来年のことを言えば鬼が笑うらしい。
だったら今年のことだったら良いのでしょうか?とりあえず、明日の話をしましょう。
個人的に最も興味深い戦いは、間違いなくセミファイナルにセットされた武居由樹vs比嘉大吾。
その前のイズマイル・バロッソvs平岡アンディも本当に興味深い戦いです。
メインイベントの井上尚弥vs TJドヘニーに関しては、井上本人にきっと油断がないから、観る側としては思いっきり油断しています。ただ、おそらく序盤は非常に緊張感があり、ここでドヘニーが一か八かで出てくるのか、そうではないのか。ドヘニーは今ではすっかり薄れてしまったものの、試合巧者の面もあるから侮れません。
それでもやはり、井上尚弥への絶対的信頼というのは、そこそこ長くボクシングを見てきたファンとして、ボクシング競技をかじった者として、揺らぐものではありません。
なのでこのスーパーバンタム級で見据えるのは、その先の井上のキャリアです。
そんなわけで、今回はスーパーバンタム級のリングマガジンランキングを見ていきます。
王者:井上尚弥
イノウエ「モンスター」ナオヤはいつまでこの階級に居座るのでしょうか。「今年中は」という発言から、最近では「1〜2年」みたいな話をしていたので、来年早々のフェザー級転向は今のところなさそうで、来年の中盤あたりか再来年の頭、くらいなら可能性があるのかもしれません。
とにかく、このモンスターがいなくならないことには劇的な変化は訪れないかと思われるスーパーバンタム級。
次戦は明日9/3(火)、元王者のTJドヘニーを相手に防衛戦を行う予定。
それを怪我なくクリアしさえすれば、12月の終わり頃でしょう、サム・グッドマンかムロジョン・アフマダリエフを相手に防衛戦を行うはずです。グッドマンもアフマダリエフも指名戦であり、おそらく通常であればグッドマンとなりそうなものですが、グッドマンは前戦で負傷もあり、もしかしたらアフマダリエフに標的変更となるかもしれません。
いずれにしろ、おそらくこの試合の後すぐさま交渉は開始され(もしくはすでに水面下で動いており)、9月の終わり頃にはリーク情報が飛び交う状態になっているのではないか、と推察しています。
1位:スティーブン・フルトン
2位:マーロン・タパレス
井上尚弥に完璧に倒されても、評価が下がらないところが彼らにとってはラッキーです。通常、リングマガジン王者に挑んだとしても、痛烈なノックアウト負けを喫すればランキングは下がるものです。
フルトンは9/14(日本時間9/15)に行われるカネロvsベルランガのアンダーカードに登場予定で、この戦いはフェザー級デビュー。相手はカルロス・カストロと大変に興味深い再起戦となっていますね。大金を稼いでしまったフルトン、復帰に足が向くまでに結果的に1年以上を有してしまっただけに、そのモチベーションと試合勘はちょっと心配です。
この戦いの後、フルトンはスーパーバンタム級のランキングから姿を消すことになり、その試合如何によってフェザー級にランキングされるはずです。
さて、マーロン・タパレスは昨年の終わりに井上に敗れ、5月にすでに復帰戦を戦っています。ここに初回KO勝利を挙げたタパレスは、早くも今週末、復帰第二戦を行います。日程は9/7、相手はサウラブ・クマール(インド)というボクサーのようです。
タパレスは非常に精力的ですね。このペースを維持すれば、井上が返上後にはすぐにチャンスが回ってくる位置にいられそうです。
3位:ムロジョン・アフマダリエフ
4位:サム・グッドマン
12月の対戦相手候補、アフマダリエフとグッドマンが3位と4位です。
アフマダリエフはアマでもリオ五輪のブロンズメダルという実績を残し、わずかプロ8戦目でダニエル・ローマンを破っていきなり統一王者に輝いた傑物です。
マーロン・タパレスにタイトルを奪われますが、どちらが勝っていても不思議ではない戦いで、個人的には未だこの階級で最高の評価。
WBAの指名挑戦者であるMJと12月に戦ってほしいと心から願います。
対してサム・グッドマンはIBFとWBOの指名挑戦者です。
2023年3月にTJドヘニーに勝利しており、その後ライース・アリームに勝利して挑戦権を獲得、その後もその地位に甘んずることなくアクティブに活動しています。
