5月も最後の週末です。
非常に楽しみにしていた、最強問題児決定戦。
ジャーボンタ・デービス、ロランド・ロメロ、凱歌がどちらに上がったのか。
今回のブログでは、ジャーボンタ・デービスvsロランド・ロメロをメインに据えたPBC興行の観戦記です。
↓プレビュー記事
アメリカではShowtimeのPPVで流されたこの興行は、日本ではWOWOWオンデマンドで生配信。いつものことながら、本当にありがたいですね。
5/28(日本時間5/29)ニューヨーク
スーパーウェルター級10回戦
ヘスス・ラモス(アメリカ)18勝(15KO)無敗
vs
ルーク・サンタマリア(アメリカ)13勝(7KO)2敗1分
突然始まったWOWOWオンデマンド。まずは注目のプロスペクト、ヘスス・ラモスが登場。エドゥアルド・ラミレスはWOWOWの放送枠には入らなかったようですね。
初回のゴング。
非常に静かなスタート、なんだか気だるそうにジャブを打つラモス、サンタマリアはラモスの周りをサークリング。体の大きさは結構違うように見えます。(ラモスがでかい)
中盤頃からようやくラモスがやる気になってきたのか、鋭い右ジャブを飛ばすようになり、左ストレートを打ち込むようになっていきます。ラモスの右ジャブに対して、オーソドックスのサンタマリアはリターンジャブ。
終盤になってラモスは強いプレスをかけましたが、まずはお互いに様子見、という初回が終了。
2R、サンタマリアは右をボディに集めます。ラモスはそれにバックステップ、稀に左ストレートをリターンし、徐々にプレスをかけていきます。
自らのペースで戦うラモスに対して、動かされている感じのあるサンタマリア、途中サウスポーにスイッチしたりと突破口を探します。
3R、ラモスは手数、特にジャブが増えてきた印象。ダブル、トリプルでジャブを放ち、サンタマリアを追い詰めていきます。プレスをかけられたサンタマリアは強い連打で対抗、ガードされてはいるものの良いコンビネーションです。
追い詰められてから手を出すサンタマリアですが、有効なパンチはやや少ないか。
4R、ラモスはプレッシャーをかけてサンタマリアを追っていきますが、右に左に動く
サンタマリアに対してちょっとやりづらそうです。追い足があるタイプではないのかもしれません。ラモスにとっての打ちどころは、ロープやコーナーに詰めた時、そしてサンタマリアが打ってきたとき。リターンは非常に強烈で、サンタマリアは後半に行くに従って攻め込むのに苦労している印象。
5R、展開は変わりませんが、やや強引に詰めていく雰囲気のラモス。荒々しい攻撃になるとサンタマリアはよく見ていて、お返しのリターンを返します。このサンタマリアも良いボクサーですね。
6Rも同様にプレスをかけるのはラモス、下がりながら戦うサンタマリア。サンタマリアはラモスのプレスに慣れてきたか、上手く戦っているように見えます。
7R、序盤にコーナー付近にサンタマリアを追い詰めたラモス。サンタマリアはここは打ち合いを選択。ただ、ラモスの圧に押されて早々にエスケープ。やはり打ち合いは危険です。
その後は近づけば思い切って距離を詰める場面も見受けられたサンタマリアでしたが、パワー差はちょっとありますね。
これまでのように動きながらの戦いが、サンタマリアにとっては良いと見ます。
8R、かなり余裕を持って戦っている風のラモス、中盤に左ストレートをクリーンヒット。ただこれも単発気味であり、見せ場らしい見せ場はここまで訪れていません。
9R早々にエネルギッシュに攻めたのはサンタマリア。手数とコンビネーションを持つサンタマリアに対して、ラモスは単発気味。ただ、やはりパワーのあるラモスに対して、サンタマリアは下がりながらの戦いを余儀なくされます。
