信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

比嘉大吾vs堤聖也を視聴。勝者もなく敗者もいないリングの出来事と感想。

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ようやく、比嘉大吾vs堤聖也という大注目のバンタム級10回戦を見る事ができました。

↓プレビュー記事はもう1ヶ月前のことです。

boxingcafe.hatenablog.com

 

媒体は忘れましたが、以前、比嘉大吾が内山高志との対談記事で、堤聖也について話をしていたのを覚えています。

堤がデビューしたてくらいだったと思いますが、当時ワタナベジム所属だった堤について、比嘉が「友達がワタナベジムでプロ転向した」旨を、何かのついでの話で内山高志に伝えていたような内容だったと思います。

そんな二人が闘った。

結果はドロー、当日、幸運な観客以外はSNSやWebで結果を探した事でしょう。

そこから約3週間、ようやく人の目に触れたこの一戦。

 

少し前の試合にはなってしまいますが、勝者も敗者もいないこの一戦を戦い抜いた二人のボクサーは、今後も期待が非常に大きく持てるボクサーたちなので、せめて私の視点からでも観戦記を書いておきたいと思います。

試合内容

 

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10/26(月)バンタム級10回戦

比嘉大吾(Ambition)vs堤聖也(角海老宝石)

初回、これまでのようにぐいぐいとはいかない比嘉ですが、動きにはキレがあります。力みがあるのか、固さがあるのか、闘い方としてはディフェンシブです。

堤の方はというとジャブを基軸としてしっかりとしたコンビネーションで攻め込みます。

2R、比嘉が強いジャブを飛ばしますが、追撃を許さない堤は圧倒的な手数で対抗します。ガードの時間が長くなる比嘉ですが、右のカウンターを浅くヒット、比嘉の一発はやはり怖い。会場にもどよめきが起こります。

 

比嘉のパンチングパワーは疑いようがなく、終盤にも右アッパーから左フックをヒット。このラウンド、堤が偶然のバッティングで右目上をカット。

3R、堤はジャブを連打で出せるところがいいですね。そこからのコンビネーション、停滞した際には必ず先に手を出します。相手が嫌なタイミングで必ずジャブを飛ばす堤はやはり試合巧者。

比嘉は守勢に回る場面が多いようにも見えますが、力強いパンチはガードの上からでも迫力十分。堤の手数が多い分、もらいながらも当てればインパクトは上。

このラウンドはまたバッティングで、比嘉、堤ともにカットで出血。

4R、変わらず堤の手数はすごい。比嘉を後退させます。その堤の前進を一発でお釈迦にするのが、比嘉の強打。

気になるのは比嘉の波状攻撃が見られないこと。これは堤の手数に比嘉の攻撃が阻まれている、という事があるのかもしれません。

5R、ジリジリとプレスをかけていく堤。このラウンドの序盤、プレスをかけながらもやや手数が減ったようにみえる堤。比嘉は前に出てくる堤に対し、ピンポイントで強打を決め、優位に立ったように見えました。

 

そこから堤がまた手数を増やし、絶対に主導権を渡さないとの意思を感じます。

終盤にも比嘉の右アッパーから左フックのコンビネーションがヒット、ここまでこのパンチはよくヒットしている印象があります。

6R、堤はただ攻め込むだけでなく、プレスをかけながらスイッチを駆使したり、サークリングしてのステップからノーモーションで踏み込んだりと色々な事をしかけていきます。

7R、今度はサークリング、危険な距離をはずしてのアウトボックス。それでもポイントを意識してか、しっかりと自分から攻め込む場面は作ります。

比嘉は歩くようにプレスをかけ、パンチの当たる距離で強打を繰り出します。しかし1度は攻め込めますが、続けて攻め込むところで堤はパンチを出し、それを分断。堤の勝負勘とでもいいましょうか、素晴らしいタイミングで比嘉の前進をストップしています。

このラウンド、比嘉のヒッティングで堤がカット。

 

