ボクシング興行が少ない1月。
それでもかろうじて毎週のように興行があるのはありがたい事ですね。
ボクシングはオフシーズンがないため、1年間を通じて楽しめるということが良いところです。
ということで今回は、日本での注目度はほぼゼロなのでは?とか思っていますが、エフェ・アジャグバvsステファン・ショウをメインに据えたトップランク興行のプレビュー記事です。
1/14(日本時間1/15)アメリカ・ニューヨーク
ヘビー級10回戦
エフェ・アジャグバ(ナイジェリア)16勝(13KO)1敗
vs
ステファン・ショウ(アメリカ)18勝(13KO)無敗1NC
身長198cm、リーチ216cm(BoxRecより)という恵まれた体躯を誇るヘビー級、エフェ・アジャグバ。
2017年のプロデビュー以来、印象的なノックアウトを記録してきたアジャグバでしたが、2021年10月、タイソン・フューリー(イギリス)vsデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)の第3戦のアンダーカードでフランク・サンチェス(キューバ)との無敗対決に完敗、世界戦線からは一歩後退しています。
2022年8月、ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)vsリチャード・コミー(ガーナ)のアンダーカードでジョセフ・ダルモフ(ハンガリー)と戦い再起に成功していますが、この試合はESPNの放送する「メインカード」の枠に入らない、「プレリムス」枠。その期待が、一気に減退してしまったことを意味します。ちなみにこの時の「メインカード」枠にはジャレッド・アンダーソン(アメリカ)、リチャード・トーレスJr(アメリカ)らのヘビー級戦は入っていたことも付け加えておきます。
ボブ・アラムから見捨てられてしまったか、と思ったアジャグバでしたが、今回はメインイベントでの登場。
ただ、今回のステファン・ショウというボクサーは代役で、本来であれば「あの伝説の」WBC世界ブリッジャー級王者、オスカル・リバス(コロンビア)との一戦でした。
しかし、リバスが目(網膜)の怪我により離脱、アンダーカードに出場予定だったこのステファン・ショウというボクサーに白羽の矢がたったとのこと。
ちなみに、リバスはこの怪我により引退。半分忘れられていた「ブリッジャー級」は消滅の危機、というか、このまま無かった事になりそうな予感がしています。数年後、「ネタ」としてでてきそうなブリッジャー級なわけですが、かの勇敢な少年、ブリッジャー君にとっては良い迷惑ですね。
さて、ステファン・ショウというボクサーについてYoutubeを検索すると、結構ちゃんとでてきます。
アメリカのナショナルチャンピオンになる等、アマチュアキャリアもしっかりとしているボクサーで、ステップワーク、コンビネーションを持っています。このアジャグバ戦に変更になったのは年末のことなので、対アジャグバと考えると3週間弱の準備期間ですが、それまでの戦いのために体は作っていたはずです。
今回、アジャグバを喰えば大きくステップアップができそうなので、モチベーションも高いでしょう。
非常に才能が豊かだ、と評されるステファン・ショウ。これはお手並み拝見ですね。
ヘビー級10回戦
グイド・ヴィアネッロ(イタリア)10勝(9KO)無敗1分
vs
ジョナサン・ライス(アメリカ)15勝(10KO)6敗1分
このグイド「グラディエイター」ヴィアネッロこそ、ステファン・ショウと戦うはずだったボクサーのようです。
ヴィアネッロとショウのヘビー級無敗対決、というのもなかなか心がおどるマッチアップでしたね。
ただ、アジャグバ戦のチャンスを掴んだのは、アメリカ人であるステファン・ショウ。そしてヴィアネッロには、別のアメリカンボクサーが用意されることになりました。
イタリア国籍のヴィアネッロは、リオ五輪にも出場したオリンピアン。
なかなかワイルドなパンチの持ち主で、特に後ろ手の右パンチは思いっきり叩きつけます。左で狙いを定めて、右をストレートに打つかオーバーハンド気味に打つか、もしくはアッパーか、と狙っているような感じで、それで効かせてからのラッシュもまた気持ちが良い。
出身がイタリアということで、「グラディエイター」という単純明快なニックネームをつけられていますが、これはなかなか言い得て妙ではないでしょうか。
