さて、アメリカ時間では金曜日興行。
テオフィモ・ロペスvsジャーメイン・オルティスはスーパーボウルの週だったので平日開催の興行でしたが、こちらはもしかするとフューリーvsウシクの元々の日程とかぶっていたための平日興行だったのかもしれませんね。
WBC世界スーパーフェザー級王者、オシャーキー・フォスターがどれほどの人気なのかはよくわからず、いかほどの注目興行なのかは良く分かりません。
ただ、ニューヨーク、マジソン・スクウェア・ガーデンのシアターには、多くの観光客が集まっているようです。
2/16(日本時間2/17)アメリカ・ニューヨーク
ブルース・カリントン(アメリカ)vsバーナード・トーレス(ノルウェー)
フェザー級プロスペクト、ブルース・カリントン。対戦相手は非常に変わった経歴を持っており、フィリピン生まれで現在ノルウェー国籍だそうですね。このノルウェーという国をボクシングで聞くことはほとんどありませんので、練習環境に恵まれないという状況は想像に難くありません。
まずはサウスポーのトーレスが細かなステップ、フェイントをかけつつ先手でスタート。カリントンは非常に落ち着いた対応、ですがトーレスはやはりフィリピンファイターであるところを持っており、なかなか連打力がある印象。オーバーハンドもやはり良い。
ただ、カリントンは明らかに距離が長く、ジャブもストレートも非常に伸びるボクサーであり、トーレスは早々にインサイドに入れなくなっていきます。
トーレスが入ってきたところに右のショートをカウンターで合わせ始めたカリントン、3Rの後半にはプレスをかけてラウンドを終了。
4Rも攻撃的に攻めたカリントン、攻めつつのカウンター。最後は右アッパーからの右ショートフックがカウンターとなり、バッタリと倒れてしまったトーレス、これで試合はストップ。
ブルース・カリントン、4RTKO勝利!!
このブルース・カリントン、ファイティンポーズをとると、肘がもうベルトラインまで来てしまうくらい胴が短いのか腕が長いのか。トーマス・ハーンズの奥手の状況を思わせるような体型に近い。
アンドレス・コルテス(アメリカ)vsブライアン・シェバリエ(プエルトリコ)
シェバリエ、でかいですね。その分かなりヒョロくは見えます。違ってどっしりとした寸胴体型のコルテス。
もちろんプレスをかけていくのはコルテス、とはいえシェバリエも足を使うわけではなく、鋭いジャブと右ストレートで突き放しにかかります。
ただ、やはりマチズモを持ったメキシコ系アメリカ人のコルテスの突進は止まらず、多くの時間を近い距離で費やし、これはシェバリエにとっては苦しい展開となってきました。
3Rもコルテスのしつこい攻撃に晒されるシェバリエですが、左右のボディなど強いパンチをリターンできてはいます。それでもコルテスの突進は止まらず、ラウンドの終盤にはもうラッシュを仕掛ける場面も。
4Rも強いプレスのコルテスは序盤にシェバリエのジャブの終わりに右オーバーハンドをヒット、その後も追い続けて右ストレート、左フックをヒット。
そしてこのラウンド後半、さらに追っていくコルテス、一旦もつれ合ったところでレフェリーが試合をストップしています。これはドクターからの要請ですかね?
アンドレス・コルテス、4RTKO勝利!!
