信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

井上の次戦が正式決定!!今こそ振り返る伝説のドネア戦!【Part4】

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

いよいよ正式決定!4/25(日本時間4/26)、相手はジョンリエル・カシメロ!

※このブログは、井上尚弥のプロキャリアを振りかえっているブログです。

2/1(金)、内定していたカシメロとの一戦が正式発表されました!

井上尚弥、「4.25」カシメロ戦を正式発表 初のラスベガス上陸&3団体統一戦が実現(THE ANSWER) - Yahoo!ニュース

ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)は、3階級制覇王者で、フィリピン人らしく思い切りの良いビッグパンチをふるってくる選手。踏み込みもするどく、井上のライバルと目されていたゾラニ・テテ(南アフリカ)を3Rで屠ったことも記憶に新しいです。

井上vsカシメロの予想、というとやはり井上の圧倒的KO勝利が濃厚となってはきますが、カシメロはパンチもあって危険な相手です!テテ戦も番狂わせで破っていますので、油断はなりません!(井上に限って油断などないとは思いますが)

カシメロは、ロングレンジから間合いをつめるように大きなパンチを放ってきます。井上は、そのビッグパンチをはずして打ち終わりを狙う展開にするのか、それともカシメロがパンチを放つスペースをつぶして、接近戦に持ち込むのか・・・いずれにしろ、試合展開の主導権は、井上にあると考えます。

日本の誇るPFP、井上尚弥が、本場アメリカ、ラスベガスのリングで、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか・・・今から楽しみで仕方ありません!

さて、このブログではそんな井上のプロキャリアを振り返っていましたので、本題に入ります。いよいよ伝説となった12ラウンズ、ノニト・ドネア戦です!

 

 

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WBSSの決勝の相手、“フィリピーノフラッシュ”ノニト・ドネア!!

さて、WBSSの一回戦(準々決勝)ではファン・カルロス・パヤノを1Rで、そして二回戦(準決勝)ではエマニュエル・ロドリゲスを2Rで、それぞれ退けた井上尚弥。いよいよ決勝戦に臨みます。

boxingcafe.hatenablog.com

 

決勝の相手は、ノニト・ドネア

ノニト・ドネアがこのWBSSの決勝まで上がってくるということを、誰が想像できたでしょうか。決勝まで上がってきて欲しい、という希望を持っているファンは多くても、心のうちでは「厳しい」と感じざるを得ませんでした。かくいう私もその1人。

ドネアは、WBSSが開催される前にはバンタム級の2階級上、フェザー級での世界挑戦(暫定王座決定戦)に出場していました。(カール・フランプトンに判定敗け)

なので、このWBSS出場のために、バンタム級に2階級下げる、というのも、当時は無謀に思ったものでした。

 

レジェンドボクサーの超略歴

ノニト・ドネアのキャリアは、フライ級からスタート。フライ級では後の二階級制覇王者、ビック・ダルチニアン(オーストラリア)を得意の左フックで戦慄のKO。IBF世界王座を戴冠。

その後、WBA世界スーパーフライ級の王座を獲得、バンタム級ではシドニー五輪銅メダルのウラディミール・シドレンコ(ウクライナ)から3度ダウンを奪いTKOのあと、フェルナンド・モンティエル(メキシコ)に挑戦。モンティエルは長谷川穂積に中身の濃い4Rの闘いでWBC王座を吸収した、WBO・WBCの世界統一王者。

そのモンティエルは、今も語り草になっているドネアのカウンター左フックで頭蓋骨を陥没。衝撃的なKOで長谷川を破ったモンティエル、今度は衝撃的なKOでドネアの前に散る。この頃からしばらく、ドネアは向かう所敵なしでした。

その後、オマール・ナルバエス(アルゼンチン)、日本のスーパーチャンプ、西岡利晃(帝拳)、ホルヘ・アルセ(メキシコ)を退け、ギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)との統一戦へ。

リゴンドウとの統一戦を落とすと、今度はフェザー級にあげて再起、シンピウェ・ベトイェカ(南アフリカ)に負傷判定勝利して、WBAのフェザー級王座を獲得し、とうとう5階級制覇。

