アメリカ、フィラデルフィア。
言うまでもなくこの都市は映画「ロッキー」の舞台であり、ボクシングファンなら知らないものがいない土地だと思います。
そのフィラデルフィア出身のジャロン・エニス、世界タイトルを獲得してからの凱旋防衛戦という位置付けであり、さらにマッチルームへの移籍初戦を迎えます。
この試合は「ロッキー」を彷彿とさせる大激闘、にはならないはずです。
リングマガジンが発表した2029年のPFP予想では、トップに位置するこのエニスが、まさかここで苦戦するわけにはいきません。
ということで今回のブログは、エニスvsアバネシアンの観戦記。
↓プレビュー記事
7/13(日本時間7/14)アメリカ・フィラデルフィア
IBF世界ウェルター級タイトルマッチ
ジャロン・エニス(アメリカ)31勝(28KO)無敗
vs
デビッド・アバネシアン(アルメニア)30勝(18KO)4敗1分
おそらく、この戦いは最後まで行きません。
それはBサイドであるアバネシアンというボクサーが、しっかりとアップセットを目指して攻めていくだろうから、です。
エニスはそこで下がるボクサーではなく、判定勝利をよしとしないボクサーのため、KO決着が濃厚です。もっというと、KO決着が濃厚というよりもエニスがアバネシアンを倒してしまう結果が濃厚な戦いです。
エニスにとってはフィラデルフィアでの凱旋防衛戦、ここフィラデルフィアに魔物が巣食っていないことだけを祈ります。
初回、まずはオーソドックスに構えたエニスの鋭いジャブでスタート。その後もこのパワージャブを上下に打ち分けるエニスが先手です。
ぱっと見エニスはでかいですね。上体のデカさについて、かなりの差を感じます。
アバネシアンはまずは見ようというところなのか、ガードを固めてエニスのジャブの打ち終わりに右を合わせようとしています。いつの間にやらサウスポーにスイッチしているエニス、中盤にサウスポースタンスから右アッパーをアバネシアンの下腹部にヒットしてしまっています。
ローブローでの休憩を挟み再開、エニスは自分しか当たらないという距離でアバネシアンを攻め、アバネシアンのリターンは届かず。近い距離でもエニスはショートのコンビネーション、アバネシアンはその中で単発を返すのがやっとです。
2R、サウスポースタンスのエニスは早いコンビネーション。アバネシアンもスイッチして対抗しますが、これは全く勝負になりません。
エニスは何度もコンビネーションを放つ、ハイペースではとも思えるようなアクション。アバネシアンはこの波状攻撃にひたすら耐え、少々の攻撃を返すもほとんど効果はありません。ブロッキングは非常にしっかりしており、致命打を避けているのみです。
3Rもエニスは旺盛な手数で攻め入ります。
エニスの素晴らしいところはやはりこうして相手を倒そうという気概に満ち満ちているところです。
グイグイとコンビネーションで押し込んでいくエニス、アバネシアンの必至の反撃により被弾もしていますが、ダメージはなさそうです。
4R、ここまでかなりハイペースに攻め続けたエニス、ここはペースダウンか。プレスをかけるのはアバネシアン。
しかしエニスはプレスをかけられながらもストレートの距離でコンビネーション、アバネシアンを近寄らせず、セーブするかと思われた序盤を過ぎればまたもコンビネーションの嵐でアバネシアンを下がらせます。
サウスポースタンスからの右ボディ、これは試合を通じてよくヒットしていますが、ここは急所がないために防ぐのすら諦めているか、アバネシアン。
終盤に右フックカウンターをヒットしたエニス、相変わらず圧倒しており、もうフィニッシュは近そうです。
5R、フィニッシュを狙ってなのか攻めるエニス。アバネシアンは下がりながら単発、カウンターとなってエニスにヒット。これはちょっと危ないタイミング。
それでもびくともしないエニスはグイグイと攻め入り、近い距離で上下、内外に打ち分けるコンビネーション。
中盤アバネシアンは体で押してエニスをロープまで連れて行き、右オーバーハンドの強打。エニスはこれを浅くもらいながらも左オーバーハンドをリターン、これでアバネシアンはダウン!
エニスはここで倒し切れるか、激しくチャージ!アバネシアンもまだ力を残しているようで懸命に打ち返し、頭を前に突き出して距離を潰し、グイグイ押していくというサバイバルスタイル!
果たしてこのラウンド、エニスは倒しきれずに終了しています。
しかしこのインターバルの早々の時間にアバネシアン陣営は棄権を申告、試合終了!!
ジャロン・エニス、5R終了TKO勝利!!
強い強い、ジャロン・エニス。特に焦点とはなっていないものの、クロフォード(6R)よりも若干早くアバネシアンをギブアップさせました。
被弾はありつつも、ヒヤリとするパンチは1発くらいだったように思います。エニスはその攻撃力というものも特筆すべきものですが、やはり相手を打ち倒そうとするそのスタイルが非常にエキサイティングであり、試合が面白いボクサー。チャンスと見れば倒しにいく、は当たり前と言えば当たり前のことですが、そうでなくても倒しに行こうという気概は素晴らしく、これは「穴」とも呼べるものかもしれませんが、いずれにしろクロフォードの試合よりも素人目に面白く見えることは確かでしょう。
未来のP4Pキング、それに相応しい試合だったと思います。
↓そんなジャロン・エニスの夢とは
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