ラモスはボディムーブやブロッキングが良く、サンタマリアの手数にもクリーンヒットを許しません。が、余裕を持ちすぎた戦い方にも思います。
ラストラウンド、サンタマリアがアグレッシブ。その後は交互に攻撃を仕掛ける展開から、互いにリターンを狙う展開に。相変わらずヤマ場を迎えることなく、試合は終了。
発声しながら多くの手数を出すサンタマリアでしたが、全体を通してクリーンヒットは少なかった印象です。。
試合終了後、すぐさま勝利をアピールしたのはサンタマリア。その後ゆっくりと勝利をアピールしたラモス。サンタマリアはよく手数がでたイメージでしたが、終始プレスをかけていたのはラモス。クリーンヒットもラモスかな、という印象です。
判定は、98-92が1者、97-93が2者でラモスを支持。
ヘスス・ラモス、3-0の判定勝利。
もっとものすごいものを見せてくれると勝手に期待していたために、ヤマ場が少なかったな、という印象です。逆に言うとサンタマリアが上手く戦った、ということが言えます。
ラモスは思った以上に追い足がなさそうですね。今後、スピードのあるボクサータイプとの対戦は鬼門になりそうです。
WBAレギュラー世界ミドル級タイトルマッチ
エリスランディ・ララ(アメリカ)28勝(16KO)3敗3分
vs
ゲイリー・オサリバン(アイルランド)31勝(21KO)4敗
さて、セミファイナル。エリスランディ・ララは前戦を初回KOで勝っているものの、基本的には安全運転に徹するボクサー。
対戦相手のゲイリー・オサリバンは、このララのレベルに達していないと思われ、ここはララも倒し切るか、少なくとも完勝というのが期待されるところ。オサリバンのヒゲは素敵です。
さて、初回のゴング。
まずはララが力強いジャブを飛ばしてスタート。オサリバンはぐっとガードを固めて、インに入る隙を伺います。ただ、ララは足が速いですね。
中盤以降、ララは完全に足を使わずにコンビネーション。近い距離でもなかなか手が出ないオサリバン。今日のララはがっちりとブロッキングでオサリバンの攻撃に対応しています。格の違いを見せつけよう、という雰囲気か。
2R、ララのこの戦い方は、オサリバンの土俵に降りていった、という感じがします。オサリバンは頭からつっこみ、体で押してフックを強振。
ララのスキルはさすがのもので、少し距離が開けばストレートのコンビネーション、近い距離でも回転力とハンドスピード、そしてアングルでオサリバンを上回ります。
オサリバンもガードを固めて前進、体ごとララにぶつけていきますが、この距離ですらクリーンヒットには明らかな差がでています。
3R、それでもオサリバンは前進!ララが受け止めてくれるなら願ったり叶ったりでしょう。オサリバンはボディから入るパターンは良いですね。上はララのガード、ウィービングにより空転してしまいます。
ララはストレートとアッパーを自在に使い、これでもかというほどオサリバンの顔面にパンチを当て続けます。オサリバンの顔面はかなり紅潮。
4R、前進を続けるオサリバンと、それを受け止めつつ時に足でかわし、コンビネーションをヒットするララ。この構図は変わりません。
オサリバンもボディは当たっているので、これを続けて後半勝負に持っていきたいところ。
ただ、要所要所でヒットしているララのストレート、アッパーに、オサリバンは耐えられるか。
と思った後半、ララの左がカウンターとなって炸裂、ぐらりときたオサリバンにララは追撃の左!この左をガードの上から受けたオサリバンは、力なくダウン!