しかし、フェザー級までくるとドネアのパンチングパワーが通じないこともおおく、耐久力も不足、次戦のニコラス・ウォータース戦で衝撃の6RKO敗け。

誰もが思いました。ドネアは終わったと。

十分な実績を残し、将来の殿堂入りも確実視されるノニト・ドネア。

それでも、ドネアはまだ闘い続ける意思を持っていました。

スーパーバンタム級で復帰すると、またの世界王座につきます。(WBO)

その王座から陥落した後、前述した再度フェザー級の暫定王座決定戦(対カール・フランプトン戦)に挑みます。

ドネアの全盛期は、と聞かれれば、一概には言えませんが、結果からいうとキャリア初期のフライ(またはスーパーフライ)〜スーパーバンタム時代の、西暦でいうと2007年〜2012年くらいでしょうか。

ウォータースにKO敗け(2014年)し、階級の壁を露呈してからも既に5年。

そこからの復活は、非常に困難なように思えました。

 

 

ドネアのWBSS

ドネアは、第一シードのライアン・バーネット(イギリス)に指名されました。バーネットとしては、名のあるドネアを倒して、トーナメントに弾みをつけたかったのと、知名度アップを狙ったのでしょう。

しかし、試合途中、バーネットは腰を痛めて棄権。ドネアが準決勝に駒をすすめます。

その後、準決勝では、対戦相手のゾラニ・テテ(南アフリカ)が、試合数日前に肩の負傷でキャンセル、代役の(その日の前座に出場予定だった)ステフォン・ヤング(アメリカ)を、左フックでノックアウトします。

このヤング戦は、ドネアらしいパワー健在は証明できたものの、被弾もあり、相手のパンチへの反応については、不安を残す形となりました。

決戦!!さいたまスーパーアリーナ!!!

2019年11月7日、この日のことは一生忘れないでしょう。

まず、いつものTeam Inoueにチケットを申し込み、抽選に外れる

そして、大橋ジムのファンクラブの先行チケットに申し込み、またも外れる

一般発売を待って、大橋ジムのチケットサイトとローソンチケットを同時に開き、ようやくチケットをゲット

一般の人達からの注目もあり、あっという間に売り切れた2万枚強のチケット。

要は井上尚弥対ドネア、井上拓真(ウーバーリのファンはいないだろうから)の3人で2万枚強のチケットが即日ハケた、と言っても過言ではない状態。むしろこういう時こそ、ホープ対ホープの真剣対決や、日本タイトルマッチ、または世界挑戦者決定戦等をやるといいような気がします。

いつだったか、新井田の防衛戦?長谷川穂積のOPBF戦やら西岡利晃対中島吉謙とか激アツの試合があったかと思うんですが、そういうふうにならないもんですかね?

この日は、ホープの顔みせ的なマッチメイクだったので、ちょっと前座は盛り上がりにかけたかと思います。

さて、話がそれましたが、いよいよWBSS決勝、井上尚弥対ノニト・ドネアのゴングが鳴ります。

 2019.11.7ノニト・ドネア(フィリピン)12R判定

ノニト・ドネアは決勝に進んできたものの、かなりラッキーな勝ち上がり。対して井上尚弥は、圧勝につぐ圧勝で、闘う度に評価を上げてきた決勝進出。

戦前の予想は、井上の断然有利。

しかも、井上のノックアウト勝ち、という予想が大半。

もちろんふたりの仕上がり次第、というところもありますが、私も井上の序盤KO勝ち、という予想ではありました。

しかし、当日まで実は迷っていたのは、井上を応援するのか否か。

私は、井上尚弥という日本史上最高傑作のボクサーを追いかけることで、今までにないボクシング観戦体験をできると信じています。

「強すぎてつまらない」という人もいますが、強さをここまで表現できるボクサーは他にいません。全世界を見渡しても、ここまで鮮烈にノックアウトができる、ボクシングで魅せられるボクサーは稀だと思っています。私個人としては、日本人、というだけで感情移入しやすく、基本的には応援してしまいます。

それでもなお、私がこれまで見てきた「ボクシング」という物語において、ノニト・ドネアも、勇利アルバチャコフやホルヘ・リナレス、リック吉村等外国籍を持ちながらも感情移入できる、応援したいボクサーの1人なのです。

5階級制覇のレジェンドでありながら、日本を好み、何度も来日してサムライの精神を学び、日本のボクシングファンの心を鷲掴みにしてきたドネア。

さいたまスーパーアリーナまで来たはいいけれど、どちらを応援するべきか、複雑な心境でした。

 

