オシャーキー・フォスター(アメリカ)がWBC世界スーパーフェザー級王者へ返り咲き。
かつてプロスペクトと呼ばれたこのボクサーは、まだ地域タイトルに絡む前の2つの敗北によりハシゴを外され、それでも諦めずに戦い続けて世界タイトルマッチの位置まで上り、WBCに優遇される王者、レイ・バルガス(メキシコ)に勝利して世界王者となったボクサー。
初防衛戦では気持ちの強さを、2度目の防衛戦ではスキルと勝負強さを見せたフォスターは、3度目の防衛戦でロブソン・コンセイサン(ブラジル)に敗れてタイトルを奪われます。
しかしこの戦いの判定は物議を醸すものであり、ダイレクトリマッチが決定、このリマッチにより王座を取り戻し、WBC世界スーパーフェザー級王者への返り咲きを果たしました。
ここから彼は、「統一戦に進みたい」と言います。
↓観戦記
オシャーキー・フォスターの期待は、エマニュエル・ナバレッテvsオスカル・バルデス2の勝者との統一戦です。
多くの「有名人」が集まるも、突出した王者はいないと考えられるこのスーパーフェザー級、今回のブログでは現在のスーパーフェザー級戦線を見て行きます。
WBA王者:レイモント・ローチ(アメリカ)
こちらもフォスターと同じくかつてプロスペクトと呼ばれたボクサーであり、ローチはしっかりと階段を登った上で2019年に当時のWBO王者、ジャメル・ヘリング(アメリカ)に挑戦しています。
しかしここは完敗といって良い内容での敗北であり、その後地力を養ったローチは挑戦者決定戦を経ての王座挑戦、エクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)に勝利して王座を戴冠しています。
初防衛戦はフィアガル・マクローリー(アイルランド)に8RTKO勝利の快勝、いざここから、というところでまさかの12月、ジャーボンタ「タンク」デービス(アメリカ)戦となりました。
初防衛戦をクリアしたとはいえ、まだまだ強さを見せられているわけではないローチ、このタンク戦は非難轟々。ここでエクトル・ガルシアと同じ道を辿るのか。。。
ここでタンクにノックアウトされ、その後調子を崩して王座を明け渡す、というところまでがセットなのかもしれません。ということで、来年の前半に予定されるであろうこのローチの2度目の防衛戦、というのはもしかしたら狙い目なのかもしれませんね。
WBC王者:オシャーキー・フォスター(アメリカ)
見事、とはいえないまでも、返り咲きを果たしたオシャーキー・フォスター。もちろんこのボクサーの真骨頂は待ちのボクシングであり、カウンターのボクシング。初戦で「待ちすぎた」フォスターは今回比較的攻撃的であり、どっちつかずの試合ではあったもののそれが奏功した結果となりました。
このフォスターはレイ・バルガスへの勝利と初防衛戦の「ロッキー」エルナンデスへの大逆転勝利で評価を得ているボクサーだと思います。
コンセイサンとの再戦は初戦の敗北をなかったものにするもので、今後は統一戦を希望。狙うのはエマニュエル・ナバレッテvsオスカル・バルデスの勝者、とのことで、最もネームバリューのある相手を狙うのは当然のことですが、その前に力石の挑戦を受けてもらいたい。
IBF王者:アンソニー・カカス(アイルランド)
イギリス出身、と表記されることもありますが、彼の国籍はアイルランド。Bサイドから出てその戦いを勝ち上がってきた、筋金入りのボクサーです。
ローチ、フォスターと同様に判定タイプのボクサーであり、エキサイティングさはないですが、Bサイドとしてリングに上がって僅差でも何でもいいから勝利をもぎ取らなければいけない、という状態の中で育ってきたから仕方がないのかもしれません。いっときはAサイドとなったフォスターや、挫折を経験しましたが基本的にAサイドとして戦ってきたローチとは一線を画す、骨太なキャリアです。
しかし、王座獲得戦はいただけません。
当時の王者、ジョー・コルディナに挑んだカカスは、結果だけ見れば8RTKO勝利なのですが、3Rにレフェリーのストップの合図の後に無防備なコルディナに一発をお見舞い、結果的にこれが勝負の分かれ目になりました。
油断したコルディナが悪い、というレベルのものではなく、そのダメージが抜けきらなかったコルディナも戦おうとしたことは立派ではありましたが、ノーコンテストでもおかしくないものだったと思います。
王座を獲得したカカスはコルディナ戦後、ジョシュ・ウォーリントンを退けるも、ウォーリントンはIBFの挑戦者として認められず。初防衛戦はおそらく指名戦で、指名挑戦者はエドゥアルド・ヌニェス(メキシコ)。これはなかなかのホコタテ対決ですね。
WBO王者:エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)
