先日、「正式発表」されたサウル・アルバレス(メキシコ)の次戦。
所属するGBPと揉め、GBPとDAZNを相手取って訴訟を起こしていると聞いていましたが、驚くべきことにキャリアは停滞しませんでした。ボクシング界史上最大の大型契約(確か11戦で40億?)だったカネローGBPーDAZNという連携は上手くいかなかったようです。
プロモーター、興行云々は私自身、あまり興味がないためによく知らないので割愛しますが、とにかくGBPを通さない契約をカネローDAZNの間で結んだようです。(今度は単発なんでしょうか?)
とにかく、全盛期のカネロのキャリアが停滞しなかったことは良かったですね。
こういった揉め事でキャリアが停滞させられてしまうボクサーは本当に可哀想。私はカネロは正直あまり好きなボクサーではありませんが、その技術、ボクシング自体は非常に素晴らしいと思っています。
さて、カネロの次戦は一時、IBF世界スーパーミドル級王者であるカレブ・プラント(アメリカ)との報が流れますが、その後カラム・スミス(イギリス)に変更され、正式発表。
“PFPキング”カネロ FA宣言後の初戦12.19決定 WBA・S・ミドル級スーパー王者のスミスと | Boxing News(ボクシングニュース)より
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ちなみに、私はカネロはあまり好きではありません。好きではない人も一定数、いると思うのですが、ご多分にもれずカネロにつきまとう黒い影、ドーピングとカネロ判定というものが確実に存在するように思うからです。
ただ、GGG戦以降、ジェイコブス、コバレフと強敵と戦っているカネロ、ここ数年の充実ぶりを認めないわけには参りません。コバレフ戦も結果的にコバレフの衰えを指摘される形にはなりましたが、いきなりのライトヘビー級であのパフォーマンス、あのようにコバレフを撃退するなんて想像出来ませんでした。
今回のブログでは、カネロを取り巻くスーパーミドル級のトップ戦線をおさらいしていきたいと思います。
まずは、主役。
WBA世界スーパーミドル級王者
サウル・アルバレス(メキシコ)56戦53勝(36KO)1敗2分
サウル・アルバレス(=カネロ)は、現在WBAのスーパーミドル級の正規王者でありながら、WBAスーパー・WBCフランチャイズのミドル級王者でもあります。
WBAスーパー、WBCフランチャイズの王座は、指名挑戦者の挑戦を受けなくて良い、という決まりになっていたかと思うので、これ防衛戦しなかったらずっと王者のままなんでしょうか。
同時に何階級もの王座を保持することは防衛戦の関係があり、基本的には不可能なことです。
ただ、優遇されているカネロは、ミドル級で防衛戦の必要がなく、前述のセルゲイ・コバレフ(ロシア)を破って戴冠したWBO世界ライトヘビー級王座はすでに返上してありますので、実質スーパーミドル級のボクサーであるといえます。
ちなみにミドル級の「WBAスーパー」は、村田諒太(帝拳)の上位王座に当たり、一時は対戦が噂されたこともありました。あの時の報道では、かなり具体的なところまで行っていたようでしたが、消滅してしまいましたかね。
一時期のキャッチウェイトばかりの対戦や、ドーピング問題は時とともに話題にされなくなり、最近は強豪との対戦が多いカネロ。
元々、若くしてフロイド・メイウェザーJr(アメリカ)と戦ったり、誰もが嫌がるエリスランディ・ララ(キューバ)と戦ったりと強敵を恐れないマッチメイクではありました。
ただ、これはカネロ本人のせいではないのですが、GGG戦、ララ戦のような疑惑の判定が付き纏ってくるのでなかなか認められません。
但し、その強さに異論はなく、その戦績(まだ30歳ながら56戦!)はリスペクトできます。
現役ボクサーの中で最も稼げるボクサーであり、PFPランクでも1〜3位には入るカネロ。
次戦は誰と、という報道がいくつも為されましたが、今回のは正式発表ということなので、コロナの事以外ではここから2転3転はないでしょう。
WBAスーパー・WBCダイヤモンド世界スーパーミドル級王者
カラム・スミス(イギリス)27戦全勝(19KO)
そしてそのカネロの次戦の相手の座を見事射止めたのが、カラム・スミス。
身長191cmという長身のボクサーで、リーチも198cm。2017年からWBSSに出場し、初戦でWBCダイヤモンド王座を獲得、2018年の決勝ではジョージ・グローブス(イギリス)との同国人対決を制してWBAスーパー王座も獲得しました。
その後は防衛戦で来日経験もあるアッサン・エンダム(フランス)を一蹴、WBAの暫定王者であったジョン・ライダー(イギリス)との団体内統一戦をクリア。
ただこのライダー戦は、スミスの大苦戦により、評価を落とすものであった上、ライダー勝利を支持する声も多いです。体格面で勝るスミスですが、サウスポー・ライダーのジャブは軽々と当たり、ライダーはススっと懐に入ってフックを乱打、スミスはガッチリとガードするものの接近戦で手が出ない。
終始攻め続けらライダーは判定に泣きましたが、カネロは「接近戦」という所だけを切り取ってみたとしても明らかにライダーより巧い。そしてパンチもあり、ディフェンスも良い。
ライダー相手に易々と懐に入られてしまったスミスを思うと、カネロを止める術はないようにも思えます。
もちろんその時のままではないとは思いますし、その1戦のみで云々言っても仕方ないのですが、あの出来を見てしまうとスミス勝利は厳しく思います。
更にカネロは太い首、太い胴体を持ち、GGGやコバレフの強打に耐え切って見せた通り打たれ強く、スミスは身長が高い分、ヒョロリとしていてタフネスに不安が残ります。
果たしてカネロに勝てるか?
