信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】カネロへの挑戦権???ダニエル・ジェイコブスvsジョン・ライダー!

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週末はイギリス興行。

2/11(日本時間2/12)に行われた、MTKグローバルの興行は、セミファイナルに登場したイギリス期待のプロスペクト、リー・マクレガーがまさかのドロー。

バンタム級の王者、井上尚弥の対戦相手の候補の1人として注目されていましたが、その期待が薄れたようなイメージ。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

そしてその翌日、12/12(日本時間2/13)、次は元世界王者のダニエル・ジェイコブスがイギリスに登場です。ここ最近のパフォーマンスはあまり優れませんが、ここは「ミラクルマン」ジェイコブスの復活に期待したい。

ということで今回は、ジェイコブスvsライダーをメインに据えた、DAZN興行の観戦記です。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

2/12(日本時間2/13)

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まずは無敗のプロスペクト対決から!

WBCミドル級インターナショナル・タイトルマッチ

フェリックス・キャッシュ(イギリス)14勝(10KO)無敗

vs

マゴメド・マディエフ(ロシア)15勝(4KO)無敗2分

初回、共に勢いよくコーナーを飛び出します。まずはジャブを交互に差し合い、中盤に入るとキャッシュがコンビネーション。マディエフは単発気味にパンチを返しています。

キャッシュはよく手数が出て、ボディも打て、上々の滑り出しに見えます。

2R、キャッシュ快調に飛ばします。良いボクサーだな、と思ったその瞬間、マディエフの飛び込み様の左フックがクリーンヒット!キャッシュはダウン!!

時間は半分くらいあります!襲いかかるマディエフ、ブロッキングで凌ぐキャッシュは全然手が出ません。かなりのダメージを被ってしまいました。

後半、ジャブを突き、攻め込んでやや盛り返した感じのあるキャッシュですが、これは手痛いダウン。

3R、キャッシュにダメージは見えません。よくコンビネーションが出るキャッシュ、マディエフは手数は少ないながらも、プレスをかけつつ打つカウンターには非常に怖さがあります。

 

4R、リズムよくジャブを突き、先手をとるのはキャッシュ。そのキャッシュの攻撃をブロッキングでしのぎながら、一発を狙うマディエフ。マディエフはポイントを取ろうとはしていないのか?と思うほど手数は少ないです。

攻めようとすると出てくるキャッシュのジャブにより、攻められないでいるのか。

5Rも軽快に動くキャッシュ、プレスをかけていくも手が出ないマディエフ。6Rも変わらず、キャッシュはジャブからワンツー、ボディへとつなげるコンビネーションが非常にスムーズで、またその出しどころ、タイミングも非常に良いです。

7Rもマディエフは攻めきれず。ダブルジャブで攻め込むもバックステップでいなされ、その後キャッシュのダウルジャブを当てられる、こんな展開がずっと続いています。

マディエフはもっともっと強引に、潰すぐらいの心意気でいかなければ捕まえられません。

しかもこのキャッシュは接近戦もコンパクトにパンチを当ててくる分強く、マディエフよりも回転力と適格性に優れています。

マディエフが活路を見出したいのは、外からまわす左フックと右のオーバーハンド。

 

しかし、マディエフが打ちこもうというそぶりを見せればキャッシュはジャブでストップ、そこで隙を見せれば右ストレートも飛んできます。これはマディエフややりづらい。あの2Rは千載一遇のチャンスだったかもしれません。

8R、9Rと進んでいきますが、この間、マディエフは攻めあぐね、いなされ、ジャブを当てられます。

ラストラウンド、これまでになくマディエフがチャージ!今まで見せなかった鋭いステップインでキャッシュを攻め込むと、ワンツーをヒットしてキャッシュをダウンさせます!まだ20秒ほどしか時計は進んでいません。

再開後、走ってキャッシュに襲いかかるマディエフ、しかし距離がつまり、キャッシュはクリンチでエスケープ。いや、もうホールドか。

パワフルな攻めを見せるマディエフ、ホールドしてでも生き延びようとするキャッシュ。

このラウンド中盤、キャッシュから減点。ホールドだと思います。

キャッシュはこのクリンチ、ホールドデイ感を稼いでやや回復、後半にはまた手数を取り戻し、襲いかかるマディエフに反撃。何とか最終ラウンド終了のゴングを聞きました。

判定は、94-93、95-92×2でフェリックス・キャッシュを支持。

 

キャッシュの巧さが際立ち、途中マディエフに何もさせませんでしたが、マディエフの爆発力もものすごい。あのラストラウンドの攻めを、中盤あたり、そして9Rくらいに見せられていれば全く違った結果になったのではないかと思います。

ボクシングの組み立てが下手なのか、それともキャッシュがそのマディエフの良さを消していたのか。ダウンを奪われた2R、10R以外はすべてキャッシュのラウンドに見えました。1点の減点があったとしても、個人的にはキャッシュの勝利で間違いはありません。

ただ、ノックアウトされそうになった場面を2度もつくれば、「勝ちを拾った」とも取られると思います。個人的には、キャッシュのジャブ、距離のとり方に感嘆しましたが、それだけではこの先のトップ戦線の戦いは厳しいでしょう。

セミファイナルとなったヘビー級6回戦は、プロスペクトジョニー・フィッシャー(イギリス)が3連敗中のガブリエル・エンゲマ(スペイン)を相手に6R判定勝利。初回から左目尻をカット、そのせいもあってかややディフェンシブに戦い、見せ場は少ない試合でしたね。

 

