5/14(日)。
アメリカでは5/13(土)にあたるこの日、注目の試合は数あれど、我々日本のボクシングファンにとって最も気になるのはこの試合。
ESPNで放送されたトップランク興行のセミファイナルにセットされた、ジェイソン・マロニーvsビンセント・アストロラビオ。
この試合はオッズ的にもほぼ50-50のマッチアップである他、井上尚弥と勇敢に戦ったマロニーが登場するということと、更には我々に馴染み深いバンタム級の世界戦であるということでより興味を引き立てられます。
ということで今回のブログは、マロニーvsアストロラビオの観戦記。
WBO世界バンタム級王座決定戦
ジェイソン・マロニー(オーストラリア)25勝(19KO)2敗
vs
ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)18勝(13KO)3敗
さて、いよいよ井上尚弥の後継王者、その二人目が決まる戦いがスタートです。
リングインした両雄、良い表情をしています。
開始のゴング、まずスピーディーに動くのはマロニー。速い動きでサークリング、からまっすぐのジャブ。アストロラビオはどっしりと構えて力強いフック、貫通力のあるジャブ。
まだ様子見段階、前手の差し合いから、先に右を振っていったのはマロニー。中盤からマロニーはコンビネーションを出し始め、終盤にもこのコンビネーションでアストロラビオをガードさせます。
2Rもよく動くマロニー。アストロラビオはこの動きを止めなければいけません。アストロラビオは力強い左フック、そして右アッパーでマロニーの動きを封じようとしますが、マロニーのガードも固い。アストロラビオはマロニーのサイドへの動きに対応できていないイメージ、ちょっと手が出ません。
が、後半、マロニーが出てくるところのカウンター狙いに絞ったか、危険な右と右が交錯。これは怖い。とはいえ、アストロラビオのプレスにマロニーが臆する雰囲気もありません。
3R、圧を強めるアストロラビオですが、マロニーにもカウンターがあるため強引にはいけません。やはりパワーはアストロラビオに分がありそうですが、マロニーは豊富なポジショニング変更と旺盛な手数、互いにクリーンヒットはまだそこまでありませんがマロニーが試合をつくり、アストロラビオはそれに合わせていると言えると思います。
ただ、アストロラビオの同時打ちのタイミングも良いですね。このどれかが当たれば、わかりません。
4R、ワンツーで攻め込んだマロニーに、アストロラビオが左フックカウンター!これは普通なら当たるタイミングに見えますが、マロニーは右の戻しが速く、ブロッキング。やっぱり穴の少ない良いボクサーです。
しかしその後、アストロラビオはマロニーに右をヒット、その後少々強引に出ますが、しっかりと距離を取り始めたマロニーのワンツーを被弾。
互いに当たるのは単発気味ですが、マロニーの方がよりコンビネーションで攻めている分、ヒット数は多そうです。
5R、アストロラビオがワイルドなパンチでマロニーを襲います。ただ、それも単発、多くて2発。これではなかなかマロニーに当たりません。
マロニーはアストロラビオの打ち終わりに巧くジャブをヒット、攻め込む時はアストロラビオのカウンターが危険な感じがしますが、ここまで思い通りに戦えているのではないでしょうか。
6R、おそらくビハインドのアストロラビオ、ここからプレスを強めます。マロニーに付き合わずに自分のリズムで攻め始め、これがまた非常に力強い。
このラウンドは中盤、アストロラビオが右ストレート、右アッパーをヒット。マロニーも後半にかけてジャブ、右ボディをヒットして譲りません。
7R、ここまでのパンチスタッツはマロニー78/258、アストロラビオが55/298。
アストロラビオはこれまでも細かい距離を測るジャブを突いていますが、このジャブで距離を測り、一気に踏み込みます。
これをサイドにまわっていなすマロニー、このポジショニング、足の位置、頭の位置が非常に巧く、致命打をもらいません。
このラウンドもマロニーはいくつかの右をヒット。これはアストロラビオを倒せるようなものではありませんが、このままポイントはしっかりと積み重ねていっているはず。
8R、動き回るマロニーをなかなか捕まえられないアストロラビオ。ただ、マロニーもクリーンヒットを奪えていない分、もしかすると攻勢点でアストロラビオに着くかもしれません。
9R、前ラウンド後半、おそらく初めてコーナーに詰まりそうになったマロニー。アストロラビオはジリジリとしたプレスから思い切って踏み込むというスタイルで、非常にパワフルな飛び込みの左フック!
マロニーは後退、ちょっとアストロラビオのパワーに押され始めた展開です。
マロニーはワンツー、コンビネーションで押し返しますが、パワー差は明らか。アストロラビオはここからバンザイアタックでの巻き返しを狙い、マロニーは貯金を守りきれるか、という展開になりそうです。
10R、と思っていたのですが、思ったよりはそうはならず。
アストロラビオの攻めは非常にパワフルながら、マロニーは押し込むようなパワージャブで対抗。ここで退かないというのがマロニーの強さかもしれません。
11R、ここにきてもマロニーの機動力は衰えず。攻めのための動きというよりは守りのための動きが多いといえばそうですが、それでも下がりすぎる事なく戦っている様は流石のボクシング。
アストロラビオは手の届くところにマロニーがいれば一気に行きます。特に左フック、左アッパーは非常にパワーが乗っており、体ごと飛び込んできます。
これを距離、ダッキングしての頭の位置、単にポジショニング、そしてブロッキングと様々な要素を組み合わせてディフェンスするジェイソン・マロニー。このディフェンススキルは非常に高い。
ラストラウンド、これまで以上に足を細かく動かすマロニー。未だパワー健在のアストロラビオの1発をもらわないのが至上命題。
アストロラビオは何とかその1発を当てる事が最低条件、ものすごい勢いで攻め込んでいきます。
後半、アストロラビオは非常に自由にパンチを放っていきますが、これが彼本来のスタイルかもしれません。もし、マロニーに完封されたとしても、最初からこのスタイルで行った方がきっとマロニーにとって怖さがあったと思います。
ラウンド終了のゴングが鳴り、両手を高々と掲げたジェイソン・マロニー。アストロラビオも申し訳程度に片手をあげますが、勝者がどちらなのかは明らかでしょう。
プラン通りにミスなく戦ったマロニー、終始相手の術中にいながらも懸命にパンチを振るったアストロラビオ。
判定は、114-114、115-113、116-112、2-0の判定でジェイソン・マロニー。
まじで一人目のドローというのは心臓に悪いからやめてもらいたい。
内容的にはマロニー勝利は揺るがないながらも、やはり判定が競ってしまうのは仕方ありません。これは、今回のようなマロニーのボクシングがジャッジに評価されにくいから、ですね。
どちらかというとアストロラビオの攻勢点が入るラウンドが多かった、ということでしょう。
それにしたってドローはその攻勢点が入りすぎなような気もしますが。
ともあれ、これで4団体の一角、WBOの世界バンタム級王者が決まりました。
残る空位の王座は、WBC、そしてIBF。
次のバンタムは、どのような戦いを見せてくれるのでしょうか。非常に楽しみですね。
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