信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

チーム・レイノソの瓦解。マルティネス、バルデス、そしてカネロへの連鎖はなぜ起こったか。

サウル「カネロ」アルバレス、まさかの判定負け。

大方の予想は、ビボルはKOするしかないのではないか、判定ならカネロだろう、というものだったと思いますが、これが人生に3つある坂の一つの「まさか」というものです。

試合自体は私はおもしろかったですね。後半、カネロは明らかに疲れてはいたものの、判定を聞くまでは(ビバメヒコのため)わかりませんでしたし、それ故にロープを背にしたカネロに攻め入らないビボルの行動が正解かどうかわかりませんでした。

結果的には、ビボルは強引に行かなくてよかったようです。

ビボルは判定の行く末を気にせず、クレバーに、自身の作戦がハマったことを理由としてその作戦を遂行し、自身のキャリア史上最大の勝利を手にしました。「倒さなければ勝てない」というような戦い方ではなく、「カネロにポイントを与えようがない」ラウンドを多く作った上での完勝。当代随一のボクサーであるカネロを降したことは、長く歴史に刻まれることでしょう。

 

さて、昨日にアップした観戦記につけたタイトル、「栄枯盛衰」。たった一度の負けで衰えた、と言われてもカネロファン(いますか??)にとっては心外かもしれませんが、カネロの負けはレイノソの負け。

今年に入ってビッグマッチにおいて振るわない、チーム・レイノソ、そしてカネロの敗北とは何だったのか、について書いていきたいと思います。


エディ・レイノソについて

Wikipediaによると、レイノソは8歳の頃にボクシングのトレーニングを初め、16歳までアマチュアボクサーとして活動した、とのことです。18歳で高校卒業後、1998年にメキシコの公的なスポーツコーチ制資格制度(CONADE)を取得し、2000年には正式にボクシングコーチとして独立したとのこと。

16歳で選手を引退し、その後しっかりとトレーナーとしての勉強をしたうえで、トレーナー業に入った、というのは生粋のトレーナーという部類でしょう。

レイノソが1998年(22歳のとき)に取得したCONADEという資格は、日本でいうとたぶんJSPO(日本スポーツ協会)のアスレティックトレーナー等の資格にあたると思われ、この年齢でこういう公的な資格を獲る、という人はなかなかいないと思います。

ボクサーがキャリアを築いて引退したのち、トレーナーに転身する、という事とは少し違った道を歩んできたエディ・レイノソ。

 

独立後指導した世界王者はオスカー・ラリオスにはじまり、女子のヤスミン・リバス等々。

そしてサウル・アルバレスへとトレーナー業にいそしみ、カネロの活躍により世界有数のトレーナーへと昇華していきます。

カネロと出会い、その後

ちなみに、カネロは13歳の時にレイノソのもとでボクシングをはじめた、とのことなので、西暦でいうと2003年。レイノソのトレーナー業のキャリアは、カネロとともにあったと言っても良いですし、何なら「カネロ」と呼び始めたのもレイノソだそうです。

2005年にプロデビューしたカネロが、2011年にはじめて世界王者となってからも既に10年以上。ホセ・アルグメドやフリオ・セサール・マルティネスといった軽量級のボクサーたちも傘下であったり、オスカー・バルデス、ライアン・ガルシア、ルイス・ネリ、アンディ・ルイスJr等のプロパーではないボクサーたちも受け入れ、ここ数年はこの世の春を満喫していた、と思われます。これは、レイノソの名前を一気に有名にした、カネロの恩恵と言って良いでしょう。

但し、カネロの活躍及びレイノソ傘下のボクサーたちの活躍は、その実力だけでなく、レイノソのマネージメントが深く関わっている、ということも言えると思います。

 

カネロはキャッチウェイト、ドーピングについて問題があったことは事実としてありますし、JCマルティネスやオスカー・バルデスにもドーピング問題がありました。チーム・レイノソの黒い噂は絶えませんし、特に日本においてアンチは多い、という印象です。

この問題については、いろいろ思うところもありますが、うまく表現できないので今回はスルーしておきます笑。ただ、トレーナーとしてだけではなく、マネージャーとしてのレイノソの才覚も疑いようはありません。ドーピング問題についても、結果的に不問となっている事から、褒められたものではないにしろ影響力は大きいのでしょう。

ともあれ、史上最高レベルのボクサーに達していたサウル「カネロ」アルバレス、このボクサーはドーピングとマッチメイク、そしてカネロを押し上げようとする大人の力(ジャッジたちのこと)だけで作られたものではない、とは思います。そこには、エディ・レイノソというトレーナーの情熱も、非常に大きく関わっているはずです。

話を伝え聞く範囲では、レイノソは規律を重視し、何よりも基礎練習を重視するトレーニングを課している、とのこと。

これにより、一瞬で離脱したルイス・ネリ、かまってもらえなくて?離脱したライアン・ガルシアがレイノソと袂を分かったのは何となく想像できます。

 