しかし前戦で負傷、これが7月の話だからもう2ヶ月近く経っていますが、その後の経過はどうなのでしょうか。そろそろ完治すれば12月には間に合いますが、後1ヶ月かかるとなると12月も諦めざるを得ないでしょう。
5位:ルイス・ネリ
6位:リアム・デイビス
ドーピングとウェイトオーバーのダブルコンボも今は昔、大人になったネリは今年5月、日本で素晴らしいパフォーマンスを見せました。
P4P井上尚弥から初回にダウンを奪う大健闘、それでもやはり格が違ったのは事実です。ネリは中谷潤人に対戦を呼びかけたり、フェザー級転級を示唆したりと落ち着かないですが、奔放な性格のメキシカンらしく、今後のキャリアもきっと楽しませてくれるはずです。
リアム・デイビスは英国の無敗のボクサーです。イオヌト・バルタ、ジェイソン・カニンガムに勝利し、エリック・ロブレスを2Rで倒しています。IBOの世界王者であるデイビスは現在絶好調、同い年の無敗英国人ライバル、シャバズ・マスードと雌雄を決したのち、世界戦線に躍り出るのかもしれません。
このデイビスvsマスードは一度は対戦が決まりましたが、デイビスが体調を崩してキャンセル。今年中に行われると良いですね。このデイビスは非常に良い選手です。
7位:TJドヘニー
8位:アラン・ピカソ
7位に今回の対戦相手、TJドヘニー。ドヘニーの見どころとしては初回と2Rくらいかもしれません。いや、もっと少なく、初回の1:30くらいかも。ドヘニーが光り輝く瞬間を見逃してはなりません。
8位のアラン・ピカソ、このボクサーはよく名前を聞くようになってきましたね。前戦でアザト・ホバニシャンに勝利、その前にもダミアン・バスケスを破るなどして着実に力をつけてきています。
16歳でプロデビューしたというピカソは、24歳の今、すでに30戦ものキャリアを築いているボクサー。2024年にはUSデビューも果たし、これからステップアップファイトといったところでしょうか。
9位:イライジャ・ピース
10位:ラモン・カルデナス
このイライジャ・ピースはなかなか危険なボクサーで、20勝(16KO)2敗と2つの負けを経験しているのですが、何せそれはスーパーフェザー級とフェザー級でのファイトであり、2018年〜2019年にかけてともう昔の話です。
その対戦相手もジョバンニ・カブレラとスライマン・セガワとなかなかの強豪。その敗戦から11連勝中であり、その間にギリギリ元タイトルチャレンジャーと呼んで良いトレメイン・ウィリアムス、そしてマイク・プラニアを破っています。
アローヨやテテに挑戦し、ネリからもダウンを奪ったアーサー・ビラヌエバも4Rでノックアウト、数日前にもリングに上がりホセ・サンマーティンを破っています。
10位にはラモン・カルデナス、名前がめちゃくちゃ強そうです。このボクサーはProBoxTVに幾度か登場しており、今後もギャリー・ジョナスの庇護のもと戦っていくのでしょう。このProBoxTVは今後結構注目で、先日ルイス・アルベルト・ロペスを破って王座についたアンジェロ・レオもこのProBoxTV傘下です。
トップランクやPBCから漏れたファイターたちを集めているものの、ここからアップセットは起こっていくのかもしれません。
今後の井上尚弥の相手は?
少し気の早い話をします。
仮に井上尚弥が2025年中をスーパーバンタム級で過ごすとするならば、2024年末の対戦相手を含めて3〜4名の生贄とも呼ばれる対戦相手が必要です。
そのうち1人はムロジョン・アフマダリエフであり、もう1人はサム・グッドマンであるべきだと思います。
では、そのあとはどうか。
現状のこのランキングで戦っていない相手は、リアム・デイビス、アラン・ピカソ、イライジャ・ピース、そしてラモン・カルデナスです。
対井上で期待できるボクサーは、やはりKOパンチャーだと考えると、この中ではピースとピカソあたりがピックアップされると面白いかもしれません。
そして何よりも一番の注目は、今はまだバンタム級ですが、中谷潤人の存在でしょう。
この井上尚弥vs中谷潤人が、2025年末に叶うというのが一番綺麗な流れ。
そうなれば来年末、日本のボクシング界は過去最高の盛り上がりを見せることは間違いありません。見たいような、見たくないような。
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