WBA世界ミドル級挑戦者決定戦

ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)37勝(30KO)3敗

vs

ジョン・ライダー(イギリス)30勝(17KO)5敗

初回、サウスポー、ライダーはインサイドで勝負したいため、ジェイコブスのパンチをかいくぐる隙をつくろうとプレス。

しかしジェイコブスの真っすぐ伸びるジャブはキレがあり、連射も効くのでなかなか容易にはいきません。ジェイコブスはジャブに続き右ボディストレートもヒット、調子は悪くはなさそうです。

2R、ライダーはスミス戦同様、距離を詰めるのは上手いですね。ただ、ジェイコブスはクリンチも使って対応、足を使うわりにはカラム・スミスのようにロープに詰まる事は少ない。

そしてやはりジェイコブスのジャブは有効で、ライダーの入り際に右もコネクト。

3R、ジェイコブスは前手をすっと伸ばして触覚のように使い、右ストレート。近い距離でもライダーの右肩を越えて通すような、上からの左フック。

 

ライダーのプレスは強いものの、ここまではすべてのラウンドでジェイコブスが上回っているように思います。

4R、ライダーの踏み込みは、前ラウンドあたりからどんどん良くなっているイメージです。右ボディから入るパターン、左ストレートから入るパターン、それぞれありますが非常に鋭い。

5R、インサイドに入りたいライダー、入らせたくないジェイコブス。必然的に起こるフェイント合戦。このラウンド後半、ジェイコブスは奥手のアッパーをボディ、顔面にヒット。これが一番印象的なパンチです。

6R、徐々に距離が詰まってきます。後半、危険なタイミングでパンチが交錯することも増えてきました。DAZNの採点では初回が同点(!)、2〜6はジェイコブス、と出ています。海外でも10-10をつける事はあるんですね。

7R、ライダーはおそらくこのままではまずい、と感じていて、距離の詰め方が強引になってきました。クリンチに逃げられても手を休めません。

足が止まってきたジェイコブスをライダーは攻め立て、ジェイコブスも応戦!エキサイティングなラウンドです。

8R、ジェイコブスはライダーの圧に押されて、序盤ロープ際。これではいけないと思ったのか、そこからは前に出て応戦します。

こうなるとライダーの距離、ライダーはしつこく左アッパーを突き上げ、ジェイコブスが嫌がって距離をとればジャブ、左ストレートで攻め立てます。このラウンドはライダーにとってビッグラウンド!

9R、ライダーはここまで失ってきたポイントを一つずつ挽回するチャンス。逆にジェイコブスはピンチ。動きの落ちてきたジェイコブスに対して、ライダーは体ごと攻めていきます。

 

ジェイコブスもただ逃げるということをしないので、自ずと近接戦闘になっていきます。

10R、ジェイコブスはサウスポーにスイッチ、これはライダーの左ストレート対策でしょう。ジェイコブスは披露なのか全体的にかなりガードが低くなってしまい、ここまでライダーの左を浴びてしまいました。

このラウンドはライダーの攻撃をしっかりと距離で外し、余り無理をせずやり過ごしています。あるいは、回復を図っているのか。

しかしちょっと反応の悪いジェイコブスは、終盤、ライダーのジャブを何度も浴びてしまいます。

11Rはジェイコブスも足を止め、接近戦。クリンチも非常に多いという展開。ラストラウンドもライダーが攻め込み、ジェイコブスも足を止めて対応するという展開です。

ジェイコブスも思い切ってワンツーを打っていきますが、おそらく疲労からでしょうがワンパターン。序盤のように、ボディへの右を出すとか、コンビネーションを出すとかがあまり見られません。

対してライダーの動きはまだキレており、近づけばクリンチに阻まれることもありますが、自分の距離で戦えているようには見えます。

 

ともあれ、非常に微妙なラウンドも多かった12Rが終了。

個人的には前半を確実にとったように見えたジェイコブスの勝利。

でしたが、判定は、115-113でジェイコブスが一人、残りふたりは115-113でジョン・ライダーを支持。

ジョン・ライダー、12R判定勝利でジェイコブスを降す金星!

まあ、ライダーの地元イギリスでの一戦だったので、この結果も致し方ありません。どっちが勝っても微妙な試合ではありました。

ジョン・ライダーはキャリア最大の勝利。一方、ジェイコブスは衰えを顕著にしてしまった感があります。

ジェイコブスは後半、目に見えて失速してしまいましたね。このスーパーミドルに上げてからのパフォーマンスは、かつて、ミドル級のそれとは違います。

 

階級の壁というものなのか、それとも「カネロ戦」で大金を稼いだ事が、彼のキャリアを満足させてしまったのか。この先の戦いも厳しそうです。

さて、勝利したジョン・ライダー。ジェイコブスのここ最近のパフォーマンスが悪いとはいえ、まさかジェイコブスに勝つとは思いませんでした。この結果、カラム・スミス戦の大善戦がフロックでなかったこと、加えてカラム・スミスが弱いわけでもなかった、ということが証明されましたね。

WBAはスーパー王者にカネロ、レギュラー王者にデビッド・モレル(キューバ)。王者削減が進むWBAも、さすがにカネロ様に「レギュラー王者のモレルと統一戦を」とは言えないようですね。ということはスーパー王者のカネロは黙認、カネロvsライダーを指令しても同じく盛り上がりには欠けるので、現実的なところはモレルvsライダーでしょうか。

これはなかなか楽しみな一戦ですね。個人的なモレルの評価は、高いです。

ともあれ、エネルギッシュなファイター、ジョン・ライダーに注目です。

 

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