怒涛の興行。
大注目のカシメロvsリゴンドーはWOWOWで中継され、ジョシュア・フランコvsアンドリュー・マロニー3はFITE.TVでPPV放送されましたね。そのフランコvsマロニーの前座はFITE.TVでは放送されなかったのでしょうか。。。
もともとAM7:00という開始予定だったので、放送されるものだと思っていましたが、当日に時間の変更もあり、正直よくわかりません。
私はというと、以前同時視聴を試みましたが、集中できなかったので、個別に見ると心に決め、情報を遮断。
このマロニー兄弟が登場するトップランク興行については、ESPNと契約しているので、FITE.TVではなくESPNで視聴。
今回のブログでは、フランコvsマロニーのアンダーカード、あの井上尚弥に果敢にも挑んだジェイソン・マロニーがプロスペクト、ジョシュア・グリアを迎え撃つ一戦、そしてカシミジム所属のゼネシス・セルバニアが無敗のアンドレ・コルテスに挑む一戦の観戦記です。
↓プレビュー記事
8/14(日本時間8/15)
アンダーカードから数えると、かなり長い興行だったので、気になる試合だけをピックアップして視聴。ESPN+(ESPNのネット配信)では全試合が放送され、ケーブルテレビのESPNの放送ではバルボサvsモラン、アリvsウィークスとフランコvsマロニーのみの放送でした。
エイブラハム・ノバ(アメリカ)19勝(14KO)無敗
vs
リチャード・プミクピック(フィリピン)22勝(7KO)11敗2分
27歳の無敗のプロスペクト、エイブラハム・ノバの相手は、日本でもお馴染みのプミクピック。プミクピックは森武蔵(当時薬師寺)に連敗、その後はじめの一歩フェザー級トーナメントで渡部大介(ワタナベ)にも敗れて3連敗。その後再起を飾っていますが、今回スーパーフェザー級のウェイトで厳しい闘い。完全なるBサイドですね。
第1試合に登場したノバとプミクピック。ノバは非常にスピードがあり、フェザー級を主戦場としてきたプミクピックに比べて大きい。しかし、初回からノバはプミクピックの左フックを浴び、効かせられて苦しい立ち上がり。
ハンドスピードからパワー、フィジカル、ディフェンススキルに至るまで全てで上回っているはずのノバですが、とにかくしつこく、豪快にパンチを振るってくるプミクピックに手を焼きます。
3-0の判定でノバの勝利ながら、プミクピックはタフで、幾度となく飛び込みざまの左フックをヒットさせる等ノバを大いに苦しめました。
エイブラハム・ノバ、まだまだ世界は遠そうです。
アンドレ・コルテス(アメリカ)14勝(10KO)無敗
vs
ゼネシス・カシミ・セルバニア(フィリピン/カシミ)34勝(16KO)2敗
日本のカシミジム所属のセルバニア、こちらもBサイド。しかし、過去にはオスカル・バルデス(メキシコ)に善戦した経歴をもち、井上尚弥(大橋)のスパーリングパートナーを頻繁に努めていたボクサーであり、誰が相手でも期待を持てるボクサーでもあります。
初回、セルバニアのジャブはキレており、身体のキレもあるという大いに期待ができる立ち上がり。
身体を振って接近戦を挑もうというセルバニア、コルテスのジャブをもらっても果敢に攻めます。コルテスはステップしつつもジャブを打ち、右オーバーハンドを打ってきます。この外側からくるパンチには気をつけたい。
残り30秒ほどのところで、セルバニアの右ストレートがヒット!後退するコルテス、ロープに詰めるセルバニア。
ここでコルテスは打ち合いに転じセルバニアを下がらせます。そして残り10秒のところでコルテスがワンツーをヒット!その右を完全に喰らったセルバニアに、今度は飛び込んでの左フックをヒット!
これで倒れ、ロープに頭を打ち付けたセルバニアをみて、レフェリーはストップ!
