2/22のフェニックスバトル、2/24のLIVE BOXING、とんでもない神興行が続いています。
元々注目試合が多かった興行ですが、その試合内容たるや事前の注目に負けないどころか期待を上回る試合内容。この流れというものは切れてほしくない。
この流れが切れないためには、まず注目ファイトが必要なわけですが、喜ばしいことにこの注目ファイトの流れはとりあえずまだ切れません。ボクシングは世界的に毎週のように行われていきます。
ということで注目試合が続きに続くボクシング界、今回のブログはアメリカ・ニューヨークで行われる世界フェザー級のダブル・タイトルマッチについて。
3/2(日本時間3/3)アメリカ・ニューヨーク
IBF世界フェザー級タイトルマッチ
ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)29勝(16KO)2敗
vs
阿部麗也(KG大和)25勝(10KO)3敗1分
この試合はおそらくメインイベントではなく、Co-main(セミファイナルに値します。
)。だと思うんですが、もしかしたらメインかも。
さてさて、IBF世界フェザー級タイトルマッチ、ルイス・アルベルト「エル・ベナド」ロペスvs「天才」阿部麗也。
ベナド・ロペスは非常に思い切りの良いボクサーで、非常に野生味のあるボクシングをします。近づいて殴る、が基本戦術に思えるロペスですが、この自由奔放に振るっているようにみえて良いアングルのパンチ、チャンスを得た時の回転力、フィジカルパワー、どれをとってもかなり怖さのあるボクサーであり、ロベイシー・ラミレス(キューバ)が陥落した今となっては階級最強と言えるボクサーではないでしょうか。
ロペス自身も王座統一戦を希望しており、この戦いが終わった後は王座統一戦に向かっていくかと思われます。
その統一戦へ進む前には、当然、指名挑戦者を迎えなければなりません。それが阿部麗也。
阿部はキコ・マルティネス(スペイン)を破って指名挑戦権を獲得、約10ヶ月の時を経てロペスへの挑戦。場所はニューヨーク、阿部にとっては初の海外戦となります。
抜群の距離感、カウンタースキルを持つサウスポー、阿部の真骨頂はおそらくそのリズムにあると思います。かなり低い姿勢に構え、左ストレートを伸ばす、それに至る道程で相手はすでにリズムを狂わされていることも多いように感じますね。
何も考えずに突っ込んでくるボクサーは格好の餌食だし、駆け引きをすれば術中にハマる、ここが阿部のボクシングの妙ではないでしょうか。
さて、ベナドvs阿部はどんな試合になるのか。
ベナド・ロペスは、爆発力こそあれど常に攻め続けるような突貫ファイターではありません。相手が出てくれば下がるし、比較的柔軟性に富んだボクシングをします。前述したように詰めは素晴らしい。
攻撃と防御は分離している、と感じるボクサーで、ガードしてから強い攻撃、をさせると非常に厄介な相手。ただ、相手の攻撃に対してちゃんと受ける傾向にある、ということもあり、もし、相手がアクションを多く起こし、波状攻撃を仕掛けてきたならば、手が出なくなることもあります。
多分、付け入る隙はここだと思っています。
阿部としては、断続的な攻撃で、特に序盤からベナドが攻撃のターンを「待ち続けてしまう」ような展開にしていきたいところです。そうすれば、序盤にいつの間にかポイントをピックアップすることができ、後半に入って焦ったベナドを相手にカウンターを決めていく、という感じにしたい。まあこの後半もかなり怖いとは思いますが、そこは天才阿部さん、いけるでしょう。
序盤はとにかく後手に回ってはいけないのではないか、と感じます。前半元気なベナドは、自分の攻撃ターンだと思ってガンガン攻めてくる可能性があり、それで試合が終わってしまう可能性は十分にあります。
なので前半は阿部が先に仕掛けることで、あなたの攻撃ターンはまだだよ、をアピールし続け、それで5Rくらいまでは行きたいですね。ここまで互角、「どっちがとったかわからない」くらいでも良いと思います。
いずれにしろ、このルイス・アルベルト・ロペスは強く、一筋縄ではいかないボクサー。それでも阿部麗也であれば、勝てる武器を持っていると思います。
国内フェザー級は、阿部に続いて世界へ駆け上がろうというボクサーの宝庫。バンタムに続く盛り上がりを見せるこの階級、このムーブメントを作った第一人者として世界タイトル奪取を期待しています。
WBA世界フェザー級王座決定戦
オタベク・ホルマトフ(ウズベキスタン)12勝(11KO)無敗
vs