カネロを見ていると、あのボクシングは一朝一夕でできるものではないし、絶え間ないトレーニングの繰り返し、派手なトレーニングでなく地味なトレーニングを何度も何度も反復練習した結果であると言えます。自身の体を完全に制御し、本当に全く乱れることがなく、惚れ惚れするほど美しい。

ではなぜ、カネロは負けたのか

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もついには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」

ここ最近のチーム・レイノソには、いくらかの驕りがあったのかもしれません。

2022年3月、フリオ・セサール・マルティネスの敗戦

boxingcafe.hatenablog.com

2022年4月、オスカー・バルデスの敗戦

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※どうでもいいですが、オスカルとオスカーという表記が一定でいないことに今更気付きました。気にしないでください。

そして今回の、カネロの敗戦。

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マルティネスについては、(ほんの数分の出来事でしたが)前々戦のアローヨ戦も良い出来、とは言えませんでした。そしてロマゴン戦、下馬評通りといえばそうですが、一つ上の階級(とはいっても、ミニマム級あがり)のロマゴン相手にほとんど何もさせてもらえず。

バルデスについても、前々戦のコンセイサン戦のパフォーマンスは、その前のベルチェルト戦に比べると「良くなかった」どころの騒ぎではありませんでした。

そして今回のカネロにも言えることですが、これらの敗戦において最も重要視されるべきところは、「劣勢において為す術を持っていなかった」ということだと思います。

通常、プロボクシングの試合に臨むにあたっては、色々なパターンを考えるべきだと思います。

例えば4回戦や6回戦の試合であれば、「練習でやってきた自分のボクシングをやりきる」で良いと思いますし、人によってはタイトルマッチでもそうかもしれません。

アマチュアボクシングにおいてはより顕著で、相手の手札がわからないことが多く、わかっていたとしてもあまりに多くの作戦を実行できる時間的余裕はありません。

しかし、この3つの戦いは世界タイトルマッチであり、どの試合もチーム・レイノソからすると「チャレンジマッチ」であったはずです。

 

そしてそのすべてにおいて、「あり得る展開で負けた」とも言えます。

私には、プランAが通用しなかったから、別のプランを用意していて、やろうとしてできなかった、という風にも見えませんでした。最初から最後まで、自分のボクシングを貫いたがために、必然的に負けてしまった、という風に見えました。

「こうすればこの相手に勝てる」というプランをたててしっかりと遂行し、ぴったりはまったのがバルデスにとってはベルチェルト戦で、カネロにとってはスーパーミドル級で無双していた数々の試合だったのだと思います。

それがだめなら、次はこのプラン、これを持っていなかったことこそが、チーム・レイノソが負けた理由であり、「思いのほか完敗してしまった理由」に他ならないのではないでしょうか。そしてそれこそが、「何とかなるだろう」という「だろう運転」であり、これが「驕り」というものだと思います。

わかっていても陥ってしまうのが、正に「栄枯盛衰」というものなのでしょう。昔の人は、本当によく言ったものです。

 

今後のチーム・レイノソ

オスカル・バルデスに関しては、シャクール戦でも調子は良さそうでしたが、あの一戦は彼の限界を示した一戦と言っても良いでしょう。

フリオ・セサール・マルティネスも同じく限界を示したとも言え、スーパーフライ参入はなかなか厳しい道のりになりそうです。次戦、しっかりとフライで体重をつくれるというところから、アローヨ戦でのパフォーマンスがどうか、と乗り越えるべき課題は多い。

カネロはビボルとの再戦を目指すとか。個人的にはカネロvsGGGのトリロジーを見たいとは思わなかったので、この結果は特に問題としていません。

(その場合、今後のGGGの行く末は気になりますし、それで良いのかボクシング界、という思いはありますが、それは置いておいて。)

そして、この敗戦によって、カネロが一気に衰える、というのも考えづらい。ただし、ビボルに連敗を喫したあとはわかりません。

 

なので、それを避けたいカネロとしては、次戦はそれこそすべてをかけて向かっていくはずです。ボクシングIQについては非常に高いものを持っている、と思われるカネロ、そしてレイノソ。おそらく、再戦には強いほうです。

カネロが勝っていたら、間違いなく再戦なんてありませんでした。「再戦」というオプションを引きずりだしたドミトリー・ビボルのがんばりに敬意を表し、この再戦は見守りたいと思います。ビボルにとっては、カネロとの再戦は(お金の面で)願ったり叶ったりでしょうから。

しかし、レイノソは、カネロはこのままでは終わらないでしょうから、ビボルにとっては前戦よりも厳しい戦いが待っているといえます。何せあの内容で、2ポイント差の僅差です。

この世の春を謳歌していたチーム・レイノソは、正念場。

ここから再浮上となるか、否か。興味深く、見守っていきたいと思います。

あ、それとこの流れを(レイノソがマネージメントする)京口紘人には持ち込まないでもらいたいですね。。。

 

 

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