信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

井上尚弥の次戦が(ほぼ?)決定!WBSS出場、まだまだ続く圧勝劇!【Part3】

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WBSS出場!

圧倒的な強さで3階級を制覇した井上尚弥!!!試合後に宣言したとおり、WBSS(World Boxing Super Series)へ出場します!

こちらのブログでは、次戦が(ほぼ)決まった井上尚弥の足跡を振り返っています。

Part1はこちら

boxingcafe.hatenablog.com

 

Part2はこちら

boxingcafe.hatenablog.com

 

WBSSは、2017年からはじまった、主に世界王者、もしくはその挑戦者クラスを主体とするトーナメントです。日本人にもわかりやすく、ということでしょうか、井上の参加が決まった当初は、「ボクシングの天下一武道会」という表現をされていました。

2017年は、クルーザー級とスーパーミドル級で開催され、クルーザー級ではオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、スーパーミドル級ではカラム・スミス(イギリス)がそれぞれ優勝し、階級最強を証明してみせました。

トーナメントで、強い相手と否応なくあたるので、2017年の第一シーズンは大盛り上がり、大成功に終わりました。

そして2018年は、バンタム級での開催が決定しました!!

WBA世界王者の井上尚弥の他、WBAスーパー王者のライアン・バーネット、WBO王者のゾラニ・テテ、IBF王者のエマニュエル・ロドリゲスの現役王者たちの他、5階級制覇王者のノニト・ドネア、元WBAスーパー王者のファン・カルロス・パヤノ、IBFの指名挑戦者で河野公平にも勝利したジェイソン・モロニー、オリンピック2回連続出場経験のあるミーシャ・アロイヤン

まさにバンタム級の頂上決戦にふさわしい猛者たちが名乗りを上げました。

抽選の結果、井上尚弥は初戦でファン・カルロス・パヤノと闘うことに。

 

この抽選もすごくおもしろかったのですが、シードを持つ現役王者が、シードを持っていない(現在タイトルを持っていない)対戦したい選手を選ぶ、というスタイル。

第1シードのバーネットが、ドネアを選び、

第2シードの井上がパヤノを選ぶ。

第4シードのロドリゲスは、IBFからの指名でモロニー戦が決まっていたので、自動的に第3シードのテテはアロイヤンに。

井上は、ドネアとやりたかったらしいのですが、なんとバーネットが選択したので、お預け。

それでもこの時点で、まさかドネアが決勝まで来るとは思っていなかったです。

ドネアが決勝まで勝ち上がって、日本で井上対ドネア、なんて最高だろうな、とファンみんなが思っていたと思います。でも、きっとそれは叶わぬ夢だとも。

 

この中ではドネアにつぐ実績をもつファン・カルロス・パヤノ

パヤノは、決してきれいなボクシングではないですが、山中慎介と2度の激闘を繰り広げたアンセルモ・モレノに勝って(負傷判定)スーパー王者になったこともある強豪。まぎれもなくビッグネーム。

井上の勝利は揺るがないまでも、パヤノのキャリアはあなどれない、そう思っていたファンも多かったと思います。

 

2018.10.7ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)1RKO

実況「解説は長谷川穂積(元3階級制覇王者)さん、山中慎介(元WBC世界バンタム級王者)さんです。よろしくお願いします。」

長谷川、山中「よろしくお願いします。」

実況「長谷川さん、どんなところに注目されますか?」

長谷川「パヤノが井上のビッグパンチを受けた時に、ヤバイと思うのか、これなら行けると思うのかで大きく違ってくると思います。

・・・で、1分。

 

サウスポーのパヤノの、内側から撃ち抜く完璧なワンツー!!!

 


WBSS Naoya Inoue Vs Juan Carlos Payano Quarter Finals 1

 

終了。

いやほんとうにとんでもない事です。あのパヤノを瞬殺。

対サウスポーの場合、相手の左側にまわって、相手の右足の外に自分の左足をおいて、右ストレートを当てるのが定石。

そこを、相手の右足の内側に自分の左足を入れ、内側からしなるようなジャブ→踏み込みながらの右ストレート。

パヤノの動きも決して悪くなかった。好調といっていいほどの動きでした。

何もさせずに。。。

 

無念、解説の元WBC世界バンタム級王者、山中慎介(連続12回防衛の名王者)、「よろしくお願いします」しか発せず・・・。

 

ちなみにこの日も私は横浜アリーナにいました。

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あのお立ち台の真後ろの席で、とっても良い席。

しかし、この頃からチケットも取りづらくなり、いつもTeam Inoue経由でチケットの手配をしていたのですが、かなりたくさんの問い合わせが入っている、という話を聞きました。

マクドネル戦に続く圧勝劇で、徐々にですがボクシングファンだけでなく、一般の方々にも井上尚弥の凄さが轟いていきます。

 

WBSS、「事実上の決勝戦」

ファン・カルロス・パヤノを秒殺KOで下したあとも、トーナメントのおかげで相手がいなくなる、なんていうことはありません。

パヤノ戦のあと、WBSSの報酬未払い問題だの、破綻するかも、等々、心配するニュースも飛び込んではきましたが、結果的に無事開催されました。よかった。

しかし、10月に無傷で試合を終えた井上尚弥、次戦がなかなか発表されず、モチベーションの面では大丈夫だったのでしょうか・・・??

