本日はサウジアラビアでの興行。
6/2(日)AM3:00〜の興行だったのでその日の予定が終わってからのディレイ視聴。さらに12回戦が6試合という長時間興行だったため、まず興味のある試合をかいつまんでの視聴です。
これを全部視聴するというのはそれだけでかなり時間を取られ、骨も折れます。
ということで今回のブログは、6/1に行われたサウジアラビア興行の観戦記。
6/1(日本時間6/2)サウジアラビア
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
レイモンド・フォード(アメリカ)15勝(8KO)無敗1分
vs
ニック・ボール(イギリス)19勝(11KO)無敗1分
この試合がオープニングファイトか、と思っていましたが、オープニングファイトはウィリー・ハッチンソンvsクレイグ・リチャーズ。
そして第二試合にこのフォードvsボールのWBA世界フェザー級タイトルマッチが組み込まれています。正直な話、この試合が私にとってのメインイベントです。
まず初回から勢いよく攻め入るのはニック・ボール。フォードもこれに臆することなくカウンターを狙い、押し込まれることもありつつも突き刺すようなジャブ、バックステップから鋭いワンツーを放って対抗しています。
2R、ボールが強いプレスとともに素晴らしい回転力でっ攻め込みます。フォードはそれをブロッキングで耐え、逃げ回ることなくスピーディなパンチを返す。ボールのパワーに押されているわけではありませんが、ボールの回転力は非常に厄介で、この距離では優勢に立つのはボールの方。
3R、ノンストップアクションのニック・ボール。フォードも素晴らしいコンビネーションとカウンターを見せていますが、何せボールのアクションが非常に多い。
4Rもボールの手数は止まらず。その中でフォードの打ち終わりに攻め入ろうとするなどしたポールは、中盤に大きな左フックをヒット。その後も圧倒的な手数と素晴らしい回転力を見せつけるのはニック・ボールです。
5R、互いにブロッキングを崩さないですが、明らかにボールの距離で戦う両者。フォードがこの距離で戦うのは何故なのか。
小柄なボールのアッパーは幾度となくフォードの顔を跳ね上げていますが、フォードはこの距離から退くことをしないようです。
6R、ボールはちょっと粗くなってきているか、大きなパンチとホールドから投げ飛ばそうとする動作が目立ちますね。
7R、ボールが4パンチコンビネーション、この繋ぎは非常にスムーズ。しかしこのラウンドは後半、フォードが左のビッグパンチをヒット、これでボールはダメージを負ったか。それでも終盤は攻め込む意地を見せています。
8R、ダメージからなのか、警戒からなのか、若干二人の間に距離が空きます。これはボールが距離を詰めきれていないから、と捉えるのが正解かと思いますが、これによりフォードのパンチが活きます。このラウンドはミドルの距離でフォードのアッパーがヒット、若干潮目が変わったかと思われるラウンドながらも、やはり後半にはボールが攻め込む場面を作っています。
9R、ボールはもっと頭を動かすべきだと思いますが、フォードの攻撃の全てをブロッキングで防ごうとしています。
自ら攻めては素晴らしいアングルでのコンビネーションを打ち込むポールですが、どちらかというと攻防が分離、互いに攻撃時と防御時が別れて戦っているようなイメージ。
10R、このラウンドに来ても止まらないボールの突進。その突進をバックステップで交わしてリターンを決めようとするフォードの集中力もさすがのものです。
11R。DAZNの非公式採点ではここまでドローですが、ボールが全体的に押しているように思います。
ボールが変に下がった時、フォードが効果的なパンチをヒットすることはあるので、そういう場合に見栄え的にフォードにポイントが流れる可能性はあるのかもしれません。
ラストラウンド。
トータルパンチスタッツは、フォード139/588、ボール147/738ということで手数は圧倒的にボール、ヒット数もボール。
このラウンドも非常にアクションの多いニック・ボール、中盤にフォードのアッパーカウンターを浴びてもその勢いは衰えることはなく。フォードにとってもボールにとっても非常にタフな戦いとなった12Rが終了、試合終了後はともに勝利をアピール!さらにエディ・ハーンもフランク・ウォーレンも周りに勝利をアピール!
判定は、115-113フォード、115-113ボール、115-113、ニック・ボール!!
割れましたね〜。これはドローもあり得るのか、と思いましたがボールが僅差の判定勝利。しっかりととったラウンドはボールの方が多かったようなイメージ。
WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ
ドミトリー・ビボル(ロシア)22勝(11KO)無敗
vs
マリク・ジナド(リビア)22勝(16KO)無敗
この戦いはメインイベントではなかったんですね。まあ、ベテルビエフvsビボルならもちろんメインでしょうが、無敗とはいえこのジナドというボクサーはメジャーとはいえず、仕方ないかもしれません。
ところでDAZNの対戦カードを選んでそこまで飛べる機能、めちゃくちゃ良い。特にこういう長時間興行で、とりあえずピックアップして見るのには本当に最高です!