アンドレ・コルテス、1RTKO勝利。
これは驚きです。あのタフなセルバニアを1Rで沈めました。
しかし、それまでの展開は互角ともいえる展開で、セルバニアにも大いに期待が持てた展開だっただけに残念。セルバニアにとって、重すぎるウェイトだったことは否めませんし、ブランクの影響もあったとは思います。
ダウンの時、後頭部をロープに打ちつけなければ、続けられていた、とも思いますし、そうなると勝負はどうなったか分かりません。
いずれにしろ、一瞬で勝負がついてしまったことには驚きであり、非常に残念。
セルバニアの再起に期待したいですね。
ジェイソン・マロニー(オーストラリア)21勝(18KO)2敗
vs
ジョシュア・グリア(アメリカ)22勝(12KO)2敗2分
言わずとしれた、おそらく日本で最も有名なオーストラリアン・ボクサー、ジェイソン・マロニー。井上には為す術なく敗れたものの、その基本技術の高さは多くのボクシングファンの目に止まりました。しかし、これは敗戦からの復帰戦であることには変わりなく、あの敗戦を経て、何を学んだのか、ここで圧倒して示さなければなりません。
対してグリアは、トップランクが大切に育てていたプロスペクトでしたが、ここ数戦はパッとせず、またトップランクにレールを敷いてもらうのであれば、ここは絶対に勝たなければいけない一戦。
初回、中間距離でのジャブはマロニーにやや分がありそうです。グリアも速く、マロニーのジャブに対して左フックのカウンターを狙います。マロニーがお固く丁寧なジャブを突き、それが印象深い。
2R、グリアのコンビネーションが良い。上下に打ち分けるコンビネーションは速く、マロニーはステップとガードでしのぎます。身体もグリアの方が少し強いか、押されていくマロニー。
3R、序盤、巧くステップを使うマロニーの右ストレートがヒット、しかしその後グリアの右ストレートもヒット。これは少しぐらついた感じのマロニー、見栄えはよくありません。その後はマロニーも左ボディを含めた連打を見せ、このラウンドは痛み分け。マロニーの足が徐々に機能し始めてきた事は、今後の展開にとって大きいかもしれません。
4R、グリアが前に出てきた時に右ストレートで止め、左フックを打ち込むマロニー。この右から左というシンプルなコンビネーションが非常に効果的で、下がりながらもこのコンビネーションを当て、効かせたマロニー。その後もいくつかの右ストレートをヒット、この4Rはようやく明確にマロニーのラウンドとなりました。
5R、距離とガードでグリアの攻撃を外すマロニー。グリアの左ガードは空く事が多く、右ガードは低い事が多いので、マロニーにとっては、やや外からまわす右ストレートと、左フックが武器になるのでしょう。このパンチを次々とヒット。安心してみていられるようになりました。
6R、このラウンドもマロニーは幾度となく右を巧くヒット、いつの間にかプレスをかけている時間がマロニーの方が長くなってきています。
7R、劣勢を意識してかガードを固めて強いプレスをかけていくグリア。しかし序盤のように身体で押していけません。マロニーはステップと左ボディを効果的につかい、精神的に優位に立っているように見えます。
8R、プレスを強めるグリア、大きく足を使うマロニー。マロニーの左フックは当たりませんが、まだまだキレがあります。
9Rも同様の展開、もみ合いの時間も多くなり、ともにボディ打ちを多用。ラストラウンドもこの展開は変わらず、本当はマロニーにこの相手を倒しきってもらいたかったですが、そのままゴング。
序盤はグリアが巧く闘いましたが、中盤から終盤にかけてはマロニーが足を使って単発ながらクリーンヒットを稼いだ印象。
採点は、98-92、98-92、96-94でジェイソン・マロニー。
マロニーが見事再起に成功、世界王者への道を紡ぎました。
ボクシングIQの高さと見事なアウトボックスを披露したマロニー。身体能力の高いグリアは強敵でしたが、しっかりと勝利してみせました。しかしやはり、KO率ほどのパワーは感じません。
ここからまたはじまる、ジェイソン・マロニーの王者への道程。応援していきたいと思います。
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