良い勝ち方でしたね、アンドレス・コルテス。これは次か、その次か、世界挑戦間近と見て良いでしょう。
WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
オシャーキー・フォスター(アメリカ)21勝(12KO)2敗
vs
エイブラハム・ノバ(アメリカ)23勝(16KO)1敗
アンダーカードが次々とKO決着のメインイベントは、オシャーキー・フォスターvsエイブラハム・ノバの注目ファイト。
実績に勝るのはもちろんフォスターですが、ノバというボクサーは非常に総合力が高く、侮れないボクサーでもあります。この試合はKO決着とはならないでしょうが、高度な技術線が予想される戦いです。
初回、まずは様子見という段階、互いにまだ比較的ゆったりとしたリズムから、前手で牽制し合います。
一方が前に出れば一方が下がる、という距離の戦い、ややフォスターの方がバックステップに優れるような気もします。
2R、若干ノバがアグレッシブに攻め入ります。フォスターあえて距離を縮めたり伸ばしたり、これはなかなか難しいラウンドだらけになりそうですね。
3R、フォスターがスイッチ。ノバは構わず攻め入る、というか右から入るパターンがなかなか良い。ですがそれにフォスターはカウンター。
互いに決定的な場面を作ることはできませんが、一瞬の交わるタイミングはスリル満点。
4Rもサウスポーのフォスター。このラウンドの中盤はノバが右カウンターをヒット、そこからチャージの場面を作り、フォスターはロープに押し込まれます。こういう見栄え、はこの試合において非常に重要なファクターとなるかもしれません。
5R、オーソドックスに戻したフォスターはノバの右を警戒してハイガード。そこからプレスのフォスター、力強いワンツー。
6Rもフォスターが力強く攻め入ります。前戦で逆転KO勝利を挙げたからこそ、自信にもなっているのかもしれませんね。
あまり強引にいきすぎると良い結果にはならないかもしれませんが、フォスターはその辺りを非常によくわきまえているようにも見えます。
どうでも良いですが、フォスターの着ぐるみはかなり良い動きをしていますね。中身はちゃんとしたボクサーでしょうか。
7Rは打撃戦。ノバのコンビネーションは非常に回転力があります。ちゃんと良いジャブから入るので、ちょっとフォスターの手が出なくなるイメージ。
フォスターはどちらかというと相手に合わせようとしているか、若干後手。
8R、今度はフォスターが先手でスタート。この辺りですぐに変えてくるところは流石の対応力。ただ、真っ向からの打ち合いを望むノバは反撃。どっちつかずのラウンドが続いたことから、両者ともにポイント奪取のために攻撃的になっています。
ノバの手数は非常に多いですが、体で押していく格好になっているのはちょっと気になるところ。
9R、序盤にフォスターが先手、その後ノバが反撃するとカウンター。ノバは勇気がありますが、ノバの打ち出すタイミング、打ち終わりにカウンターをヒットするフォスターがやや優っているイメージ。
激しい戦いながらも決定的な場面が訪れない、というのが、両者の技術の高さを物語っています。
10R、ここにきてもフォスターのバックステップは素晴らしい。ノバの攻めに対してしっかりと距離で外します。
フォスターのジャブが良くなっている分、ノバのダブル、トリプルのジャブの効果が半減か、というような中盤を過ぎると、ノバが左右を振るって前進、このペースチェンジによりノバは攻め込む場面を作れています。勝負はまだ分かりません。
11R、アクションが非常に多く、かなりハイペースな試合展開の中、二人のパフォーマンスは一向に落ちません。それどころかこのラウンド、ノバは左右を真っ直ぐに伸ばしながらあくなき前進。
距離が縮まりすぎてのクリンチも増えてはいますが、とにかく素晴らしいハートを見せています!もつれ合いながらも体で押し、とにかくパンチを打ち込むノバ、それを迎え撃つフォスター!
ラストラウンド、このラウンドが勝負かもしれません。
おそらくどちらも勝利の確信はないのではないか、というもつれこんだ展開の中で、値千金のダウンを奪ったのはオシャーキー・フォスター!
スリップか、とも思えるようなタイミングでしたが、スローで見るとノバの足が宙に浮いたところでヒット、ノバはロープ際で尻餅をつくダウン!!
おそらくダメージはないのでしょうが、これはポイント的にでかい。
果たして判定は、115-112フォスター、114-113ノバ、116-111フォスター、2-1の判定で勝者はチャンピオン、オシャーキー・フォスター!!
苦しい苦しい防衛戦を、またも乗り越えたのはフォスター。
右拳を痛めていた、とのことですが、確かに何ラウンドか忘れましたがそのそぶりはしていましたね。オシャーキー・フォスター、スピードと反射、リングIQという特徴を持っているボクサーなのだとは思いますが、それだけではない、執念とかハートとか、そういう強さを持ったボクサーだと思います。
これは本当になかなか攻略しづらい王者。今後は王座統一戦も叶っていくのか、非常に楽しみですね。
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