初回、いつもより細かな上体の動きがせわしないように思うドミトリー・ビボル。いつもはもっと落ち着いているような。
忙しなく左を動かすビボルはいつもより若干距離が近いように思い、忙しなく動くビボルを見て逆に落ち着いた雰囲気のジナド。ビボルのジャブはいつもより伸びないイメージで、このジャブの打ち終わりに浅くながらもジナドの右クロスがヒットしています。
これはビボル大丈夫なのか?とか思った瞬間、ジナドの右に対するリターンジャブからのコンビネーションでビボルは早々にダウンを奪取!
ダウンを奪ってからの少々の時間はビボルは落ち着いており、いつものビボルに戻ったイメージです。
2R、ジナドはかなりリーチがあり、ビボルも入りづらいのかもしれませんね。ジリジリと距離を詰めるビボル、ジナドは下からフリッカーのようなジャブなのでジャブカウンターを取り辛く、ビボルも攻めるタイミングを掴めずにいるか。とはいえジナドはほとんどジャブだけ。
3R、相変わらず長いジャブのジナドは、あまり右には繋げられません。中盤、ビボルがコンビネーションを繰り出すとジナドはあまり対応できず。
ただビボルも思い通りにコンビネーションを出せるわけでもない、というところがこのジナドというボクサーのやりづらさを示すもの。
4R、ビボルはジナドのジャブをブロッキングで受けながら、入るタイミングを伺っています。もう一歩距離を詰めることができればビボルのストレートコンビネーションが当たる距離、ジナドは少なくともこの距離を死守しなければなりません。
5R、ジャブで牽制するジナド、このラウンド1分ほどのところで右ストレートをヒットしてビボルの頭が上がります。これはもしかして初めて良い形で当たった右かもしれません。
ビボルはその後プレスを強め、サークリングするジナドをグイグイと追い詰めます。ちょっとやはりいつもの戦い方とは違うのは、ジナドというボクサーを待っていても仕方がないからなのか、それともこの先にある戦いを意識してのことなのか。
6R、ジナドがジャブを連打。しかしこのラウンドはビボルがコンビネーションを出す時間が増えてきています。その分、踏み込めているということで、インサイドに入れているということです。
中盤、ビボルは若干のステップインを伴って左フックをヒット。いよいよフックが当たる距離まで来たか。
ここからビボルは右のクロスをヒット、これで下がったジナドに対して突然のチャージ!攻め続けて手数が止まらないビボル、ジナドがコーナーに詰められるとここでレフェリーがストップ!
ドミトリー・ビボル、6RTKO勝利!
ちょっとストップは早かったような気がします。が、次戦に向けて良い勝ち方ができたビボル。少ない手数でジナドを追い詰め、最後のラッシュは見事でしたね。
ダニエル・デュボア(イギリス)20勝(19KO)2敗
vs
フィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)17勝(14KO)無敗
元WBA王者、デュボアとツィーレイに勝利したフルゴビッチ。おそらくこの勝者とツィーレイvsワイルダーの勝者、というかおそらくツィーレイがぶつかるという筋書きなのかもしれません。
まず初回、デュボアがサークリングしつつのボクシング、フルゴビッチは落ち着いた雰囲気で長い左右を投げ飛ばし、この長い右が早くもデュボアによく当たっています。
こんな序盤からいくつも右をもらってデュボアは大丈夫なのか、という立ち上がり。
2R、ヘビー級においてステップワークはかなり良い方だと思われるデュボアですが、このフルゴビッチの長いパンチを距離で外すことはできず。逆にオープンガードのところがあり、かなりもらっているように見えます。
フルゴビッチは当て勘がよく、力感こそないもののKO率を見る限りパワーはあるのでしょう。
このままではデュボア危うし、というところでしたが、後半にジャブカウンター、右ストレートをヒットしてフルゴビッチにダメージを与えています。
3R、デュボアはリズムが出てきました。フルゴビッチの長いパンチは未だ脅威ではあるものの、右をもらう確率は減っており、デュボアのジャブもよく出るし踏み込みも良い。
4R、デュボアのジャブが届くようになってきました。そこから力強い右に繋げるデュボア。
しかし中盤にはまたフルゴビッチのジャブ、右がヒットするようになり、これはクロスファイトたり得る展開。やはりツィーレイを破っているフルゴビッチも伊達ではありませんね。
5R、デュボアが良いプレスをかけてスタート。ジャブから右のオーバーハンドも良い攻撃です。
フルゴビッチも中盤に長い右をヒット、その後にすぐジャブから右のロングアッパーというコンビネーションは当たりこそしませんでしたが非常に怖い。
互いに良いパンチを当てあっており、これは最後まで行かなそうな展開です。
6Rも同様に互いに持ち味を発揮しつつの戦いの中、フルゴビッチはちょっとバランスが崩れてきたか。
7Rは序盤からデュボアがこれまでよりも強く攻め入ります。
しっかりと距離を詰め、左右のフックを叩きつけるデュボア、それまでのジャブを丁寧に突きながらプレスをかけるものとはまたちょっと別のペースです。
ちょっとこれまでがハイペースだったのか、フルゴビッチは疲れているかもしれません。手が出なくなっており、バランスを崩すこともしばしば。
終盤、デュボアが強い右をヒット。続けて左フックでフルゴビッチは弾かれ、もはや限界だと思われます。
8R、明らかにきめに行くデュボア。これまで以上に強く出ます。
フルゴビッチのダメージはありありで、さらに疲労も激しそう。
かなり出血のひどかったフルゴビッチ、ここでドクターのチェックを受けて試合続行不可能との判断、デュボアの8RTKO勝利!
