現地時間では3/4(金)、ハナキンの興行です。
ホセ・カルロス・ラミレスvsホセ・ペドラサという注目のマッチアップは、アメリカではESPNが中継、日本でもFITE.TVが中継してくれました。
私はリアルタイムではなく、仕事から帰ってからESPNで視聴しましたが、「Main Card」の番組に入っていたのは全3試合。
ガブリエル・フローレスJr.vsエイブラハム・モントヤの試合は(アーカイブ編集で)アンダーカードの方に回ったようです。
ということで、私はとりあえずジョエト・ゴンザレスvsジョー・サンティシマ戦から視聴。
今回のブログは、ラミレスvsペドラサをメインに据えた、トップランク興行の観戦記です。
↓プレビュー記事
3/4(日本時間3/5)カリフォルニア
ということで、セミセミから視聴。
ジョエト・ゴンザレス(アメリカ)24勝(14KO)2敗
vs
ジョー・サンティシマ(フィリピン)21勝(18KO)3敗
初回、先制攻撃はジャブで攻め入るサンティシマ。ゴンザレスはしっかり相手を見てガードから組み立てます。
サンティシマのジャブはよく伸びますが、ゴンザレスは距離で外し、ブロッキングも固い。
そしてゴンザレスのジャブは、数こそ少ないもののまっすぐと槍のように突き立てられるパワージャブ。
2R、ゴンザレスがプレスを強めます。体を振って攻め入り、サンティシマはステップアウト。しかし距離が近くなるとサンティシマは左右のボディを連打、手数はサンティシマの方がよく出ます。終盤にもラッシュ。
3R、サンティシマが連続ジャブから攻め入り、力強いパンチを連打。ブロッキングで防いだゴンザレスは、コンビネーションで反撃し、そのままプレスをかけていきます。
互角に見える展開ですが、ジャブの見栄えがサンティシマノ方が良く、ディフェンスからリズムをつくるゴンザレスはしっかりとブロッキングしているものの、やや後手に見えます。
4R、近い距離での打撃戦!近い距離でもサンティシマのジャブはよく出ます。しかしサンティシマの接近戦でのパンチは非常に荒く、ゴンザレスは引き続きブロッキングが上手い。このブロッキングをなかなか崩せません。後半にゴンザレスはコンビネーションで逆襲、しかしサンティシマのガードもなかなかのものです。
激しい打ち合いもあるこの試合ですが、決定的な場面は訪れません。ともにハイレベル。
5R、ゴンザレスの貫通力のありそうなジャブがサンティシマに幾度かヒット。サンティシマはちょっと疲れてきたのか、ガードを下げて大きくステップ。左手を伸ばして横着気味にディフェンスしているところに、ゴンザレスの右がヒット!
ここまで互角の展開も、やや均衡が崩れて行きたか。
6R、前ラウンドから一気に手数を増やしたゴンザレス、中間距離での打ち合いもしっかりと手がでます。サンティシマに負けないほどの量のジャブを放ち、的中率、手数でサンティシマを上回っていきます。
サンティシマは苦しいか、元々的中率はゴンザレスに分があったぶん、押される展開が目立ち初めます。終盤はゴンザレスのまっすぐのパワージャブが何発もヒット。
7R、頭をつけてフックの打ち合い!サンティシマも頑張ります。しかしやはりゴンザレスはブロッキングに優れ、的中率に差が出てきてしまいます。
何度も顔を跳ねられるのはサンティシマ!終盤はロープに詰められ、ゴンザレスの猛攻。
8R、前半、サンティシマは強烈なフックを放ってチャージ。サンティシマは上下の打ち分けも、左のダブルトリプルも非常に良いですが、それでもゴンザレスのブロッキングを上回る事ができません。
ゴンザレスはその合間に的確にパンチをヒット、やはりクリーンヒットの数は明らかにゴンザレス。
9R、ラウンド前半はサンティシマが元気に攻めていきます。しかし中盤に入ると少し手数が減り、ゴンザレスが元気になるのか、ステップワークを多用します。
やや一方的な展開になってきたことを危惧してか、ゴンザレスの右オーバーハンドが入ったところでレフェリーが突然ストップを宣告。
ジョエト・ゴンザレス、9RTKO勝利。
納得いかなそうなサンティシマとその陣営。当然でしょうね。
5R以降は完全にゴンザレスのペースではあったものの、それまではほぼ互角と言っても良かったですし、逆転の芽は薄かったもののゼロではありませんでした。
ちょっと残念なストップのタイミング。最後までやらせても良かったのではないか、と思いますが。。。
ちょっと不完全燃焼な勝ち方になってしまったゴンザレスでしたが、見事なボクシング。強敵、サンティシマを相手に、その実力を誇示しました。
リチャード・トーレスJr(アメリカ)デビュー
vs
アレン・メルソン(アメリカ)6勝(3KO)3敗
リチャード・トーレス、大人気です。MARRY MEと書かれたパネルも。五輪メダリストはやっぱり英雄なんですね。選手紹介時の完成もすごい。
初回、トーレスがプレスをかけていきます。メルソンとは身長差もなく、グイグイ攻めれますね。クリンチの展開も多いですが、左ストレートを差し込みながら前進。
クリンチ際での攻防、右手を抱えられた状態から左ボディフック!これでメルソンはダウン!
