2021年が明けて日本時間で1/3。
早くもボクシング興行が開始されました。
今年最初の注目興行はマッチルーム興行、メインはライアン・ガルシア(アメリカ)がルーク・キャンベルと激突します。
この興行で行われた全ての試合の観戦記です。(ハイライト動画も貼ってあります。)
↓プレビュー記事
1/2(日本時間1/3)
ライト級4回戦
ショーン・ガルシア(アメリカ)5戦全勝(2KO)無敗
vs
レネ・マルケス(アメリカ)5勝(2KO)5敗
↓ハイライト動画
メインで登場するライアン・ガルシアの弟、ショーンのプロ6戦目。
初回、サウスポーのショーン、ガードを高く掲げプレスをかけます。ハンドスピードはやはり速いです。
2Rは相手の出先にカウンター、というボクシングを主軸にするショーン。右フックのスイングは大きいですが、スピードが速い。終盤、若干エキサイト。
3Rも同様の流れ。ショーンは左ストレートと右フックに良いものがありますが、いかんせん的中率が低く、手数も多いとはいえません。パンチを当てるまでの組み立てはまだまだ。パワーも兄と比べるべくもありません。
4R、最終ラウンド、マルケスがぐいぐいと前に出てきて左右を振るいます。マルケスはもっと早い段階でこうしておくべきでしたね。重厚な攻撃でショーンを下がらせたマルケスのベストラウンドとなりました。
判定は、3-0でショーン・ガルシア。
あまり怖さのないボクサーですね。今後馬力型のファイターには簡単に倒されそうにも見えました。ただ、陣営は一流。ここからどのように成長していくかは、気になります。
ラウル・クリエル(メキシコ)8戦全勝(6KO)無敗
vs
ラムセス・アガトン(メキシコ)34戦22勝(12KO)12敗3分
↓ハイライト動画
初回、サウスポーのアンダードッグ、アガトンもなかなかパンチはシャープ。クリエルは落ち着いて対応、アガトンの入り際にパンチをヒットし、まずはその前進を止めます。
1分過ぎ、ワンツー左ボディから左フックのコンビネーションでダウンを奪ったクリエル。再開後も冷静。ダウンしてしまったアガトン、非常に悔しそうなのが良いですね。
ただ、やはり実力差は明白か、終盤はクリエルの猛攻にさらされるアガトン。
2R、クリエルはパワフル。アガトンもこのプロスペクトを喰おうとパワフルですが、クリエルの猛攻に耐えきれず、打ち込まれたところでレフェリーがストップ。
ラウル・クリエルの2RTKO勝利。
たった2Rですが、アガトンの右目はかなり腫れていましたね。クリエルはパワーもあり、コンビネーションも打てる良いボクサーです。
アガトンは負けの多いボクサーではありますが、それなりの技術、パワー、スピードを有しているボクサーであり、しっかり勝ちに来ているボクサーでもありました。
クリエル、お見事です。
IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ
フェリックス・アルバラード(ニカラグア)37戦35勝(30KO)2敗
vs
ディージェイ・クリエル(南アフリカ)18戦16勝(8KO)1敗1分
↓ハイライト動画
双子の世界王者、アルバラード兄弟。フェリックス・アルバラードは来日経験もある王者なので、応援です。
初回からエンジン全開のアルバラード。激しいウィービングの動きから、ガンガン攻めていきます。下がりながらそれを迎え撃つクリエルですが、アルバラードのプレスにかなり嫌がっているようにも見えます。
2R、変わらずガンガン攻めるアルバラード。1分過ぎ、素晴らしい左フックでダウンを奪ったアルバラード、再開後も前進と手数は止まりません。
体勢を崩しながらもパンチを打つ姿は、非常にエキサイティング。終わりの近さを感じさせます。
3R、クリエルは若干リズムが出てきたようにみえましたが、身体全体のパワー、パンチングパワーに明らかな違いがあります。
4R、アルバラードのオフェンスはすごい。このままフルラウンド行けるスタミナがあるのでしょうか。このラウンドも始めから攻め続けるアルバラード、開始30秒ほどでまたも左フックでダウンを奪います。
5R、クリエルはかなりタフです。このラウンドはともにクリーンヒットを決めつつの打撃戦となりますが、クリエルはアルバラード以上に手数が出ているように見えます。下がりながらなので印象は良くないかもしれませんが、サイドステップからのコンビネーションは良かった。
6R、このラウンドはクリエルは接近戦での細かいコンビネーションが冴えます。対してアルバラードはやや大振り、序盤ほどの突進力はなくなってきています。
7R。アルバラードのラッシングパワーに押し込まれるかに見えたクリエルですが、細かい手数で逆にアルバラードを飲み込み始めています。一発頼みの感がありますが、アルバラードも時折パワーパンチを当て、対抗。
8R、アルバラード、疲労と細かいパンチのダメージからかウィービングが甘くなってきています。クリエルのジャブ、左フックを被弾、あと4R逃げ切れるのでしょうか。