ちなみに唯一、勝利できなかったボクサーは2020年10月に戦ったキングスレイ・イベ(アメリカ)。このイベとは誰あろう、「ビッグベイビー」ジャレッド・アンダーソン(アメリカ)と最も長く戦ったボクサーです。このアンダーソンvsイベは6回戦で行われ、最終6R2:19にアンダーソンがKO勝利を飾っています。
いずれにしろ、このセミファイナル、メインイベントのヘビー級ダブルヘッダーで、印象的で、未来を感じさせるノックアウト勝利を誰かが見せてくれる事を期待しています。
スーパーフェザー級10回戦
アダム・ロペス(アメリカ)16勝(6KO)3敗
vs
エイブラハム・ノバ(アメリカ)21勝(15KO)1敗
そして、私的メインイベントであるのがこのセミセミ。おそらく、ESPNメインカードの放送枠のうち、オープニングバウトになるのではないか、と思います。
BoxRecではスーパーフェザー級戦、となっていますので、前々戦、前戦ではフェザーウェイトで戦ったノバが本来の階級に戻し、フェザー級を主戦場としてきたロペスが階級を上げてスーパーフェザー級戦に臨む、ということなのか。それとも、ロペスがスーパーフェザー級へ階級をあげるのに、本来はフェザー級で戦いたいノバがあわせたのか。
2016年プロデビューのアダム・ロペスは、2017年に現在のスーパーバンタム級統一王者、スティーブン・フルトン(アメリカ)と戦い初黒星。
2019年にはオスカル・バルデス(メキシコ)のスーパーフェザー級でのテストマッチの相手を務め、本来の階級ではないにもかかわらずダウンを奪う大善戦。結果は7RTKO負けも、ここで大きく評価を上げました。
その後、ルイス・コリア(アメリカ)、ジェイソン・サンチェス(アメリカ)を退けたロペスは、アイザック・ドグボエ(イギリス)とのサバイバル戦に敗北、3敗目を喫しています。
その後のアダン・オチョア(アメリカ)戦では圧倒しかけたところでノーコンテスト、続くウィリアム・エンカーナシオン(ドミニカ共和国)戦で再起に成功しています。
最近のニュースとしては、階級の近いPFPファイター、井上尚弥とのスパーリングセッションを経験した、ということです。
大事なところで勝利を手にできないアダム・ロペスですが、強豪とのマッチメイクにも怯むところはありません。今回は、前戦でロベイシー・ラミレス(キューバ)に初黒星を喫したエイブラハム「スーパー」ノバが相手です。
非常に個性的なパフォーマンスをするノバは、プエルトリコ系のアメリカ人。自身を模した着ぐるみとともに入場する、(たぶん)人気のあるボクサーです。
センス溢れるボクシングを展開するエイブラハム・ノバは、2016年のプロデビュー以降連戦して連勝。しかし2022年6月、オリンピックの2大会連続金メダリスト、ロベイシー・ラミレス(キューバ)戦では5RTKO負けを喫して初黒星。
ラミレスは一戦ごとにプロに順応し、強くなっている印象でしたが、この日のパフォーマンスは抜群でした。
ノバの良いところも見えましたが、残念ながら完敗、そしてこの初黒星からの復帰戦が今戦です。
ノバとしては、当然連敗は避けたいところ。但し、アダム・ロペスは強敵です。
遠い距離では体格とリーチに勝るノバが優位かと思いますが、そこから一歩入られれば、ロペスは中間距離、そして接近戦にも優れるという印象。ロペスとしてはインサイドに入り、コンパクトなパンチをノバに当てて離れたい、という展開になるのではないでしょうか。
ノバの長いジャブがロペスの踏み込みをどれくらいストップするのか、そのノバのジャブをかわし、ロペスがどれくらいインサイドに入っていけるのか。入っていくだけではなく、そこでコンビネーションをヒットすることができるのか。
これは良い試合になりそうです。
尚、この試合が終わった後、ロペスは井上尚弥からのオファーで日本に来る予定だそうですね。
井上尚弥の次戦が3月とか4月とかいう情報がまわってきていますので、これは非常に楽しみです。
そうなると益々、「ダメージなく」アダム・ロペスに勝ってもらいたいところですね。
放送・配信
この興行は、アメリカではESPNで生放送。
残念ながら日本での放映は今のところありません。もしかするとFITE.TVあたりでやってくれるかもしれませんが、このブログを書いている1/9(月)現在は情報がありません。
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