5月ももう終わり、いよいよ6月に入ります。
6月といえば、現在の日本人世界王者、7名のうち3名が防衛戦を行う、注目試合だらけの月。
その先陣を切るのは、IBF世界スーパーフェザー級王者、尾川堅一(帝拳)。
この尾川の防衛戦が日本時間6/5(日)に行われたあと、6/7(火)は井上尚弥(大橋)vsノニト・ドネア(フィリピン)、そして6/11(土)に京口紘人(ワタナベ)vsエステバン・ベルムデス(メキシコ)と続いていきます。
しかもこの間に海外ボクサーの注目試合もあるので、これはとんでもない月間です。
ということで今回のブログでは、もう1週間後に迫った、尾川堅一(帝拳)vsジョー・コルディナ(イギリス)のプレビュー記事です。
↓井上vsドネアのプレビュー記事
↓6月は大変な月です。
6/4(日本時間6/5)イギリス・ウェールズ
IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
尾川堅一(帝拳)26勝(18KO)1敗1分1NC
vs
ジョー・コルディナ(イギリス)14勝(8KO)無敗
2021年11月、NYのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)の地に立った尾川は、難敵アジンガ・フジレ(南アフリカ)との王座決定戦に臨み、合計3度のダウンを奪う完勝で見事世界王者となりました。
聖地と呼ばれるMSGでの日本人ボクサーによる世界戦は史上初のこと。そして同時に、帝拳ジム史上初のIBF王者となりました。
ポイントは不思議と差が開いていなかったものの、万が一あの内容で負けていたりしたならば、判定は大いに物議を醸したことでしょう。
「クラッシュライト」との異名通り、非常に鋭い踏み込みから得意の右を幾度となくヒット、ダウンを演出した尾川のパフォーマンスは、これまでの試合でもベストパフォーマンスだったと思います。
この一戦は、大注目のライト級戦、テオフィモ・ロペス(アメリカ)vsジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)のセミファイナルで行われた一戦だったため、世界中のボクシングファンの目にとまったはずで、「Ogawa」の名前は世界を駆け巡った事でしょう。
↓観戦記
その後、尾川はマッチルームとの契約を勝ち取ります。
しかし、このマッチルームの契約こそが、マッチルームのお抱え選手であるジョー・コルディナなるボクサーを、尾川に挑戦させるための布石だったわけですね。
ちょっと解せないのは、シャフカッツ・ラヒモフ(ロシア)はどこに行ったのか、ということですが、今回は不問にしておきましょう。
ということでジョー・コルディナ。このボクサーのことは見たことがありませんでしたので、映像を確認。
映像を見ると、イギリスらしい、オーセンティックなボクサーであることがわかります。
アマでもしっかりと実績を残しているようで、ヨーロッパ選手権での優勝経験を持ち、リオオリンピックにも出場したオリンピアン。元アマエリートですね。
確かな技術に裏打ちされたキャリアを誇り、前戦ではミコ・ハチャトリアン(ベルギー)との無敗対決を制しています。
好戦的なボクサーに見えますが、ディフェンス技術も非常にしっかりとしており、遠い距離からのジャブも良い。このジャブで突破口を開いて攻め込んでいきますが、近い距離でもコンビネーションを打てて、かなり穴の少ないボクサーです。
いわゆる「総合力」というものが非常に高いボクサーで、これは誰から見ても「上手い!」と思えるボクサーだと思います。逆に言うと、突出したものは感じません。
なので尾川としては、この非常に総合力の高いボクサーであるコルディナを崩せるか、というのが一つの難題。「こうすれば崩れる」とか、「ここが穴」というのがなかなか見えて来ないボクサーだけに、これはなかなか対策が立てづらいのではないでしょうか。
そうすると、尾川としてはやはりストロングポイントをいかに活かせるか、つまりは右をどのようにして当てるのか、がポイントになりそうです。
