今週末は、サウジアラビア興行。
ドミトリー・ビボルvsマリク・ジナドをメインに据えて、サウジアラビアの観光庁の長官であるトゥルキ・アラルシクが見たいカードを組んだようなマッチアップ。
だからこそ、非常に興味深い戦いが揃っているのは事実なのです。
素晴らしいマッチアップが多すぎて、1記事に収まる気はしないので、2記事に分けていきましょう。それもなるべく、簡潔に。
ということで今回のブログは、6/1に行われるサウジアラビア興行のプレビュー記事、vol.1です。
WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ
ドミトリー・ビボル(ロシア)22勝(11KO)無敗
vs
マリク・ジナド(リビア)22勝(16KO)無敗
この戦いは本来、アルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボルという、今現在のボクシング界で考えられる最大のマッチアップでした。
しかしベテルビエフの怪我によりこの戦いは延期、ただしビボルはこの6月に試合をしたいという意思を示したことで挑戦者をピックアップ、WBA王座の防衛戦として行われることになった戦いです。
ドミトリー・ビボルについてはもはや説明は不要でしょう。
なので今回はマリク・ジナドというおそらく世界的には無名のボクサーを掘り下げていきましょう。
マリク・ジナドはリビアという国の出身で、リビアはアフリカ大陸にあります。エジプトやチュニジア、アルジェリアと国境を境にしており、地中海に面した国。地中海を挟んでギリシャやイタリアとも国境を境にしていますね。
このリビア出身のジナドは、おそらく典型的なアフロアメリカンとは異なります。見た目的に。現在は地中海にあるマルタを拠点としており、リビアからは離れて暮らしているようですね。
マルタという小さい国、リゾートで生計を立てているような国でもボクシング興行はあるようで、2015年のプロデビューはマルタ。その後はフランスやハンガリー、ベルギー、ドイツ、イギリス。。。と各地を回って戦い続けたロードウォリアー。
そこでかの国の有望株を喰って上がってきたボクサーだけに、本当に侮れない相手ではないでしょうか。
特にここ2戦は無敗のボクサーを相手に判定勝利を収めており、前戦はジェロム・パンペロン(イギリス)を破ってIBFの次期指名挑戦権を獲得しています。
なのでこのボクサーは、歴として挑戦権を有したボクサーであり、代役挑戦者にありがちなランキング下位のボクサーだったり、挑戦のためにランキングに入ったボクサーではない、ということです。
BoxRecを見ると身長186cmとありますが、映像で見る限りリーチはかなり長そうです。パンペロン戦の映像を見ましたが、パンペロンのリーチが190cmだとするとそれよりかなり長く見えます。
遠い距離から、ルーズ目のガード、決してパンチスピードが速いわけではないですがかなり伸びてはくるでしょう。
これは距離を把握するのに結構時間がかかるタイプであり、特に前半においてやりづらい相手でしょうね。
ここは百戦錬磨、オーソドックスな技術の塊とも言えるドミトリー・ビボルが丁寧な戦いで距離を把握し、後半にかけて差を広げていくという展開になるとは思いますが、このジナドというボクサーは結構特異なタイプのボクサーであり、短期間での対策は難しいタイプのボクサーかもしれません。これは淡々とこなすビボルのようなタイプでなければ結構難しい相手だったような気もします。
チャン・ツィーレイ(中国)26勝(21KO)2敗1分
vs
デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)43勝(42KO)3敗1分
もはや正真正銘の「サバイバル」マッチ。
この戦いはオッズが非常に競っており、5/26現在でいえばほんの少し、ツィーレイを支持する声が多いようです。
ツィーレイにしても、ワイルダーにしても、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に敗れた者同士であり、ここからヘビー級トップ戦線に返り咲くにはまずこの目の前の相手を確実に片付けなければなりません。
この試合は、判定決着してはいけない試合、ということができます。
「ビッグバン」と呼ばれ、東アジア人として初めて世界タイトル(暫定ですが)を獲得したツィーレイは、デビューからバッタバッタと相手を倒し、そのノックアウトシーンが話題になることもしばしば。
