非常に微妙な時間ではありましたが、何とか見れたShowtime興行。
皆さんにはVPN+FITEで見れるよとお伝えしておりましたが、私はShowtimeを直接契約。Showtimeはアーカイブが上がるまでに1日ほどの時間を要するので、リアルタイムで見れなければ情報遮断して翌日に見なければいけません。
今回は家族の了解を取り、リアタイ視聴が叶いました。
ということで今回のブログは、ブランドン・フィゲロアvsマーク・マグサヨ、WBC世界フェザー級暫定王座決定戦について。
↓プレビュー記事
3/4(日本時間3/5)アメリカ・カリフォルニア
アミルカール・ビダル(ウルグアイ)16勝(12KO)無敗
vs
イライジャ・ロレンソ・ガルシア(アメリカ)13勝(11KO)無敗
ミドル級の無敗対決!ウルグアイという国はボクシングとは非常にめずらしい出身の27歳ビダルと、スパニッシュ系アメリカ人の19歳(!)、ガルシアによるミドル級10回戦。ガルシアはジミー・レノンJrが「イライジャ」と言っていたのでそちらの表記にします。
初回、サウスポー、ガルシアはコンパクトにまとまった構えのサウスポー。ビダルはオーソドックスの構え。互いに前手で距離を測り、後ろ手のストレートを伸ばしていく展開から、中盤にはやや近めの距離で打ち合う場面もでてきます。
2R、更に距離が近づく両者。ビダルの方が積極性、手数にまさるかと思われた中盤、ガルシアの左ストレートがビダルにヒット。その後ビダルもショートの右フックを叩きつけて譲らず。
後半、ガルシアは身体で押し込んでいきますが、ビダルの方がコンビネーションの打ち分けに優れている印象、これはオープニングファイトから大激闘のクロスファイト!
3R、前ラウンドから早々に鼻からの出血が見られるガルシアですが、この勇猛な前進は止まりません。前半に左からのコンビネーションをねじ込んだガルシア、ビダルはややステップを使いながら距離をとったり潰したりとボクシング技術をみせています。
4R、両者ともにこの打ち合いの中でリードを絶やす事なく、距離に応じてアングルを変えたパンチを使いわけています。これは素晴らしい打撃戦。パワーのみに頼る事なく、強弱をあわせた気持ちの良い打撃戦から、後半に入ったところでガルシアの右フックがカウンター気味にヒット!
これで動きの止まったビダルに、ガルシアはラッシュ!!!
一気にギアを上げたガルシアの連打に、ビダルは防戦一方!ガードを固めるビダルに対して、アングルをつけた右で上体を起こし、左の打ち下ろし!!これで倒れたビダルに対して、レフェリーは即刻試合ストップを宣告!!
カウントを数えてあげても良かったかもしれませんが、レフェリーからみるとダメージは甚大だったのかもしれません。
イライジャ・ガルシア、4RTKO勝利で無敗の難敵、アミルカール・ビダルとの対決を制しました!WBCラテン王座というタイトルがかかっていたようです。
いやこれは人気出そうなファイトスタイル。被弾が多いのはこのスタイルとしては仕方ないかもしれませんが、もう少しディフェンスに気を配れればもっと良くなるかもしれません。奥手の左ストレートは本当に「ねじ込む」表現が正しく、素晴らしいパワーパンチャーです。更にルックスも良いし。しかも19歳のミドル級というのは将来が有望すぎますね。恐るべきティーンエイジャー。これは大注目、ニュースター誕生も間近かもしれません。
ジャレット・ハード(アメリカ)24勝(16KO)2敗
vs
ホセ・アルマンド・レセンディス(メキシコ)13勝(9KO)1敗
元王者、ジャレット・ハード。好戦績のレセンディスを相手に再起戦ですが、もしここで負ければもう後がない、という状況です。
Showtimeのオープニングバウトでは19歳の新鋭が魅せました。
2試合目の主役は、1年9ヶ月ぶりのリングとなる32歳の元世界王者か、それとも24歳の新鋭か。
初回、やる気満々のレセンディスがまずはプレス。ハードはステップワークで距離をとり、ジャブで突き放そうとします。
レセンディスは身体を振って飛び込み、距離を詰めては力強いパンチ、そこからサイドに回ってのパンチを狙います。フィジカルは非常に強そうで、この大物喰いへのモチベーションを大いに感じる立ち上がりです。