立ち上がったメルソンに、またも左ボディ!メルソンはダウン、試合はストップ!
と思ったら、スリップ裁定!?
意味がわかりません。
後がないメルソンは、ここでとにかくパンチを振るい反撃、がっちりとクリンチしてなんとかこのラウンドを生き延びます。
トーレスは眉間の右側をカットしています。パンチをもらった節はないので、おそらくヘッドバット。
2R、開始直後のドクターチェックを受けますが、再開。それでもトーレスの血は滴っています。
ステップで逃げるメルソンは、攻勢に出ようと踏み込んだところでトーレスの左カウンター!これが顔面を捉え、ダウン!
焦らないトーレスはその後もしっかりとジャブをついて威嚇、ファイナルアタックを仕掛けてきたメルソンに最後も左フックをヒット、またも倒れたメルソン!これでレフェリーは試合をストップ。
リチャード・トーレスJr、プロデビュー戦を2RTKO勝利!
さすがの戦いでしたね。今回は実力差のありすぎるマッチアップでしたし、勝って当然。左ストレートが光った戦いぶりでしたが、このボクサーはジャブが良い。しっかりとリズムをつくり、この巨人だらけの階級において、身長188cmの超人がどこまで行けるのか非常に楽しみです。
ところでセミもセミセミもレフェリーには不可解な点が多い。
セミファイナルが始まる前、クリチコ、ウシク、ロマチェンコがウクライナで戦っている、というニュース。本当に悲しいニュースです。。。
ホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)26勝(17KO)1敗
vs
ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)29勝(14KO)3敗
WBC世界スーパーライト級の挑戦者決定戦、とのことです。
どちらも応援しているボクサーで、どちらも好きなボクサーなので、これはどっちを応援するか非常に困ります。こういう人は多いのではないでしょうか。
ともかくも、好試合を見せて欲しい、そんな一戦がスタートです。あと今日はレフェリーの流れが悪い気がするので、メインのレフェリーは良いレフェリングをして欲しい。
初回、ペドラサはオーソドックスでスタート、プレスをかけていくのは当然ラミレス。
ふたりともコンビネーションもよく出ますし、相手のパンチに対する反応も素晴らしい。ハイレベルな攻防野中で、クリーンヒットはほとんどなしか。
2R、前後のステップでリズムを刻むペドラサ、左右に体を振るラミレス。本当にそのボクシングは対照的です。
追い続けるラミレスは、ペドラサをロープに追い込みますが、ペドラサのディフェンスは非常に冴えており、クリーンヒットを許さずそこからエスケープ。
サウスポーにスイッチしたペドラサに対しては、ラミレスはやや攻めづらいか。若干テイラー戦でも感じていましたが、ラミレスはサウスポーは得意とは言えません。
3R、相変わらずサウスポーのペドラサ。ただ、このペドラサに対するサウスポー対策もラミレスはしてきているはずで、その成果なのかサウスポースタンスのペドラサに対しても、ラミレスはよくジャブを当てられています。
ただ、このラウンドはペドラサがジャブ、左アッパーを使ってラミレスをなかなか近寄らせません。ロープ際に詰められればボディムーブとサイドステップでかわす、この技巧。最高です。
4R、ラミレスは体を振って入るタイミングを窺い、ペドラサはステップワークを使ってカウンターのタイミングを窺う。両者が持ち味を発揮した好試合です。
ラウンド終盤にはラミレスの右ストレートがペドラサを捉え、会場を盛り上げます。
