ダニエル・デュボアvsジョー・ジョイス。
コロナ禍により延期となったこのヘビー級無敗対決は、11/28(日本時間11/29)、いよいよイギリスの地で開催されるに至りました。
ヘビー級の王座は今、そのほとんどがイギリスにあります。
WBAスーパー、IBF、WBO王座をアンソニー・ジョシュアが、WBC王座をタイソン・フューリーが保持(ともにイギリス)。
そしてWBA正規王座をドイツのマヌエル・チャーが持ち、WBC暫定王座をロシアのアレクサンドル・ポベトキンが保持。
この一戦でデュボアが勝利すれば、ヘビー級王座挑戦に一歩近づくことになりますし、ともすれば次戦で挑戦という青写真を描いていたのかもしれません。
しかし、そうはならなかったのがボクシングのおもしろいところなのかもしれません。
↓プレビュー記事
今回のブログでは、デュボアvsジョイス、そしてDAZNで中継されたダニエル・ジェイコブスの復帰戦の観戦記を書いていきたいと思います。
11/28(日本時間11/29)イギリス
ダニエル・デュボア(イギリス)15戦全勝(14KO)
vs
ジョー・ジョイス(イギリス)11戦全勝(10KO)
↓ハイライト動画
無敗のプロスペクト、デュボアと、同じく無敗のジョイスの一戦。
初回、ジョイスがジャブを打ちながらプレスをかける展開。デュボアもジャブをつきながら慎重にみている印象です。ジョイスのジャブは良いですね。
2R、開始早々にジョイスに襲いかかるデュボア!迫力満点の攻めでジョイスはフットワークとジャブ以外のパンチを出すことができないように見えます。
このラウンドはジョイスのジャブをダックして自分のジャブを当てる等、中間距離でもデュボアに分があります。
3R、序盤にデュボアが猛攻で見せ場を作りますが、それ以降はまたジョイスのジャブが機能し始めます。ジョイスは絶え間なくジャブを出し続け、デュボアの突進を阻むことに成功。
4R、デュボアはやや戦い方を変えたのか、強引に攻めようとする姿勢は控えめに。とにかくジョイスのジャブをかわして当てるという方に比重を置き始めたように見えます。この戦い方はフィットして、ビッグパンチは当たらないものの、ジョイスを下がらせることには成功しています。
ジョイスのジャブは強く打っている感じはしませんが、まっすぐでモーションもなく、見えづらいのかもしれません。注意はしていても、デュボアはジョイスのジャブをやはりもらっています。
このラウンド終了後、アップになったデュボア、左目のあたりが腫れ始めています。
5R、主に中間距離での攻防。ジョイスのジャブに対し、しっかり反応しているデュボアはジャブをかわして自分のジャブを数発クリーンヒット。そこから右ストレートも浅くヒットする場面も。
6R、このラウンドはクリンチが多くなったラウンド。ジョイスはジャブを突き、そのジャブに対応しているかに見えたデュボアですが、中に入ると適切な距離ではありません。左目のせいで距離感が狂っているのでしょうか?