2R、鋭いステップインと強いフィジカルで早々に距離を詰めるレセンディス。ハードも腹をくくったか、近い距離での応戦を選択するようです。レセンディスを押しのけてスペースを作り、長い右をヒット。
サイズはハードの方が大きいですが、パワーはレセンディスの方がありそう。パンチのアングルはハードの方が優れますが、レセンディスのパンチにハードはちょっとガードが流れる場面もあります。
これもまた、大激闘。この日のShowtimeはもうずっと打撃戦、ということになりそうです。
3R、ハードはレセンディスが低く入ってくるところに右アッパーを合わせようとしています。これは当たらずとも効果的。
これで少し入りづらくなったレセンディスに対し、ハードはリーチ198cmという長いジャブでボクシングを作っていきます。レセンディスはハードの打ち終わりに距離を詰めます。
4R、前ラウンドからハードのジャブがよく当たるようになってきました。そこからコンビネーションにつなげるハード、レセンディスはそこで強く、長く打ち返せれば良いのですが、なかなかそうはいかず。やっぱりボクシングをさせればハードの方が随分上手。
ただ、レセンディスのプレスは確実にハードを削っていると思うので、もっとボディを叩いて後半勝負も良いかもしれません。
5R、レセンディスは丁寧にジャブから入っていきます。ハードはこのジャブをパリングしていますが、ちょっと嫌がっているようにも見えますね。
中盤、近い距離でボディ、アッパーの打ち合い。手数とパワーはレセンディス、単発気味ながらも的確性はハード。どっしりと構えるレセンディスは見た感じ非常にタフに見える分、ここはハードにとっても危険な距離だと感じます。
6R、前ラウンド同様、ジャブから入るレセンディス。ここまでのShowtime採点は、48-47でレセンディスと出ています。
ハードはちょっと疲れてきたのか、容易にレセンディスに距離を詰められている印象で、近い距離ではやはり回転力に勝り、打たれようとも退かない、バランスを崩さないレセンディスに軍配が上がりそうな感じです。
そんな流れの中、終盤、ハードは大きな右アッパーをヒットしてレセンディスの顔を跳ね上げ、見せ場をつくります。
7R、鋭い踏み込みで攻めるレセンディス、ここを勝負としているかもしれません。力強いパンチを振るってハードを追い詰めていきますが、ここでハードとしても勝負と思ったのか、ハードは軽打で手数重視のコンビネーションで押し返します。
必然的に打撃戦に発展、これはどちらが先に音を上げるのか、という戦いになってきます。
ハードが素晴らしい左フックをヒットすれば、レセンディスも右をリターン!
クリーンヒットを奪い合う展開に、実況もNo Guts,No Glory!!と叫びます!
8R、ハードは距離をとってカウンター戦法。こうして足を使われると一気に攻めづらくなるレセンディス。追い足がないというよりは追う技術がない、というイメージ。
レセンディスは終始プレスをかけ、手数を出していきますが、印象的にヒットするのはハードの軽めのカウンター。ただ、これではタフなレセンディスを倒せそうにはありません。
レセンディスの攻勢点か、ハードのライトなカウンターか、というところでしたが、後半、レセンディスはハードをロープ際に釘付け。これはここまでのポイント的にもハードにとって厳しいような気がします。
9R、今度はハードも前でボクシング。後がないのを悟ったか。
やっぱり手数で攻勢なのはレセンディス、非常にバランスの良いレセンディスは次から次へとパンチを出しても体勢を崩しません。
随分ハードにも被弾が目立ってきました。そして後半、レセンディスのワンツーでハードはぐらつきます。ここで一気にレセンディスか、とも思われましたが、ハードも強いワンツーを返して押し返し、試合は最終ラウンドへ!!
ラストラウンド、開始前にハードにドクターチェック。口の中でしょうか、出血がひどかったということなのか、ドクターが試合ストップを宣告。
ホセ・アルマンド・レセンディス、10RTKO勝利!!
