連日、ニュースを賑わす東京オリンピック。
テレビをつけることはほとんどありませんし、ボクシング以外の競技を見ているか、と言われれば全然見ていないのですが、ネットを開けば次々とメダル獲得のニュースが出てくる分、注目度がわかりますね。
東京オリンピック・ボクシング競技については連日にわたり、日本人ボクサーが登場しており、非常にありがたい。
トーナメントは、勝ち進むにつれてその争いも熾烈になっていきますので、今後も要注目です。
さて、この東京オリンピックに沸く今週末~来週にかけても、国内外では(数こそ少ないながら)注目イベントがあります。
今回のブログでは、今週末~来週にかけての国内外のボクシング興行をプレビューです。
7/31(日本時間8/1)イギリス
WBAコンチネンタル・ウェルター級タイトルマッチ(※中止)
コナー・ベン(イギリス)18勝(12KO)無敗
vs
アドリアン・グラナドス(メキシコ)21勝(15KO)8敗3分1NC
※この記事をアップする直前にベンがコロナ陽性反応にて中止の報。そのまま載せておきますが。残念です。尚、セミファイナルだったシュ・ツァンvsリー・ウッドをメインとして挙行されるようです。
「ダーク・デストロイヤー」ナイジェル・ベンの息子にして、英国のプロスペクト、「デストロイヤー」コナー・ベンが登場です。
世界王者を嘱望されるベンは、前戦でサミュエル・バルガス(コロンビア)、その前にセバスチャン・フォルメラ(ドイツ)を降しており、一つ一つ課されたテストをクリアしていっている、という状況です。
今回のグラナドス戦もその流れを組むようなマッチメイクで、もうそろそろ大きな勝負をかけても良いのではないか、とも思いますが。
フォルメラはショーン・ポーターと戦い、バルガスはエロール・スペンスJr、ダニー・ガルシア、アミール・カーン、そしてバージル・オルティスJrと戦い、それぞれ敗れています。
そして今回のグラナドスは、エイドリアン・ブローナー、ショーン・ポーター、ダニエル・ガルシア、ロバート・イースターJrと戦い、敗れています。
世界タイトル戦こそ経験していないものの、世界のトップと戦ったボクサーをしてキャリアを積ませるのは実力も測れ、歓迎なのですがこのグラナドス戦で卒業なるか、というところ。次は元王者あたりを相手にしてもらいたい。
さて、グラナドスは上記の通り、歴戦の雄。8敗していますが、実はKO負けは一度のみ、相手はダニー・ガルシア。
ここでベンが衝撃的なノックアウトを飾ることができるのであれば、一気に評価を高めることができるのかもしれません。
しかし、グラナドスは心身ともにタフで、おいそれと倒せるようなボクサーではありません。敗北した戦いにおいても、とにかく接戦が多い。
ベンはここで停滞したくないですね。
ベンが良い勝ち方をして、より高みへ上がってくれることを期待しています。
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
シュ・ツァン(中国)18勝(3KO)2敗
vs
リー・ウッド(イギリス)24勝(14KO)2敗
やや陰の薄い王者、ツァン。2019年1月に獲得した王座は、同年5月に久保隼(真正)を相手に初防衛、その後同年11月にマニー・ロブレス(アメリカ)を相手に2度目の防衛に成功しています。
KO率が示す通り、パワーレスではあるものの、旺盛な手数と無尽蔵なスタミナ、回転力のある連打を武器にしてこのふたつの防衛戦を完勝。
コロナ禍の中では試合がなく、1年半以上ぶりのリングですが、自身のインスタに上げた動画(シルバーのお盆?にパンチを速く当てる動画)がバズっていましたね。
ロブレス戦では、ロブレスのカウンターを浴びても臆することなく立ち向かい、その旺盛な手数でカウンターをとる暇を与えず、得意の打撃戦に持っていきました。
自分のスタイルを確立しているボクサーは強い。ぱっと見化け物じみた何かを持っているわけではありませんが、このツァンの愛称は「モンスター」。手数とスタミナという一点突破で世界王者となった彼は、ある種のモンスターなのかもしれません。
