4/15(土)、4/16(日)は主に国内(韓国含む)で本当に多くの興行が行われました。
全部見れた人はいるのでしょうか。。。
ともあれ、この2日間で最も衝撃だったのは、イギリスで行われたジョー・ジョイス(イギリス)vsチャン・ツィーレイ(中国)のWBO世界ヘビー級暫定タイトルマッチ。
私はジョー・ジョイスというボクサーが非常に好きで、運動神経が悪そうに見えてめちゃくちゃ身体能力が高い「ジャガーノート」の戦いを楽しみにしています。もしかしたら、ウシクやフューリーに勝てる可能性があるのではないかとさえ思っていました。
が、結論から言ってしまうとそれはただの妄想だったわけです。
ということで今回は、イギリスで行われ、アメリカではESPNで放送されたジョー・ジョイスvsチャン・ツィーレイのWBOs絵かいヘビー級暫定タイトルマッチの観戦記。
4/15(日本時間4/16)イギリス・ロンドン
ESPNのメインカード放送開始、オープニングアクトはサム・ノークス(イギリス)vsカティック・サティス・クマール(インド)。この試合の前には、メインカードの放送枠に乗りませんでしたが、デンゼル・ベントレイ(イギリス)が初回KOで再起戦を飾っています。ベントレイはジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)に判定負けを喫したボクサーですね。
10勝10KO無敗の英国プロスペクト、ノークスはコモンウェルスとWBCインターナショナルのライト級チャンピオン、対するは10勝4KO無敗の戦績のクマール。
初回から細かいジャブを突いて積極的に攻撃を仕掛けるノークス。クマールも応戦、しかしノークスの硬質なコンビネーションに徐々に押される展開です。ノークスは力み返っているように見えますが、非常に硬そうなパンチを持っています。終盤、右ストレートで思いっきりクマールの顔を跳ね上げ、ダウンを奪取。クマールが立ち上がったところでラウンドが終了。
2Rもとにかく細かいジャブを突いて攻めるノークス。上下内外の打ち分け、1発ずつを非常に力強く打ちます。身体で押し込んで、多少腕を絡ませられてもパンチを止めないノークス、クマールは堪らずリングマットに両腕をついてしまうダウン、これでレフェリーはストップ。
流石にもっとできただろうと思いますが、実力差は明らかだったと言えます。
美しく、英国人ボクサーらしくオーセンティック、とは言えませんが、なかなか個性的なボクサーですね。サム・ノークス。
続いて登場したのは、モーゼス・イタウマ(イギリス)。こちらは2022年の世界ユース王者ですね。18歳のヘビー級プロスペクト。2勝2KOという戦績から3戦目に臨み、ここは初の判定勝利を挙げています。ノーガードになってみたりと色々試してはいましたが、ちょっと疲れた感じもありますね。まだ18歳、キャリアの形成はまだまだ必要でしょう。
セミファイナルはミカエラ・メイヤー(アメリカ)の復帰戦。前戦でアリシア・バウムガードナー(アメリカ)との世界女子スーパーフェザー級4団体統一戦に破れたあと、ライト級に転級しての初戦です。
いわゆるテストマッチ、とも言えますが、相手のルーシー・ワイルドハートは10勝(4KO)1敗と好戦績のボクサーですね。ただ、ここは地力の差を見せたメイヤーが攻めるべきところをしっかりと攻めてポイントをピックアップ、ユナニマス判定での勝利を飾っています。
WBO世界ヘビー級暫定タイトルマッチ
ジョー・ジョイス(イギリス)15勝(14KO)1敗
vs
チャン・ツィーレイ(中国)24勝(19KO)1敗1分
そんなこんなでメインイベント。30歳を過ぎてプロデビューしたジョー・ジョイスは、デビュー以来連戦連勝を続け、2020年には当時ナンバーワン・プロスペクトだった「DDD」ダニエル・ダイナマイト・デュボア(イギリス)を撃破。
デュボアがWBA世界ヘビー級暫定王者に収まったのち、前戦でWBO世界ヘビー級暫定王座決定戦のチャンスを手に入れ、これを獲得しています。
前戦の王座決定戦で対戦したのは、元世界王者でそれまでに一度もKO負けのないジョセフ・パーカー(ニュージーランド)。アンソニー・ジョシュア(イギリス)もパーカーを倒す事はできませんでした。
↓観戦記
そのパーカーを11RKOで降し、暫定ながらも世界初戴冠を果たしたジョイスには、死角はないように見えます。
チャンは前戦でフィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)との無敗対決で初黒星。ただ、非常にクロスファイトだったことは事実であり、ツィーレイがもう少し手を出せていれば、結果はひっくり返っていたかもしれません。