これも結果から言うと、問題なかったようです。井上尚弥自身は、パヤノ戦のあと、スランプに陥ったそうです。パヤノ戦のような鮮烈なKOが、どうしても余韻として残っていて、普段の練習(スパーリング)でも倒そう倒そうという意識が出過ぎ、かなり空回ってしまったよう。

スパーリングの出来の悪さに気づいた井上尚弥は、一旦スパーリングを中止、基礎練習に立ち返ります。

自ら気づき、自ら修正する。これはなかなかできることではありません。

ボクシングにおいても、普段の生活においても。

客観的に自分を見られる力があるからこそ、常に冷静でいられ、過ちがあっても正せる。こんな26歳みたことない。

 

ともあれ、次戦は、ジェイソン・モロニーに競り勝ったエマニュエル・ロドリゲスに決まりました。

モロニー戦は、ロドリゲス優位の予想ながらも、モロニーが食い下がり、かなりの接戦に。12Rの長丁場、後半にはロドリゲスのスタミナが切れ掛かっていた、という事もあり、現地観戦した井上尚弥も「期待どおりのファイトではなかった」と。

それでも、ロドリゲスは、カウンターもとれて、テクニックもある、非常に評判の高いボクサー。万能型の選手で、全勝王者。この試合は、全勝王者同士の対決、「事実上の決勝戦」と呼ばれるようになります。

2019.5.19エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)2RTKO

ロドリゲスは穴がなく、センスもよく、個人的には線の細さが気になるものの、総合力が高い印象。テクニックは井上にもひけをとらない、という識者もいます。

ただ、パンチングパワーにおいては井上に分がありますし、前戦でスタミナの不安を露呈したロドリゲス。井上優位の予想は揺らぎません。

しかし、ロドリゲスのボクシングの完成度の高さから、長期戦になるかも・・・という見立てもありました。

この試合はWOWOWで観戦。

パヤノ戦では解説の機を逸した山中慎介が、WOWOWの高柳アナウンサーとともに英国グラスゴーへ。

1R目、開始早々、プレッシャーをかけるロドリゲス。そっちの戦法か。

意外にも足をつかわず、前に出るロドリゲス。そして井上の高速ジャブに対し、右ストレートのカウンターをあわせようとします。当たりませんでしたが、危険なタイミング。以前から、(現在もそうなのですが)井上が踏み込んでジャブを打ったりフックを打ったりするとき、アゴが上がるんです。そこでカウンター当てられるとどうなるか・・・というのは個人的にはとても気になっているんです。

じりじりと前に出るロドリゲス、井上尚弥はカッと目を見開いて、距離を測る。自らも攻め、出てこられては守る。緊張感のあるラウンドです。

力みがあるのか?ちょっと珍しい、強振した左フックを空振りし、バランスを崩す場面も。これは次のラウンドには修正された、「重心が高い」が為に起こった事でした。

1R目の山中慎介の採点ではロドリゲス、私もロドリゲスがとったかな、と思いましたが、現地のジャッジの採点は井上だったそうです。

井上がバックステップをふむ、攻め込まれて守りに入る、ということを見慣れないせいか、ロドリゲスの攻勢がものすごく強いもの、と感じてしまったかもしれません。

そして2R。

上体の動きも出てきて、少しリラックスした風の井上尚弥。ワンツー・左ストレートという基本的なコンビネーションをヒット!その後の接近戦で、右ボディーフックからの左フック(アゴ)!!この左フックがロドリゲスが放とうとした左フックのカウンターとなり、ロドリゲスダウン!!

立ち上がったロドリゲスに詰め寄り、左ボディーを突き刺す!ロドリゲスまたもダウン!!

心が折れたか、コーナーに向いて首を振るロドリゲス。それでも立ち上がる!!

最後にダウンを追加し、レフェリーストップ!!!

 

・・・またも圧勝。

全勝の王者、エマニュエル・ロドリゲスを2Rで屠ってみせました。

これまでのナルバエス、マクドネル、パヤノについては、ベテランで、日の出の勢いの若きボクサーが、ベテランに引導を渡したような試合でした。

今回のロドリゲスは、井上の1歳年上で、同年代。

井上尚弥は、同年代のバンタム級ボクサーの中でも、頭ひとつどころか随分、抜きん出ていることを証明してみせたのです。


井上尚弥VSエマヌエル ロドリゲス [試合のシーンだけ]WBSS準決勝

 

スピード、パワー、テクニック、インテリジェンス。

その全てがものすごく高い次元でまとまっている井上尚弥。

私はボクシングを見続けて四半世紀、こんなにも素晴らしい日本人ボクサーが出て来るなんていうことは、夢にも思いませんでした。

1990年のWOWOW放送開始(つまり、エキサイトマッチの開始)以来、日本人ボクサーの技術水準は大きく進展したと言われています。ボクシングファンの中には、エキサイトマッチを見たいがためにWOWOWを契約している方も多いと思います。(かくいう私もその1人)

 エキサイトマッチに出てくるボクサーたちは、雲の上の存在で、日本人にはほとんど関係がない、別のボクシングのように思っていた時期もあります。

しかし、西岡利晃が、三浦隆司が、亀海喜寛がエキサイトマッチに登場し、今も岩佐亮佑、伊藤雅雪など、本場アメリカの地で闘い、殊勲をあげていくボクサーたちがいます。

そんなボクサーたちの旗頭として、井上尚弥がいよいよアメリカに本格上陸!!

相手は3階級制覇王者のジョンリル・カシメロです。その前に、このPart3でもプロキャリアの振り返りが終わらなかったので(泣)、次回はいよいよDrama in Saitama(名前はダサく感じる)と呼ばれる、ノニト・ドネア戦の観戦記を書かせていただきます。

Part4へ続く

 

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