「初見ではなかなか見きれない」という尾川の鋭い踏み込みからの右ストレート、これを序盤に当ててほしいですね。後半にいっても当たるかもしれませんが、できれば判定までいかないくらいの戦いを見せてもらいたい。
コルディナは好戦的な方ですが、今回は足を使う場面も多いのではないでしょうか。コルディナ側としても、やはり尾川の右は警戒しているでしょうし、序盤は特に気をつけるはず。そこで一緒になってみるのではなく、一気に攻め込みたい。
当然、この試合は「ジョー・コルディナという総合力の高いボクサー」が相手なわけですが、敵はそれだけではありません。会場はウェールズのカーディフ。まさにこのコルディナの地元なのです。
イギリスの中でも、ウェールズやスコットランドといった所は地元愛の強いところで、尾川にとっては完全どアウェー。これはかなり厳しい戦いが予想されます。
とりわけ、イギリスという国は地元判定が出る傾向が強い国、とすら思いますので、リングの上で起こる事以外は、全て尾川にとって不利な状況になると思われます。
しかし、総合力の高いコルディナに対し、強引に穴を開けることができそうなのが尾川のクラッシュライト。ここはしっかりと倒して勝利し、会場を静まり返してほしいものです。
セミファイナル
ファルーク・クルバノフ(ベルギー)19勝(3KO)3敗
vs
ゼルファ・バレット(イギリス)27勝(16KO)1敗
このゼルファ・バレットがセミファイナルに出場する、というのはなにかを察するのに充分な情報です。
英国期待のプロスペクト、マンチェスター出身のゼルファ・バレットは、キャリア途中でロニー・クラーク(イギリス)に不覚をとったものの、数々の地域タイトルをコレクトしているタイトルコレクター。
非常に巧さのあるボクサーで、手足が非常に長く、カウンターが得意。
2021年2月にはキコ・マルティネスにも勝利しており、このバレットの踏み台になってしまったからこそマルティネスは終わったのだと思ってしまいましたね。(その年の11月にキコ・マルティネスは王座返り咲き)
さて、そのバレットはマッチルームの契約選手。
そして対戦相手のファルーク・クルバノフは、2021年3月にジョー・コルディナに10R判定負け(2-0)を喫したボクサーです。
クルバノフは、コルディナ相手によく頑張った、という部類のボクサーです。
つまりは、この一戦、バレットにとって「コルディナと比べられる試合」なのです。
これはどういう事かというと、マッチルームの筋書き的には、このセミファイナルの一戦でバレットがこのクルバノフに勝利(コルディナよりも明確な形で)、そしてメインのコルディナが世界王者に。
そうして、コルディナvsバレットというウェールズとマンチェスターの英国人対決、これが盛り上がる!ということなのだと思います。ここから導き出される言葉は、「チクショウ」です。そうは問屋が卸しません。
そして尾川がコルディナに勝利すれば、もしかしたら次の対戦相手はゼルファ・バレットかもしれません。そういう契約が、水面下で動いている可能性はあります。
大事なことなのでもう一度言います。シャフカッツ・ラヒモフ、どこ行った?
放送・配信
まあ、そんなこんなで、セミファイナルからしっかり見ておいて損はないでしょう。メインで尾川が勝てば、次戦ではなくとも、いつかはぶつかるかもしれないゼルファ・バレット。
このマッチルーム興行は、DAZNで生配信。
配信日時は、日本時間で6/5(日)のAM3:00から開始です。
おそらくたくさんのアンダーカードが流れ、メインの開始はAM6:00〜AM7:00の間くらいだと思います。DAZNは、近くなると「メインは◯◯時頃から」とタイトルで報告してくれますので、ご参考に。
ということで、この6/5の尾川vsコルディナを皮切りに、日本人ボクサーの海外防衛戦が続きます。翌週の6/11(土)には京口紘人も登場です。今、DAZN入会には絶好の期間。是非ともDAZNで、日本人世界王者の奮戦を応援しましょう!!
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