そして第1ラウンドのゴングがなります。

両者ともに動きのキレは良い。井上の方が速い。結構速い。いや、かなりか。井上のコンビネーションに、ドネアが反応しきれないところも。会場は井上が攻めるたび、歓声が。

この段階で、やはり早期決着か。。。と思った私は、ドネアの応援に気持ちが切り替わりました。ドネアがKOされるところは見たくない、それが私の、この試合のポイントだということにようやく気づいたのです。

第2R、1R目の余波をかり、おおよそ距離を見切った井上は、ドネアを攻めます。ドネアも果敢に応戦。少し余裕を持ってしまった井上の左フックのあとに、ドネアの左フックがヒット!

会場で見ていると、カットしたことはもわかりませんでしたが、ここから井上が攻撃の手をゆるめたのは明白でした。

この後のインターバル、アップになった井上の映像をみて、はじめてカットを知りました。まさか眼窩底骨折とは思いもしませんでしたが、まだ2ラウンド、これはドクターストップもあり得る、と思うと今度は井上頑張れ、と思うようになりました。

のこり10ラウンズという長い道のりを、どう乗り切るのか。3ラウンド目からは、右のガードを上げて、ドネアの左フックを最警戒しているように見えます。これ以上左フックをもらわないようにして、出血を防ごう、ディフェンスありきの闘い方をしよう、という意図だとその時は思っていました。

実は、右目でみると二重にみえるから、左目だけで見ようとして、右ガードで右目を隠したそうです。真正面に立つドネアが(しかも自らがリゴンドー戦でやった戦法だったにも関わらず)気づかなかったようですので、きっと誰も、それこそ井上本人以外は知らなかったでしょう。

そして5R。お互いにクリーンヒットもある中、残り30秒、井上尚弥の右ストレートがヒット!!ぐらつくドネア!この右ストレートは、ドネアのジャブをかわして(軽く当たってはいますが)右を当てるというカウンター。個人的に大好きなカウンター。

その後、井上のラッシュでラウンドを終えるのですが、途中ドネアが左フックを強振する場面もあり、ドネアはまだ死んでいない、をアピール。

6Rにはすっかり回復した風のドネア、井上は攻めるが一方的な展開にはならず。

ドネアのタフネスは素晴らしい。

左フックは速くて強い。右ストレートも左フックに負けず劣らず、速くて強い。

しかし、井上はもっと速い。というか、パンチの回転が速い。

ディフェンスでいうと、ステップワークとボディーワーク、スリッピングアウェーを駆使してドネアのパンチをはずす井上と、体の強さを活かしてなのか、年齢ゆえに反応がおちているからなのか、ガードが目立つドネア。

8R、至近距離でのパンチの交換が増えたためか、井上、流血。すでにカットしていた部分から大量の血が。まさか、このままストップになるのか、、、という不安がよぎります。

9Rには、ドネアの右ストレートがヒット、井上がグラつく!!クリンチに行くという、またも初めて見るシーン!!時間はあと半分以上!ここで私は、井上、なんとかしのいでくれ!と祈る。

その後、ラッシュをかけなかったドネア。カウンターを狙いすぎたか。。。本人曰く、一番のミステイクということでしたが、まさにその通りで、唯一といっていいほどの機を逸する。

10R開始時にはしっかりと回復した井上尚弥、ここでまさかのペースアップ!ラウンド終盤には、またも右目上と鼻から血を流しながらですが、しっかりと攻めきって10R終了。

11R、攻め続ける井上尚弥。少々強引にも強振する井上!左ボディーフックがヒット!!!ドネアダウン!!!!

会場は総立ち!

立て!立ってくれ、ドネア!!両の手を前に組み、祈る私!

なんとか立ち上がったドネア、攻める井上!時間はまだ半分以上!その中で、ドネアの左フックがヒット!!!井上は警戒を強めながらも攻める!攻める!!ドネアがカウンターを狙って左フックを振るう!!

