信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

全日本新人王決勝戦、vol.1。ミニマム級〜バンタム級までの試合内容と個人的感想。

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コロナという未曾有のウイルスショックの中、開催が危ぶまれたものの日程をずらして開催された、新人王トーナメント。

この過密日程を勝ち抜いた東西の新人王が激突する全日本新人王の決勝戦は、2/21(日)に行われました。

緊急事態宣言下の東京、後楽園ホール。

選手、セコンドに試合前々日、前日とPCR検査を行い、本当に残念ながら2試合が中止。PCR検査で陽性と出てしまった選手は、本当に気の毒です。

めげずに、次戦に臨んでもらいたい、と心から思います。

さて、今回のブログは先日行われた全日本新人王の決勝。まずはvol.1ということで、ミニマム級〜バンタム級までの観戦記を書いていきたいと思います。

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プレビュー記事はこちら

boxingcafe.hatenablog.com

 

ミニマム級

佐々木凌(レパード玉熊)vs小島蓮(江見)

5勝(2KO)2敗の佐々木、岡山の江見ジム所属、5勝1敗2分。成長著しい小島か、それともラストチャンスにかける3度目の新人王挑戦、佐々木か。

小島は非常にスピードが豊か、ハンドスピードだけでなく、体が非常にキレています。対して佐々木は序盤はやや手数が少ないか。

佐々木はガードを固めて前進しますが、小島は速いコンビネーションで佐々木をコントロール、近い距離でも回転力のある連打を披露します。

その後も佐々木はジリジリとプレスをかけ、小島のコンビネーションを受けてから打ち終わりを狙う作戦かもしれませんが、小島は打った後にしっかり離れ、捕まえ切れません。

 

小島は非常に動きが良いですね。サイドステップも秀逸、パンチもしっかり見えており佐々木はかなり苦しい展開。

佐々木はスイッチ等色々と試してはみたものの、この展開を打開できないまま規定の5Rを終了し、判定は小島に。

ほぼフルマークの判定勝利を得て、小島蓮が全日本新人王に!

小島は素晴らしいボクシングでした。佐々木は思い切ってゴリゴリのインファイトスタイルでいければもう少し展開は変わったかもしれませんね。

小島はジャブが非常によく、右ストレートもまっすぐ出て、左フックを打ってサイドステップ、手数も出て、落ち着いていつつもアグレッシブなボクシングでした。

江見ジムから初めての新人王、本当におめでとうございます。

 

ライトフライ級

狩俣綾汰(三迫)vs木村彪吾(グリーンツダ)

5戦全勝(3KO)の狩俣は圧倒的な勝ち方で勝ち上がり、6勝(1KO)1敗1分の木村は前戦はドローで優勢点でこの決勝に進出。ここはおそらく狩俣の方が優位予想でしょう。

狩俣はオキナワン・ファイターらしくグイグイとプレスをかけて、右オーバーハンドや左ボディを中心に勢いよく攻め込みます。

しかし木村も負けておらず、下がりつつも狩俣の打ち終わりにパンチを当て、コンビネーションを打ち込みます。

狩俣は初回、かなり力みがみられるような気がします。KOを意識しすぎでしょうか。

2R以降も、狩俣は体ごとぶつけていくような迫力あるパンチ。傍からみても強そうなパンチを振るいますが、木村もカウンターからボディ、非常に見応えのある打撃戦が展開されます。

両者ともに力強いパンチを交換しあい、今にもダウンシーンが見られそうなこの大激闘ですが、両者ともにタフで、気持ちが強い。

 

狩俣はやや大ぶり、外から振り回す系のパンチなので、木村はコンパクトなカウンターを取れます。しかし一発のパワーに勝る狩俣は、そのカウンターを受けつつも打ち返し、効かせた場面がやや多かったように思います。

フルラウンド、しっかりと打ち合ったふたり。後楽園ホールに人が入っていれば、大歓声が響き渡った事でしょう。

どちらが勝ってもおかしくないような試合は、2-0の判定で狩俣に凱歌が上がりました。

両者ともに素晴らしいハートの強さを見せてくれた両雄、これぞ新人王戦という大激闘でした。木村のカウンターも非常に良かったですが、やはり狩俣のパワーは見栄えとしても良かった。

お互いに良い面も悪い面も出た一戦、この一戦を経て両者はまた大きく成長することができると思います。

 今後も楽しみですね。

 

フライ級

宝珠山晃(三迫)vs神崎靖浩(倉敷守安)

4戦全勝(2KO)の宝珠山、6勝(2KO)1敗の神崎。注目のテクニシャン対決。

ともに長身のボクサーであり、リズムもにているふたり。サウスポー、宝珠山とオーソドックス神崎は、まるで鏡で自らの姿を写したかのようなボクシング。

初回終盤、神崎の右ストレートを被弾した宝珠山は、大きくバランスを崩し後退。チャンスの神崎ですが、その後やや大振りになってしまい、このチャンスを活かす事はできませんでしたが、あわやダウンという場面を演出しました。

2R、ややギアを上げたふうにみえる宝珠山。両者ともにリードで相手を困惑し、ポジショニングを徹底、利き手のパンチをいかに当てるか、という戦い。このラウンドはやや宝珠山が良いか、と思った最終盤、神崎が左フックをヒット、宝珠山はダウン。