これは殊勲の勝利ですね、アルマンド・レセンディス。元世界王者を破るというこの大きな勝利は、24歳のメキシカン、アルマンド「トロ」レセンディスにとって大躍進といえる一戦となったはず。
非常にバランスがよく、おそらく強い体幹を持つこのレセンディスは、スタミナ、タフネス、フィジカル、パワーとファイターとして必要なものを揃えているように見えました。
ハードのカウンターやコンビネーションを被弾しているように見えましたが、戦い終わった後の顔は綺麗なもので、表面上(皮膚とか)も強いのかもしれません。これは被弾覚悟の戦い方をするボクサーにとっては、重要なファクト。
このボクサーはPBC所属なのでしょうか。そうでなかったとしても、すでに数戦アメリカで戦っているので、またShowtime登場もあるかもしれませんね。
こちらも大注目のボクサーです。
WBC世界フェザー級暫定王座決定戦
ブランドン・フィゲロア(アメリカ)23勝(18KO)1敗1分
vs
マーク・マグサヨ(フィリピン)24勝(16KO)1敗
そしてメインイベント!マグサヨも好きなボクサーですが、タレ目界の期待の星であるブランドン・フィゲロアを応援しています。
連打型のコツコツファイターであるフィゲロアと、ハードヒッターといえるフィリピン人ファイターであるマグサヨ、これは確実に大激闘になる一戦。
試合前、フィゲロアは「ボディでマグサヨを倒す」と公言。果たしてどのような結末になるのでしょうか。
初回、まずはフィゲロアは様子見か、ステップワークを使ってのボクシング。マグサヨは鋭い踏み込みから迫力あるワンツーで攻め入ります。
最初からガツガツ行くと思われたフィゲロアですが、中間距離でスイッチを繰り返し、出たり入ったりのボクシング。まさかのちょっと噛み合わない初回。
2R、フィゲロアが攻めたところにマグサヨが右カウンター。これは浅いですが、タイミングが良い。その後も今度はフィゲロアがプレスをかけ、マグサヨは後の先を制し用というボクシング、マグサヨはサイドへの動きが速い。
時折フィゲロアの距離(ゼロ距離)ともなりますが、そこからすぐにマグサヨは離脱。少し距離が開いた状態からだとマグサヨの踏み込みが非常に鋭く、また反応が良い分マグサヨが優位か。つまりフィゲロアとしてはやはり乱打戦に持ち込みたいところ。フィゲロアもエンジンがかかってきた感じ。
3R、観戦にきていたロランド・ロメロが映ります。なんか毎週映っている感じがする、ロメロ。
このラウンドは距離が詰まったところからスタート。プレスをかけていくフィゲロア、マグサヨは下がって距離を作ったところから鋭い踏み込み。
前半、フィゲロアの良いボディが入っているように見えます。マグサヨはワイルドなパンチで突き放しにかかりますが、フィゲロアのアタックに押される場面も目立ち、かなり頭を低く構えるさまはボディを嫌がっているようにも見えます。
4R、フィゲロアの攻撃は回を追うごとにしつこくなっていき、フィゲロアらしさを発揮していきます。マグサヨも非常に回転力はありますが、その攻撃はやや大きく、近い距離ではフックのミスブローも目立ちます。代わりに近い距離でもストレート系のパンチは活きており、サイドステップもなかなかのもの。
フィゲロアは良くも悪くも最初から最後までフィゲロアで、打たれようともおかまいなしにパンチを振り、追いかけていくボクシング。
5R、ペースがどちらなのか、は何とも言えませんが、どちらかというとフィゲロアが持っていきたい展開に近いでしょう。マグサヨのパワーパンチは幾度となくフィゲロアの顔を跳ね上げますが、いったいこの強靭なタフネスを持つフィゲロアに、どこまでダメージを与えられているのかはよくわかりません。
6R、このラウンドも展開は変わらず、ある種の我慢比べが続きます。マグサヨはストレートの連打が素晴らしいですね、これは意外となかなか打てるコンビネーションではありません。フック系はフィゲロアの突進により距離が合わない事もありますが、これだったらフィゲロアの前進をストップするのにちょうど良い。
7R、後半に入ってもプレスを弱める気のないフィゲロア。ここまでのShowtimeによる非公式採点は、58-56でマグサヨ。これはもしかすると見栄えの差かもしれません。
フィゲロアがやっているのはボクシングではなく、我慢比べなので、あくまでもしつこい攻撃を繰り返します。
