2日連続、ボクシング!
ナバレッテvsゴンザレスの翌日、DAZNでマイキー・ガルシアが登場です。そしてアンダーカードにはアメリカのプロスペクト、ジェシー・ロドリゲス、そしてWBO世界ライトフライ級王者のエルウィン・ソトも登場です。
この当たりの軽量級は、日本人ボクサーたちとの対戦の可能性もあり、動向が非常に気になるところですね。
今回のブログでは、マイキー・ガルシアvsサンドール・マーティンをメインに据えたマッチルーム興行、DAZN観戦記です。
↓ナバレッテvsゴンザレスはこちら
↓プレビュー記事
10/16(日本時間10/17)アメリカ
フライ級10回戦
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)13勝(9KO)無敗
vs
ホセ・アレハンドロ・ブルゴス(メキシコ)18勝(15KO)4敗1分
今回はライトフライ級戦ではなく、対戦相手変更に伴いフライ級戦になったようですね。本来、WBAレギュラー王者、エステバン・ベルムデスに挑戦する予定だったロドリゲスは結局調整試合に。
どうもベルムデスのビザが降りなかった、ということだそうです。
プロスペクト・ロドリゲスは、ここは問題なくクリアしたいところです。
初回、キビキビとした動きでサイドステップを多用するサウスポー、ロドリゲス。ブルゴスもメキシカンらしく、一発一発しっかりと打ってくる怖いボクサーですね。
しかしロドリゲスも強いパンチで攻め込み、非常にガードも固く、上体の動きと巧みなサイドステップでクリーンヒットは許しません。
1階級上の相手に対し、ブロッキングもしっかりと機能している辺り、このロドリゲスのフィジカルの強さを感じられますね。
2R、ロドリゲス、前手の右アッパーは芸術的。そこからサイドステップして体ごとアングルを変えての波状攻撃は、まるでウクライナのボクサーのようですね。
ロドリゲスのアッパー、左ストレートをもらいながらも闘志の衰えないブルゴス、代役とはいえ非常に強いハートを持ったボクサーです。
3R、距離も、ブルゴスのパンチの出どころも、全て見切っているかのようなボクシングをするロドリゲス。ブルゴスは強いパンチをかず多く出すボクサーですが、そのほとんどが外され、ブロッキングに阻まれています。
対してロドリゲスのパンチは的確、ジャブ、ワンツー、フックアッパーと様々なパンチでブルゴスにダメージを与えています。
後半、ブルゴスの右の打ち終わりに左ストレートを打ち抜き、ブルゴスはさすがにダメージが溜まってきたか。
4R、ブルゴスはもうファイナルアタックに入っているかもしれません。しかしロドリゲスはブルゴスのパンチの出し始め、打ち終わりにそれぞれパンチを合わせて、素晴らしいコンビネーションから左でダウンを演出。
立ち上がるもダメージの残るブルゴスを攻め立てて、ロープに詰めてラッシュ、カウンターの左フックが入ったところでレフェリーが割って入り、ストップを宣告。
ジェシー・ロドリゲス、4RTKO勝利。
レフェリーが止めるのと同時に、ロープにもたれかかりながらマットに沈んだブルゴス。非常によく頑張ったと思います。
このロドリゲスはやっぱり強いですね。ベルムデスと決まっていたとすれば、きっと新王者誕生となったと思います。
次はタイトルマッチになるのでしょうか。ライトフライ級の強豪は、もしかすると日本のリングに立つ日が来るのかもしれません。これからも、要注目です。
WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ
エルウィン・ソト(メキシコ)19勝(13KO)1敗
vs
ジョナサン・ゴンザレス(プエルトリコ)24勝(14KO)3敗1分
この日は軽量級祭り。この試合のひとつ前、セミセミでプロスペクト・ジェシー・ロドリゲスが登場したかと思うと、セミファイナルはWBO王者のエルウィン・ソトが登場です。
対戦相手のゴンザレスは、ゴンザレスは来日経験のあるボクサー、あの田中恒成からダウンを奪った経験のあるボクサーです。しかし(当時はフライ級)かなり打たれ脆いボクサーという印象。
果たしてゴンザレスはソトに対して完璧なアウトボクシングを展開できるのか、が焦点。
初回、当然のようにプレスをかけるソトと、当然のように距離をとってジャブを突くゴンザレス。ゴンザレスのジャブはなかなかシャープで、左ストレートもキレています。当然ですが、チャレンジャーとしてしっかりと仕上げてきているという印象。