ツィーレイはジョー・ジョイス(イギリス)を破ってWBO世界ヘビー級暫定王座を獲得、初防衛戦でジョイスを返り討ちにするも、前戦でパーカーに敗れてタイトルを失っています。
デオンテイ・ワイルダーは「ブロンズボマー」、かのジョー・ルイスをもじったニックネームをつけられ、アメリカの期待に応え続けてきたボクサーです。
ボクシングを始めたのが20歳、とすでに出遅れたにも関わらず、22歳で北京オリンピックに出場して銅メダルを獲得。
プロ転向後はKOの山を築いてWBC世界ヘビー級王者となり、このタイトルを10度に亘り防衛することになります。
しかし11度目の防衛戦、一度は引き分けたタイソン・フューリーとの戦いで7RTKOで敗北、この頃からワイルダーはおかしくなってしまいましたね。
リマッチでも敗北したワイルダーは、ロバート・ヘレニウスを相手に復帰戦。この戦いは初回KOで勝利するも、下手くそなアウトボックスを試み、たまたま当たったように見える右カウンターで試合を決めています。
この戦い方をその次のパーカー戦でも決行、パーカーはこのディフェンシブで逃げ腰のワイルダーを相手にヒットアンドラン、楽々と判定勝利をものにしています。
さて、この戦い方を続けるようであれば、デオンテイ・ワイルダーに明日はありません。
フューリー戦で地震の脆さを自覚したのか、それとも痛烈なノックアウト負けにより脆くなってしまったのか、遅れてしまったのか。
自身の右を当てることにだけ注力すればまだ戦えそうではありますが、今のワイルダーにそれができるのかというと出来無さそうな感じがしています。
その部分がクリアにならなければ、ほぼ間違いなくツィーレイが勝つでしょう。一縷の望みは、ワイルダーがかつてのように戦うこと。
この戦いは、デオンテイ・ワイルダーという稀代のボクサーに、ツィーレイが引導を渡す結果になりそうですが、如何に。
ダニエル・デュボア(イギリス)20勝(19KO)2敗
vs
フィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)17勝(14KO)無敗
このサウジアラビア興行に組み込まれたヘビー級ファイトのうち、興味深い戦いはこちらの戦いです。
「ダイナマイト」ダニエル・デュボア、元WBA世界ヘビー級レギュラー王者は、そういえば藤本京太郎をジャブだけで倒してしまった経歴を持つボクサー。
そんな日本と世界の差をまざまざと見せつけてくれたデュボアも、「ジャガーノート」と呼ばれるジョー・ジョイスのジャブに倒れたのが藤本戦から1年後のことでした。
ともあれ、そこから大復活を遂げたデュボアは、WBA王座を獲得したのちにオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に敗北。前戦ではジャレル・ミラー(アメリカ)を倒して再起、この一戦を迎えます。
さて、クロアチアのフルゴビッチ、本来はもっと早くにチャンスが回ってきてもおかしくなかったボクサーです。
フルゴビッチは2022年にツィーレイに僅差ながらも判定勝利をしており、本当はツィーレイよりも先に世界挑戦して然るべきボクサー。ただ、そうはならなかったのは後ろ盾の問題なのでしょう。
前戦ではサウジアラビアのリングに登場、マーク・デ・モリ(オーストラリア)戦を初回で終わらせています。
ヘビー級においてしっかりとボクシングをするタイプのコンビネーションパンチャーであり、「アニマル」というニックネームとは全く異なった離地的に見えるボクシングを展開するボクサーです。
デュボアもボックスできるタイプのヘビー級ですから、このヘビー級で(ヘビー級なりの)技術戦が見られる可能性がありますね。
パンチングパワーとしてはデュボアでしょうから、デュボアが真正面からすりつぶしにくる可能性もありますが。
これはかなり50-50に近い戦いではないか、と思います。(ワイルダーとツィーレイもオッズ的には50-50ですが、意味合いが違います)これは非常に楽しみなヘビー級戦です。
vol.2に続く
配信情報
この興行は、DAZNで生配信です。
DAZN PPVの価格は3,000円、今回紹介した試合のほかにあと3試合の予定を含んでいます。
1試合に換算すると500円(という無茶な計算w)となるのでもちろんここは購入すべきでしょう。
配信日時は6/2(日)AM3:00〜、メインは朝7:00か8:00くらいでしょうか。
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