東京オリンピック!ボクシング競技では、女子フェザー級の入江聖奈が金メダルを獲得!
ロンドン五輪から正式採用されたこの種目は、ロンドン、リオと女子は出場を逃したものの、今回の東京オリンピックでは入江、並木の2名が出場しています。
尚、東京オリンピックでは、男子8階級、女子5階級でトーナメントが開催されています。
↓オリンピック実施階級についてはこちら
トーナメントは、各国の代表となったボクサーが、地域予選(日本でいうとアジア・オセアニア予選)に挑み、その予選を勝ち抜いたボクサーがオリンピックへの出場権を得ます。
本来は、それに加えて最終予選という世界規模で出場権をかけたトーナメントがあるのですが、今回はコロナショックにより最終予選は中止。かわりにIOCの定める世界ランキングの上位者が出場権を獲得しています。
いずれにしろ、国の代表となっただけでは、まだオリンピックへの出場権すらありません。
そしてその厳しい予選を勝ち抜いたボクサーと、今回は開催国枠で数名のボクサーは出場権を得られました。その数は男子4名、女子2名の合計6名。
↓オリンピック出場を決めた6選手について
その階級も、合計32名の出場ボクサーがトーナメント形式で争い、各ボクサーは1日1試合しかできないので、柔道や他の競技よりも多くの時間を有します。
ROUND32(1回戦)
→ROUND16(2回戦)※終われば、ベスト8が出揃います。
→ROUND8(3回戦)※終われば、メダルが確定。(3位決定戦は行われず、銅メダルは各階級でふたり)
→準決勝(4回戦)※勝った方は銀以上が確定。負ければ銅メダル。
→決勝(5回戦)
と進んでいきます。
東京オリンピック、ボクシング競技は11日目、いよいよ女子フライ級、並木月海が準決勝に臨みます。並木は幼年の頃に空手を習っていたという那須川天心の幼馴染で、花咲徳栄高校時代は無敗、高校時代に入江に初黒星もつけています。
常々、並木は「入江と一緒に金」、そして入江は「並木と一緒に金」と、お互いがお互いを応援しつつ、この東京オリンピックに臨んできました。そして入江は、競技日程の都合上、ひと足先に金メダル獲得を決めている状況です。
常にニコニコしてリングに上がり、ニコニコしてリングを降りる入江に比べ、並木は今大会でまだ笑顔を見ていないような気がします。
その強さから、やはり金メダル獲得への期待も大きい並木、是非このメダル獲得を決めてからの戦いは、伸び伸びと戦ってもらいたいですね。
女子フライ級準決勝
並木月海(日本)vsストイカ・クラステバ(ブルガリア)
ここまで並木は1回戦、2回戦、3回戦を戦い、全てユナニマス(5−0)の判定勝利。全くもって、危なげなく勝ち進んできているといっても良いでしょう。
対してクラステバは、35歳のベテランで、ロンドンオリンピックにも出場の経験があります。世界選手権でも活躍しましたが、2018年に引退。それでも2019年にカムバック、この東京オリンピックを最後と定めているようです。
若く、勢いのある並木ですが、バンタム級から下げてきたこのクラステバは大きく、またそのキャリアも侮れません。
引き締まった表情で入場する並木。今日も気合は十分です。
初回、遠い距離からフェイント、鋭い踏み込みの並木。クラステバは体格差を武器にどっしりと構え、並木の出てくるところに合わせてカウンターを狙います。
サークリングからのフェイントで、クラステバに手を出させてから攻め込みたい並木ですが、クラステバは落ち着いていますね。さすがベテラン、慌てることはありません。
並木は距離がありすぎて攻めあぐね、両者決め手には欠くものの、このラウンドは4−1でクラステバ。うーん、これはちょっと厳しい採点です。
2R、初回よりもより攻撃的にでる並木。初回のビハインドはキツいですね。無理して攻めたところでクラステバの左ストレートを被弾、前半は少し分が悪いか。
その後もクラステバの長いジャブにより思うように攻められない並木ですが、ときにボディを打ち、なんとか自分のパンチが当たる距離まで近づこうと踏ん張ります。
しかし、このラウンドはフルマークでクラステバ。
3R、並木は倒しに行く勢いでワンツーで攻め込みます。このラウンドは素晴らしい右フック、ワンツーや左オーバーハンドをヒットさせますが、クラステバはジャブをついて距離を取り、立っていれば勝利という状況の中、そんな勝負に乗ってきてはくれません。
最後まで気持ちを見せ、素晴らしい左フックをヒットした並木でしたが、1R、そして特に2Rのビハインドが痛かった。このラウンドはポイントを奪取したと思ったのですが、無情にもここもクラステバのラウンドでした。
並木月海、準決勝で敗退。決勝には進出できませんでしたが、銅メダルを獲得!!
小さな体躯に大きな夢を乗せて戦った、ボクサー並木月海の東京オリンピックでの挑戦はここで終わり。
アマチュアボクシングは連戦、トーナメントを勝ち進むごとに疲労もダメージも蓄積していきます。この過酷なトーナメントを勝ち抜いて、女子ボクシングふたりの代表が金、銅とふたりともメダルを獲得したことは、日本ボクシング史、そして今後の日本ボクシング界に与える影響も非常に大きい、と推察します。
並木は「ただただ悔しい」とコメントしていますが、それも十分にわかります。パリ五輪は考えていなかった、とのことですが、今後改めてパリを目指すという決断になるのかもしれません。
パリを目指す、引退する、もしくはプロを目指す。たとえどの選択肢でも応援できると思いますが、ここで注目を浴びたこのアマチュアの女子ボクシングを、引っ張っていってくれる存在になってもらいたい、とも思います。
ひとまずは、おつかれさまでした。
リングを所狭しとかけまわる運動量と、鋭い踏み込み、強烈なパンチをもったボクサー、並木、世界の頂にこそ届きませんでしたが、堂々の銅メダル。
本当に素晴らしい、かっこいいボクシングを堪能させてくれました。
そして明日は、男子ボクシング最後の砦、田中亮明。まだまだ暑い夏は終わりません。
東京五輪の記録↓