ソトはしっかりとブロッキングして距離を詰めるものの、相手がサウスポーだからなのかあまり手が出ない印象。少し遠く感じているのかもしれません。
2R、ガードを高く掲げ、プレスを強めるソト。ゴンザレスのジャブをかいくぐろうという心づもりかもしれませんが、これは多分自分から行った方が良いパターン。
パンチへの反応はゴンザレスの方が良いように見えますね。そしてゴンザレスの左ストレートはノーモーションでコンパクト、ソトの固いガードを破るまではいきませんが、このコンパクトな左がある分、ソトは顔にくっつけているグローブをなかなかその位置から離せないのかもしれません。
3Rも展開はほとんど変わらず。ゴンザレスはジャブ、ストレートでソトを突き放し、ステップでかわします。ソトはガードを固めて近づくものの手が出ず、致命的なのはジャブがほとんど出ないこと。
ガードの上からでもパンチを当てるゴンザレスと、中間距離ではミスブローの嵐のソト。
4R、5Rと試合は進みますが、展開は変わらず。ゴンザレスは自分たちのファイトプラン通りの戦い方なのでしょう。左ストレートをボディに持っていけば見栄えの面でもよく見えます。
そして近くなった時のクリンチ、これがゴンザレスにとって非常に良い戦い方。接近戦でソトの連打を食い止める方法として、非常に機能しているように思いますね。
ソトはプレスをかけてよく追いかけているものの、ボディ以外へのパンチはほとんど当たりません。こちらも下から攻めていくしかないかもしれません。
6R、これまでのパンチスタッツが出ますが、手数、ヒット数ともにゴンザレスの方が上です。これは感覚通りですね。
このラウンドはソトが強く、速い足運びでゴンザレスを追い立て、ゴンザレスもそこからエスケープするのにかなりの運動量。ともにスタミナを使い、それぞれ逃げ、追うという展開です。ちょっとゴンザレスの逃げは露骨すぎますが。
ここまでの判定は正直よくわかりません。軽いクリーンヒットはゴンザレスですが、終始攻勢に出ているのはソト。ジャッジの好みによるところではありますが、やりたいボクシングができているのはゴンザレスの方。しかし、その場合でも判定で負ける、という姿はいくらでも見てきました。
ともに決定打を欠き、今のところハイライトとなるようなシーンは訪れていません。
ただ、7Rは近い距離でボディを叩きあうという展開も生まれ、ここでソトは強さを見せたい。
8Rには足を使って回るよりも、ロープやコーナーに詰まる時間が多くなってきたゴンザレス。ソトのプレスがようやく奏功してきたかもしれません。
9R、早々にソトの左フックでゴンザレスの顔が跳ね上がります。ソトはチャンス、ゴンザレスはソトの強引な攻めをかなり嫌がっているように見えます。
このラウンド、クリンチ際にソトがゴンザレスの腕を捻ってしまい、試合が中断。これもゴンザレスのアピールによるもので、ゴンザレスが弱気になっているようにも感じます。
再開後、ひねられた方の腕を使った左ストレートを打つゴンザレス、その後も良いサイドステップを見せています。こんなにも、ディフェンスがうまい選手だったということが驚きです。
10R、相変わらずの展開。何事も起きなそうな展開です。ゴンザレス側は、これで勝利を掴み取れると思っているのか。そしてソトはやや無策、もう一段階、武器がほしいところ。
11R、非常に運動量の多いゴンザレス。しかし詰められたところで身体をくっつけて連打、そこからエスケープ。これであとはソトのパンチをもらわなければ、ポイントをピックアップしていけるかもしれません。
その後も詰め寄るソトに対して動きながらも軽い左ストレートをヒットする等、とにかくもらいません。
最終ラウンドもこの展開は変わらず、最後まで逃げ続けながらも軽いパンチを当てるゴンザレスと、最後まで前進を続けながら詰めきれないソト。
最初から最後まで与えられた作戦を遂行したゴンザレス、自身満々で規定の12Rを終了。
最終的なパンチスタッツはヒット数でほぼ同じ。感覚的にも整合性が取れるものですね。
判定は、112-116、116-112✗2、1-2の判定でチャレンジャー、ジョナサン・ゴンザレスを支持。
ジョナサン・ゴンザレスがWBO世界ライトフライ級、新王者に!