4人の王者の中で、唯一、倒せるボクサーと言えるエマニュエル・ナバレッテ。
スーパーバンタム、フェザー、スーパーフェザーを制した3階級王者は、不思議なリズムと不思議な軌道のアッパーを持ち、非常に有名なボクサーです。
次戦は12/7(日本時間12/8)、指名挑戦者の元世界王者、オスカル・バルデスを迎えます。
この2人は2023年8月にすでに対戦しており、その時はナバレッテが12R判定勝利を納めています。
そこからバルデスは挑戦者決定戦でリアム・ウィルソン(オーストラリア)を7RTKOで破り、この階級で2度目の世界挑戦に漕ぎ着けています。
ナバレッテはスーパーバンタム時代、フェザー級時代に比べてそのパフォーマンスは翳りが見えている、と言わざるを得ません。
階級アップによる壁の存在もあるでしょうし、長らく勝ち続けてきたモチベーションの面もあるのかもしれません。
このスーパーフェザー級タイトルは2023年2月、リアム・ウィルソンに9RTKO勝利で得たものですが、この戦いではダウンを奪われる大苦戦。
初防衛戦のバルデス戦は完勝でしたが、2度目の防衛戦となるロブソン・コンセイサン戦では三者三様のドロー。前戦ではスーパーフェザー級タイトルを保持したままライト級王座決定戦に出場、デニス・ベリンチク(ウクライナ)に敗北を喫し、10年以上ぶりの黒星を与えられています。
ただ、前戦を見る限りでは、2戦目も同じような内容になる、とも思われ、バルデスが勝利するには何かの秘策が必要ではないかと思います。
リングマガジンランキング
リングマガジンランキングを見てみると、先ほどまでの4人の王者を紹介しただけで、10人中9人を紹介できたことになります。
一応1位がナバレッテ、2位がオシャーキー・フォスターです。3位はバルデス、4位がカカス、5位がローチですね。
6位のコルディナはライト級への転級を匂わせ、7位のエクトル・ルイス・ガルシアはローチに王座を明け渡した後試合をしていません。8位にコンセイサン、9位にカカスに挑戦するであろうエドゥアルド・ヌニェス。このニューカマーには期待しましょう。
そして10位、このボクサーがまだ紹介していなかった、アルベルト・バティルガシエフ(ロシア)。名前からして強そうなこのボクサーはロシアのババユルトというところの出身で、これは西アジアの方(アゼルバイジャンとかあの辺)です。現在は中央アジア(カザフスタンとかあの辺)の近く、ニジネヴァルトフスクを拠点としているボクサーです。
前戦は元タイトルチャレンジャー、ジョノ・キャロル(アイルランド/2019年にテビン・ファーマーに挑戦して判定負け)を9RTKO、その前には2戦連続で無敗のボクサーを破っています。その前は元王者ジェスレル・コラレス(パナマ)、元タイトルチャレンジャーのリカルド・ヌニェス(パナマ)等々、強豪を次々と撃破しています。
実はこのボクサーこそが、来年か再来年あたり、この階級で最強となるボクサーではないか、と推察しています。
彼の名前を聞けばピンと来る方も多いかもしれませんが、このバティルガシエフは東京五輪のフェザー級金メダリストです。
決勝ではデューク・ラガンを僅差の判定で破っての金メダル、ですが、このとき、ボクシング歴はたったの5年。激戦のフェザー級で、です。
東京五輪ではロシアは国としての出場を認められず、ROCとして出場。おそらくサポート面では国の代表として出場するほど受けられなかったはずですが、そのディスアドバンテージも何のその、しっかりと金メダルを獲得。東京五輪前にプロデビューしたこのバティルガシエフは、現在11勝(8KO)無敗(※リングマガジンでは12勝となっています)、まだ苦戦すらしていないので全く底がみえません。ちなみにWBAの暫定王者、という肩書きを持っていますが、これは無視すべきものでしょう。
そしておそらく、この次点に入っているのはアンドレス・コルテス(アメリカ)と力石政法(大橋)です。
コルテスは前戦でエイブラハム・ノバ(アメリカ)を破る殊勲をあげ、その前の数戦でもブライアン・シェバリエ(プエルトリコ)、ザビエル・マルティネス(アメリカ)といった好戦績のプロスペクトを連覇。WBOで3位という好順位につけており、狙うは同じアメリカ大陸で行われるナバレッテvsバルガスの勝者でしょうか。
そして我らが力石政法、IBFで3位、WBCで6位、WBOで8位とすでにウェイティングサークルで準備万端、来年の世界挑戦を見据えています。
2025年、どの王者に力石が挑み、そして世界王者になってくれるのか。非常に楽しみですね。
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