このダウンから何とか立ち上がったオサリバンでしたが、これはかなりきつい。
5R、ララが一気にフィニッシュに持っていっても良さそうなものですが、ララは冷静です。ダメージがありそうなオサリバンは、軽いパンチを手数でカバーするかのように攻勢をかけますが、実らず。
後半にいくにつれてやや回復傾向のオサリバンはあくまでも前進しますが、後半はまたララの強打を浴びて顔を跳ね上げられ、かなりダメージが溜まっていそうです。
6R、頭が当たる距離でのボクシングは、何が起こるかわからず、ララにとってリスキーです。しかしララはこの距離を選択し、オサリバンのアタックを耐えて反撃。結局はオサリバンを下がらせてしまうので、やはり力の差は大きいです。
このラウンドの後半もララの左ストレートでのけぞるオサリバン。
7R、ちょっとオサリバンの前進に嫌気が指しているのか、ストッピングジャブで止めにかかるララ。オサリバンの手数は衰えず、もしララがガス欠なようならばオサリバンの反撃の狼煙が上がるかもしれません。
しかし、まあ、それは考えづらい。ここまでララは温存とも言える戦い方をしてきましたから。
後半はやや長めの距離でのララのストレートが冴え、終盤はまたもオサリバンは左を喰い、ぐらつきます。
ララは素晴らしいコンビネーションと当て勘を持っていますが、ポイントのとり方もうまい。
8R、開始直後にオサリバンにドクターチェック。続行のようです。
それでも時間が少なくなったかもしれないオサリバンはプレスを強めます。
グイグイと前進するも、ララの左ストレートを浴びて大きく後退、反対側のロープまで飛ばされた所でララの追撃にあい、ここでレフェリーはストップ。
エリスランディ・ララ、8RTKO勝利。
ララの強さのみが見えた試合でしたね。オサリバンはよく立っていましたが、いかんせん力の差がありすぎたマッチアップだったかもしれません。
ララは目論見通り、そして周りの期待通りの快勝です。今後はどのようなマッチアップが待っているのかは謎ですが、本来であればWBAスーパー世界ミドル級王者であるゲンナディ・ゴロフキンとの団体内統一戦が筋ですね。
WBAレギュラー世界ライト級タイトルマッチ
ジャーボンタ「タンク」デービス(アメリカ)26勝(24KO)無敗
vs
ロランド「ロリー」ロメロ(アメリカ)14勝(12KO)無敗
そして待ちに待った、メインイベント。ここまで、会場はそれなりに歓声も響いていましたが、会場に詰めかけたファンたちはややおとなしめだった印象です。
ただ、やはりこのふたりの試合は注目度が高く、歓声もすごい。
タンクの顔がいつもよりシュッとしているように見えるのは、髪型や髭のせい?
ともあれ、いよいよゴング。
向かい合って見るとやはりロメロはでかい。いや、タンクが小さい。ロメロの腕は非常に大きく、背中は広い。顔だけはタンクの方がでかい。
まずは互いに微妙な距離から踏み込んでのジャブの差し合いです。
ロメロはもっとハナから行くかと思っていましたが、タンクの強打を警戒してかしっかりとディフェンスを意識して戦っています。
タンクもロメロに対して警戒心バリバリで、まずはロメロの動きを見切ろうということか、手数はやや控えめ。但し、しっかりとリターンのカウンターは狙っています。
中間距離での一瞬のミスが命とりになるような展開、これはヒリヒリしますね。
終盤、タンクが入ってきたところをかわして右カウンターを当てたロメロ。この右カウンターは怖い。
2R、タンクはリングを大きく使ってサークリング。ビビっているわけではないのでしょうが、ロメロの圧は強く、タンクとしても入り際に困っているのでしょう。ただ、タンクはこれまでも序盤は結構見る事が多く、ポイントを取られたりもしてきたので、許容範囲。
プレスをかけつつスムーズな足運びで追うロメロ。中間距離での攻防を見ても、思った以上に技術は持っています。問題は、打ち気に逸った時に見せる、ディフェンス無視のオフェンスのときですね。
中盤、強引に攻め入ったロメロはタンクを投げ飛ばし、注意を受けます。
その後はジャブを丁寧に突き、ストレート系のコンビネーションで攻め込むロメロは非常に調子が良さそうで、この戦い方ならひょっとしてひょっとするのかもしれません。