おもしろい試合だったか、というとおもしろくない部類だと思います。ソトはサウスポーが苦手かもしれませんね。エドワード・ヘノ戦も大苦戦でしたしね。
ともかく、ソトのパンチは届きませんでした。そしてゴンザレスは、見事な作戦を遂行しました。
本日、(大方予想していた通り)WBC王者の矢吹正道がマッチルームからのオファーがあることを明かしましたが、ライトフライ級を盛り上げようとしているマッチルーム、この新王者ゴンザレスのことも放っておかないかもしれません。
ライトフライ級の王者、プロスペクトたちは皆マッチルームと契約すれば良い。そしてDAZNで、マッチルーム内でWBSSを開催しましょう。
詰め方さえ間違わなければ、このゴンザレスはさほど怖い王者ではない気がします。
この試合がセミファイナルかと思っていましたが、スーパーフェザー級6回戦を挟んでメイン。この時間調整試合?で登場したマーク・カストロ(アメリカ)は1RTKO。この試合で4勝4KO無敗というプロスペクトですね。結局あっという間に試合は終了。対戦相手の質がまだちょっとアレなので、真価はわかりません。
ウェルター級10回戦
マイキー・ガルシア(アメリカ)40勝(30KO)1敗
vs
サンドール・マーティン(スペイン)38勝(13KO)2敗
気になるのはマイキー・ガルシアの出来。久々の試合、コロナ禍の中でかなり太っている写真を目にしてしまった身としては、心配で仕方がありません。
対するサンドール・マーティンの主戦場もスーパーライト級ということで、かねてから言われている「階級の壁」的なものは言い訳になりません。
是非とも素晴らしいパフォーマンスでのノックアウト勝利を飾って欲しいと思いますし、それが必須事項だとも思います。
マーティンの入場曲はジプシー・キングのカバー曲、「ボラーレ」。懐かしい笑。
さて、ゴング。
初回、やっぱりウェルター級リミットではタプつくマイキーのお腹が気になりますね。マーティンもスーパーライトの選手ですが、身体はしっかりと作ってきている感じ。
ともにフェイントを駆使しつつ、慎重な立ち上がり。ジリジリとプレスをかけるガルシア、サークリングしてアウトボックスを試みるマーティン。
2R、開始30秒ほどで会場が暗くなるハプニング。すぐに再開。こんなの日本でもありましたね。
ガルシア、ハイガードスタイルからまっすぐ伸ばす左ジャブは良いですが、右にはなかなかつながりません。マーティンはディフェンスが非常によく、ガルシアのパンチによく反応しています。
3R、ガルシア、リズムのとり方はいつもどおりですが、なんだか足が重いように感じますね。ハンドスピード自体は良いんですが、身体全体となるとキレがあまり良くない感じもします。
マーティンは詰められてからの右フックをひっかけてエスケープ、これにガルシアはついていけていません。
近い距離になればガルシアが元気になりますが、このガルシアの入り際にマーティンはパンチを合わせてきます。
4R、やや後継に構えるマーティン、常にカウンターの準備をしているように見えます。この事が、ガルシアの踏み込みを浅くしている要因なのでしょうか。
ガルシアがジャブの連打で攻め込めば、前手の右フックをあわせてからまわるマーティン。このあたりはしっかりとガルシア対策をしてきたように感じます。
5R、そろそろエンジンをかけて攻め込まなければいけないガルシアですが、見合う時間が長い。これはマーティンのカウンター準備のためでもあるでしょう。やはり、入り際は狙われています。
終盤、体ごとマーティンをロープに押し込み、パンチを見舞うガルシア!今回ばかりは、こういうファイトが必要だと思います。