↓この試合はウシクvsジョシュア2のセミファイナル
ということで、ゴング。
初回、サウスポー、チャンとオーソドックスのジョイス、まずは前の手で間合いを測りあいます。ジョイスはいつも決してスピードがあるわけではなく、目をみはる武器があるわけではありませんが、そのジャブが非常にまっすぐなことが特徴です。
ただ、チャンの力の抜けたジャブもよく、左ストレートは非常にキレています。
チャンはよく前手を出しており、左もすぐにでます。特にジョイスが右を放った直後は、必ずと言って良いほど左をリターンしています。
2R、いつもは不器用そうなステップを踏みながら、ジャブをポコポコ当てる(なぜだか迫力はない)ジョイスですが、サウスポーが相手だからかとにかくジャブを当てられません。
オーバーハンド気味に右を放つのですが、これが速くない、というかスロー。
対してチャンは左を打てば右が、右を打てば左が流れるようにでて、回転力があります。
中盤、チャンが左をヒットすると一瞬動きが止まるジョイス。その後もガードの真ん中を割るようなチャンの左ストレートがヒット、ジョイスも懸命に反撃しますが劣勢は明らか。
3R、ジョイスは良いジャブが出始めました。まっすぐの右ストレートも随分良くなってきたと思います。
しかしチャンは右手を上手く使ってジョイスのジャブを上に上げ、左。この辺りの攻撃の仕方はうまく、そして一瞬のスピードがあって怖い。
それでもジョイスはこのラウンド、非常に攻撃的に攻めることができています。コンビネーションを使って、リズムよく攻撃するその様は、いつものジャガーノートです。
4R、だいぶ調子が出てきたジョイス。しかしチャンは左のタイミングを掴み、更にジョイスの攻撃に臆さないためか、中盤に良い左を次々とヒット。ジョイスはこの左で幾度となく顔を跳ね上げられ、体勢を崩されます。
5R、ジョイスはこのラウンドを勝負とみたのか、開始後にチャージ。力強く攻め入り、近い距離での打ち合いを選択します。
これに乗ったチャン、手数こそジョイスではありますが、チャンの左ストレートは力強くキレがあり、幾度となくジョイスの顔面をのけぞらせます。
ジョイスの右目はもうふさがっているように見えます。
右目がほとんど見えないから、このラウンドに勝負をかけたのかもしれません。
しかしチャンは非常に頑丈。数多のボクサーを沈めてきたジョイスの強打をもらっても、びくともしません。
あのデュボアが音を上げたジャブをヒットされても、顔が紅潮することすらありません。
インターバル中、ジョイスの顔がアップされますが、明らかに右のまぶたは動いていません。
6R、開始ゴングのあとドクターチェック。ドクターがジョイスの左目を隠し、指を見せています。「何本?」と聞いているシーンはロッキーを思い出します。ロッキーは腫れで目が見えないとき、セコンドが首をとんとんと叩いて本数を知らせていたっけ。
なんとか見えているらしいジョイス、試合は再開。しかしもうそう長くは続けられないでしょう。
ここでも勿論チャージするジョイス。しかしチャンのガードは固く、更にジョイスに時間はありませんがチャンにはまだ時間があるし、とにかくチャンは得意の左パンチを当てていけばストップ勝ちが叶うという展開です。
中盤、近い距離でチャン・ツィーレイの力強い左右のフック!このあともみ合ったところで、ドクターが再度のチェック、しっかりと右目を確認した上で、ストップ。
チャン・ツィーレイ、6RTKO勝利!!!
中国人ボクサー初の世界ヘビー級王者。しかも、並ではないはずの王者、ジョー・ジョイスを破っての戴冠は、「暫定」という二文字こそありますが紛れもない世界王者です。
これはショック、ジョイスの顔面は敗者らしく血まみれでボコボコ、対してチャンの顔面はダメージを感じさせないものです。
ジョイスの今戦のパフォーマンスは、決して良いとは言えませんでしたが、チャンのパフォーマンスは素晴らしかった。キレのある左ストレート、右フック、左フック、そして軽めのジャブ、非常に威力がありましたね。
これは久々に結果を知ってしまってから見てしまったのですが、なんだか見る前から気が重かった。義務感もありつつ見た、世界ヘビー級タイトルマッチ。
ともあれ、東アジアと呼ばれる地域から初の世界ヘビー級王者。
オセアニアからは出た、東アジアからも出た。
今度は日本から、ヘビー級王者の誕生を待ちたいものですね。
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