前日の余韻がすごい。
一刻も早く寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガを見返したい。あと見返したいのは、やっぱり佐々木尽vs小原佳太。昨日無理やり書いた観戦記は、私自身もダウン寸前で書いたので、また改めて感想を記しておきたい気持ちです。
さて、明けて日本時間4/9、日本中の期待を背負って、吉野修一郎がシャクール・スティーブンソン戦。
実績、周りの評価は間違いなくシャクールで、オッズにも大きな差がでていることは明白。
だからこそ、世界中を驚かせる準備が整っている、とも言えます。
ということで今回のブログでは、勝ち目は薄いが期待をしてしまうシャクールvs吉野の観戦記。
↓プレビュー記事
4/8(日本時間4/9)ニューアーク
キーショーン・デービス(アメリカ)7勝(5KO)無敗
vs
アンソニー・イギット(スウェーデン)26勝(10KO)2敗1分
初回、すぐにぷれすをかけはじめるキーショーン。細かな動きを見せつつ、フェイント、イギットの攻撃は最小限のバックステップ。
キーショーンは力強い左右をイギットのガードの上から叩き込み、優勢。後半にはノーガードになる等の余裕。
2R、イギットを凝視し、イギットの入り際にカウンター。イギットも大したもので、恐れずに攻め込む辺りはさすがのものです。しかしキーショーンはイギットの動きをを完全に掌握、多彩なアングルのパンチ。
3R、イギットは思い切った踏み込みから強い左。キーショーンはあくまでも最小限の動きで躱すため、空転とはならない。が、キーショーンはブロックも巧み、攻めては力強いコンビネーションでクリーンヒットを重ねます。このボクシングでフィジカルも強いとか反則ですね。
終盤、キーショーンがボディを打ちに行ったところでイギットの第3のパンチが炸裂、試合がやや中断。再開後、ラウンドが終了。
4R、キーショーンはこのラウンドかなり強めにでてきます。これはフィニッシュを狙っているのか、さっきのヘッドバットにムカついたのか。
やっぱりライト級ってヤバい、ですね。まだまだキャリア序盤というキーショーンでこの強さ、本当に恐ろしい。
5Rも圧巻のキーショーン、このボクサーは非常に反応とディフェンスが良い上に、アグレッシブネスを持っている事が本当に素晴らしいこと。上にいくほどディフェンシブなスタイルになっていく、という可能性もありますが、是非ともこのまま進んでもらいたい。
ラウンド後半、キーショーンがコンビネーションを叩きつけ、イギットにいくつものダメージングブローが入ります。
6R、しかしイギットは心身ともにタフ。ここまでキーショーンのパンチを浴びつつも、闘志は衰えず。ただ、やはり少しずつ疲労もダメージも溜まっているようで、ペースも落ちて来ているような感じもしますね。
7R、キーショーンがプレス。ストップは間近か、というところで煽りあい、ちょっと荒れ模様の試合で試合が中断する場面もあり、これはキーショーンにとってあまり有り難くはない展開。もっと淡々とやれば終わりそうなものですが、この感情的になるところもキーショーンの特徴なのかもしれません。
8R、完全にアツくなっているキーショーン、ワイルドなパンチで攻め立てます。イギットはブロッキングに集中、かなりのダメージを被りますが、なんとかサバイブ、その後はキーショーンがイギットを引き倒して試合が中断。こういうのがなければもう終わっていると思うのですが。
その後もキーショーンがカウンター、素晴らしいボディをヒットしてダウンを奪取。ちょうど終了ゴングと同じタイミングだったので、立ち上がったところでラウンドが終了しています。
9R、とてつもないタフネスを見せるイギットですが、このラウンドの序盤からキーショーンが攻め立てたところで、レフェリーがストップ。
キーショーン・デービス、9RTKO勝利!
なんとも強い、東京五輪シルバーメダリスト。
↓東京五輪の観戦記
このボクサーがまた上がってくるわけですね。。。やっぱりこのライト級という階級は、魔窟。
ジャレッド・アンダーソン(アメリカ)13勝(13KO)無敗
vs
ジョージ・アリアス(ドミニカ共和国)18勝(7KO)無敗
ヘビー級無敗対決。まずはビッグベイビー・アンダーソンが余裕の構えからプレス。エイリアスはリングを大きく使ってサークリング、上体を大きく動かしてディフェンスから組み立てようとしています。
ちょっと余裕を持ちすぎにも見えるアンダーソンですが、その攻撃はやはりパワフルで、この段階では非常に長いジャブが有効。
2R、アリアスが連続ジャブを突いていきます。アンダーソンも押し込むようなパワージャブ、これが長く、また非常にパワフル。
アリアスは左フックを強振、これがアリアスのサンデーパンチか。右のオーバーハンドも良い軌道で速く、これはアンダーソンも気をつけなければいけません。アリアスはスイッチも駆使、なんとか距離を詰めようと画策しています。
終盤、アンダーソンが上手くアッパーをヒット、アリアスは一瞬動きが止まったように見えます。
3R、アンダーソンが右を使い始めます。いつの間にかアンダーソンもスイッチ、今度は右ジャブも使っていますね。最近のボクサーは本当にスムーズにスイッチするので、気づかない場合も多い。
後半、サウスポースタンスから左ストレートをヒットしたアンダーソン、アリアスはもう限界が近いか。終盤にも強烈な左アッパーをヒットしたアンダーソン、滅多打ちにしたところでラウンドが終了。
このラウンドが終了後、なのか、アリアス陣営が棄権の意志表示。
ジャレッド・アンダーソン、3RTKOでデビュー以来のKO勝利を継続。そろそろ、ベテラン強豪勢や元世界王者クラストの戦いがほしいものですね。
WBC世界ライト級挑戦者決定戦
シャクール・スティーブンソン(アメリカ)19勝(9KO)無敗
vs
吉野修一郎(三迫)16勝(12KO)無敗
そしていよいよメインイベント。決戦の場はニュージャージー州、ニューアーク。未来のPFP候補と言われるシャクール・スティーブンソンの超絶ド地元。
もともとの実績、評価の違いも含めて、吉野にとってはかなり厳しい戦いが予想される一戦ですが、シャクールのようなエリートを相手にアップセットを起こせるのは、吉野のようなボクシングであることもまた事実。
まだ見せていないシャクールの「弱さ」をさらけ出すことができるか。
いつもの「ガッツだぜ」のテーマに乗せて入場するガッツ石松の直系の後輩にあたる吉野、いつもどおりのニコニコ入場。この素晴らしいハートの持ち主は、完全敵地においても変わらないようです。
吉野のコールにブーイング、シャクールに大歓声。さあ、世界を驚かせてくれ。
初回のゴング、ガードを高く掲げ、やや攻め急ぐような素振りを見せつつプレスをかける吉野。シャクールは落ち着いた雰囲気、ここで吉野がボディに腕を伸ばします。これは届く!
