信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

井上尚弥、バンタム戦記。いよいよ一つにまとまるバンタム級王座、その戦歴を振り返る。

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あっという間の圧勝劇で、井上尚弥は日本人初の3団体統一王者となりました。

「日本人初の3団体統一王者」という偉業が全くもって霞んでしまうほどのパフォーマンスを見せた井上尚弥は、果たして今後どのような道を進むのか。

今回の勝利者インタビューで、井上尚弥はスーパーバンタム級への進出を明言、なのでバンタム級での戦いは多くてもあと1戦、色々が上手くいかなければ2戦、といったところでしょう。

まあ、ここまで圧倒的な力を見せてくれたならば、2戦というのはもう見たくないレベル。

ということで今回は、井上尚弥がバンタム級で見せてくれた偉業を振り返っていきたいと思います。

井上尚弥のTwitterより

 

↓今後のバンタムはどうなるのか?

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バンタム級とは

ボクシングファンなら誰もが知っています。我々日本人にとってはこの「バンタム級」というのは特別な階級だと。

日本人で始めてバンタム級のタイトルを獲得したのは、ファイティング原田。

そして、「あしたのジョー」でも矢吹丈はバンタム級にこだわったし、「浪速のジョー」こと辰吉丈一郎、そして「日本のエース」長谷川穂積、「神の左」山中慎介とレジェンドたちが紡いできたバンタム。

↓過去記事。もう2年以上前の記事ですが。

boxingcafe.hatenablog.com

 

さて、スーパーフライ級王座を7度防衛した井上尚弥がバンタム級に登場したのは、2018年5月25日のことでした。

本当にあっという間の7度防衛で、2014年12月にオマール・ナルバエス(アルゼンチン)を衝撃的なノックアウトで破った後は怪我等もありやや低迷するも、3度目の防衛戦となった河野公平(当時ワタナベ)戦以降は安定したイメージ。

アメリカデビューも果たし、とにかく対戦相手がおらず、大橋秀行会長がFacebookで見つけてきたヨアン・ボワイヨ(フランス)と防衛戦を行ったのが2017年12月のことで、そこからダイレクトで当時のWBA世界バンタム級王者、ジェイミー・マクドネル(イギリス)に挑戦することになりました。

ジェイミー・マクドネル戦(2018.5.25)

この試合は、マクドネルの減量失敗(計量失格ではありません。)により、マクドネルの体調は思わしくなかったようです。

前日計量の前に行われた記者会見(だったと思います)では、余裕の表情を見せていたマクドネルでしたが、前日計量に現れた姿は別人と思うほどげっそり。

当日の試合も力は感じず、あっという間の王座交代劇が生まれました。

身長差、リーチ差のある一戦だっただけに、井上の敗北を危ぶむ声もほんの少しはあったはずですが、終わってみれば初回TKOという圧倒劇。

 

ファン・カルロス・パヤノ戦(2018.10.7)

バンタム級WBSSの開催は、井上尚弥のためと言っても良かった。マクドネルに勝つ事を条件に、既にWBSS参戦が決定されていた井上尚弥の初戦の相手はファン・カルロス・パヤノ。

一度はあの「チェミート」アンセルモ・モレノに勝利したパヤノは「曲者」であり、これまで井上が戦ってきたどのボクサーともタイプが違いました。

「井上勝利は揺るがない、しかしパヤノは何をしでかすかわからない」の箱の中身は、なんと70秒、ワンツーを一回はなっただけで試合を終わらせてしまいました。

マクドネル戦ではやや強引に倒しにいった井上でしたが、このパヤノ戦はもはや「芸術」を超えた「神」の領域のノックアウト。はっきり言って、パヤノは可哀想とすら思います。

エマニュエル・ロドリゲス戦(2019.5.18)

WBSS準決勝。なかなか思うようにトーナメントが進まない、という状況の中で、ようやく決まった英国・グラスゴーでの一戦。優勝候補の一角であったライアン・バーネット(イギリス)が初戦で姿を消した事で、打倒井上の最右翼として名前が上がったエマニュエル・ロドリゲス。

