この週末は、連日、イギリスでのボクシングイベント。
日本時間2/12はセミファイナルに日本のボクシングファンも注目のリー・マクレガー、同2/13はダニエル・ジェイコブスvsジョン・ライダーがDAZNで放映です。
↓プレビュー記事
やや寂しいマッチアップともいえる週末ですが、せっかくなので視聴。
まず今回は、ダニー・ディナムvsグラント・デニスをメインに据え、セミファイナルにリー・マクレガーが登場するMTKグローバル興行の観戦記です。
2/11(日本時間2/12)ロンドン
ロンドンのヨークホール、MTKグローバルの興行です。アメリカではESPNで生中継。ESPNはトップランク興行をはじめとして、オーストラリアの興行や、イギリスのスカイスポーツで放送されている興行等も放映しており、アメリカのボクシングファンは恵まれていますね。
さて、時間は日本時間でAM6:00頃、注目のセミファイナルから。
スーパーバンタム級10回戦
リー・マクレガー(イギリス)11勝(9KO)無敗
vs
ディエゴ・ルイス(アルゼンチン)23勝(12KO)4敗
ハコはそんなに大きくないですが、お客さんはたっぷり入っています。
後楽園ホールみたいな感じのところでしょうか。
初回、ともにぐっとガードを固めて、マクレガーがプレスをかけてスタート。マクレガーはグイグイと前進、ボディを交えたコンビネーション。近づいては右アッパーを放ち、ルイスの反撃はしっかりとブロッキングしています。
2R、やはりプレスをかけるのはマクレガー。ルイスは入ってくるマクレガーに対して左右のボディを叩き、大きめの左フックで応戦。この外側から大きく回る左フックは、マクレガーにヒットする場面もありますね。
ともに左ボディ、右アッパーを効果的に使いますが、終始下がるルイスのイメージはあまり良くないかもしれません。
3R、展開は変わらず。このラウンドはマクレガーのアッパー、左フックがヒット。ロープに押し込んで連打を見舞う場面もありますね。
2R終了後もそうでしたが、このラウンド終了後も終了ゴングのあとにルイスはパンチを放っています。これはいけませんね。その上、終了後には両手を上げてアピール。これも謎。
4R、ちょっとペースを変えようと目論んだか、マクレガーがサイドにまわってみたり、自らロープを背にしてみたりと試しています。
中盤以降はまたプレス、時に誘いこんでカウンターも狙っています。ここまで、ゲームメイクをしているのはマクレガー、ヒット数もマクレガーだと思います。
5R、このラウンドもガードを固めて追いかけるマクレガー。時にバックステップしてカウンターを狙います。マクレガーのボディムーブも非常に機能して、ルイスのヒット率は非常に悪い。マクレガーのパンチも多くはルイスのガードに阻まれるものの、時折当たるアッパーは良い。
6R、マクレガーが距離をとり、ルイスがプレスするという展開に変化。距離を作ってしまうと、ルイスが活き活きとし出します。マクレガーは前進して距離を詰めたほうが良い気がします。
中間距離からのマクレガーのパンチは単発で、ルイスはよく見てしっかりとガード。ルイスはマクレガーの打ち終わりを狙い、軽くしか当たらないまでも見栄えは良いです。
また終了ゴング間際に打つルイス。終了ゴングが鳴りはじめてから打ってるんじゃないか、という微妙なタイミングで、ほぼ毎ラウンド打っています。レフェリーはしっかりと注意すべきではないか。
7R、このラウンドはマクレガーが前進。前半のラウンドに比べ、少し距離が遠いか。詰めきれていない、というよりも、マクレガーも強いパンチを当てたくて、少しスペースを空けているイメージです。ただ、この距離が少し空く事でルイスも明らかに戦いやすくなっています。
後半、ルイスはスイッチする等、やや余裕を見せています。
8R、引き続き、マクレガーは前進しますがやや距離が空き、マクレガーの打ち終わりに上手くリターンを当てるルイス。後半に入れば距離が縮まり、マクレガーのアッパーは効果的で、強い右を当てられています。
これは結構微妙なラウンド。
9R、マクレガーがプレスを強め、距離を詰めていきます。しかしここにきてルイスの手数は倍増、力強いパンチも放ち、譲りません。
マクレガーが少し左手でプッシュしたらすぐに注意するレフェリー。それよりもゴング間際というか鳴りはじめてからのルイスの加撃を注意したほうが良いと思いますが。。。
ラストラウンドもペースはさほど変わらず、どちらかがチャージする、という展開でもありません。終盤、マクレガーが良い距離、良いタイミングで右ストレートをヒット、ルイスの顎を跳ね上げて大きな歓声が起こります。
試合終了後、ルイスは大喜び。勝利を確信しているかのような振る舞いです。
う〜ん、個人的にはルイスの勝利はないと思います。順当にマクレガーの勝利ではないでしょうか。
と思ったら、判定は95-95のドロー。ジャッジはおらず、レフェリーのみの採点だったようです。むちゃくちゃ昔のボクシングみたい。
驚きのドロー。。。
1〜5はルイスにつけようが無いような気がするんですが、とすれば後半の6〜10をルイスが獲った、ということになるんでしょうか?