至高の技術戦であり、壮絶な打撃戦。なんと最終ラウンドに突入。

ここまでの採点では、きっと井上だろう。

井上尚弥という男は、本当に凡戦とは程遠い。

ボクシングという競技を通じて、勝った敗けただけではなく、何かを表現できるボクサー。それには相手も必要で、パヤノよりも、ロドリゲスよりも、他の誰よりもノニト・ドネアというライバルが必要だったのでしょう。ノニト・ドネアというレジェンドに勝利し、更に舞台をのぼった井上。

終わってみれば、ドネアがKOされなかった、という安心感、井上が無敗を守れた、という安心感。しかも、両者とも決して評価を落とすような内容ではなかったこと。試合内容も、試合結果も、私にとっては本当に心にのこるものでした。

良い試合になってほしい、と思う事はたくさんあります。特に、日本人同士の世界タイトルマッチなどはそうですが、それでも、どちらかを応援しています。

今回に限っては、最終的には双方を応援し、この結果は満足のいくものでしたが、別の結果になっていた時は、素直に喜べたんだろうか、と思ってしまいます。

例えばドネアがKO敗けしていたら?井上の凄さを讃えられたでしょうか。

例えば井上が敗けていたら?ドネアはやっぱりやってくれた、レジェンドが意地を見せた!といえたでしょうか。

過去、辰吉丈一郎と薬師寺保栄が闘い、応援していた辰吉が敗れたとき。畑山隆則と坂本博之が闘い、応援していた坂本が敗れたとき。どちらも、受け入れ、勝者を祝福できました。

きっと、2人のボクサーが死力を尽くして闘った結果であれば、その結果そのものも祝福できるのでしょう。

この日、私は改めてボクシングの奥深さを知りました。

まだ見ぬ景色へ

井上尚弥の軌跡を振り返るブログですが、ほぼドネアの話になってしまった事をお詫びしつつ(笑)、改めて。


C&K - 「道」ミュージックビデオ(出演:井上尚弥)

こちらは、C&Kというミュージシャンが井上のためにつくった「道」という曲。

井上本人も、インタビューや著書の中で引用していますが、これからも我々ファンに、「まだ見ぬ景色」を見せてくれることを期待しています。

まずは4月に控えるジョンリル・カシメロ戦(多分)!!圧倒的なKO、期待しています!!

ちょっとついでに、ドネア戦のレフェリーについて

ちなみに、ドネア戦のレフェリーについては批判も多いようですね。

私の見解は少し違いまして、あのレフェリーだったからこそ名勝負が生まれた、と思っています。

まず、井上の傷ですが、優秀なカットマンのおかげで血がとまってはいましたが、かなり深かったです。会場のスクリーンを見てもわかるぐらい、かなり深い。

あれはドクターに見せると即刻ストップがかかるレベルのように見えました。言い過ぎかもしれませんし、井上が極力それ以上の被弾を避けた結果、ドクターに見せるタイミングがなかったとも言えますが。

あのレフェリーは、一度もドクターに見せなかった。10Rには、すごい流血なのにも関わらず。

勿論、安全面から言えばNGなんでしょうけど、ね。

それから、問題になったドネアのダウンシーン。井上のボディー、一拍おいてドネアは背を向け、少し移動してから膝をつく、というシーン。

色んな方が言われているように、きっとレフェリーはローブローと勘違いしたんだろう、と私も思います。思いたいです。(確かにレフェリーの位置的にも)

だから、井上の追撃をストップした。そしたらドネアが倒れている、カウントだ。

で、カウントを取り始めるわけですが、タイムキーパーが流すワン、ツー、スリー、から一拍ずれて数えていました。なので、ドネアはカウント9で立っています。映像を見ると、レフェリーの手は9になっていますので、そこでドネアは立ち上がった。

このカウントが一拍早かったとしても、きっとドネアは立っていたでしょう。

ドクターに見せなかったのも、カウントがロングカウントっぽくなったのも、きっと悪意なく、ドネアびいきだった訳でもなく、気高い2人のボクサーの雰囲気を感じ、名勝負を演出してくれたのだと思います。

そう思うと、レフェリングの技術が少々足りなく思った事実はあるものの、結果からすると奇跡的なレフェリングではないでしょうか。

井上のKOを邪魔された、みたいな話もよく見かけますが、それをいうならドネアのTKOも邪魔されている、それがなかったからこその名勝負。結果論ですが、それでよかった、個人的にはそう思います。。。。今回に限っては。

(とはいえ、問題は問題です。が、本人たちがあまり色々言ってないので。)

 

そういう訳で、長いことお付き合いいただいてありがとうございました!

 

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