9R、明らかに雰囲気を変えて決めに来たアルバラード!クリエルをロープに詰め、強いパンチを振るいます。ミスブローも多いですが、未だ迫力は十分。
終盤、右ストレートを効かせたアルバラードでしたが、その後のラッシュは時間切れで仕留めきれず。
10R、このラウンドも決めに出たアルバラード、力強いパンチの連打で右ストレートを効かせ、それを見たレフェリーがとうとうストップ。
フェリックス・アルバラードの10RTKO勝利。
見事なパンチングパワーとボディワークでしたね。空振りも被弾も多いですが、ライトフライ級では驚異的なパワー。途中、流れを渡しかけましたが、自分のボクシングを崩すことなくKOを完遂。
ライトフライ級、日本人王者たちとの絡みが見たいですね。そして矢吹、堀川、そして高山といった世界ランカーの標的でもあります。穴はありますが、それを補えるだけのパワーを保持している王者、誰かの挑戦を期待しています。
WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
レネ・アルバラード(ニカラグア)40戦32勝(21KO)8敗
vs
ロジャー・グティエレス(ベネズエラ)27戦24勝(20KO)3敗
↓ハイライト動画
双子の世界王者、アルバラード兄弟。レネ・アルバラードは苦労人、激闘型の王者です。
双子の兄、フェリックスに続けるか。
初回は様子見のラウンドながら、アルバラードはプレスをかけつつ前進。
しかしこのラウンド終盤、グティエレスの右がヒット、アルバラードは動きが止まります!いきなりの波乱か!?
2R、アルバレスはかなり警戒しているように思います。グティエレスはそこを突き、中間距離でアルバレスをはりつけにできれば良いのでしょう。なかなか中に入りきれないアルバレス。
3R、序盤にアルバラードの入り際にあわせたグティエレスのボディアッパーがヒット!アルバレスはダウン!
これはかなりピンチ!その後ラッシュをかけるグティエレス、今度は右ストレートで押し倒すようにダウンを奪います。足に力が入っていません。
立て直したいアルバレスは足を使ってサークリングしますが、ガードの上から当てられた左フックで体勢を崩す等、厳しい展開。レフェリーによってはストップしているでしょう。
それでも打ち返すアルバラード、ハートの強さがエグい。終盤にはグティエレスがマウスピースを落とし、若干休憩できたアルバラード。グティエレスも苦しい。
このラウンド、グティエレスが左目上をカット。
4R、完全には回復していないはずですが、アルバラードは前に出てプレスをかけ続けます。5R、より回復したアルバラード。相打ち気味の右を効かせ、その後も右オーバーや左フックをヒット。グティエレスもアルバラードの入り際にあわせて右アッパーをヒットする等、見せ場をつくります。
6R、このラウンドは全体を通してグティエレスが中間距離をキープした時間が長かったように思いますが、終盤にアルバラードが良い左フックをヒット。
7R、8R、グティエレスのパワーはまだまだ健在、アルバレスはプレスをかけ続けますがダウンポイントを挽回できるほど明確な差はできにくいように感じます。
どこかで倒す、最低でもダウンを奪うことしか勝てる道はないのかもしれません。
9Rもグティエレスが距離をキープする時間が長い。アルバラードはガードがしっかりしていて、クリーンヒットはもらっていないまでも見栄えはよくありません。
10R、11R、グティエレスのジャブ、そして右ストレートからのコンビネーションで、なかなかアルバラードは近づけません。ただ、グティエレスのパンチはアルバラードのガードに阻まれクリーンヒットは少なく、左目上の出血もあり劣勢の感じがあります。
最終ラウンドもアルバラードは前に出て懸命にパンチを振るいます。しかし、1分ほどのところでガードの隙間を縫うような、グティエレスのコンパクトな左フックがヒット、アルバラードはこの試合3度目のダウン。これはダメ押しのダウンとなってしまったか。
規定の12Rを終了し、ロジャー・グティエレスの3-0(113-112×3)判定勝利。新王者の誕生とともに以前敗れているアルバラードへの雪辱を果たしました。
グティエレスは非常にジャブがよく、パワーも充分ですね。全体的にグティエレスが試合を支配していたように見えましたが、アルバラードの攻勢をとったジャッジが多かったようですね。最後のダウンがなければ勝負はわかりませんでした。
個人的にはもう少し差がついてもよかったかな、とは思いますが、無事に勝利したグティエレス。おめでとうございます。
メインイベント WBC世界ライト級暫定王座決定戦
ライアン・ガルシア(アメリカ)20戦全勝(17KO)無敗
vs
ルーク・キャンベル(イギリス)23戦20勝(16KO)3敗
ガルシアの入場が、まさにキング。エンターテイメント性のあるボクサーはやっぱり素晴らしいですね。
↓ライアン・ガルシアの入場!