マグサヨは頭を低く持っていく場面が増え、このラウンド後半にはクリンチ、その後息を吹き返すもののやはりボディはかなり嫌がっていると思います。
8R、早々にフィゲロアのローブローにより中断。その後もちょっと荒れた展開で、今度はマグサヨがホールディングで減点です。
マグサヨのパワーパンチはまだまだ非常に威力がありそうで、その回転力も陰りはみせないものの、やはりボディがきついのか。
マグサヨは後半、素晴らしい回転力でフィゲロアに打ち込み、このほとんどがフィゲロアにヒット。しかし顔色を変えないタフネスモンスターはその後激しい反撃でマグサヨを下がらせます。
もうなんか色々ありすぎるラウンドです。
9R、フィゲロアのしつこい攻めにマグサヨの激しい反撃。パンチの見栄えが良いのはマグサヨ、終始攻撃姿勢をやめないのがフィゲロア。でもやっぱりマグサヨについてはちょっとダメージを感じますね。
10R、とにかく低く入るマグサヨ。レフェリーに注意を受けます。ここまでのShowtime非公式採点は86-84でマグサヨ、とはいえ、展開的にはフィゲロアがやりたいボクシングを敢行しているように見えます。
中盤、フィゲロアのボディで明らかに効いた素振りをみせたマグサヨ!ここでフィゲロアは顔面へのストレートをヒット、マグサヨはバランスを崩します。
その後も攻め続けるフィゲロアですが、マグサヨも必死の反撃、この反撃がまたパワーとキレがあり、回転力もある。ダメージを負っているボクサーのそれではありません。
やっぱり非常に見栄えがあるのがマグサヨのパンチであり、フルトン戦でもそうだったように、フィゲロアはポイントをピックアップしにくいボクサーかもしれません。
11R、明らかにダメージがありそうな手負い、それでも反撃のちからだけは残しているマグサヨ。
序盤からフィゲロアのアタックにクリンチで逃げるマグサヨ、レフェリーにほどかれたあとにはすぐにパワーパンチ。この辺りの試合運びはうまいですね。
ただ、ここでマグサヨにホールドの減点、この試合2度目です。
その後も容赦なくしつこく攻めるフィゲロア、頭を低くして何とかボディを打たれないようにし、時折凄まじい連打を返すマグサヨ。
ラストラウンド、当然のように攻め入るフィゲロア。マグサヨもこれが最後と強く打ち返してスタート。マグサヨの回転力は本当に素晴らしく、ここにきてもそのパンチのキレは失われません。が、このパンチに全く臆さない、どころか外面的にはダメージを負いながらも一切それを感じさせないフィゲロアというボクサーは異常。
後半に行くに従い、マグサヨは押される場面が目立ち、スリップダウンもしてしまう状態にもかかわらず、フィゲロアの旺盛な手数としつこい前進は相変わらず。
チャンピオンシップラウンド、残り10秒で激しく打ち合った両者は、期待通りの大激闘となって12ラウンズに渡るその戦いを終えました。
期待通りとか予想通りとか言われる展開ではありましたが、ともに耐えきった、という12ラウンズ。マグサヨはボディを嫌がり、危ない場面もありましたが、フィゲロアについてはネジが1本どころか20〜30本ほどとんでいるんじゃないかというタフネスで、見た目のダメージこそ受けているものの、ぐらつく素振りもありませんでした。マグサヨのパワーパンチ、それもカウンターで受けてもキリッと男前顔で返すフィゲロア、このボクサーは尋常ではありません。このボクシングがいつまで続けられるのかは不安ではありますが。
117-109×2、118-108でブランドン・フィゲロア。
Showtimeの採点に引っ張られた感はありましたが、基本的には攻め続けたフィゲロアの攻勢点が上回った、という感じでしょうか。当てたパンチの数自体はほぼ同数であっても、明らかにダメージを受けていたのはマグサヨで、後半幾度かのスリップダウンをしていましたが、ダメージと疲労によるものでしょう。
フィゲロアにとってもポイント差ほど楽な試合ではなかったと思いますが、やはりブランドン・フィゲロアは強かった、という内容だったと思います。
これでフィゲロアはWBC世界フェザー級王者、レイ・バルガス(メキシコ)との団体内王座統一戦へ進むはず。バルガスを追いかけて追いかけて、ハートブレイクしてもらいたいものです。
がんばれ、フィゲロア!
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