Xデーは8/15。
オリンピック後のプロボクシング興行が、最も渋滞しているのは今の所この日。
カシメロvsリゴンドーという日本のボクシングファンにとって大注目試合をはじめとして、パーフェクトレコードを持つバージル・オルティスJr、ライトヘビーの英国プロスペクト、ジョシュア・ブアツィはDAZNに登場、そして井上尚弥との対戦で日本のボクシングファンにお馴染みとなったジェイソン・マロニー、そして双子の弟、アンドリュー・マロニーがESPNに登場です。
日本での注目度はダントツでカシメロvsリゴンドー、そしておそらく次に来るのはマロニー・ブラザーズが競演するこのESPN興行なのかもしれません。
個人的には、カシメロvsリゴンドー→オルティスvsカバラウスカス→マロニーブラザーズ→ブアツィvsボロトニクスの順番ですが、実際はどれも興味深い。
ちなみに、どうにかカシメロvsリゴンドーだけはリアルタイムで見たい、と思っていますが、どうなることやら。
そんな個人的な話は置いておいて、今回のブログでは、日本でも大人気!(?)マロニー・ブラザーズが競演し、日本でもお馴染みの階級のタイトルマッチがあるESPN興行のプレビュー記事です。
8/14(日本時間8/15)
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
ジョシュア・フランコ(アメリカ)17勝(8KO)1敗2分1NC
vs
アンドリュー・マロニー(オーストラリア)21勝(14KO)1敗1NC
2015年にプロデビューしたジョシュア・フランコは、旺盛な手数を武器にするプレッシャーファイターです。2018年にルーカス・フェルナンデス(アルゼンチン)に初黒星をつけられていますが、初回にダウンを奪って優勢に試合を進める中での大逆転KO負け。
その後はオスカー・ネグレテ(アメリカ)との3連戦(1勝2分)を経て世界戦へたどり着き、初挑戦で見事これを獲得。この時の相手が、アンドリュー・マロニーで、マロニーの初防衛戦の相手でした。
2020年6月、王者マロニーに挑戦したフランコは手数で押し切り、タイトルを獲得しましたが、初防衛戦で元王者とのダイレクトリマッチに臨み、ここが大いに議論を呼ぶアクシデンタル・ヘッドバットによってノーコンテスト。
今回は再々戦、因縁に決着をつけるべき時です。
対してアンドリュー・マロニーは2014年にプロデビュー、オーストラリアのプロスペクトとして大切に育てられたのち、全勝のまま2019年にWBA世界スーパーフライ級暫定王座戦に出場、これに勝利して暫定王者となりました。
その後、正規王者に格上げ。
そして初防衛戦でジョシュア・フランコを迎え、ここを敗北。
マロニーvsフランコⅠの観戦記
マロニーvsフランコⅡの観戦記
2戦目は、明らかにマロニーの動きが良く、もちろんラウンドが進めばどこかで捕まっていたかもしれない、という懸念はあるものの、フランコは何もできませんでした。
3R開始前に終わってしまったこの一戦、フランコの右目が塞がってしまい、それによるドクターストップだったのですが、映像を見た感じで言うとマロニーのパンチで腫れてしまったようにも見えました。しかし公式発表はバッティング、これに対して今さら言っても仕方のないことです。
いずれにしろ、1、2Rの動きを見た感じ、今回はマロニーの優位予想が立ちそうな雰囲気。マロニーはアップライトに構える非常にオーセンティックなボクサーで、兄、ジェイソンと同じく隙が非常に少ないボクサーです。
初戦はフランコの打撃戦に長い間付き合ってしまいましたが、瞬間瞬間の接近戦であれば、フランコよりもマロニーに分があるようにも思います。2戦目は、初戦の反省をしっかりと活かして戦ったマロニー、引き出しが多い分、再戦には強そうです。
対してフランコとすると、あのプレッシャーをかけて手数で押し込むボクシングしかできず、この10ヶ月程度でどれほど上積みができたのか、どれほど対策ができたかというとちょっと難しいかもしれませんね。
マロニーの勝利は、オーストラリアのボクシング人気に貢献できるのではないか、と考えています。アジア・オセアニア圏に所属する国のボクシング人気が上がることは、日本にとってもプラスになるはずです。
ここは断然、マロニーを応援します。
ジェイソン・マロニー(オーストラリア)21勝(18KO)2敗