レイモンド・フォード(アメリカ)14勝(7KO)無敗1分
この戦いが「トップランク興行」で行われるというのは、若干の意外性を伴っています。
今回Aサイドはウズベキスタンのホルマトフ、昨年の終わり頃にトップランクと契約したばかりのボクサーです。
オタベク・ホルマトフは、それまでのどこのプロモーターと契約していたのか知りませんが、2021年8月のプロデビュー以降、年内に9戦。5ヶ月で9戦というハイペースでキャリアを積み、2022年には当時無敗だったアンドラニク・グリゴリアン(アルメニア)に判定勝利、2023年にはトーマス・パトリック・ウォード(イギリス)とのWBA世界フェザー級挑戦者決定戦に5RKOで勝利しています。
対してレイモンド・フォードはマッチルームであり、この興行は入札が行われましたが、マッチルームが落札してもトップランクが落札しても、いずれにしろアメリカ開催が有力という戦いでした。
これはトップランク的にはホルマトフへの投資、というよりも、今後控えるフェザー級での戦いへの投資だったのでしょう。
さて、オタベク・ホルマトフ、こちらはウズベクの元トップアマ。ウズベキスタン、というか中央アジア各国はアマチュアボクシングが非常に盛んであり、トップに行けば行くほどプロ入りが遅れてしまう傾向にありますが、このホルマトフは早々にプロ入りを決めています。
時期的には東京五輪へのトライアル期間、国内対決に敗れてのプロ入り、ということを推察され、ウズベキスタン国内でもエリートのトップ戦線に食い込めていなかったのかもしれません。(ホルマトフは堤駿斗と世界ユース選手権で戦い、敗れています。)
易々とプロのリングでKOの山を築いてきたホルマトフ、2022年の戦いでは10ラウンズを経験しているし、挑戦者決定戦にも勝利していることもあり、個人的には世界王者への期待は非常に高い。
中央アジアのボクシングの中でも、フィジカルゴリ押しのスタイルではなく、硬質なパンチを放ちつつもステップワークも使えるというテクニシャンな一面も。グリゴリアン戦とかは中間距離でアウトボックス気味に戦っていたり、攻めては溜めを作ってゴツンと打つ印象的なノックアウトを演出しているので、今のところ大きな穴は見えないボクサー。
このホルマトフと戦うのは、現代アメリカの王道を行くようなレイモンド・フォード。
いずれのボクサーもテクニックを持っており、コンビネーションを持っているボクサー。予想としてはほんの少しホルマトフ優位と出ているようですが、これはパンチングパワーを考慮した時、こういうオッズになるのでしょうね。
ただ、パワーがある分思いっきり打ち込めばその分隙ができ、そこをつけ込まれる心配もありますね。
この戦いは、レイモンド・フォードというアメリカンプロスペクトを倒すことで、ホルマトフがメジャーになるための戦いでもあります。ここはホルマトフに印象的なKO勝利を挙げてもらいたいところですね。
考察、フェザー級
さて、フェザー級はここから数年間、注目階級となります。
理由は2025年以降ではあるものの、「モンスター」井上尚弥が上がってくるであろう階級となっているためですね。
そのモンスターの最大のライバルと目されていたロベイシー・ラミレスはラファエル・エスピノサ(メキシコ)にまさかの敗北を喫して陥落、今はこの再戦に向けて動いているところなのでしょうか。
ラミレスはトップランク所属だったので、井上vsラミレスは実現が容易かったわけですね。
現在、世界王者はIBF王者のベナド・ロペス、WBAはこの戦いで決まりますが、WBCにレイ・バルガス(メキシコ)、WBOにエスピノサ。
エスピノサはメキシコのサンフェルプロモーションのため、トップランクがこのボクサーを呼ぶのは比較的容易であり、問題はレイ・バルガス。こちらはPBCの所属であり、今のところトップランク所属のボクサーと拳を交えることは考えられません。
ただ次回はドグボエに勝利したニック・ボール(イギリス)を相手に防衛戦の予定であり、もしここでボールが勝利すればトップランク側は交渉をしやすくなるイメージですかね。
トップランクにフェザー級王者たちが集まれば、井上尚弥の米国登場もあるかもしれませんね。
フェザー級王者たちは今年は評価を高める正念場。しっかりと評価を高めることができれば、井上戦を引き当てることが可能かもしれません。
そしてニッポンのフェザー級も押し迫り、今後のフェザー級はめちゃくちゃ楽しみですね。
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