カネロはオフェンス、ディフェンスともに巧さがあり、パンチングパワーというよりもコンビネーションとタイミングが良く、スピードもあります。そして何よりタフで、スタミナも十分。
ちょっと厳しいような気もします。あくまでもそれぞれの前戦の出来を鑑みると、ですが。
勿論、スミスがこれまで以上に仕上げてくる可能性はあります。相手はあのカネロです。前戦とモチベーションは違うでしょう。
では、他の王者たちではどうか。
IBF世界スーパーミドル級王者
カレブ・プラント(アメリカ)20戦全勝(12KO)
不利予想の中、ホセ・ウスカテギ(ベネズエラ)から王座を奪ったプラント。その一戦から、非常にテクニカルなイメージですね。
あのとき、ウスカテギは単調過ぎたような気もします。そしてダウンを取られ、焦り、自ら掘った墓穴にハマっていったようにも見えました。
気になったのはウスカテギの追い上げを許してしまったように見えたところですかね。世界初挑戦の緊張で、スタミナをロスしてしまったのか、自分のペースで試合をしていたにもかかわらず完全に疲れていたところは不安の残るところです。
ここまで2度の防衛戦はKOで片付けていますが、その真価はまだ見せていません。
WBO世界スーパーミドル級王者
ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)29戦全勝(14KO)
ミドル級時代から王者であり、意外にも無敗。ミドル級時代には村田諒太との対戦の話題があったり、一度はカネロの相手と決まったりしましたが、当然のように流れています。
テクニカルで、地味で、DV発言等で人間的にも好きにはなれないボクサーです。
とはいえ、ミドル級、スーパーミドル級の2階級を制覇したことは、非凡な何かを持っているということですね。
前WBC世界スーパーミドル級王者
デビッド・べナビデス(アメリカ)23戦全勝(20KO)
私が一番期待しているのはべナビデス。何せ試合が非常におもしろい。
23歳(今年24歳)とまだ若く、カネロと闘っても大いにはぐらかされ、いなされるという心配はあるものの、サイズ、パワーが申し分なく、カネロをノックアウトできるのはこの男しかいない、と思っています。
何せ判定ではカネロに勝てません(皮肉)。
しかし、若さゆえの過ちなのか、ただ単にだらしがないだけなのか、前戦の防衛戦で体重超過でタイトルを剥奪。現在WBC王座は空位となっています。
↓ベナビデスの防衛戦の観戦記
これは本当に残念でしたね。
せっかくカレブ・プラントがベナビデス戦を希望しているとのことでしたが、これで一旦白紙でしょう。
これでプラントが無冠となったベナビデスからの挑戦を受けるようであれば、その侠気に拍手を贈りたくなります。
さて、長々と書いてはみましたが、GBPの縛りから開放されたカネロ、このコロナ禍においてもどんどん試合をこなしていくことが予想されます。
GGG第3戦が見たいか、と言われると微妙なので、より新しいボクサーと戦ってもらいたいですね。どうせならスーパーミドル級の4団体統一を目指してほしい。
そしてボクシング界で最も稼ぐ男、カネロがこれからアクティブに動いていくとなると、やはりその動向は注目の的です。これまでも、かなり不確定な情報がバンバン流れてきていましたから。
そしてカネロが注目されることにより、俄然、その主たる階級であるスーパーミドル級にも光が当たる結果となっていきます。そう、ボクシング界の中心として。
そして、カネロに立ちはだかる最後の強敵として、デビッド・ベナビデスがカネロをストップしてくれることを期待しています。