いよいよ始まる、ガルシアvsキャンベル!ライアン・ガルシアが強豪と戦うのは、初めてと言っても良いくらいです。
大人気のスター、ガルシアか、ロンドン五輪金メダリスト、キャンベルか。
非常に楽しみな一戦がゴング!ちなみに私はキャンベル応援。
初回からプレスをかけ、ダイナミックにパンチを放っていくガルシア。やっぱり速い。ガルシアの右ストレートで若干キャンベルがよろける。ガルシアがパンチを放つたびに黄色い声援が飛ぶのはさすが。
2R、声援も相まって、ガルシアのパワーに押されているように見えるキャンベル。キャンベルの左オーバーハンドでガルシアがダウン!!
キャンベルはガルシアのパワーを警戒し、その後詰める事はできませんでしたが、序盤、大きなリード。ここで油断せずに緊張感を持って臨んでもらいたいです。
3R、ダメージを感じさせないガルシア、強気にプレス。キャンベルは右足を大きく前に出し、ディフェンシブな構え。ガルシアの攻撃は迫力がものすごい。見栄えとしてはガルシアにポイントがいってしまうでしょう。
4R、速いワンツーを打つガルシアと、左ストレートをボディに持っていくキャンベル。その後はともにあまり続きません。比較的前の手を効果的に使えているのはキャンベル。このラウンドも左ストレートでガルシアの顔を跳ね上げます。
5R、スピード、パワーに勝るガルシアは攻撃にかなりの迫力があります。このラウンド終盤、とうとうガルシアの左フックがクリーンヒット!効いたキャンベルでしたが、ゴングが鳴り追撃は免れます。
6R、ガルシアにとっては大チャンス!開始早々ラッシュをかけます。その後はキャンベルも持ち直し、互いにパンチをヒットさせます。
7R、このラウンドでガルシアの左ボディがクリーンヒットしたキャンベルは、一瞬の間を置いてダウン!!そして立てませんでした。
ライアン・ガルシアの7RKO勝利!!
素晴らしい闘いでした!ライアン・ガルシア!!はっきり言って想像以上。
パワー、スピードでキャンベルの経験、技術をねじ伏せたような一戦。2Rに奪われたダウンは、この試合を劇的なものにするためのスパイスとなっただけでしたね。
キャンベルは終始ガルシアのプレスに押されており、この後続けていたとしても、ガルシアの勝利は揺るがなかったような気がします。
リナレス、ロマチェンコを苦しめたと言っても良いキャンベルに、ここまで明確に勝利できるならば、その力は誰もが認めざるを得ないでしょう。
私は苦労人、キャンベルの奮闘に期待しましたが、ライト級のニュースター、ライアン・ガルシアがリアルを完璧に証明してみせたことで、ライト級戦線はこれからまた更におもしろくなりますね。
そこに、日本人ボクサーの入り込む余地はあるのでしょうか。
これでWBC世界ライト級暫定王者となったライアン・ガルシア、次戦で正規王者、デビン・ヘイニー(アメリカ)とアマ時代からの決着戦をやってほしい!
2021年、更に盛り上がるライト級戦線、これからも目が離せません!!