vs
ジョシュア・グリア(アメリカ)22勝(12KO)2敗2分
そんなアンドリューの双子の兄、ジェイソン。井上尚弥との対戦で日本では名を馳せましたが、弟と違って世界王者経験者ではありません。
しかしこの階級においてKO率は非常に高く、アンドリューよりもよりアグレッシブであり、同じく隙が少ない。様々なファクターが、高いレベルでまとまった好ボクサーだと思います。
そんなマロニーは、井上尚弥戦からの再起戦、約9ヶ月ぶりのリングとなります。
相手は、かつてのプロスペクト、ジョシュア・グリア。2015年にプロデビュー、トップランクのプロスペクトらしく大切に育てられたグリアは、2019年にニコライ・ポタホフ(ロシア)や井上尚弥とも戦ったアントニオ・ニエベス(アメリカ)を相手に勝利しています。
しかし、2020年6月、伏兵マイク・プラニア(フィリピン)にダウンを2度奪われての判定負け。その後の復帰戦も、エドウィン・ロドリゲス(プエルトリコ)を相手にドローと全くもって冴えません。
そしてとうとうAサイドから下され、世界再挑戦を狙うジェイソン・マロニーを相手にBサイドに。世は無常です。
ここはマロニーに苦戦することなく、完璧な形でグリアを降してもらいたいところですね。ただ、グリアの身体能力は伊達ではなく、そのボクシングに光るものがあるのも確か。そうでなければ、トップランクがお金をかけて、大事に育てたりはしません。
低迷しているグリア、ここで大きくそのキャリアを挽回できるのか、それともマロニーが順当に勝利し、無事に再起を果たすのか。
どちらにしても、今後のキャリアを考えると絶対に負けられない一戦ですね。
ちなみにこの一戦は、空位のWBCバンタム級のシルバー王座が掛けられるようです。
スーパーライト級10回戦
アーノルド・バルボサJr(アメリカ)25勝(10KO)無敗
vs
アントニオ・モラン(メキシコ)26勝(19KO)4敗1分
技巧派プロスペクト、アーノルド・バルボサJr。このボクサーは非常に強い、強いというか巧いですね。パワーレスだからこそ、技巧に頼るしかないと言えばそれまでかもしれませんが、素晴らしいポジショニングから自らのパンチを当て、そして動き続けることができるのでスタミナも申し分なし。
その技巧は、技巧派も多いこのスーパーライト級のトップ戦線でも十分に通用する域だと思っています。
テイラー後、まず間違いなく世界に絡んでくるボクサーの1人、バルボサは要チェックです。
対戦相手のモランに勝ち目は薄いものの、メキシカン、それだけでもしかすると大番狂わせの芽があるのかもしれません。いや、キツいか。
そして、他には石川県金沢市のカシミジムに所属するゼネシス・カシミ・セルバニア(フィリピン)が、14勝7KO無敗のプロスペクト、アンドレ・コルテス(アメリカ)を迎え撃つ一戦も発表されています。
セルバニア(34勝16KO2敗)はオスカル・バルデス(メキシコ)に世界挑戦の経験もあるボクサーで、頑丈なために一時期井上尚弥のスパーリングパートナーとしても重宝されていた存在。2019年にはスーパーバンタム級のホープ、カルロス・カストロ(アメリカ)の踏み台にもなっていますが、その後は2連勝。
2019年12月ぶりの試合なのと、スーパーフェザー級戦ということでやや不安もあるものの、ここは未だ未知のホープといえるコルテスを跳ね除けてもらいたいところですね。
他にも無敗のトップランクのホープたちがこぞって登場する、見どころ盛りだくさんのこの興行は、アメリカではESPNで生中継。日本では生中継こそありませんが、9/5にWOWOWで録画配信されます。
メイン、セミ(なのかセミセミなのか?)のマロニー兄弟の登場は、日本ボクシング界でも注目のスーパーフライ、バンタム級戦。
特に兄・ジェイソンは井上尚弥戦からの復帰戦というところで気になるところですね。ジェイミー・マクドネル、ファン・カルロス・パヤノ、エマニュエル・ロドリゲス。バンタム級で井上に撃破されたボクサーたちは、そのほとんどが敗北後、良いキャリアを歩めていません。今の所唯一、王座に返り咲いて評価を得たのはノニト・ドネアのみ。
ジェイソン・マロニーにはここに快勝してもらい、いつか世界王座を手にしてもらいたいものですね。
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