6R、ガルシアはミスブローが目立ちます。しかしマーティンも手数は少なく、これまた微妙な展開。
7Rも多くの時間を前手の差し合いに終始。マーティンにとってはきっとこれが望んだ展開なのでしょう。フェイントをかけて相手の動向を伺いつつ、ですが、大きくアクションを起こした先ににしか勝利はないような気がします。
ガルシアとしては、この微妙なラウンドが続いて、勝利を得たとしても、評価は落ちそうです。
8R、そんなお見合いの展開でも、マーティンは稀に左ストレートをヒット。ボディへの左ストレートや右フックもあわせて、このラウンドは明確にマーティンのクリーンヒットが上回ったような印象を受けます。
ガルシアは近づいても回転力が上がらず、連打を出せません。
9R、DAZNの実況もガルシアやばいんじゃないか、と言っているような気がします。ガルシアはこのラウンド中盤、マーティンをロープに詰めてラッシュしますが、的中率は低い。マーティンはここにきてリズムに乗り、サウスポーの武器である左ストレートを有効に使えています。
ちょっとこんな展開は想像していなかったですが、はやラストラウンド。
マーティンのハンドスピードはなかなか速い。その分回転力もあり、それが右フックのカウンター、その右フックでエスケープすることや、左ストレートにも活きています。
DAZNの採点ではここまででマーティンが3P差で優位。ガルシア自身がどう考えているかわかりませんが、プレスをかけて前進します。
そこでカウンターももらってしまいますが、結局のところもっと強引にいかないと本当にまずい。
最終盤、マーティンをロープに詰めて強いパンチを打ち込みますが、マーティンのウィービング、そしてブロッキングに阻まれ、逆にマーティンは的確にパンチを返して試合が終了。
採点は、95-95がひとり、そして93-97、ふたりがマーティン!
サンドール・マーティン、2-0の判定勝利、ビッグアップセット!!
なんという事でしょうか。。。安パイと見られたアンダードッグに対して、あのマイキー・ガルシアが敗北。
これはショックがでかい。。。
今後、マイキーはどうするのでしょうか。この試合内容では、勝っても敗けても評価を落としたであろうガルシアですが、一番気になったのは判定がでた瞬間、苦笑いをしていたガルシアの顔。
果たして、彼に戦う心は残っているのか。
ガルシアは衰えたわけではない、と思いたいところですが、エロール・スペンスに敗北を喫した時とは訳が違います。やはり、この階級は厳しい、という所と、なんだか別の問題もありそうな気がします。
そして殊勲の勝利を挙げたサンドール・マーティン。日本でもおなじみ、「ボラーレ」で入場というところから、マイキー・ガルシア戦で勝利、というのは一気に我々日本人にとっても気になるボクサーとなりましたね。
今後は本来の階級であるスーパーライト級に戻って闘うのでしょうか。今後にも要注目、次の試合ではこの勝利がフロックでなかったことをしっかりと示してもらいたいものです。このアップセット、スペインでも盛り上がっていると思うと羨ましいですね。
ということで、エルウィン・ソト、マイキー・ガルシア、勝利は固いと思われた二人のボクサーが、ともに非常につまらない敗北を喫してしまいました。
特にガルシアの敗北は引きずってしまいそうです。。。
しかも、再起にもあまり期待できないという。
敗北を喫したボクサーには(勝利したボクサーにも勿論ですが)、「まずはゆっくり休んで」というのが常ですが、今回のガルシアは休まず練習して、ウェイトを落とし、かつての身体全体のキレを取り戻してもらいたいものです。