しかしこのダウン後すぐに神崎は右アッパーを繰り出してしまい、ダウン後の加撃により痛恨の減点。

3Rは宝珠山はリズムをとりつつも前に前に攻め、終盤に効かせた場面もあり、明らかな優勢に見えます。4R、序盤神崎のカウンターが良いですが、中盤以降は宝珠山のプレスが上回り、神崎は出血。ラストラウンドも中間距離での激しい攻防が繰り広げられ、ともに素早いコンビネーション、カウンター、接近戦でのショートパンチの応酬等、新人とは思えないレベルの高い攻防を繰り広げて、ゴング。

 

ラスト3ラウンドは、宝珠山がしっかりと見せ場と作ったような気がしました。

判定は、一度ドローという発表があったものの、集計ミス(おそらく減点を考慮できていなかたのでしょう)があったようで、結果的に2-1で宝珠山を支持。

47-46がふたり、46-47がひとり。あの「ダウン後の加撃」という意味合いでの減点は、神崎にとって非常に不運なものでしたね。

ダウン宣告は、神崎の後ろからされており、神崎としてはダウン宣告がないまま勝手に体を翻らせる事はできないでしょう。その減点がなかったとすれば、ドロー。

今回の減点込の採点で、後半に試合を支配した宝珠山が(優勢点で)全日本新人王ということで勿論異論はありません。

しかしあのダウン後の加撃で減点、というのはちょっと微妙なレフェリングだったように思いますね。あの減点がなければドロー、そうすると1-0で神崎が全日本新人王になっていたはずなのです。

さて、この二人には因縁のようなものも生まれたかもしれません。

ともに技術力の高い、非常に素晴らしいボクサー。

この新人王戦を経て、もっと上の舞台で、ふたりの再戦を見てみたいですね。

 

スーパーフライ級

久保春平(宮田)vs杉本太一(勝輝)

東日本新人王決勝戦では、優勝候補筆頭を倒した東日本新人王MVP、久保。そして杉本は6勝(1KO)1分と無敗、そしてKO率以上にパワーを感じるボクサーです。

先にプレスをかけ、ジャブやワンツーで攻め込むのは久保。杉本はバックステップで対応しますが、やや固さが見えます。1R終盤に右を効かせ、まずは久保が優位に試合を進めます。

2Rに入ると杉本も徐々に固さは取れてきて、右ストレートをクリーンヒット。しかし久保も終盤、きれいな右をヒット。3Rに入るとともにエキサイト。近い距離で互いに手数を出し合います。杉本は上体の動きも出て、コンパクトにパンチを振るい、本領を発揮しているように見えますが、久保はフィジカルも強く、パンチのスピード、回転力も上回っており、互角の展開に見えます。

 

4R、近い距離での打撃戦。その最中、久保が右を決めた後、ストレートを乱打。その勢いに飲まれていく杉本、手数が減ってしまったところでレフェリーがストップ。

久保が4RTKO勝利で全日本新人王に!

終盤に入り、あの手数が出せる事は素晴らしかったですね。杉本も非常に頑張っていましたが、久保のプレス、勢いに飲み込まれてしまいました。

杉本としては、あの止められ方は悔しいでしょうね。再起に期待したいです。

 

バンタム級

須藤龍揮(RK蒲田)vs冨田風弥(伊豆)

フルスイング須藤、長身サウスポーながら接近戦を好む冨田。個性的なボクサー同士の一戦です。

181cmのサウスポー、冨田は低く低く構え、プレスをかけます。ともにステップも良いのですが、とにかくフルスイング。2Rもフルスイング同士、1分ほどのところで冨田の右フックがクリーンヒット!ここで須藤がダウン。須藤はダメージを抱えながらも凌ぎますが、冨田の攻勢は止まりません。しかし須藤もカウンターを狙い、スリリングな展開です。

3Rも冨田は攻め、須藤はカウンターを狙うという展開。須藤のフルスイングのカウンターが当たれば一発逆転もあり得ます。ポイントで勝っているであろう冨田はここは距離をとって逃げ切りでも良いかもしれませんが、とにかく攻めますね。

冨田は身長がある分、非常に華奢に見えますが、その体はしっかりと力がありますね。冨田の前進力は凄まじく、スピードも落ちません。須藤はガードするところはしっかりガードし、頭の位置をしっかり変えるので、ここぞというところで冨田のパンチを外せています。

 

両者死力を振り絞った一戦は、判定決着。

判定は3-0、勝者は冨田!見事、冨田が全日本新人王に輝きました。

採点はひとりがフルマークながら、他の二人は38-37と意外と接戦でした。冨田が攻めの姿勢を崩していれば、もしかするとダウンポイントを挽回されていたかもしれません。

ともあれ、この注目の個性派対決にダウンを奪って勝利した冨田、楽しみなボクサーですね。最近は総合力の高い、きれいなボクサーが多い分、こういう個性的なボクサーは応援したくなりますね。

そういった意味で、須藤も非常に楽しみなボクサー。またそのフルスイングを見たいですね。

ロマンあふれる両雄の対決は、非常にスリリングで、気の抜けない一戦でした。

ということで、今回はここまでです。

次回はスーパーバンタム級〜ミドル級までの観戦記を書いていきます。

 

 

 

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