いよいよ迫ってきた井上尚弥vs TJドヘニー。
この戦いは世界的に注目されており、ESPNもコマーシャルに余念がありません。
この戦いは日本の平日に行われ、これは東海岸のニューヨークで言えば午前7:00頃、西海海岸のロサンゼルスでは午前4:00頃にメインイベントのリングウォークが始まる戦いです。熱心なファンでなければ、ライブ視聴は厳しいでしょう。
この井上vsドヘニーにおいて注目されているのは、井上のパフォーマンスそのものであり、日本では「ドヘニーは一発があって危険」との見方をされるものの、どうしてもドヘニーの世界的な評価は高くありません。井上の対戦相手としては尚更のことです。
さて、2024年も残すところあと4ヶ月。
9月の興行はもちろんのこと、10月の興行も出揃い、これ以上に興味深い追加カードはない時期に来ています。
そして12月までの年内興行も、おそらく今月の前半頃までには発表されるのではないでしょうか。
ということは、ここまでの興行と今決定している興行の中から、ファイター・オブ・ザ・イヤー(以下FOTY)は選ばれることになり、それは今、「一強」です。このことは、BoxingSceneの記事にも書かれています。
2023年は井上尚弥がBWAAのFOTY(シュガー・レイ・レナード賞)を受賞したことは大きな話題となりましたね。ただ、井上尚弥が連続受賞なるか、というと状況的には厳しい、どころか不可能だ、とも言えます。
ということで今回のブログは、2024年のこり4ヶ月、FOTYの展望について。
FOTYはウシクか
2024年12月に決まっているビッグファイトは、オレクサンドル・ウシクvsタイソン・フューリー2というものです。
これにウシクが勝利すれば、まず間違いなく各媒体のFOTYはウシクが選ばれることになるはずです。他のボクサーたちとは格が違うことを成し遂げたのがこのウシクであり、ウシクは5月にヘビー級4団体を見事統一、そしてIBF王座は手放さざるを得なかったものの、もしこの再戦に勝利すればもはやタイトルの数は関係なく、偉業です。
↓2ヶ月前にFOTYを考察した記事
問題はウシクが負けてしまった時ですが、それが混沌をもたらすか、と問われればそうではないかもしれません。ウシクはともかくヘビー級4団体統一という偉業を成し遂げており、たとえ再戦で敗れたとしても、その偉業は変わることがありません。
次点はベテルビエフvsビボルの勝者か
ウシクが負けてしまった場合、FOTYの有力候補に上がるのはアルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボルの勝者である可能性があります。
この戦いも、ライトヘビー級の4団体統一王座をかけたファイトだからです。
さらに、この二人はすでに1度リングに上がっており、それぞれが快勝しているからで、ここに勝てば2024年は勝者にとって申し分のないキャリアになります。
この戦いは50-50の戦いで、両者ともにリングマガジンのP4Pランキングの上位にランクインしている状態。ともに無敗であり、ここまでベテルビエフは圧倒的なパワーを、ビボルは圧倒的なスキルを見せて勝ち続けてきています。
12月のウシクvsフューリーが再戦であることを考えると、この試合が残りの4ヶ月の中で最も興味深い戦いかもしれません。この試合はファイト・オブ・ザ・イヤーの可能性もありますね。
その他のトップファイターの動向は
基本的に、FOTYの候補に上がるのはやはり世界のトップファイターです。
だから、比較的精力的にリングに上がるカネロはこの候補となりやすいのが現実。ただし、2024年はハイメ・ムンギアとエドガー・ベルランガです。この二人をクリアしたからといって、ウシクの偉業を超えられることはなく、今回はノミネートも難しいでしょう。
もう一人注目すべきファイターはテレンス・クロフォードですが、イズライル・マドリモフに勝利して4階級制覇というのはもちろん偉業。しかし、このボクサーはやっぱり年一度しか戦わないので、マドリモフに僅差判定勝利の内容ではFOTYは難しい。
軽量級に熱視線
さて、軽量級のボクサーたちは、中重量級のボクサーたちに比べビッグファイトを手繰り寄せやすくなっていることもあり、また、ここ最近の軽量級ファイターたちへの注目度を考えると今後はFOTYを狙いやすくなってくる、とも言えます。
まず、ジェシー「バム」ロドリゲス。バムは長くスーパーフライ級を率いたファン・フランシス・エストラーダを見事なノックアウトで降し、その評価はまた上がったのだと思います。もしこれが年内に再戦があり、同じくバムがエストラーダをノックアウトするようならば(その可能性は高いと見ますが)FOTYにはなれなくとも、議論には上がるのかもしれません。
同じくスーパーフライ級のフェルナンド「プーマ」マルティネスも、トップファイターの井岡一翔に勝利し、さらに年末の再戦で勝利することでここにノミネートされるかもしれません。ただしこれは勝ち方によるものでしょうが。
井上尚弥と中谷潤人
2023年、数々のメディアでFOTYに選ばれた井上尚弥。2024年は順当にいけば年3度のリング登場と、トップボクサーとしてはかなりアクティブな王者です。
ただ、たった1年で、もっと具体的に言えばたった半年でスーパーバンタム級の4つのベルトを統一してしまった昨年と比べれば、その対戦相手の質は同じようにはいきません。
2023年に戦った相手はフルトンとタパレス、ともにユニファイド王者。
2024年はルイス・ネリ、TJドヘニーという元王者が二人と、12月にはサム・グッドマンかムロジョン・アフマダリエフ。
ドヘニーには圧倒的勝利を収める前提で、12月にアフマダリエフを圧倒的なKOで退ければ可能性としてはなくはないかもしれませんが、どうしてもウシクやベテルビエフvsビボルの勝者には届かなそうです。
そして中谷潤人。こちらもP4Pにランクインしており、非常にアクティブに戦っています。
中谷はアレハンドロ・サンティアゴをノックアウトしてバンタム級王座を獲得、4階級制覇に成功。そして初防衛戦でビンセント・アストロラビオを初回KO、さらに10月にペッチ・CPフレッシュマートを相手に防衛戦の予定です。
流石に10月中旬に登場すれば、今年はこれで最後のはずです。今年を助走期間として、来年に多くの統一戦を行うことができるのならば、勝負は来年以降にあるかもしれませんね。
FOTY争いはウシクvsベテルビエフvsビボルの三つ巴?
たとえばウシクがフューリーとの再戦に負けた場合、その負け方によってはベテルビエフvsビボルの勝者がFOTYとなるかもしれません。その場合、ベテルビエフにしろビボルにしろ、勝ち方が問われるような気がします。
ただ、ウシクが順当にフューリーに勝った場合は、ベテルビエフvsビボルがどのような試合展開になろうとも、ウシクがFOTYであることは満場一致で決まるはず。
個人的にはウシクが再戦で負けようが2024年のFOTYはウシクで良いと思っていますが、はてさて残り4ヶ月はどのような戦いが繰り広げられ、一体誰がインパクトを残すのか。
あとちょっと話題になっていてみたいカードは、タンク・デービスvsホセ・バレンズエラでしょうか。ともにイサック・クルスを破ったもの同士、そしてスーパーライト級での対戦となれば非常に面白い試合になるかもしれません。
いずれにしろ残り4ヶ月を楽しみましょう。まずは無理してでも行く、井上尚弥vs TJドヘニー。みなさん会場で会いましょう。
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