体を振り、大きく踏み込む吉野、シャクールはサークリングしつつ様子を見て、中盤以降はコンビネーション。しかしそれに怯まない吉野も強い踏み込み、届く、届く。
互いに目の覚めるようなクリーンヒットこそないものの、シャクールに吉野のボクシングは通用するのではないか、と思わせる初回。
2R、シャクールが左ボディ。そして鋭いジャブ。いきなり当ててくるシャクールは流石、としか言いようがありませんが、その後吉野も右ストレートをヒット!その後距離を詰めた吉野、このまっすぐ伸ばす右と外からまわす右ボディは非常に良い。
中盤、吉野が前に出て攻めているところでシャクールが左ストレート!真正面からもらってしまった。。。が、吉野修一郎というボクサーはここからのはず。
立ち上がった吉野、やや後退。こうなるとちょっとシャクールがやりやすくなってしまうか、幾度かの左ストレートをもらってしまいます。後半、吉野も反撃に出てラウンドが終了。
ダウンシーンのスロー再生が流れますが、ちょっと足が揃ったところにもらってしまったシャクールの左。とはいえ、しっかりと顎を撃ち抜かれているようにも見えます。ダメージは、どうか。
3R、吉野のダメージは大丈夫そうです。吉野は右のダブル、これは良い入り方。しかしミスブローをするとシャクールの左が飛んでくる、これは打ち終わりを気をつけたい。
吉野は右を上下に打ち分け、中盤にはシャクールをロープに押し込みます!これです!吉野がこのままフィジカルで押し切れれば。。。というところでシャクールの右フック!一瞬動きが止まったように見えた吉野、すぐに気を取り直して攻撃を再開。
後半に入るとシャクールの速いコンビネーション、これのいくつかが吉野の固いガードの間隙を縫ってヒット!しかし距離的には吉野にもチャンスが。
インターバル中、まだ笑顔が見える吉野。さあ、ここからです。吉野はどんなタフファイトでも、落ちない。と、信じたい。
シャクール、若干ですが右の目まわりが赤くなっているような。これは吉野の左フックによるものでしょう。
4R、やっぱり速い、巧い、シャクール。アッパーをヒット。それでも吉野は一切臆することはなく、体を振ってプレス!
シャクールも強いジャブ、強い右フックを返す展開、からの左ストレートカウンター!
吉野も右を真っすぐ伸ばしてシャクールの顔を跳ね上げますが、後半、シャクールは左オーバーハンドから左右のフックを叩きつけ、ダウンを奪取。
この左右はかなり脳を揺らされる危険なコンビネーション、立ち上がった吉野を注意深く観察したレフェリーですが、続行を指示。しかし、もう次はないかもしれません。
インターバル中もレフェリーがしつこく吉野陣営に確認。でもまだまだ、吉野はこれからのはず。
5R、右から入るパターンが良さそうな吉野、ですがシャクールの右フックが怖い。左ガードは上げておきたい。
レフェリーは明らかに吉野を見ていますが、吉野の闘志は燃えたぎっています。が、ちょっとシャクールの右フックでガードしててもよろめく姿が不安。
6R、ここに来てシャクールの距離。シャクールはジャブでコントロール、吉野は攻め時が作れない時間が過ぎます。
が、中盤、吉野が飛び込み気味の左フックをヒット!しかしその後、シャクールが右カウンターを決めるとレフェリーが割って入り、試合はストップ。
これはやっぱりストップが早い、と思ってしまいますね。
吉野は削って削っての後半勝負、というか終盤勝負、でしか勝機はなかったかもしれないので、戦い方は素晴らしかったと思います。
Yoshinoのタフネスを知らないレフェリーからすると、妥当なストップだったのかもしれませんが、吉野のタフネスを知っている我々からするとやはり早い。まだまだ吉野はパワーパンチを持っていたし、動きが落ちているわけではありませんでした。
とはいえ、吉野の評価を下げるような試合ではなかったことは明白で、このシャクール戦での「敗戦」を機に、アメリカ人ボクサーに是非ともまた呼ばれるようなボクサーになってもらいたい。
吉野修一郎は、これにて初黒星。まだ、たった1つの負け。また、吉野が世界に挑む姿を見たい。
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