左目はかなり塞がってきています。
7R、デュボアは勝負をかけたのか、ゴング後に猛攻!ジョイスはここまでデュボアのハードヒットをガードの上やダメージを逃がしながらかもしれませんが何発も浴びていますが、アップライトのスタイルは崩れません。
8R、今度は負けじとジョイスがジャブを打ちながらプレスをかけます。しかしデュボアの左目はほぼ見えていないように見えますね。ジョイスは完全にそこを狙い、ジャブを打ってはサイドへ回ります。動くジョイスにデュボアは攻め込めません。
9R、デュボアの左目はもうほとんど塞がれています。ドクターチェックも入らないのは何故か。その塞がった左目で、ジョイスのジャブによく反応しているとも思えるデュボア。
ジョイスにとっては、一発目のジャブを交わされたときの対処だけしておけばよく、戦いやすい状況となっています。
ジョイスはかわす準備をしてジャブを一つ打ち、打ってこないとみるともう一つジャブを打ち、サイドに回る。デュボアが打ってくれば右で迎撃。
10R、リズムをとり、プレスをかけつつも逃げる準備を怠らないジョイス、ここでジョイスのジャブがデュボアにヒット。
一瞬の間を置き、デュボアはみずから膝をつきます。
そしてそのままカウント、デュボアは10カウントを待ちました。
ジョー・ジョイスの10RKO勝利
ジョイスは試合を通じて、ほとんどジャブしか打っていませんでした。
そのジャブのスピードは速いとはいえず、多彩とも言えません。
しかし、フェイントを含め、常に出し続けました。
好戦的なデュボア、デュボアのパワーにのしかかる期待、オッズ不利の予想。それを逆手にとって、自身の強みを活かした見事な戦い方であったといえます。
そしてデュボアは、恥ずべき負け方をしてしまったのかもしれません。
左目が完全に塞がり、本来であれば陣営やレフェリーが下すべき判断を、自ら下さなければいけなかったのは相当に辛かったと思います。
のちのニュースで、眼窩底骨折、左目周辺の神経損傷が伝えられたデュボア。失明等、大事には至っていないような感じですかね?だったらひとまず安心です。
ここでハートの弱さ、ある種の打たれ脆さを露呈したデュボアは復活なるか。
ヘビー級に超新星を期待した一戦の勝敗としては非常に残念ではありますが、23歳とまだ若いデュボア、その復帰を願っています。
ジョイスは残念ながら、年齢もあいまって超新星とはいきませんが、次にどのような強敵と拳を交えるのか、楽しみですね。
そして、11/27(日本時間11/28)アメリカで行われたスーパーミドル級12回戦。
ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)vsガブリエル・ロサド(アメリカ)
ジェイコブスの出来はどうか、と期待をしていたのですが、ロサドと全く噛み合わず。
12Rという長丁場で、非常に退屈な試合となってしまいました。
互いに攻め手を欠き、ともに強引に攻めたりはせず、1Rから12Rまでのマラソン。
その中で秀逸なテクニックが見れるわけでもなかったので、途中からはTwitter上で流れてくるWBOアジア・パシフィック・フェザー級タイトルマッチ、森武蔵vs溜田剛士の実況ツイートに心を奪われてしまいました。
こちらは名勝負となったようで、12/5の深夜、フジテレビで放送されるようですので関東圏の方は是非チェックして下さい。
ロサドは一流のボクサーではありませんが、ある程度のやり辛さを備えていました。
そこにディフェンシブなジェイコブスが絡み、クリーンヒットの数もほぼ変わらず、ロサドの方が手数も多いように見えましたが、判定は2-1でジェイコブス。
判定の際、「フィラデルフィア。。。」とロサドの出身地がコールされ、ロサドは歓喜の表情を浮かべますが、その後「ニューヨーク、ブルックリン」とジェイコブスの出身地のコール。
退屈で、リングアナウンサーも寝てたのか、と思うような間違いもあり、グダグダな興行となりました。
前座に出場したプロスペクトたちは非常に素晴らしい闘いを見せましたが、メインはつまらない、というか軽いスパーリングのような内容。
結果だけ見ると、ジェイコブスがギリギリサバイブ。
ただ、負けていてもおかしくない内容だったというのが事実。
判定はどちらに転んでも驚かないほどで、見方によっては負けていたジェイコブス。
ここから、果たしてまた世界タイトルへたどり着けるのか。
ロサドに対して、大いに善戦を許してしまった今の状態では、正直いうと厳しいと思います。
しかし、「ミラクルマン」ジェイコブスは、ここからまた盛り返して、第2のミラクルを起こしてくれるかもしれません。
ジェイコブスがもう終わってしまったのか、それともここからまだ先があるのか。もう若くないミラクルマン、そのキャリアを見届けたいと思います。