タンクはちょっと手数が少なすぎ、ほとんどの時間をサークリングに費やします。
3R、左ジャブで攻め立てるロメロ、ステップワークで躱すタンク。ロメロはタンクを捕まえきれていませんが、タンクもまた、ロメロから明確にカウンターをとれてはいません。
中盤にはロメロの左フックがヒット、タンクのいきなりの左ストレートにはしっかりと反応、やはりともに素晴らしい身体能力を備えたボクサーです。
4R、開始直前にコーナーから飛び出たタンク、客席?に向かってなにかを叫んでいます笑。試合に集中してもらいたいものです。いや、今日は集中している方か。
実際ここまで、やりたいことができているのはロメロの方のような気がします。タンクはそろそろ反撃に転じなければ、ペースをロメロに持っていかれてしまいそう。
このラウンドもタンクの強打をしっかりと警戒しながらもプレスをかけるロメロ。稀にパンチが交錯する一瞬がありますが、その刹那、一方が倒れていてもおかしくありません。だからこそ、非常に緊張感がありますね。
ロメロはグイグイとプレスをかけつつも、タンクが反撃するとスッとバックステップ、そしてすぐさまプレス。感心するほど上手く戦っていると思います。
後半にもタンクの鋭いワンツーにあわせて右カウンター、これはお互いに怖いタイミング。
5R、タンクもサークリングをやめ、足をとめて強いカウンターを狙いにきたか。強い左を幾度も振り、プレッシャーも与えていきます。
ロメロが出てきた所を右にサイドステップしてかわし、左ストレートをヒット。上手い。
その後もサークリングは最小限に、どっしりと構えてカウンター狙いのタンク、これは逆にロメロに対してプレッシャーがかかっています。事実、ロメロは少しずつ後ろに下がってしまう場面も。
これではいけないと思ったのか、ロメロは一時強引に攻め入りますが、そうするとタンクは大きくステップワークを使ってエスケープ。ロメロとしては、あまり強引に追いすぎてバランスを崩してはいけないような気がします。
6Rにはまた動きを大きくしたタンク。しかししっかりと左カウンターは狙っていますね。プレスをかけるロメロ、それを時に小さく、時に大きく動いてかわすタンク。
そして、フィニッシュは本当に突然でした。
右ストレートをガードの上?にヒットしたロメロは、そのまま距離を詰めるべくツーワンを放ちます。その最後の左ストレートにタンクが左フックをあわし、そのカウンターをまともに食らったロメロはダウン!!!
立ち上がったものの、レフェリーはストップ!!!
ジャーボンタ・デービス、衝撃の6RTKO勝利!!
とんでもないノックアウト劇でした、ジャーボンタ・デービス!!
序盤からちょっと戦いづらそうにしていましたが、終わってみれば結局ワンパンチフィニッシュ。いつも通りといえばいつも通りですが、殆どの相手をこのように終わらせているこのタンク・デービスは本当に凄まじいボクサーです。
終わってみれば大方の予想通り、ジャーボンタ・デービスのノックアウト勝利、とはいえ、ロランド・ロメロは予想以上に好試合を演じたと思います。
個人的には、タンクの調子が悪かった(小さく見えた?)というよりも、ロメロのプレッシャーがタンクを困らせた、というふうに捉えています。
ロメロは体が大きく、プレッシャーが強く、そして距離を外すというディフェンスならば結構もらわない。ただ、やはり打っていく時にはかなり粗くなるので、カウンターをもらいやすい。この部分を修正すれば、きっとまたトップ戦線に戻ってこれるのではないか、と思います。
さて、タンク・デービス。またも強さを見せつけたタンクは、やはり「次戦は誰か?」を大いに期待される大人気ボクサーです。
ジョージ・カンボソスJr.vsデビン・ヘイニーの勝者との4団体戦なのか、それともライアン・ガルシアなのか、もしくは復活が待たれるワシル・ロマチェンコなのか。
誰でも盛り上がるし、面白い試合になりそうなのがジャーボンタ・デービスなので、寄り道せずに突き進んでもらいたいですね。リング外の素行でそのキャリアが幕を閉じる前に、もっともっとこういうワクワクするマッチアップを見たいものです。
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