5R、ストレートで攻めるペドラサ、フックを大きく振っていくラミレス。アグレッシブなのはラミレスで、気のせいかこのラウンドはペドラサがロープ近くで戦う時間が多くなっているように思います。
ロープに詰められる場面こそないものの、ラミレスの勢いに押されているかもしれません。
6R、ここまでのパンチスタッツはラミレスが57/218、ペドラサが56/263とやはりほぼ互角。
ただ、常に攻め続けているのとパンチの見栄えの点において、ポイントはラミレス優位な気がします。こうなるとペドラサを応援したくなります。
このラウンドはペドラサが内側からの右ジャブを上手く当てたのと、終盤に左ストレートをヒットし、やや優勢か。
ちなみにアンドレ・ウォードの採点ではこのラウンドまでで58-56でラミレス。
7R、ラミレスは左アッパーから左フックのコンビネーションを巧打。その後も飛び込みの左フック、強い右から入るパターン等その攻撃は非常にパワフルです。
ちょっとペドラサはこのラウンドは攻められてしまったイメージ。
8R、今度はペドラサがジャブから左ボディで逆襲、この左ボディはラミレスを押し返すのにも効果的です。
それでもプレスを緩めないラミレス!しかしそんなラミレスに後半、見事な左フックカウンターを決めたペドラサ。ここはペドラサのラウンドではないでしょうか。
何というシーソーゲーム!
9R、このラウンドもまた微妙なラウンド、ともにクリーンヒットを奪いながらも決定打はありません。
10R、ふたりとも素晴らしい集中力で、見ている方も気が抜けません。序盤にペドラサは軽めのストレートのコンビネーションで攻め込み、クリーンヒットを奪いますがやや浅い。
ペドラサのステップワークも、ラミレスのプレスもここでも全く衰える事がありません。
ただ、ちょっとペドラサはディフェンシブに戦い過ぎな気もしますし、ラミレスは前進することに懸命で、やや手数が少ないようにも思います。
11R、前半、ペドラサの左アッパーから左フックというダブル、後ろ手でこのコンビネーションをヒットさせるのは素晴らしい。
その後もジャブ左ボディを2度見せておいて上にワンツー、やはりペドラサは巧い。
ラミレスも負けじと右ストレートをヒットしてペドラサの顎を跳ね上げ、このラウンドも終了。
ラストラウンド、ここもほぼ互角の展開。しかしラミレスがペドラサをコーナー、ロープに詰める場面が目立ち、明確なダメージパンチこそ与えられないものの攻勢をアピール。
終了ゴング、ロープに登って勝利をアピールしたラミレス、ペドラサも手を挙げてアピール。
判定は、3者ともに116-112、ホセ・ラミレス。
3者ともに4ポイント差、ということになりましたが、ポイント差ほどの差はないようにも感じる内容。なかなかのシーソーゲームで、非常に微妙なラウンドも多かったと思いますが、やはりラミレスの攻勢、手数、パンチングパワーにポイントが流れてしまったような感じがします。
ともあれ、ペドラサも強かった。
ラミレスにしろ、ペドラサにしろ、良いパフォーマンスであり、両者が持ち味を発揮した好試合でした。やっぱりペドラサのボクシングは好きだと再認識。
勝利したホセ・ラミレスは、指名挑戦者となりましたが、王者ジョシュ・テイラーは転級という予定。現在のWBCトップコンテンダーは、シルバー王者のホセ・セペダ(アメリカ)、2位にラミレスで3位にレジス・プログレイス(アメリカ)。プログレイスは体重超過の常習犯なのでちょっと怪しいですが、4位にマイキー・ガルシア(アメリカ)を破ったサンドール・マーティン(スペイン)、5位にはテオフィモ・ロペス(アメリカ)。
ラミレスが誰と王座を争うのか、これは非常に興味深いですね。
そしてペドラサにもまたタイトルに絡んでもらいたい。
とにかく、良い試合でした。