確かなカウンタースキルを持ったボクサーで、一回戦ではジェイソン・マロニー(オーストラリア)を撃破しています。この一回戦を見た我々ボクシングファン、そして井上尚弥も「思ったほどではない。この日のロドリゲスは良くなかった」とか言ってみたものですが、現在は「マロニーが強かった」という認識で良いと思います。

「事実上の決勝戦」これが、この準決勝で幾度となく叫ばれます。

初回はロドリゲスがいきなりカウンターをあわせてきてスタート。これはやるぞ、と思わせたところで、井上は2Rに左フックカウンターでダウンを奪い、その後もボディ等で容赦なく攻め立てて2RTKO勝利。

エマニュエル・ロドリゲスは、バンタム級の井上に対して、「初めて2Rに突入したボクサー」という称号を手に入れました。

 

ノニト・ドネア戦(2019.11.7)

井上はパヤノを1R、ロドリゲスを2Rで降し、決勝進出を決めました。

対してドネアはというと、初戦のライアン・バーネットは途中で自ら棄権、そして準決勝の相手ゾラ二・テテ(南アフリカ)は怪我で試合を欠場。テテの代役として上がったステフォン・ヤング(アメリカ)戦ではドネアは被弾も多く、最終的には強引になぎ倒したものの、フィリピーノフラッシュとはどこへやら、良いパフォーマンスとは言えませんでした。

「井上が序盤にドネアをKOし、世代交代を果たす」この事が確実視された一戦で、ドネアは2Rに値千金の左フックをヒット、これにより井上は眼窩底を骨折。思わぬ名勝負となったこの一戦は、「ドラマ・イン・サイタマ」と呼ばれ、伝説の一戦へと昇華されることになりました。

試合は全体的に井上が支配するも、ドネアは9Rに右ストレートを効かせる等善戦。

各媒体で「年間最高試合」に選ばれるという素晴らしい試合になりました。

ジェイソン・マロニー戦(2020.10.31)

ドネアとの戦いからほぼ1年。この間、世はコロナショックに見舞われ、本来は2020年4月に決まっていたはずのWBO王座との統一戦も流れました。この頃のWBO王者はジョンリエル・カシメロ(フィリピン)。一発を持つボクサーで怖さはありましたが、これまでの経験上、井上が負ける要素はほとんどありませんでした。

しかし結局この試合は決まらず、対戦相手は防衛戦としてジェイソン・マロニーに。

 

↓観戦記

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非常に総合力の高いマロニーを相手に、井上は素晴らしい右カウンターを決める等して7RKOで快勝しました。

マイケル・ダスマリナス戦(2021.6.19)

引き続き、WBO王者カシメロとの統一戦が取りざたされる中ではありましたが、指名戦に厳格なIBFは待たされ続ける指名挑戦者、マイケル・ダスマリナスとの試合をオーダー。

ダスマリナスはカリム・ゲルフィ(フランス)からもぎ取った勝ち星が光るボクサーではあるものの、井上の前に何も出来ず、3RKOで敗北。

↓観戦記

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この前後、WBC、WBO王座も活発化しており、WBC王者としてはダスマリナス戦の約一ヶ月前、ノニト・ドネアが素晴らしい勝ち方でノルディーヌ・ウバーリ(フランス)をノックアウトしたこと、そしてこのダスマリナス戦の一ヶ月半後、ジョンリエル・カシメロがギジェルモ・リゴンドー(キューバ)を世紀の大凡戦で降し、王座を防衛しています。

アラン・ディパエン戦(2021.12.14)

ダスマリナスに続いて、世界的には無名と言えるボクサーとの連戦となった井上尚弥の次の相手は、アラン・ディパエン。

ムエタイあがりのタフで鳴らしたボクサーでしたが、井上相手には当然何もできず。

↓観戦記

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消極的に戦ったディパエンはよく耐えましたが、勝利への道筋は非常に遠かったと言わざるを得ません。