8R、このラウンドは序盤から打撃戦!やはり打ち合いでは比嘉に軍配が上がります。

ただ、ここで退かなかった堤、逆にストレートで押していき、これまでと同じく比嘉の攻撃を中断させます。

中盤、比嘉は左フックを見せて、見せて、左アッパーに変化からの右フックという技ありコンビネーション。

それでもハートも身体も折れない堤、意地で打ち返しています。前半のペースが祟ったのか、流血のせいなのか、やや疲れた雰囲気のある堤。

9R、ラウンド開始とともにプレスを強めた堤がチャージ!ジリジリと後退する比嘉に、堤は右ストレートをヒット!その後も攻め続ける堤、単発ながら比嘉も返しますが堤の手数の方が見栄えが良いです。

 

終盤は激しい打ち合いを展開した両者、死力を尽くしたすばらしい一戦です。

最終ラウンド、ここもジャブを基点に攻める堤。比嘉は身体で押され後退しますが、そのガードは固く、強いボディ、そして右オーバーハンドで堤を迎え撃ちます。

この試合通じて、比嘉の危険なパンチは何度となく堤を襲いました。堤のボクシングが秀逸だったのは、そこで一歩も退かず、自ら手を出す事で比嘉の波状攻撃を中断させたことだったと思います。

そして、気持ちで負けないという気迫、最終ラウンドの残り0秒になるまで、しっかりと打ち合った堤のハートは素晴らしかったです。

比嘉の勝利でも、堤の勝利でも、ドローでも納得のいく内容の試合だった一戦は、1-0のドロー。

思うこと

ともに勝利を目指して、苦しい練習に耐えてきた両雄にとって失礼なのかもしれませんが、「どちらにも敗けてほしくない」と思っていた私にとっては、いけないことだと思いつつも胸をなでおろす結果となりました。

この試合当日(10/26)は、SNSでも詳細に語られており、中には堤の明確な勝利を推す声、比嘉の不調を伝える声、様々あったように思います。

私個人としては、堤の明確な勝利にも思えず(堤vs中嶋戦のときは堤が勝利したと思いましたが、その時ほどではなかった)、比嘉も前戦に比べ、不調とは思えませんでした。

 

比嘉は手数が出でいなかったです。2、3発のコンビネーションで攻めたあと、下がった相手に対して重ねて攻めていくのが比嘉大吾だと思いますが、今回それは見られませんでした。

それが見られなかった原因は、堤の勝負勘ともいえるものです。

比嘉が出てきたいであろうタイミングでジャブ、ストレート、ボディを放ち、それ以上は比嘉に攻撃させませんでした。結果的に、堤は比嘉の良いところを消した、と言えると思います。

結果的に、互角だった両者。

判定を聞いた瞬間、座り込んで悔しさを表した堤。

呆然として、その後首を横に振り、観客に謝る素振りを見せた比嘉。

両者にとって大切な一戦なのは間違いありませんが、その中でより、強い気持ちを持って臨んだのは堤だったと思います。ハートでは間違いなく勝っていたように思うのです。

 

しかし、それを含めても比嘉大吾は越えられなかったということが事実。

ただ、世界ランカーと引き分け、人気者比嘉大吾を苦しめたというこの一戦は、堤にとって非常に大きな一戦となったと思います。次戦は3月に設定されているそうなので、また応援していきたいと思います。

そして比嘉にとっては、格下相手にドロー。非常に厳しい現実だと思います。

堤は強豪とはいえ、日本ランキング下位の選手。本来であれば、「倒して勝たなければいけない」選手であるはずだったのです。(それが難しい事は、ボクシングファンであれば知っていたかもしれませんが)

次こそは、ファンの満足のいく「比嘉大吾」を見たい、心からそう思うのです。

そして、「どちらにも敗けてほしくない」と思った両雄の素晴らしいファイトは、このタイミングではなく、仮にこれが世界タイトルマッチであれば見てみたい、と思うのです。

ドローとはいえ、世界タイトルに近いのは比嘉ですし、きっと来年か再来年には世界王者となってくれると思います。

そして、比嘉がバンタム級の世界王座に辿り着いた暁には、是非堤聖也を指名してもらいたい。

その時にはじめて、このドローが双方にとって報われるのではないか、と思っています。

↓まだ見ていない方はこちらにリンクを貼っておきます。 

ちなみに最後に、今回の内藤大助氏の解説は落ち着いていましたね。いつも「ぎゃー」とか「わー」とか言っている用に思いますが。

 

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