切ありません。スーパーバンタム級やフェザー級のボクサーたちは、戦える可能性があるのならばガンガン井上を挑発すべきです。

逆にこれがアメリカで、いつもの報酬で、となれば、井上と戦う意味はあまりありません。もしあなたがスーパーバンタム級のボクサーならば、井上の返上を待って世界タイトルに挑戦した方が随分利口です。

 

 

 

過去、アメリカで井上と戦ったボクサー。

スーパーフライ級のアントニオ・ニエベス。この頃はまだ、井上の報酬は今ほどではなかった。さらにこれは元々アメリカでの顔見せ興行的な試合でもありました。

バンタム級のジェイソン・マロニー。これもほぼ同じ。日本でやればもっと報酬を得られたかもしれませんが、当時のマロニーにとってはアメリカも日本も変わらなかったでしょう。時はコロナ禍であったことも、さらに、マロニーは強者に挑戦したいという変態的な精神の持ち主であったことも起因しています。アメリカ人とはメンタルが違う。

同じくマイケル・ダスマリナス。こちらは指名挑戦者であり、仕方なく挑戦した感じ。

ちなみにこの3人のボクサーも、たとえば日本とアメリカどっちが良い?と現状の報酬を提示すれば、十中八九日本での試合を選ぶはずです。

もちろんボクサーたちは少しでも有利になるように自国で戦いたいし、お金だけではない名誉を求めています。

ただ、それでもなお、井上尚弥と日本で戦う価値、というのは、大きいはずです。そのことは、スーパーバンタム級の統一王者だったスティーブン・フルトンが、わざわざ日本までベルトを運んでくれたことで証明もされています。アメリカで試合をやる方が旨みがあったならば、間違いなく井上がアメリカに行っているはずですから。

 

 

 

紛れもなく、軽量級の中心地

さて、御多分に洩れず、井岡の試合もほとんどが日本での試合。一部例外はあるものの、井岡一翔というボクサーも大きなバックアップを受けて、多くの試合を叶えてもきました。ただこれは、井上尚弥ほどのものではありません。

彼には、多くの指名戦が課されたり、統一戦の交渉がうまくいかなかったことも多い。

この辺りのお金の話、政治の話というのもマッチアップに必要だからこそ、ボクシングという競技は大きなお金を稼げるスポーツとなってきたわけです。

それでも、未だやはり多くのボクサーたちが日本に王者を呼んで世界戦を組めている、という現実は、やはりこの国が軽量級というカテゴリーにおいて大きな影響力を持っているからにほかありません。

敵地に乗り込んでの戦いは、ロマンこそあれどリスキーなのは事実。

戦うボクサーのことを思えば、少しでもことが有利に運ぶように手配を行う、ということは、至極自然なことであると思います。

 

 

 

そんなわけで、井上尚弥と戦いたければ、世界最強とされるボクサーと戦いたければ、そのボクサーの庭に来い、というのは当たり前のことなのです。その代わり、大きな報酬を出しますよ、別にこれで変なことは一切ない。

そんなわけでこの時代、日本に住んでいる我々は本当にラッキー。

心ゆくまで世界最強を生で見れる恩恵を受けましょう。

でも個人的にアメリカのファンの前で戦ってほしい、と思っていますし、せめて日中に試合をして、アメリカのプライムタイムに合わせての試合時間にしてほしい、と思うのです。というか、GWの最終日の夜にやる意味はよくわからん。

 

 

 

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