終わりはあっけなかったですが、いずれにしろ、間違いなく8R目はKOラウンドになったでしょう。
初回、2Rあたりは本当にどうなるかと思いましたが、デュボアはしっかりと学び、持ち直し、自分の戦いにしっかりと引き込みました。
やっぱりダイナマイト・ダニエル・デュボアは良いボクサーです。
チャン・ツィーレイ(中国)26勝(21KO)2敗1分
vs
デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)43勝(42KO)3敗1分
さて、2試合飛ばしているのにもう随分疲れてしまったし、時間もないわけで。このツィーレイvsワイルダーについてはもはやさほど期待できることはありません。
なぜなら、ワイルダーはもうかつてのワイルダーではないと思われるからです。
と、期待を持たないということでワイルダーが負けてもショックを受けないような予防線を張った状態で初回のスタート。
初回、何もなくいきなり下がり始めるワイルダー。チャンはジリジリとプレス、後ろ荷重に構えるワイルダーは明らかに右を振るタイミングを狙っており、はっきりいえばその右にだけ気をつければ良い上体なので、これはプレスもかけやすいでしょう。
もう、良い時のワイルダーを忘れてしまって思い出せないですが、こんな感じじゃなかったはずです。
2R、下がりながら戦うワイルダー、右はスピードこそあれどパワーはこもっている気がしません。
怖さのないワイルダーに対してちゃんはしっかりとプレスをかけ、早々にコーナーに追い詰めます。ここでチャンがラッシュをかけると、ワイルダーにはそれをブロッキングで止める体の強さはなく、ちゃんの左右のフックにより体が左右にブレまくり。
基本的にロープ際、コーナーで戦いを強いられるワイルダー。
3R、そんな中でも、ワイルダーが渾身の一発を当てればドラマは起こり得ます。ただ、そのドラマティックな一発が出るような気がしない、これは私がワイルダーに期待を抱けないという気持ちからそう感じるものかもしれません。
4R、左を出して右に左に動くワイルダー。チャンは落ち着いてプレス、こちらもアクションが非常に少ないですが、ラウンドごとに山場は作っており、このままの流れで判定なら問題はないでしょう。
5R、開始30秒、ワイルダーの右がヒット!コツンと当てるような右ではありましたが、こういう右でワイルダーが倒してきたのを幾度も見てきました。
そこから一気にいくワイルダー!これはまさかが起こるのか、と一瞬期待させるも、チャンにはダメージがないようで、またも同じ展開。
そしてハーフタイム、両者の右が交錯!当たったのはチャンのパンチのみ、ワイルダーはもはやダメージでわからなくなっているのか、ゆっくりと一回転!ここを逃さないチャンが右をヒットすると、ワイルダーはダウン!!!!
これはもはやカウントはいらないのでは?と思う痛烈なノックダウン、ワイルダーはなんとか立ち上がるもレフェリーはストップ!!!
チャン・ツィーレイ、5RTKO勝利!!!!
ビッグバンが炸裂、デオンテイ・ワイルダーは無念。
ワイルダーにとってはここはもはやグローブを吊るす時がきた、と考えるのが妥当でしょう。が、それを難しくするのがサウジマネーなのかもしれません。誰と戦っても、大金を稼げるとなると「もう1試合」と長引いてしまうことも考えられます。
とにかくダメージを溜めすぎないまま、第二の人生を迎えて欲しいものです。
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