ただ、この頃には既に他団体王者との統一戦のレールは敷かれていたようで、おそらくドネアとの試合が春位には組まれる、との噂でした。

これもまた同時期にWBC王者ノニト・ドネアは暫定王者、レイマート・ガバリョ(フィリピン)に良い勝ち方をしています。

対してWBO王者、ジョンリエル・カシメロはポール・バトラー(イギリス)との指名戦の予定が計量会場に現れず。剥奪かと思いきや、胃腸炎で入院という書類を提出、一旦は事なきを得ています。

しかしその後、再セットされたカシメロvsバトラーの一戦ではカシメロが今度は体重を急激に落とすためにサウナを使った、という少し同情すべき理由でこの王座戦を欠場、代役としてジョナス・スルタン(フィリピン)がバトラーと暫定王座決定戦を戦い、バトラーが勝利。

その後カシメロは正式にWBO王座を剥奪され、現在はポール・バトラーがWBO王者に認定されています。

 

ノニト・ドネア戦(2022.6.7)

新たな全盛期を迎えたと思われるノニト・ドネアと、ドネア戦以降、対戦相手に恵まれないと言われる井上尚弥。

二人の初戦からの2年7ヶ月の歳月で、より濃密な時間を過ごしたのはドネアの方だと私は思っています。

しかし、そんな事は全く関係ありませんでした。

ドネアはやはり39歳であり、井上はプライムタイムを迎えているボクサー。

結果は皆さんご存知の通り、井上尚弥が衝撃の2RTKOで3団体の王座を統一しました。

↓観戦記

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井上尚弥のバンタム級における戦績は、8戦8勝(7KO)無敗というもので、これのすべてが世界タイトルマッチだということは驚き以外の何物でもありません。デビューしたての新人ボクサーがこの戦績だったとすれば、非常に未来があるな、と思うわけですが、これが世界戦、しかもこのうちの4勝(3KO)は元世界王者から奪ったもの。

そしていよいよバンタム級最終章

衝撃的な内容でのドネア撃破は、既に水面下で動いている「4団体王座統一」への最難関を余裕でクリアした、と言って良いほどのものです。

WBO世界バンタム級王者、ポール・バトラー。当然、良い技術を持っており、機動力もあり、ハートも強い好ボクサーであることは事実ですが、バトラーが井上にどのように勝つのか、というのはなかなか思い浮かびません。このバンタム級で、井上にもし、土をつけるとするならば、一発で試合を終わらせられるワンパンチフィニッシャーか、それに近いハードパンチャーだと思われます。(その意味で、カシメロは魅力的だったし、ドネアには一縷の期待がありました。)

「最後の敵」が「最強」であるとは限りません。

それは北斗の拳の最後の敵は、ラオウでもカイオウでもなく、ボルゲです。(知ってますか??)

 

こんなにも衝撃的なノックアウトを見せられて、果たしてバトラーはこの試合を受けるのか。大橋会長は、既に対戦交渉は始まっているとし、12月に会場を押さえている、とも。

(残念ながら)日本開催とのことですが、こればかりは致し方ありません。次戦も、今戦と同様に高額のチケットとなるでしょう。そして、おそらくアマプラが放映。

できればイギリスに赴き、「敵地イギリスでイギリス人ボクサーを倒して世界タイトルを奪った」最初の日本人ボクサーとなってもらいたいとは思いますが、こればかりは日本開催の方がよりビジネスになるのでしょう。

この一戦が決まれば、今年、2022年は井上尚弥バンタム級卒業の年。

これまでのバンタム級のレジェンドを超え、おそらく歴代1位のバンタム級日本人となった(それでも、ファイティング原田氏との間の評価は分かれるのかもしれない)井上尚弥が、2023年、いよいよスーパーバンタム級に殴り込みをかけます。

ムロジョン・アフマダリエフ、スティーブン・フルトンがもし今年、相互にぶつかるようなことがあれば、2023年にバンタム級4団体王者vsスーパーバンタム級4団体王者というボクシング史上初のビッグマッチが開催されるのかもしれません。

個人的には井上には、アフマダリエフともフルトンともやってもらいたい気持ちがありますが、これはこれで、世界中の注目を集めそうで非常に興味深い。

いずれにしろ、来年もまた、アツい年になりそうです。

 

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