そして挑戦者のリー・ウッドは、アマキャリアを経て2013年にデビューした32歳。2014年にギャビン・マクドネル(イギリス)にTKO負け、前々戦でジェームズ・ディケンズ(イギリス)に判定負けを喫しています。このWBOヨーロッパタイトルでの惜敗のあと、BBBofCのタイトルをかけて無敗のプロスペクト、リース・モウルド(イギリス)と戦い、ベテランの意地を見せて9RTKOで勝利、今回のチャンスをつかみました。
サイドにまわりつつ、中間距離で戦うことを好むアウトボクサーよりのスタイル。スイッチも器用にこなし、追いかけてくる相手をいなしつつカウンターを決めるのが得意のようです。
ツァンとウッド、正反対といっても良いスタイルなので、ツァンの土俵にウッドが引き込まれてしまえばツァンの勝利は固いですし、ツァンを完封できればウッドに勝利の女神がほほ笑むでしょう。
これは意外とおもしろいマッチアップです。
ちなみに、フェザー級、というと日本人で最も世界に近いのは清水聡(大橋)。もしこのツァンと清水が戦えば、一発の破壊力は余裕で清水、連打の回転力は余裕でツァン。これもまたおもしろい。
このマッチルーム興行は、DAZNで生配信。イギリスでの興行なので、メインは日本時間8/1(日)の朝早い時間です。
8/2(月)ホープフルファイト
日本スーパーバンタム級タイトルマッチ
古橋岳也(川崎新田)27勝(15KO)8敗1分
vs
花森成吾(JBスポーツ)7勝(5KO)3敗
2021年1月、下馬評不利の中で久我勇作(ワタナベ)を倒し切って、見事日本タイトル初戴冠を果たした古橋。ダメージを心配されるほどの大激闘でしたが、あれから半年以上の期間も空き、そのあたりも心配いらないとは思います。
2007年デビュー、翌年に全日本新人王となりながらも長い長い雌伏のとき。この虎の子の王座の初防衛戦で、23歳の新鋭、花森を迎えます。
花森は前戦、A級初戦で水谷直人(KG大和)を倒してランクイン、すぐさま日本王座挑戦のチャンスをものにしました。
二人の間には大きなキャリアの差があり、順当にいけば古橋の勝利は揺るぎません。初防衛戦ということもあり、正直安全な相手を選んだ、とも言えます。
下馬評不利は当たり前、そこを花森はひっくり返せるか。キャリアの浅い花森だからこそ、伸びしろは誰よりもあるはずです。好試合が続く日本タイトル戦、気持ちのこもった熱戦に期待します。
この興行は、ツイキャスで有料生配信。3,000円だそうです。
8/4(水)グレイテスト・ボクシング
フライ級8回戦
中嶋憂輝(角海老宝石)4勝(4KO)1敗1分
vs
大保龍斗(横浜さくら)12勝(4KO)5敗1分
芦屋大出身の元トップアマ、中嶋と、プロたたき上げの大保のランカー対決。中嶋は現OPBF東洋太平洋バンタム級王者、「鬼ぃ」こと中嶋一輝(大橋)の実弟です。
勝ち星がすべてKO勝ちというハードパンチを武器とする、好戦的なボクサーです。
大保もKO率は高くないものの好戦的なファイタータイプ、非常に噛み合う、激戦となる予感の一戦です。
大保は2019年5月、この度世界へ挑む矢吹正道(緑)にTKO負けを喫して以来のリング、2年以上のブランクで強敵を迎えることとなります。さらに、階級をライトフライ級からフライ級にアップ、若干の不利予想は否めません。
プロでのキャリアに勝る大保がここで叩き上げの意地を見せ、フライ級でランクインするようならおもしろい。
とはいえ、どうしても、今はオリンピック。このブログを書いている時(7/28)は、入江聖奈がメダルを確定させました。
入江はあと2勝で、金メダル。
そして他のボクサーたちは、7/28現在、まだ2回戦を突破していない(ほとんどが行われていない)のですが、ホームアドバンテージ、そして初戦の勝ち方、勝った相手を見ると、始まる前よりも確実に期待値が上がっています。
オリンピック、そして並行してのプロボクシング。忙しい日々が続きますね。(嬉しい悲鳴)