ちょっと謎すぎる判定。マクレガーのホームでの試合なので、大きくマクレガーが優位のポイントがでそうなものですが。個人的には、ルイスに与えて良いラウンドは6Rと7R、微妙なラウンドをすべてルイスに振ったとしても最終ラウンドはマクレガーだと思います。(96-94でマクレガー)一番近くでみているレフェリーの採点だから、納得せざるを得ないのか?レフェリングしていたからこそ、優勢劣勢については俯瞰で見れていないのではないか?
ともかく、びっくりです。。
とはいえ、井上尚弥への次期挑戦者候補としてはやはりまだ物足りない、リー・マクレガー。本人も、この戦前のインタビューでは、世界タイトルに挑戦するにはあと1年〜1年半くらいのトレーニングが必要だ、と話しており、急ぎもしなければ現実はよく分かっています。
この生真面目さが窺えるボクサーの好感度は、個人的には高い。
目指すは井上尚弥後のバンタム級世界タイトル、今後も精進して、日本人ボクサーとの対戦を楽しみにしたいと思います。
メインイベント ミドル級10回戦
ダニー・ディナム(イギリス)13勝(7KO)無敗1分
vs
グラント・デニス(イギリス)17勝(3KO)3敗
メインイベントはよく知らないボクサー同士の対戦。歓声はすごいです。そして勿論、観客はマスクをしていません。コールを聞くと、ディナムじゃなくてディグナムかもしれません。
ともあれ、初回のゴング。
サウスポー、ディナムが重心を低く構え、プレス。フェイントから攻め込みますが、いきなり頭があたってしまいます。
38歳のデニスは右へ左へ動き回り、まずはディフェンシブな立ち上がり。
後半、デニスは軽いながらもサイドへまわりながらも右ストレートをヒット。効くパンチではないにしろ、こうまで動き回るとディナムも捕まえるのに苦労しそうです。
2R、ディナムがステップインして攻めるとその入り際を狙うデニス。動きは非常に軽やかです。中盤にディナムはボディから攻め込み、良い形をつくりかけます。
3R、変わらずステップワークが冴えるデニスですが、ディナムも強引に打っていく場面をつくります。しかし、入り方を探っている中間距離での時間も長く、その探り合いの中でデニスはノーモーションの右をヒット。
ディナムは左目付近から出血しているように見えますが、これはパンチか、それとも頭か。
4R、やや落ち着いてプレスをするようになったディナム。丁寧にジャブを突いていきます。ジリジリとにじり寄り、入り際にもらってしまっていたカウンターを思いっきり警戒。これは良い作戦だと思います。そのカウンターを空振りさせて、そこから攻め入ろうという事だと思います。
フェイントをかけつつプレスをかけ、徐々に逃げ道を塞いでいこうとするディナム。デニスが大きく動くと、カウンターが取れないであろうとタイミングで踏み込んでいます。
個人的にはここまでシーソーゲーム、38歳のデニスがよく動き、頑張っている印象です。ただ、ここからディナムが抜け出しそうな予感。
5R、ディナムがじっくりとプレスをかけるようになったこと、フェイントを多く使うようになったことで、「動いている」というよりも「動かされている」イメージが強くなってきたデニス。
デニスのノーモーションの右も見切られ始めます。
しかしデニスは本当によく動きます。このラウンドの後半には、また軽やかに動き、ディナムに全く的を絞らせません。
6R、開始早々にディナムのジャブがヒット。その後ワンツーで攻め込み、ロープにもたれかかってその攻撃を受けるデニス。
ここをエスケープしたデニスはまたステップワークをつかってサークリングしますが、これまでのラウンドよりもややブロッキングの時間が長くなっています。
そして中盤、ディナムのジャブから左アッパーがヒット、デニスは膝を着くダウン!
立ち上がったデニスに襲いかかるディナム、ブロッキングでしのごうとするデニス。しかし今度は左ボディでダウン。
レフェリーはまだ止めません。
再開後に猛攻でまたダウン。立ち上がるも、デニスを少し歩かせたレフェリーはストップを宣告。
ダニー・ディナム、6RTKO勝利。
なかなか見応えのある試合でした。おもしろかったです。
正直、あまり前情報を持っていなかったですし、結構大味な試合になるかと思いましたが、両者が持ち味を発揮して序盤は接戦。38歳というグラント・デニス、よく頑張ったと思います。やはりミドル級となるとガードしていてもダメージは残ってしまいますね。
「良い試合だなぁ」と思った一つの要因は、大きな歓声というのもあると思います。
一刻も早く、後楽園ホールにも熱狂が戻ってきて欲しいものです。
ということで今回は、日本のボクシングファンの注目度は非常に低そうなMTKグローバル興行の観戦記でした。ロンドンのヨークホール、どこに座っても(後ろのほうのお客さんはみんな立っているようにも見えましたが)リングが良く見えそうで、良い会場ですね。
あ、ちなみに興行全体のフルファイト動画を見つけたので貼っておきます。興味があれば、どうぞ。
↓MTKグローバル興行。セミ開始が2:39くらいからです。